北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ソマリア沖海賊対策事案 海上自衛隊P-3C哨戒機派遣を検討

2009-01-15 11:56:32 | 防衛・安全保障

■護衛艦と哨戒機を派遣

 14日の報道によれば、政府は、アフリカソマリア沖での海賊対策事案において、現在検討している護衛艦の派遣に加えて、海上自衛隊の哨戒機を派遣する検討を行っているとのこと。

P_img_6052 派遣が検討されているのは、現在、海上自衛隊で80機が運用されているP-3C哨戒機。P-3C哨戒機は、アフリカのジプチなどを拠点航空基地として運用することを想定しているようで、既に海賊対策へ尽力しているフランスより、フランスとジプチとの間で取り決められている地位協定に日本を加えることで、P-3Cの派遣を早期に実現させることが可能とのことだ。

P_img_7588 護衛艦部隊としては、ヘリコプター搭載護衛艦を中心とする1個護衛隊の派遣が既に検討されており、この護衛隊は、ヘリコプター搭載護衛艦、ミサイル護衛艦各1隻と、汎用護衛艦2隻からなる4隻の編成で、艦載ヘリコプター5機を定数としている。ヘリコプター護衛艦を中心とした編成であるから、広範な哨戒任務が可能で、予定されている船団護衛に加えて突発的事態にも迅速に対応することが可能だ。

P_img_2238  他方で、インド洋対テロ海上阻止行動給油支援任務にも艦艇を派遣している海上自衛隊には、護衛艦の一割以上をインド洋に展開させることとなり、交代の艦艇を含めればより多くの護衛艦が、インド洋に関係する任務に就くこととなる。従って艦艇のローテーションとしてより大きな負担がかかるということも留意して置くべきだろう。乗員のローテーションや教育訓練体系、場合によっては護衛艦の定数までも含めて再検討が必要な時期にきているのではないか、とも考える次第。一方で、インド洋に対して、海上自衛隊のプレゼンスを示すことができる、これにはひとつの意義があろう。

P_img_9283  P-3C哨戒機は、対潜哨戒機として導入されたが、高高度からの洋上哨戒能力にも優れ、近年では南西諸島における外国艦船動向の哨戒に大きな注目が集まっている。海上自衛隊は、日本が極めて長いシーレーンを有していることから、この種の航空機の装備化には積極的で、対潜哨戒機の保有数では、アメリカ海軍に続き世界第二位の規模を誇っており、欧州NATO軍の総数よりも、その保有数は多い。派遣が決定すれば長大な航続距離を活かして洋上の船舶情報収集にあたり、水上艦との情報共有に当たるほか、通信中継などの任務にもつくことが想定される。

HARUNA

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コメント (4)
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