北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

京都 梅小路蒸気機関車館(UMEKOJI SL Museum)

2008-05-23 18:14:50 | 写真

■京都の鉄道博物館

 京都駅から北大路へ向かう205系統バスに乗車し数分、嵯峨野山陰線の高架がみえてくる頃、梅小路公園前というバス停、バス停を降りて順路を進むと、そこには梅小路蒸気機関車館が威風堂々の姿をみせる。

Img_1149  C61蒸気機関車『スチーム』号の背景には東海道本線新快速の223系が姫路に向かって京都駅を発車してゆく。時折聞こえる轟音は嵯峨野山陰線の列車である。ここ梅小路蒸気機関車館は、梅小路機関区をそのまま蒸気機関車とともに博物館としたもので、蒸気機関車を軸として成熟に向かった日本鉄道史の基礎固めまでの道のりを学ぶ絶好の博物館である。

Img_1163  今回、この梅小路蒸気機関車館に足を運んだのは、20日に発表されたJR東海の新幹線博物館建設決定の報に接してのもので、言い換えればちょうど空いた午後の二時間という時間を有効利用するには、久々に梅小路にでも行ってみよう、という単純な理由からである。

Img_1184  梅小路蒸気機関車館は、扇型車庫と転車台からなる機関車展示区、そして日本最古の木造駅舎として知られる旧二条駅の駅舎を移転したものからなり、実に18両もの蒸気機関車を展示する梅小路蒸気機関車館、ここは1972年から蒸気機関車館として公開されている。しかし、同時に隣には車両基地として山陰線の車両やディーゼル機関車などが待機しており、前述のように在来線の他、東海道新幹線の高架もみることができる。

Img_1114  京都駅から程近いこの梅小路蒸気機関車館に対して、2011年に名古屋にて開業予定の新幹線博物館“JR東海博物館”は、名古屋駅から、あおなみ線で結ばれる名古屋港金城埠頭に建設される予定で、総工費は55億円、36両の車両を展示する構想とのこと。

Img_1110  梅小路蒸気機関車館が蒸気機関車の動態保存を行っている、例えば“SL北びわこ”号や“SLやまぐち”号の機関車もここで整備が行われている。それならば、JR東海博物館も新幹線の動態保存を、と期待してしまうが、名古屋駅や新幹線路線からかなり距離があることで、実質的に不可能といえるかもしれない(個人的には最高営業運転速度300km/hを実現したJR西日本の500系が展示されるかが気になるところだが、無理かも)。

Img_1126  毎日、構内の路線を利用して運転しているSLスチーム号。乗車には400円の入場券の他に200円(子供150円)の乗車整理券を購入する必要があるが、1100時、1330時、1530時と三回に分けて運転されている(ただし、毎週月曜日の休館日(春期休暇期間・夏期休暇期間は別)は運転されない)。

Img_1155  梅小路に保存されている蒸気機関車は18両と述べたが、C57型1号、C56型160号、C61型2号、C62型2号、8620型機関車は動態保存されている。かつて、神戸の鷹取機関区では蒸気機関車の整備を行っていたが阪神大震災でこの機能を喪失した際に、ここで整備も受け持つこととなり、蒸気機関車の整備にあたる様子を間近みると、展示されているだけの機関車ではなく、生きている鉄道遺産、という印象だ。

Img_1154  梅小路蒸気機関車館の転車台と機関車。現在では動力分散方式の電車が新幹線や在来線で主流となっているが、機関車が牽引する蒸気機関車の時代では、機関車整備に都合の良いこういった方式が採用されるようになった。非常に目立つ独特の方式は上空からも一望でき、余談ながら戦時中、京都原爆投下計画が進められていた頃は、ここが爆撃目標とされる計画だった、とのこと。

Img_1160  ここへは、京都の観光名所からやや距離があるような印象もあるが(東寺からならば直線距離は近いのだが)、京都駅より西大路通りから北大路通りにむかう循環系統の205系統に乗車すれば、金閣寺、等持院、仁和寺、北野天満宮、平野神社、大徳寺に向かう途中に寄る事も出来よう。毎日、SLが運行されている場所としては大井川鉄道が挙げられるが、運賃などを考えると、こちらもポテンシャルは大きいやも。

Img_1228  写真のC58は、戦時中、戦後に427輌が製造され、寒冷地での運用を想定して密閉型運転室を採用、重量は100.2㌧、この1号車は1972年に北海道の北見で最終運転を行ったが207万3248kmを走破したという。こういった詳しい解説の銘板が各車に掲げられている。

Img_1251  この他、二条駅駅舎を移築した建物では、蒸気機関車の構造や歴史、安全管理方式、さらには体験装置に制服や整備器材などの展示が行われており、戦後直後から近年に至るまでの蒸気機関車の貴重な写真も多く展示されている。この日は、京都市内の幼稚園や保育園から多くの見学ツアーが組まれており、かなりの盛況であった。

Img_1245  整備中のC62型機関車、第二次世界大戦の終戦により余剰となったD52のボイラーとC59の足回りをあわせた車両で、国鉄最後の特急用蒸気機関車。最高速度は129km/hに達する。東海道本線、山陽本線で活躍し、古くは九州ブルートレインの牽引にも活躍した機関車として知られるが、この車両も整備中であり、なんと機関車としての車籍も健在である。このように、整備される車両とともに訪れるたび、異なった情景を楽しむことが出来る。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (2)
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