北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【G7X撮影速報】富士学校-富士駐屯地創設64周年記念行事,戦闘偵察大隊(2018-07-08)

2018-07-28 20:03:26 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■戦車教導隊連隊改編前年行事
 今年度の富士駐屯地祭は戦車教導隊の機甲教導連隊改編前年、そして戦闘偵察大隊という戦車部隊を置き換える新部隊の概要が示された節目の行事でした。

 部隊訓練評価支援隊、富士学校隷下となりまして本年から式典に参加するようなっていたことが新しい展開でしょう。昨年までは隊員だけの参加でしたが今年は戦車と装甲車が参加していました。評価支援隊、第1機械化大隊を隷下におく自衛隊版風雲たけし城、だ。

 全国の戦闘部隊が有する戦闘力や任務遂行能力と指揮官の力量を試す登竜門で、富士トレーニングセンターFTCを北富士駐屯地に置き、仮設敵部隊である第1機械化大隊を滝ヶ原駐屯地におき、滝ヶ原駐屯地ではT-74戦車、74式戦車の仮設敵迷彩車両でお馴染みです。

 T-74戦車が、例年置かれていない戦車教導隊の待機車列に並んでいたため、式典会場ではちょっと話題になっていた。風雲たけし城、とは穏やかではありませんが、これは即ち地の利を知り尽くし、精鋭中の精鋭を選抜して編成された仮設敵部隊が置かれているため。

 仮設敵部隊の名は第1機械化大隊です。第1機械化大隊と全国の戦闘部隊が戦うと、レーザー飛び交う仮想戦場において風雲たけし城攻略を試みる谷隊長隷下の集った精鋭が完膚無きまでに全滅するような厳しい結果となるためで、ここから精強な部隊が育てられる。

 第1機械化大隊は戦車中隊と96式装輪装甲車、いやBTR-96装甲車装備の2個普通科、いや自動車化狙撃中隊の、もとい普通科中隊でいいのか、機械化大隊の名にふさわしい陣容です。火力戦闘部隊は省かれていますが、演習場ではこれらは訓練装置にて再現されます。

 富士教導団、改編が行われているようです。普通科教導連隊は改編により対戦車中隊が廃止されたもよう。その分、普通科教導連隊の各中隊に対戦車小隊が増設されていたもよう、これを示すように観閲行進の祭、射程8kmの中距離多目的誘導弾が配備されていました。

 連隊を改編するのであれば、どうせならばAAV-7水陸両用車を装備した普通科教導連隊第5中隊を創設すれば良いのに、水陸機動の重要性を考えれば富士学校へのAAV-7配備の必要性を考えるのですが、前日にここから最寄りの海岸、沼津での揚陸訓練をみた為の思い。

 考えてみれば自衛隊員定数がそのまま増員無しのまま佐世保の相浦に水陸機動団を新編したのです、富士学校からも少し、つまり実体としてはかなり、間引いたとしか考えられません。逆に数千人の部隊をほぼ増員無に創設できるほど、陸上自衛隊に余裕はありません。

 水陸機動団は重要ですが、第7師団の機甲師団改編のように師団改編で対応できなかったか。例えば、福岡の第4師団を水陸機動師団に改編し、戦車大隊を水陸装甲大隊に、普通科連隊を水陸機動連隊、そして飛行隊をヘリコプター隊へ改編すれば、対応できましょう。

 冷戦時代から言い続けられていた事ですが、慢性的な定員割れと装備定数不足に進まない機械化、この中で部隊再編で低充足部隊と高充足部隊に分化する事を容認し後者のみ脅威正面へ再配置するという綱渡りにて防衛力を抑止力として維持して来まして、今日に至る。

 行政機構という視点から見た場合、しかし実態に合わせて師団数を旅団に縮小改編しますと、公官庁として課長級幹部職員数を減らす事となり、人員を縮小した分の予算を縮小し、結果的に定員割れの現状の総合的防衛力よりも、完全充足の防衛力が下回りかねません。

