北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

航空自衛隊 増加する国際貢献任務へ輸送航空団の増強を検討すべき

2009-09-27 23:25:03 | 防衛・安全保障

◆C-Xまでの繋ぎという意味も含め

 アフガニスタン派遣任務に、陸上自衛隊ではなく、航空自衛隊の輸送機を派遣するという案もあるようだ。もっとも、英空軍などはC-130がアフガニスタンの過酷な環境でで何機か失われているのだが。

Img_9564  航空自衛隊は、小牧基地の第401飛行隊にC-130H輸送機16機を導入し、運用している。C-130H輸送機は、20㌧を搭載し4000km、8㌧を搭載し8600km。C-5やAn-124などの戦略輸送機、C-17,Il-76などの戦域輸送機があるが、C-130Hは戦術輸送機、戦略輸送機が輸送した物資を第一線まで届ける用途に用いられる機体だ。

Img_9942_1  航空自衛隊には、現在25機のC-1輸送機が配備されているが、1000㍍以下の滑走路でも十分運用できるSTOL性が優れている反面、最大搭載量は8㌧、8㌧搭載時の航続距離は1500kmでしかないため、海外派遣はもとより、沖縄県に飛ぶにも特別仕様機が必要であることから、国際貢献に飛行させることは不可能である。しかも、C-1輸送機は老朽化が進んでいる。

Img_40531  KC-767空中給油輸送機が貨物輸送も可能な機体として、運用が開始されている。もともと、ボーイング767を改造した機体だけにパレットに搭載された32㌧の貨物を搭載し9260kmの飛行が可能であり、座席を設置すれば、窓こそないものの旅客機、つまり人員輸送機として運用することも可能だ。しかし、現段階では4機の導入が予定されているのみである。

Img_7766 ローテーションなどを考えれば、航空自衛隊の国際貢献任務への対応能力は、C-130H輸送機数機が限界という状況である。イラク復興人道支援任務派遣では3機、他の場合にも基本的に2~3機のC-130Hが派遣されているのだが、予備部品などは米空軍など現地からの供給に頼っている状況である。

Img_8652 現在、開発が難航しているC-XがC-2として制式化されれば、C-130H以上の航続距離と搭載能力を有するので、C-130H以外にも国際貢献任務に対応できる部隊は増えるのだろうが、C-Xの開発が進まない以上、C-1も老朽化が進んでいる事もあり、繋ぎとしてC-130Hの増勢も考えるべきかもしれない。

Img_9982  予備部品の供給、日本本土と派遣部隊との輸送機による連絡を維持し、必要に応じて派遣隊員の交代も輸送する観点からは人員輸送能力が大きいKC-767,もしくは旅客機型のC-767輸送機を充実させるという選択肢もある。一時期、中古の767を政府専用機として採用できないかという検討が防衛庁(当時)で為されたというが、改めて考えるべきだろう。

Img_91441  米空軍の場合、C-32輸送機のように、旅客機型の輸送機を運用するのは、例えばB-747(VC-747と称するべきと思うのだが)では大きすぎる要人輸送に用いたり、必要に応じて邦人救出任務にも転用できるし、かなり大きいが人員輸送型のYS-11の後継としてC-767を、例えば他のより小型の機体と併用して運用するという選択肢もあるかもしれない。

Img_9011  輸送航空団の増強案としては、C-1をC-130Hで一部置き換えつつ、C-2輸送機が完成した際には、定数に上乗せして輸送機を配備し、各飛行隊の定数を増加させることで、輸送航空団全体の輸送機保有数を増強させるという案などが考えられる。輸送航空団を増強することは、増加傾向の国際貢献のほかに、同時に島嶼部限定侵攻を始めとした有事の際に部隊展開の手段を確保するという点でも、意義がある。

HARUNA

[本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる]

コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする