岩手山麓景観形成重点地域を守ろう ★『イーハトーブ通信』

野生サクラソウ大群落を潰し岩手山麓の環境を破壊してきた旧町政。産廃問題に端を発した岩手山麓『誘致公害』の記録

岩手日報論壇と県と町の回答にみる「環境保全」

2007年02月01日 | 世話人会発行「イーハトーブ通信」を読む
久し振りの更新になりました。
皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。
真冬日が1日もなかった異常気温の1月も終わり、今日は雪がしんしんと降り積もっています。しかし、この降り方は春の雪…。夏の水不足が心配です。

さて岩手県では、岩手日報という地方紙がメディア(マスコミ媒体)の中心で大きなウエイトを占めています。
1月24日の岩手日報論壇に「工場建設地の植生守れ」と題した投稿文が掲載されました。いま私たちが直面している工場誘致問題のなかの自然保護の部分だけではなく、さまざまな面で県の希少野生動植物や環境問題で実際に体を張ってデータを調べ提言を続けているメンバーの一人が投稿したものです。
その後、県と町では「回答」を岩手日報に載せましたが、個人の投稿とそれへの回答という次元にとどまらず、私たちの会としても見解を示さなくてはならない部分が実に多いものでした。(長くなりますので、見解は次回に致しますがおおまかなことを指摘しておきたいと思います。)



私たちの運動は、雫石の町是(農業と観光の町)と将来像からみて(特に小岩井農場隣接地に)産業廃棄物焼却炉はふさわしくない、ということから出発しました。そして、署名活動の柱として地域の自然や景観を守るという大きな合意点=共通の思いが出来ていきました。
産廃施設計画が中止になりホッとしたのもつかの間、すぐ隣の土地に「接着剤を使用する合板工場誘致」が出てきたわけです。それも、「環境保全等用地」として税金で購入した町有地に。

町民の健康面(特に産廃問題の時から指摘していた化学物質過敏症家族が付近に居住している点)や、自然景観の保全など、産廃問題から学んだはずの様々なことを、再び繰り返し行政に対して言わねばならない突然で残念な事件でした。

様々な経過がありましたが、具体的に行政に詰めていった事柄の中で、重要な点は次の二点です。
そもそもが産廃である木屑(特に接着剤が付いた端材まで)を燃料とするものを「ボイラー」と認定するには問題がある点。
もうひとつが、今回岩手日報論壇に掲載された、地域に生息する貴重な野生動植物の保全対策でした。一昨年の環境アセスメントが必要であるという判定と同じ地域なのにかかわらず、最低でも1年位の保全対策期間が必要なはずのものが、なぜ12月半ば過ぎという不適切期の移植で済まされることになったのでしょうか。
<<企業側が事業を急いでいる。>>
これが、すべてに優先されてしまったのでした。

論壇投稿文の論旨と「回答」の要旨をピックアップしたいと思います。

(尚、新聞掲載文のなかに訂正を要する箇所がありましたが、掲載前に直接連絡して修正了解がされていますので、その部分は省き、論旨として自然保護と行政のあり方の部分に限って重要な点をまとめてみることにしましょう。)

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★1月24日岩手日報論壇 『工場建設地の植生守れ』の論旨

①工場が建設される地域は、一昨年の産廃施設問題の時にフルアセスメントが必要と判定を受けた地域である。

②「岩手県自然環境保全条例」などに基づき県は有識者から意見を聞き、事業者へ指導、勧告が行われ、町は県の勧告に従うとした。

③有識者からは・春季の調査が必要・やむを得ず移植の場合は適期と場所に十分配慮を要する、という意見が県と事業者に提出されていた。

事業者は春季調査は行わず12月16日の不適切期に移植を行い、12月20日、町と事業者は立地協定を結んだ。

⑤事業者の言い分は移植を行ったことで勧告に配慮したとしているが、勧告のもとになった有識者の意見は満たしていない。

⑥しかも移植不適切期だったため確認されていた絶滅危惧種の多くは、適切な処理ができないまま放置され消滅の運命にある。

このような状況で、県は「勧告に従った」と認めるべきではなく、春の調査も行ってから適切な保護対策をとるよう指導を続けるべきである。
⑩モリアオガエルなどの絶滅危惧動物についても同様に指導を続けるべきだ。

これが市民から信託を受け法を守る行政としての責務であると考える。行政の腰折れで里山の自然が失われるのは慙愧に堪えない。

⑫雫石町は「環境保全等地域」として議会の承認を得て血税で取得している。

取得目的に合った事業が展開されるべき町有地である。

⑭当局の行為が("環境保全等地域として取得した")議会決定を無視しているのに、議員が異議の声を上げないことに民主主義の崩壊を感じるのは私だけだろうか。
  
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(以下、太字部分は問題点です。あらためて見解を書きましょう)

★1月27日掲載、 県自然保護総括課長「回答」の要旨
①学識者の意見は大筋で尊重している。
②大半の希少種は、従前からの場所で、あるいは新たな移植先で芽を出すものと思われる。
③県では条例に基づき希少種の保護をはじめ自然環境の保全に努めており今回の工場建設に当たっても、事業者や雫石町の協力で適切な保全措置が講じられているものと考えている。
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★1月29日掲載、雫石町長「回答」の要旨
①工場の進出要望があった際、直ちにその計画や事業内容を精査した
②その結果、この工場は、林業振興、雇用の確保、木材を燃料とする環境にやさしい内容であり、町の進行発展からもふさわしいと判断した。
議会に説明して議論を尽くし進めてきた。
④町行政としては、まさに民主主義のルールにのっとり進めている


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2 コメント

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質問 (Unknown)
2007-02-02 12:02:21
町民にとっては岩手日報が社会の窓口になっているところが大きい。そこにきてこういう回答を読めば、あたかも民主的に工場誘致が決められた印象を受けてしまう。いまから投稿しても遅いのでしょうか。
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投稿は遅くはありません。 (発行人より)
2007-02-02 15:45:12
コメントを読み、気にかけていて下さっていた町民(ですよね?)がいるということに励ましを受けています。投稿が遅すぎるということはありません。私もしてみようと思っています。ただ掲載されるかどうかは判りません。極力ポイントを絞って、あなた様ご自身の言葉で書いてみてください。国政だって世論がものをいうように、「民主的」な町政にしていけるかどうか、町民の意識次第ですものね。ありがとうございました。良い素材がいっぱいの雫石町が、より良き素敵な町になっていきますように。私はいつもこう願いながら、頭が痛くなるこういう問題でも希望を失わないでいきたいな、と願う者です。
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