 自衛隊を考える場合自衛隊も日本の公官庁の一つなのですから行政機構論から分析しなければならず、純軍事的に理想論を説いたとしても、これは単なる地を離れた理想論に過ぎません、太平洋戦争勝っていれば、論理に近く、公官庁では幹部職員数の階梯は重要です。

 閑話休題、しかし、富士教導団と同程度の装備が本土の師団へ配備されていたならば、例えば富士教導団型の機械化混成団と方面混成団型の即応予備自衛官主体の混成団を二つ合わせ、人員規模よりも有事の増員態勢に依拠した質的充実を目指すべきではないか、と。

 富士学校祭の装備を見ますと、全部隊の模範たれ、との機運を目指しつつ、しかし、北海道と九州の一部部隊を除く全国の部隊と装備の内容に現実とかい離した部分があるのではないかと危惧します。もっとも首都近郊部隊の前述した意義はあるのですけれども、ね。

 G7Xにて撮影、一眼レフEOS7Dを時々G7Xに持ち替えて撮影したため、やはり珠玉の一枚という瞬間はEOS7Dのほうに詰まっています、G7Xはコンパクト機種としてはもっとも使いやすい機種で、使いやすいとは、高性能でも世界最小でもなく、主観的なもの。

 G7Xを表現する際に用いる性能、使いやすいとは、各種性能の均衡がとれているという意味なのですが、いいカメラです。しかし、富士学校祭のような状況ですと、レンズを状況には最適なEF28-300mmISに切り替えたEOS-7D,つまり一眼レフの独壇場なのですね。

 そして富士学校祭は昨年から訓練展示の内容がよく練られている。しかしコンパクト機種では流石に撮影を追随するには限度を超えているようにも思いました、高性能ではありますが35mm換算で24mmから105mmという焦点距離、故に遠い被写体は撮れません。

 訓練展示は評価支援隊の第1機械化大隊が仮設敵を務めいきなり戦車教導隊第3中隊の90式戦車が第1機械化大隊の74式戦車に撃破されるという急展開でした、流石は仮設敵部隊、執拗に逆襲と遅滞行動に迂回機動を繰り返し、最後は我が特科陣地へ戦車が肉薄する勢い。

 戦闘偵察大隊、まもなく北海道を除く全国の師団旅団の戦車部隊が廃止され、代わって新編される部隊、富士学校祭の訓練展示模擬戦で登場しました。気になる編成は偵察中隊と機動戦闘車中隊が基幹部隊、との説明でした。即応機動連隊火力と機動力で三分の一、と。

 偵察隊を廃止した戦車大隊の要員で増強し、16式機動戦闘車と87式偵察警戒車を中隊ごとに配備する、ということでしょう。しかし、威力偵察をおこなうならば、偵察中隊と機動戦闘車中隊に加えて情報中隊と無人偵察機小隊が必要でしょう、これで大丈夫なのかな。

 戦闘偵察大隊、現行の提案では前衛を突破できない、普通科連隊本部管理中隊の情報小隊を増強したような軽装甲機動車中隊が戦闘偵察大隊には必須です。しかし、現在進められている戦車部隊の本土師団からの廃止を一時見送れば、また違ってくるのかもしれません。

 16式機動戦闘車は、訓練展示で大活躍しました。空包が74式戦車と同規模、同じ弾薬を使用しているとも聞きますが兎に角10式戦車や90式戦車の空包よりも発砲焔も炸裂音も遥かに大きい、そして縦横無尽神出鬼没の機動力を発揮、新装備の将来性を期待させました。

 105mmの機動力、戦闘偵察大隊ではなく機動戦闘車大隊として集中運用したらば、或いは、と考えたのですが、むしろ敵の前衛を突破し主陣地の陣容と戦闘能力を解明し主力の攻撃に資する運用、この任務には続々と改編される即応機動連隊の方が最適かもしれませんね。

 富士教導団の訓練展示、凄い迫力なのですが、前述の通りG7Xでは追随できません、刹那の瞬間を確実に撮影するにはEOS-7Dではければ無理だ。ですから、珠玉の瞬間がG7X撮影速報にでていないのはご愛敬、ということで、日曜特集等でお伝えできればと思います。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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