岩手山麓景観形成重点地域を守ろう ★『イーハトーブ通信』

野生サクラソウ大群落を潰し岩手山麓の環境を破壊してきた旧町政。産廃問題に端を発した岩手山麓『誘致公害』の記録

本音を隠した「都市計画マスタープラン見直し」

2009年07月28日 | 「しずくいし銀河の森」
(写真は、町長が誘致した大型製材工場のために伐採され希少動植物を押しのけて整地された13ヘクタールに及ぶ大規模開発行為の現地。2007年2月撮影。「雇用確保」を言うならば、仮にここを盛岡広域を含めた地域医療福祉のために用いたならば、サクラソウの日本四大群生地の一つを保全して活用したならば、十数名の工場従業員以上の雇用創出と地場農産物消費が行われただろうに。なぜに企業誘致にこだわるのか。それしか雫石町の生き残る道はないというのだろうか。)


最も端的にいまの雫石町政の本質を物語っている4年前に起きた小岩井農場隣接地産業廃棄物焼却(溶融炉)問題。
この推移と背景の記録について膨大な資料を整理しているうちにも、次々と生じてくるさまざまな問題点がある。


雫石町ではいま、平成10年(前町長時代)に定められた都市計画マスタープランの「見直し」が着々と進められている。並行して環境基本計画策定の検討が行われている。


見直し案には町の北部・中央部・南部、ともに、
『雇用確保のために工業地帯を』という内容が含まれている。
銀河の森=町有地「環境保全等用地」を工業用地にしたいという町長の本音の目論見を議論のまな板に乗せて是非を問うのではなく、町全体に広げた書き方。
八幡平・岩手山麓景観形成区域内で実行していくため既成事実(誘致してしまった大型工場)を作って、あからさまに目的を書くことによる反対や異議を封じ込めるいつもの町長流施策実行の布石。

マスタープラン見直しの行政区回覧を読んだときに真っ先に感じたことである。

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どんなコメントが寄せられたか、それに町はどう回答しているのか、活かそうとしているのか、又もや表向きは民主的風に内実は潰そうとしているのか、興味のあるところだった。

  (掲載全文は雫石町ホームページから。是非ともすべてのパブリックコメントをお読み頂きたい。)
http://www.town.shizukuishi.iwate.jp


正直意外だったのは、公表されたもの全てで16通も寄せられたこと。
そのうち7通が、「通称、長山街道」「岩手山麓を含む北部地域」の“観光客が魅力を感じて来る地域”の森林観光ゾーンとしての保全にふれたものであること。
更に直接に、「極楽野地区」「環境保全等用地」「煙モクモクなど環境問題が未解決」「景観形成」「里山自然環境保全」「観光交流ゾーン」等々の表現で提言がなされたこと。


特に、ストレートに表現し、問題点を指摘していると感じたコメントを抜粋してみると::::
                  ↓

【雫石町の近郊には県都盛岡市と大都市に発展した滝沢村があります。都市近郊林・農村田園風景の「自然涵養地」としての機能がここ北部地域には求められているように思えます。
外から企業を呼び込まなくても、地域でこうした取り組みがすでに始まっていますので、行政には、地元の活力を側面から応援するような施策が望ましいのではないでしょうか。
今現在、極楽野では、白や黒の煙をモクモク吐いたり、操業中うるさい音を出す工場などの問題で住民からの苦情が出されるようになり、しかも、公害防止協定すら未だに住民と企業との間で締結されていない現状があります。このままでは、地元の人たちの努力があっても、「この音ではねぇ」「この煙ではねぇ」と折角都会から来た人たちが黙って2度と来なくなるでしょう。
マスタープランでは、ここ北部地域のまちづくりの目標を「山とまきばを活かした観光交流」としながら一方で工業系土地利用の項目で「本町への新たな企業誘致等に備え…工業等導入地区等の候補地選定に向け、…立地条件の調査を行い町内における新たな雇用の場の確保の場を図っていきます。」とあります。雇用の場の確保を口実に、工場用地選定をこれからするという「マスタープラン」では北部地域のまちづくりの目標である「山とまきばを活かした観光交流」さえ守れず、地元の折角の活力を削いでしまうような事態に至ってしまうように思います。
北部地域のまちづくりでは(北部地域だけに限らないかも知れませんが)、決して景観や自然環境を壊すような開発などしないよう、また、地元に今ある産業を地元の人たちがやっていけるようマスタープランを作っていただきたいと思います。少なくとも、企業誘致に関しては、雇用の場の確保をいうならば、「町内どこにでも誘致可能」なマスタープランではなく、「工業等導入地区等の候補地選定」を済ませ、その地を明記したマスタープランにして下さい。】


