ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『映像研には手を出すな!』#02~#03

2020-04-22 00:07:14 | TVドラマ全般










 
残念ながら、実写版『映像研には手を出すな!』は非常に残念な出来になってしまったようです。特撮シーンは良いだけにホント残念。

まず、初回レビューに書いた、野球部内における揉め事を5分近くもかけてダラダラ見せる、まったくもって無駄な描写。第2話以降も同じようなシーンが毎回入るなら、私は視聴をやめてしまうかも知れないと書きましたが、その通りになっちゃいました。

初回で見せられたのは、野球部から枝分かれした「内野部」と「外野部」の対立でした。第2話では「メロディック・ハードコア部」と「グラウンド・コア部」と「カオティック・ハードコア部」が対立。これにも随分と時間を割いてました。

さらに、新聞部から独立した「号外部」が発足以来6年間、一度も号外を(それに値する校内の大事件が起きないから)発行してない、けれど「映像研」の発足により初めて号外が出せた!っていう、無理くり本筋と絡めたエピソードも描かれました。ほんと無理くりとしか言いようありません。

第3話では「下水道部」と「上水道部」という、これまたナンセンスとしか言いようがない対立が、さすがに尺は短めでしたが描かれてました。が、残念ながらクスリとも笑えない。これで私はもう、堪忍袋の緒が切れました。

言うまでもなく、私が絶賛したアニメ版『映像研には手を出すな!』には、それらのシーンは一切ありません。

じゃあ、大童澄瞳さんによる原作マンガはどうなのか? もし仮に原作にあったとしても、こんなムダな枝葉をわざわざピックアップするドラマ版スタッフはセンス最悪だけど、もし原作に無いのにオリジナルで付け足したとすれば、最悪のまた最悪、救いようの無いレベルだと私は思うので、わざわざ原作の第1巻と2巻を買って読んでみました。

そしたら案の定、原作にもそんな描写は存在しませんでした。このドラマの創り手は、救いようなくセンスの悪いクリエイターだと言わざるを得ません。

原作とアニメ版には、「映像研」が発足する以前に「アニメ部」が存在し、それとは別途で生徒会から予算を貰うため「映像全般」を研究する(でも実際はアニメだけ創る)部を主人公たちがでっち上げる、という流れがあります。

だったら、野球部とかも内野部と外野部に岐れてたら面白くね? 水道を研究する部まであって上水と下水で対立してたら笑うよね!って、たぶん制作会議で盛り上がったんでしょう。

酒でも呑んでたんですか? 宴会でそんな話をする分には楽しいかも知れないけど、それを実際に役者が演じても到底笑えない事ぐらい、プロのクリエイターなら分かりそうなもんですが……

これはもうシロート以下、小学生の学芸会レベルだと言わざるを得ません。ほんと、素晴らしい原作とアニメを「台無し」にしちゃいました。

『映像研~』が面白いのは、描写はファンタジックでも根本にリアリティーがあるからです。アニメを創るにはお金がかかる、それを調達するには交渉力が要る、創ったら創ったで商品化して売らなきゃいけない、その為にどうやって宣伝するのか?等々、これまで描かれて来なかった生々しいリアルがあるからなんです。

ドラマ版でもそこは一応なぞってはいるけど、まったく現実離れしたその他の描写があるせいで、何もかもが嘘臭くなっちゃった。

なんだか軍隊っぽい生徒会の描き方にしても、原作とアニメではちょっとした遊び心、あくまで隠し味に過ぎないんですよね。それをドラマ版では大々的に取り上げ、前面に押し出してしまった。枝分かれしまくってる部活動も含めて、世にも奇妙な学園を舞台にした変人たちのドタバタ喜劇(笑えないけど)にしちゃったワケです。

ちー、がー、うー、だー、ろーっ!? このハゲェーッ!!(薄毛の皆さん、すみません。私の頭髪も最近ヤバいです)

原作やアニメとまったく同じことをしても仕方がない、実写版ならではの味付けをしないとやる意味がないっていう姿勢は、決して間違ってないと思います。

続編として公開されるであろう劇場版にクライマックスを持っていく為、ドラマ版は尺を稼がなきゃならない大人の事情も、まぁ解らなくはありません。

けど、あの素晴らしい原作から、よりによってそこをピックアップするか? そこを広げてしまうのか? っていう、我が眼を疑うような描写があまりに多すぎる。これはホントに、センスの問題としか言いようがありません。

ストーリーよりセンスが命とも言える作品の実写化を、こんなセンスの悪いクリエイターに任せてしまったのが運の尽き。私の中での『映像研~』ブームは、これにて終了となりました。せっかくの素晴らしい素材を、ほんと台無しにしましたね。

浅草氏、水崎氏、金森氏を演じるアイドルたちは健気に頑張ってくれてます。しかし如何せん、キャラクターに実在感が無いから感情移入できません。アニメでは出来たのに、生身の人間が演じてなぜ出来ないのか?

それもこれも、創り手にセンスが無いからです。彼女らに罪はありません。

アニメ版では、三人の女子高生それぞれのルーツ(アニメの動きに興味を持つようになったきっかけや、守銭奴になった理由など)も手際よく描かれてました。実写化するなら普通、そのへんを掘り下げないかい? 尺を稼ぐには持ってこいの素材でしょうに。

ふざけてるように見えて、実は真摯で深い物語。だから私はハマったのに、ふざけてる部分だけを拡大解釈しちゃった実写版スタッフは、ほんとセンスが無いと思います。

多くの「実写化」作品は、こうして潰れていく。何度失敗を繰り返しても学ばない、学ぼうとする気もない創り手たちには、さすがの私も敬意を払う気になれません。

創作のセンスだけじゃプロのクリエイターにはなれないけど、営業能力(それと体力)さえあれば、センスが無くてもプロになれちゃうみたいです。嗚呼、やれやれ……

久々にボロカス書いちゃいました。それだけアニメ版が素晴らしかったからです。実写版だけ観て「ハリソン君って奴はこんなもんにハマってたのか?」って、笑われちゃたまったもんじゃないですから、書かずにいられませんでした。
 

コメント (4)
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