昨年、小岩井農場隣接地に民間企業によって産業廃棄物溶融炉計画が出された時、即座に私たちは「イーハトーブ雫石を守る会」を立ち上げ、第3次までの署名活動を行い全8ページに亘る意見書を、環境大臣、県知事、副知事、それに中屋敷雫石町長に対して提出した。
今年4月(産廃計画が計画中止となってからわずか4ヵ月後)岩手県内林業会社によってLVL工場(厚手の合板工場)が、産廃計画土地の町道をはさんですぐ西隣りに誘致されようとしている。その規模13ヘクタール。賃貸額は丸秘のまま。紳士協定さえも結んでいない。(注文をつけて他所へ逃げられたら困るから)
一貫して私たちが伝えていることは、
「昨年の出来事から学んでほしい」という一言に尽きる。
企業はこれまで、調査費やコンサルタント委託費、その他相当の準備費用をかけているだろう。
しかし、今後は、他の地域よりも環境保全や環境安全対策の設備費など一層の経費がかさむことになる。
昨年の出来事から学んでいれば、町はまず、工場の中身を調査し、排出される可能性がある大気汚染物質や化学物質などが、法基準以上の環境保全の観点から点検する作業と、生息する貴重な動植物の保護対策が先決であったといえる。
しかし町長は、具体的な質問に住民説明会で回答すると言って面会も3度に亘り拒否し続けた。そして、説明会は質問者の挙手を封じて強引に閉会した。
この強引とも言える誘致手法によって、得をするのはだれか。
企業だろうか。いや、見込んでいた設備費以上の経費と継続した調査費が膨大になるだろう。松くい虫対策で、原木の搬入さえも予定通りとは行かなくなる可能性も出てくる。
雇用確保で活性化を期待する地元だろうか。いや、紳士協定さえも締結されずに進められているこの誘致は、言葉で言うほど安定した収入をもたらす就労者確保にはおいそれとはなるまい。
税収ほか、町の収入だろうか。いや、土地の賃貸額も公表をはばかりながら格安で誘致して、減価償却と設備耐久期間までの向こう何年、安定した税収がみこめるだろうか。3年間条例により固定資産税分5600万円(年)3年間は実質免除となり、事故や大気汚染などによる被害が現実となった場合、全体の損失は計り知れないし、現状復帰を賃貸条件にするのは当然としても、現実的には税金を使うことになるだろう。
設備投資をする資金元は、営業成績によって償還を考慮してくれるはずはないのが普通だ。
下に、昨年の意見書の抜粋を載せてみよう。
「学んでさえいれば…」企業の英知と、町のリーダーとしての判断を下すのは先に伸びれば伸びるほどにっちもさっちも行かなくなるだろう。
9月議会において町長は次のように答弁している。(町議会便りより)『環境面で以前の産廃溶融炉の時の話とは違いがあると思っているが、いくらいい企業と思っていても害が大きく、環境の危惧される企業であればお断りするということにもなる。』昨年の産廃問題の時、町長は「県と企業とのパイプ役でしかない」「焼却量90トンは第1種環境アセスメント逃れであると思ったので、フルアセスが必要だと町の意見として提出したのだ」と語った。
倫理観のある企業人なら、自然景観を町の宝とする真のリーダーなら、いまこそ英知を発揮するときである。
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<昨年3月の産廃溶融炉計画時の守る会からの意見書抜粋>
地方自治体首長としての雫石町長の責務について
地方自治法第2条3の1に定められた基本原則を記すまでもなく、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持することは、自治体とその首長に課せられた責務の基本であります。
特に生活環境と自然環境保護のためには、「情報の共有・説明責任・協働・予防の原則・住民参加」が基本であり、加えて、「施策の基本方針」と「環境基本計画の策定」がこの基本を以って十分に実行されなければ、町民と観光客を含む滞在者の安全、及び健康と福祉を保持することは出来ないのであります。今後、岩手県回答にある意見聴取や、関連諸法にのっとった手順を踏む際に町長は、これらの地方自治の基本を常に念頭において実行するよう切望します。
岩手県及び雫石町に対する意見及び要望:まとめ
(雫石CC=産廃溶融炉雫石クリーンセンターの略)
① 自然環境及び生活環境の保全上、雫石CCについて、徹底した環境アセスメントを実施するよう、業者に対して指導すること。更に、環境アセスメントの結果次第では、雫石CCの建設申請を不許可とすること。
② 雫石CCだけではなく、表記周辺土地に関する開発計画案が提出された際にも同様の措置を講ずること。
③ 調査の際、既存の動植物生態系を破壊しないよう、アセス調査前にも周辺住民の聞き取り調査などを実施し、アセス手法にも問題がないよう常に監視すること。
④ 生活環境影響調査に関しては、住民に対しての十分な説明責任と情報の公開と共有が為され、健康被害については特に綿密な事前調査と、万一の事態に備える企業責任の所在を明確にすること。