(こういった町民からのコメントを、今年3月議会で「排ガスや音について観光客からの苦情は寄せられていない」と答弁した前商工観光課長、現雫石観光協会事務局長の広瀬武氏は、どういう思いをもって読んだのだろうか・・と思う。
観光協会の工藤会長は「環境問題は観光問題ではない(・・ので、誘致工場環境影響の問題は観光では取り上げない)」「木材工場がイケないというなら、普通の家だってペンションだって建てられないということだ」という考え。産廃に反対したのは単にイメージ的なものだったのか。補助金誘導、既得権益の臭いは、国政だけではない。)


しかし、このようなコメントに対する町当局の回答はどうかというと::::::
               ↓
               
【都市計画マスタープランの見直しの時点において、工業適地等の候補地が具体化しておりませんが、今後のまちづくりを考える上で雇用の確保は欠かすことのできない用件であり、工業適地の検討を行う旨の方針とさせていただきました。
なお、検討を行う際には、交通アクセス等の利便性のほか、周辺の土地利用や環境への影響に配慮するとともに、住民の皆様のご意見を聞きながら進めさせていただきますのでご協力をお願いいたします。】


【当地区の町有地の活用につきましては、雫石町地域環境保全等用地土地利用計画策定検討委員会でその方向を検討することとなっておりますが、現時点では土地利用の方向が具体化されていないことから、当面は森林地域として現況を保全する方針とさせて頂き、委員会での方針が具体化された段階で、必要に応じた見直し等を検討させて頂きます。】


『環境保全等用地土地利用計画策定検討委員会』なるものは、2007年9月以降、一度も開催されていない。
委員任期は2008年3月末までであった。
2007年10月3日に行われた、『誘致川井林業木材加工工場立地に関する住民説明会』で、周辺環境に悪影響を及ぼさないものかどうかその「安全性」を確認したうえで、次の委員会を行い、町有地(環境保全等用地)の利活用ワークショップを行うはずだった。再度、この委員会を立ち上げるのだとするならば、町長寄りの人物で委員のすべてを選出するだろう。


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7月13日、雫石環境基本計画策定を主な議題とする「環境審議会」が行われた。
美辞麗句だらけで具体性がない素案に対して、町外の学識者委員からの主な意見をピックアップしてみるとーー


T委員
:町民の意見をいかに上手に汲み取っていくか見えてない。方向性を出した方がいいのでは。

H委員
:条例趣旨実現の戦略が必要だと思う。「住民意識の向上」などはいわずもがな。いかに実現して行くか。それがうかびあがってくるものがあればよかったと感じた。


TK委員
:環境基本条例検討委員会からの付帯意見を受けて町独自のものを考えているか。


環境対策課中村主査:環境アセスは他の町村でもしていないし、町レベルでは必要ないのではと考えている。規制は、別条例での規制することを考えている。(町長大きくうなずく)


では「環境基本計画」も環境条例と同様、お題目だけの「精神基本計画」なのか?

“町長の意向に沿うように”作られた環境基本計画「役場素案」で
表面的にいくら美辞麗句を並べても、本気で雫石町の最大の宝と言われる自然環境や景観を守り育てていくか、その具体性となるとまったくピシッとした回答が出来ないし、委員から指摘されたように環境条例の趣旨実現の戦略は具体性に欠けている。都合の悪い部分は【更なる条例を作って…】とするのなら、無駄な税金を使って暇でもない学識者を委員にしてまで行う審議会の意味はない。

ここでも本質的には、追って記録するところの、{雫石町役場の環境対策課は環境を合法的に破壊する為に作られた住民対策課である}という経緯に遡ることなのだ。

このように言われない為にはたったひとつ、
町政の志向を換えれば良い。
本質を換えることはなかなか出来ないだろう。
しかし、換えていくしか、変えていくしかないことに、早く気づいていただきたい。


町内外からの、上記のような意見提言の行く末を見届けていきたい。

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