北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

小野寺防衛大臣、自衛隊へ北朝鮮弾道ミサイルに対し破壊措置命令を発令

2014-04-05 13:50:25 | 防衛・安全保障

◆各部隊は基地にて警戒態勢強化

 報道などによれば小野寺防衛大臣は北朝鮮弾道ミサイルの我が国飛来への懸念に対し破壊措置命令を発令しました。

Img_7404 この命令は先月のノドンミサイル二発の日本海へ向けての発射事案後、北朝鮮が再度のミサイル実験の可能性を示唆し、日本海などへ危険海域を設定したことを受けてのもので弾道弾が再度発射され、我が国領域内に落下の可能性が生じた際に撃墜を行う企図に基づくもの。命令は3日に発令されていたとのことです。

Mimg_6964_1 ノドンミサイルは実験では日本海に落下していますが、中距離弾道弾に区分される弾道弾で、主として日本国内の米軍基地などを標的とした運用が可能な射程を持ち、その射程内には首都東京が含まれます。したがって、朝鮮半島南部やグアム方面への脅威ではなく我が国を直接の目標とした弾道弾と言え、脅威度は最も高いものと言えるでしょう。

Mimg_2837 毎年この季節になるとミサイル実験が行われる印象ではあります。なお、破壊措置命令は3日に発令されていますが、今回のところ主だった部隊の展開などは行われていません。一部報道によれば、日朝政府間交渉への影響への配慮を行うため、迎撃態勢は最小限度とするよう政治的意思が働いたとの情報も出されています。

Gimg_4334 ここまで明示しますと、外交配慮を国民の安全に優先するのか、と憤られる方もいるかもしれませんが、一方で、実情としましては、これまでの南西諸島方面への弾道ミサイル実験や太平洋上を着弾地と指定しての弾道ミサイル実験と異なり、今回は日本海会場の着弾が想定されているという実情が、警戒態勢の差異に影響しているのかもしれません。

Thimg_7112 差異とは、即ち南西諸島や太平洋上に落下想定を行う弾道ミサイル実験は、太平洋上に落下する場合にはほぼ確実に本州上空を通過し、南西諸島周辺海域を実験地と指定する際には南西諸島上空の地域を飛行し落下するため、日本海で我が国領土上空を飛翔しない場合には、対応の度合いが異なってくる、ということ。

Mimg_4413  脅威については、弾道弾が多段式の場合は燃料タンクの落下危険が、弾道弾の実験が失敗した際には空中爆発における破片が落下してくる危険が、それぞれある訳です。弾道弾は液体燃料型の場合、燃料タンクの切り離した部分や失敗の際に有毒なロケット燃料散布の危険もありました。

Iimg_2346_1 このため、過去の日本の領土上空を飛翔する弾道ミサイル実験に際しては、イージス艦や防空監視所の迎撃と警戒態勢を強化すると共に哨戒機などによる情報収集や地上のペトリオットミサイル部隊を派遣し、更に特殊武器防護部隊や空中機動部隊を展開若しくは待機させ、不測の事態に備えています。

Mimg_9821 ノドンでも太平洋側までは部分的に到達は出来ますが、その射程から本州太平洋岸近くまでしか飛翔しないため、強行すれば流石に太平洋上ではなく沿岸部の洋上に落下した場合、武力攻撃事態と判断され、自衛隊が策源地攻撃等の措置を採る可能性が高いでしょう。

Img_6247  したがって、北朝鮮にはノドンを太平洋方面へ発射するというものは、現実的選択肢として相当な覚悟が必要となります。今回の場合、こうした観点から、警戒強化と不測の事態には供えるものの、警戒態勢を強化する程度であり、国内へのミサイル部隊展開などは行わない、という態勢が採られたのだと考えられます。

北大路機関:はるな

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コメント (1)
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