⑤ 本計画予定地から1kmの地点には「化学物質過敏症」の家族が居住しており、仮に建設が実行された場合、生命にかかわる重大な事態の発生が予測され、且つ他の住民へも大きな健康被害が予想される。この家族は、化学物質でショック症状(急激な血圧低下などを起し意識がなくなる。適切な治療をしないと死に至る。この患者の場合、有機リン系の化学物質とベンゼン環を含む化学物質を同時に吸入した時にはかなり危険性が高い。)を起こす危険性が大きいことから、排気ガス中のこれらの化合物含有予想量を即急に提示するよう、業者に対して指導すること。
尚、化学物質過敏症は、有害物質に大量に、あるいは微量でも長期間にわたってさらされた結果発症する疾患であり、誰でも発症する可能性がある。特に子どもたちは体の大きさの割に呼吸量が多いため注意が必要である。呼吸から入ってきたものは、直接血液の中に入って全身に運ばれる。雫石町は、緊急時の避難対策も含めて近隣の学校の関係者にも建設計画について明確な説明責任を果たすべきである。
⑥ 「ダイオキシン類対策特別措置法」では、調査研究を推進し、研究結果によって対策を講ずる、と規定されていることから、雫石CCの稼動による排気ガス中のダイオキシン類(塩素化ダイオキシン・臭素化ダイオキシンなど)と他の内分泌撹乱作用のある物質(環境ホルモン)全てについての予測データを早急に提出させること。合わせて、計画地の土壌、隣接沢地の水質並びに大気中のダイオキシン類の測定を事前に住民に公開する方法で行うよう業者に指導し、且つ下記協定に明記すること。
⑦ 建設計画が申請され協議されるに当たっては、上記物質類の協定値のみならず、定期的な点検、不具合、故障、事故などの監視体制についても、公共事業にも劣らない手法で十分に実施することを盛り込んだ公害監視防止協定を事前に締結するよう県は雫石町に対して指導を行うこと。
また、この協定締結にあたっては、排ガス濃度規制値を盛岡市や滝沢村などの公共焼却溶融施設の基準値以上に厳格に設定し、定めのない重金属類及び内分泌撹乱物質についても明記し、これらの検査費用は業者負担とすること。
⑧ 本計画には「公共性」が認められないことから、万一、営業不能になった際には、民間所有地における民間企業の営業とはいえ、土質、及び水質などを含めて原状に戻すべき項目を盛り込み、その費用はすべて実施した企業(親会社を含む)が負担し、公費負担は行わない旨を覚書として締結したのちに着手するよう指導すること。
⑨ 具体的な企業責任として、2月22日開催された業者説明会において説明された焼却溶融のシステムフロー図を翌日23日の岩手県環境影響調査技術審査会においては固形物は溶融炉に入れないと明言し、一夜にして図面を差し替えると発言した雫石CC設置申請企業は、そのシステムの安全性と管理責任上の資質が問われることは疑いの余地のないことである。
それゆえ、このプラントの安全保障上から、明確なシステムフロー図及び「マテリアルバランスシート」(物質収支対照表)を町民及び県と町に対して早期に提出するよう業者を指導すること。又、今後岩手県は第一種第二種事業についてマテリアルバランスシートの提出を義務付けること。
⑩ 雫石町は、地球温暖化防止京都議定書による二酸化炭素4%削減をまず達成し、さらに長期にわたる対策を町及び町民が協働して地球温暖化防止を着実に進めていく必要があることから、この具体策を示すこと。
⑪ 表記周辺地域の今後の利用計画について、全国各地で展開されているところの「エコタウン」またはそれに類する産業廃棄物施設関連熱再利用を含めた構想は、景観保全の観点からは言うに及ばず、本意見書に記したすべての見地から、これに反対する。
雫石町は、表記周辺地域(約90ヘクタール)を町として取得ののちは、地方自治法の基本にのっとり、滞在者も含めた町民の健康と安全を確保し、福祉を標榜するに値する利用のデッサンを、広く住民および周辺企業と情報を共有しながら構想を描き、広く住民参加の下で立案すること。
⑫ 景観・環境形成のための国土利用のあり方を国政レベルにおいて提言していくためにもまず、岩手県に於いて「美しい県土の形成と保全に関して強制力のある」法整備を実施するよう、早急に検討に入ること。又、環境省も同時に国として、この法整備の検討を行うこと。
⑬ 岩手県は指導監督責任上、雫石町に対して地方自治法の基本にのっとり、町民に対して十分な説明責任と情報公開をするよう、指導勧告すること。
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今年4月(産廃計画が計画中止となってからわずか4ヵ月後)岩手県内林業会社によってLVL工場(厚手の合板工場)が、産廃計画土地の町道をはさんですぐ西隣りに誘致されようとしている。その規模13ヘクタール。賃貸額は丸秘のまま。紳士協定さえも結んでいない。(注文をつけて他所へ逃げられたら困るから)
