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ウクライナ情勢-NATOのフィンランド"バーナ2023演習"と東部戦線東部戦線中央部クリシチイフカ奪還

2023-09-29 07:00:59 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 ウクライナでのウクライナ軍が血で築いた戦訓を各国がその運用へ活かそうと変革を試みています。

 NATOではウクライナでの戦闘機分散による消耗の局限化という重要な戦訓に鑑み、高速道路網などの戦闘機応急飛行場としての訓練を強化しています。具体的には現在フィンランドで実施されているバーナ2023演習での高速道路発着訓練で、従来この種の運用を行ってこなかったユーロファイタータイフーンやF-35ライトニングなどが参加しました。

 ウクライナでは戦闘機用シェルターが旧ソ連時代に多数建設されており、これらのものは本来頑丈なコンクリート製建造物であり航空攻撃やミサイル攻撃の爆風から防護可能な建物に戦闘機を格納するものとされてきました。しかし、ウクライナ軍ではこうした戦闘機シェルターはほとんど使用せず、航空機以外の用具倉庫として重宝しているとのこと。

 分散運用、ウクライナ軍が重視しているのは、決まった場所に長期間貼り付けて運用するのではなく、可能な限り分散し、可能な限り移動を続ける事で、ロシア軍の攻撃目標となる前に移動する運用です。バーナ2023演習が行われるフィンランドではNATO加盟を前に、高速道路の応急飛行場としての造成が維持されており、こうした演習に適しています。
■クリシチイフカを奪還
 東部戦線での動きについて。ウクライナ軍は内線作戦の強みを活かす運用となっているのですが日本の場合はこの国土の地形から日本型内線作戦というものをどう考えるのかは課題ですね。

 ウクライナ軍は9月17日、東部戦線中央部のクリシチイフカを奪還しました。クリシチイフカはバフムートの南西7㎞の位置にあり、バフムートの北西11kmにあるオリホヴォとヴァシリフカの地域でも前進に成功したとしています。これはウクライナ軍が公開した動画から確認された情報です。またクラスノホリフカ周辺でも前進に成功しています。

 ザポリージャ州西部においてもウクライナ軍は攻撃を継続しているものの顕著な前進はありません、逆にロシア軍がバフムト周辺からザポリージャ州西部へ兵力を引き抜いたことでバフムト周辺の兵力配置が手薄となり、ウクライナ軍が反撃を成功させている状況です。これに対しロシア軍はベルゴロド州周辺で防御を固め陽動作戦を試みているもよう。

 東部戦線南部ではウクライナ軍の反撃が今月に入り大胆に進展しており、ロシア軍防衛線の幾つかに食い込んでいる状況です。これは内線作戦という、防衛側は中心線から近い場所を戦場として選べるのに対し、侵攻側は急激な戦域の転換に対応するには長距離を移動する必要が生じる為、特に予備戦力が枯渇している状況では対応できない点が響くのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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