ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『塞王の楯』『ブラックボックス(文藝春秋2022年3月号より)』

2022-03-02 19:56:23 | 
『塞王の楯』 今村翔吾 集英社
 越前・一乗谷城は織田信長に落とされた。幼き匡介(きょうすけ)はその際に父母と妹を喪い、逃げる途中に石垣職人の源斎(げんさい)に助けられる。匡介は源斎を頭目とする穴太衆(あのうしゅう)(=石垣作りの職人集団)の飛田屋で育てられ、やがて後継者と目されるようになる。匡介は絶対に破られない「最強の楯」である石垣を作れば、戦を無くせると考えていた。両親や妹のような人をこれ以上出したくないと願い、石積みの技を磨き続ける。秀吉が病死し、戦乱の気配が近づく中、匡介は京極高次(きょうごくたかつぐ)より琵琶湖畔にある大津城の石垣の改修を任される。一方、そこを攻めようとしている毛利元康は、国友衆(くにともしゅう)に鉄砲作りを依頼した。「至高の矛」たる鉄砲を作って皆に恐怖を植え付けることこそ、戦の抑止力になると信じる国友衆の次期頭目・彦九郎(げんくろう)は、「飛田屋を叩き潰す」と宣言する。
 直木賞受賞作。 
 戦国時代を描いているが、主人公は武士ではなく穴太衆や国友衆の職人集団。大津城での攻防は、敵の裏をかくように読み合い、おもしろく圧巻。職人のプライドをかけた戦いにしびれる。
 京極高次がいい味を出している。

『ブラックボックス(文藝春秋2022年3月号)』 砂川文次
 自衛隊を辞め、いまは自転車メッセンジャーの仕事に就いているサクマは、都内を今日もひた走る。自分の中の怒りの暴発を、なぜ止められないのだろう。
 芥川賞受賞作。芥川賞作品としては、読みやすい部類かな。自転車メッセンジャーの仕事や刑務所生活を垣間見ておもしろいが・・・。息苦しいな。

コメント
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