ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『ヒナギクのお茶の場合/海に落とした名前』

2022-03-16 17:03:01 | 
『ヒナギクのお茶の場合/海に落とした名前』多和田葉子 講談社文芸文庫
 「女には無理」と断られた照明係の仕事を、重いコードを毎日百回引きずって獲得したパンクな舞台美術家と作家の交流を描く「ヒナギクのお茶の場合」(泉鏡花文学賞)、飛行機事故に遭い名前も記憶も失った「わたし」が、ポケットに残るレシートの束を手掛かりに自分を探す「海に落とした名前」、男性三人の遠距離恋愛のずれを描く「時差」など、言葉とユーモアで境を超える全米図書賞作家の9篇。
 いやあ、幻惑されぱなし。なんだか よくわからない。私は、「海に落とした名前」「時差」「土木計画」が好き。
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『パン屋のパンセ』

2022-03-14 15:09:24 | 
『歌集 パン屋のパンセ』 杉﨑恒夫 六花書林
 作者が70代80代によんだ歌集とか。いやあ、みずみずしいこと!わかりやすい言葉でよみ、時々クスリと笑うような可愛さがある。長年天文台に勤めたらしく、天文や草花・虫などの生物についてよむ歌がなんともいい。一読で、心をつかまれた。気に入った短歌に付箋をつけていったら、付箋だらけになってしまった。

屋根高き春の麒麟舎、折りたたみきかぬきりんを睡らすために
濁音を持たないゆえに風の日のモンシロチョウは飛ばされやすい
わたしが鳥となるとき夕焼けの硝子とびらはつぎつぎ開く
あしもとに這い寄る波がこそばゆいアフロディテになる前の泡
アップデートしますかなんて聞いてくる素敵なデートでもあるまいし
けいけんな信徒かもしれない落ち蝉は六本の脚を胸にたたんで
しろがねのホルンの渦をかけめぐる冷たき息を秋風とよぶ
むちゃくちゃに窓の多いビルだから月はいちいちのぞいておれぬ
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『三千円の使いかた』

2022-03-13 21:17:46 | 
『三千円の使いかた』 原田ひ香 中公文庫
 就職して理想の一人暮らしをはじめた美帆(貯金三十万)。結婚前は証券会社勤務だった姉・真帆(貯金六百万)。習い事に熱心で向上心の高い母・智子(貯金百万弱)。そして一千万円を貯めた祖母・琴子。御厨家の女性たちは人生の節目とピンチを乗り越えるため、お金をどう貯めて、どう使うのか?「節約」の知識が深まる家族小説!
 ハウツー本ではない、小説である。しかし、お金に関するあるある感が満載。
「あの人のせいで私は我慢しているというような状態はやめるべき」あの人とは夫。
「お金や節約は人が幸せになるためのもの、それが目的になったらいけない」
「人生はいつからでも できることがある」
と生き方に前向きにもなれる気がする。

『柘榴パズル』 彩坂美月 文春文庫
 「この夏が、永遠に続けばいいのに」。とぼけたお祖父ちゃん、明るいお母さん、クールなお兄ちゃん、甘ったれの妹。十九歳の美緒を囲む、仲のいい家族の日常。身近で起こる奇妙な事件は、山田家の皆が力を合わせて謎を解く。
そんな一家に、怪しい影が忍び寄り――。ある家族のひと夏を描いたミステリー連作短編集。
 軽~いミステリー。各章のはじめに提示される陰惨な事件の新聞の切り抜き?が どう絡むのか?嫁の名前をしょっちゅう間違えるお祖父ちゃん。異常に人懐っこい妹。クールな兄。娘と一緒に浴場に行かない母。嵐を怖がるあたし。違和感の理由が、きれいに解き明かされる。ミステリー愛好家ではない私には思いもよらない真相だった。
 月が欲しいと言ったあたしに、兄が月をプレゼントするところは、ロマンチック。
 絵にかいたような仲のよい家族とは、幻想。なんやかや、あるのが家族。幻想に惑わされてはいけない。
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『霧の彼方 須賀敦子』

2022-03-10 22:21:22 | 
『霧の彼方 須賀敦子』 若松英輔 集英社
 生涯にわたり信仰と文学の「コトバ」に共振し、晩年に稀有な作品を遺した須賀敦子。詩人、小説家、カトリック左派の実践的思想家、中世の聖人、愛する人たち、さまざまな出会いによって導かれた、「たましい」の旅を描く。
 私の頭では、理解できなかった。ただ、須賀敦子さんが、哲学に造詣が深いということはわかった。そういう素養があるから、澄んだ美しい文章が書けるのか?詩を読んで、深い感動に浸れるような感受性がほしい。わたしが詩を読むと どうしても表層的になってしまうので。
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「大英博物館 ミイラ展」おもしろかった!

2022-03-09 22:37:43 | 美術鑑賞
「大英博物館 ミイラ展 古代エジプト6つの物語」 2022.2.5-5.8 神戸市立博物館
開館時間:午前9時30分~午後5時30分(金・土曜は午後7時30分まで) 休館日:月曜日、3/22(3/21、5/2は開館)

左 「アメンイリイレトの内棺」 アメンイリイレトは、テーベの役人
右 アメンイリイレトのミイラのCTスキャン画像から作成した3次元構築画像
下左から
「黄金のカルトナージュのミイラマスク」
「バーが配された棺の模型」
「襟飾り」
「ヘビの形をした3柱の神々の指輪」
「車輪がついた馬の玩具」 かわいい
「フェドバステトイウエファンクのカノポス壺」 取り出した内臓を入れる壺

 大英博物館の6体のミイラをCTスキャンで画像解析。ミイラの当時の暮らしぶりを解き明かす。これが、おもしろかった!6体それぞれに短い映像があるので、ぜひ見て欲しい。理解が深まる。画面の右下に小さい丸があり、それが時計のように時間経過を表しているので、どこから見だしたかの目安になる。
 中年のミイラは、もれなくアテローム性動脈硬化にかかっていたって。動脈にプラーク。ミイラにでき、美しい棺に入れるほど裕福だから、美食をしていたのかな。歯槽膿漏や動脈硬化って、現代の私たちと同じ!
 子どものミイラのあごにまだ生えていない永久歯があり、頭蓋骨の骨の間に隙間があるので、おおよその年齢がわかるという。死亡年齢3~5歳の男の子は、幾重にも布で巻かれていて、死を惜しむよう。
 脳を取り出すときに器具が折れて頭蓋骨に残っているものミイラも。
 

ペンアメンネブネスウトタウイの内棺 ペンアメンネブネスウトタウイは神官


タケメネトの内棺 タケメネトは裕福な既婚女性 棺が三つも。


若い男性のミイラ


ミイラの覆い布
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