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【防衛情報】航空自衛隊F-35A戦闘機23号機試験とイタリア空母カブールF-35B搭載試験

2021-03-22 20:05:04 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 航空自衛隊F-35A戦闘機23号機試験飛行の様子を撮影できましたので、この情景と共にイタリア海軍空母カブールに関する最新情報をお伝えしましょう。

 海上自衛隊はヘリコプター搭載護衛艦いずも型の護衛艦いずも、かが、についてF-35B戦闘機運用能力を付与させる方針です。現在F-35Aについては24号機までが製造され試験中ですが、護衛艦にF-35Bを搭載するには必要な改修と試験が必要です。これがどういったものか、同じ改修を実施するイタリア海軍の空母カブールの現況を参考にしてみましょう。

 イタリア空軍とアメリカ空軍は2021年2月16日から17日にかけイタリア空軍のF-35Aを運用する米伊共同訓練を実施、イタリア軍におけるF-35A実部隊での運用は順調に進められている模様だ。イタリアは空軍が15機のF-35B戦闘機と60機のF-35A、海軍が15機F-35B戦闘機を調達、海軍は2018年にF-35B初号機、2019年に2号機を受領しました。

 イタリア空軍は2020年2月22日に最初のF-35Bを受領しています。今回の共同訓練はイタリアのアメンドーラ空軍基地にて実施され、アメリカ空軍からは第31戦闘航空団のF-16C戦闘機とイギリスのミルデンホール空軍基地に展開する在英米軍のKC-135空中給油機が参加し、空対空戦闘等のACE機動訓練と共に、空中給油訓練も実施されました。

 イタリアは第32航空団の第555戦闘飛行隊に所属するF-35A戦闘機6機と第510戦闘飛行隊に所属するユーロファイタータイフーン戦闘機が参加しました。第32航空団はアメンドーラ基地に展開し、第31戦闘航空団はアビアノ基地に展開しています。イタリアではF-35Aの運用基盤に併せる事で導入が本格化するF-35Bの運用基盤を迅速構築しています。

 イタリア海軍の空母カブールは西大西洋上においてアメリカ海軍原子力空母ジョンCステニスとイージス艦スタウトの参加の元で米伊合同演習を実施しました。この試験にはアメリカ海軍第二艦隊が全面的に協力しており、2月10日から12日まで実施され、カブールとイージス艦の相互情報共有やF/A-18Eスーパーホーネットとの共同訓練も行われた。

 カブールとF/A-18Eスーパーホーネットとの訓練は要撃管制訓練であり、またP-8Aポセイドン海洋哨戒機も参加しています。訓練の後、カブールは空母ジョンCステニスがホストシップとなりノーフォーク海軍基地へ入港しました。空母カブールは全長244m、全幅39m、イタリア海軍はハリアー攻撃機を運用り本艦もスキージャンプ台を有しています。

 イタリア海軍の空母カブールはF-35B搭載認定試験に向けアメリカのバージニア州ノーフォーク海軍基地へ到着したとのこと。カブールはCVH-550,満載排水量27000tの全通飛行甲板型艦艇として建造され、現在はイタリア海軍旗艦となっています。イタリア空軍は導入するF-35B戦闘機をカブールにて艦上運用するする計画で今回はその一環というもの。

 カブールのノーフォーク海軍基地入港は2月13日、今回の入港ではJPO-F-35プログラムオフィスの飛行試験部隊により、西大西洋上において海上試験を行い、これにはメリーランド州パタクセントリバー海軍航空基地に所属するF-35統合試験飛行隊ITFが支援し実施され、この試験の為にアメリカ海兵隊員など200名の支援要員がカブールに乗艦します。

 F-35B戦闘機のカブール艦上運用は、カブール艦内の格納庫に10機、そして飛行甲板上の露天駐機用に6機の16機が搭載可能となっています。F-35B搭載に向けてのカブール改修は2018年12月から継続されており、今回の試験はF-35B発着に伴う高温のジェット吹付に対するその甲板強度試験、そして航空管制機材等の適合性も試験される事となります。

 イタリア海軍の空母カブールは3月3日、初のF-35B発着を実施したとのこと。これは西大西洋上で行われるカブールF-35B適合試験の一環であり、午後に実施された試験ではパタクセントリバー海軍航空基地のアメリカ海軍第23試験評価飛行隊所属ブラッドリーマン少佐が操縦するF-35Bを含め2機のF-35Bがカブール艦上での試験に当っているという。

 空母カブールへのF-35B運用試験について、イタリア海軍のジャンカルロチャッピーナ海軍大佐は、この発着を新しい一歩であるとした上で、しかしイタリア海軍航空にはさらに大きな意味があると強調している。イタリア海軍では空母ジュゼッペガリバルディにおいてハリアー攻撃機を運用しているが、戦闘機の運用は第二次大戦中を含め初の事例となる。

 海上自衛隊は護衛艦いずも型の飛行甲板改修作業等を本格化させます。イタリア海軍の事例を見ますと、アメリカ海軍のF-35Bを用いての洋上試験、そして航空管制能力などを改めて確認した上でのアメリカ海軍機協力を受けての初の発着試験、と進むようです。日米関係の強化の象徴的事例となる事は間違いありませんが、やはり時間はかかるようですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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