一貫して私たちが伝えていることは、
「昨年の出来事から学んでほしい」という一言に尽きる。
企業はこれまで、調査費やコンサルタント委託費、その他相当の準備費用をかけているだろう。
しかし、今後は、他の地域よりも環境保全や環境安全対策の設備費など一層の経費がかさむことになる。
昨年の出来事から学んでいれば、町はまず、工場の中身を調査し、排出される可能性がある大気汚染物質や化学物質などが、法基準以上の環境保全の観点から点検する作業と、生息する貴重な動植物の保護対策が先決であったといえる。
しかし町長は、具体的な質問に住民説明会で回答すると言って面会も3度に亘り拒否し続けた。そして、説明会は質問者の挙手を封じて強引に閉会した。
この強引とも言える誘致手法によって、得をするのはだれか。
企業だろうか。いや、見込んでいた設備費以上の経費と継続した調査費が膨大になるだろう。松くい虫対策で、原木の搬入さえも予定通りとは行かなくなる可能性も出てくる。
雇用確保で活性化を期待する地元だろうか。いや、紳士協定さえも締結されずに進められているこの誘致は、言葉で言うほど安定した収入をもたらす就労者確保にはおいそれとはなるまい。
税収ほか、町の収入だろうか。いや、土地の賃貸額も公表をはばかりながら格安で誘致して、減価償却と設備耐久期間までの向こう何年、安定した税収がみこめるだろうか。3年間条例により固定資産税分5600万円(年)3年間は実質免除となり、事故や大気汚染などによる被害が現実となった場合、全体の損失は計り知れないし、現状復帰を賃貸条件にするのは当然としても、現実的には税金を使うことになるだろう。
設備投資をする資金元は、営業成績によって償還を考慮してくれるはずはないのが普通だ。
下に、昨年の意見書の抜粋を載せてみよう。
「学んでさえいれば…」企業の英知と、町のリーダーとしての判断を下すのは先に伸びれば伸びるほどにっちもさっちも行かなくなるだろう。
9月議会において町長は次のように答弁している。(町議会便りより)『環境面で以前の産廃溶融炉の時の話とは違いがあると思っているが、いくらいい企業と思っていても害が大きく、環境の危惧される企業であればお断りするということにもなる。』昨年の産廃問題の時、町長は「県と企業とのパイプ役でしかない」「焼却量90トンは第1種環境アセスメント逃れであると思ったので、フルアセスが必要だと町の意見として提出したのだ」と語った。
倫理観のある企業人なら、自然景観を町の宝とする真のリーダーなら、いまこそ英知を発揮するときである。
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<昨年3月の産廃溶融炉計画時の守る会からの意見書抜粋>
地方自治体首長としての雫石町長の責務について
地方自治法第2条3の1に定められた基本原則を記すまでもなく、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持することは、自治体とその首長に課せられた責務の基本であります。
特に生活環境と自然環境保護のためには、「情報の共有・説明責任・協働・予防の原則・住民参加」が基本であり、加えて、「施策の基本方針」と「環境基本計画の策定」がこの基本を以って十分に実行されなければ、町民と観光客を含む滞在者の安全、及び健康と福祉を保持することは出来ないのであります。今後、岩手県回答にある意見聴取や、関連諸法にのっとった手順を踏む際に町長は、これらの地方自治の基本を常に念頭において実行するよう切望します。
岩手県及び雫石町に対する意見及び要望:まとめ
(雫石CC=産廃溶融炉雫石クリーンセンターの略)
① 自然環境及び生活環境の保全上、雫石CCについて、徹底した環境アセスメントを実施するよう、業者に対して指導すること。更に、環境アセスメントの結果次第では、雫石CCの建設申請を不許可とすること。
② 雫石CCだけではなく、表記周辺土地に関する開発計画案が提出された際にも同様の措置を講ずること。
③ 調査の際、既存の動植物生態系を破壊しないよう、アセス調査前にも周辺住民の聞き取り調査などを実施し、アセス手法にも問題がないよう常に監視すること。
④ 生活環境影響調査に関しては、住民に対しての十分な説明責任と情報の公開と共有が為され、健康被害については特に綿密な事前調査と、万一の事態に備える企業責任の所在を明確にすること。
⑤ 本計画予定地から1kmの地点には「化学物質過敏症」の家族が居住しており、仮に建設が実行された場合、生命にかかわる重大な事態の発生が予測され、且つ他の住民へも大きな健康被害が予想される。この家族は、化学物質でショック症状(急激な血圧低下などを起し意識がなくなる。適切な治療をしないと死に至る。この患者の場合、有機リン系の化学物質とベンゼン環を含む化学物質を同時に吸入した時にはかなり危険性が高い。)を起こす危険性が大きいことから、排気ガス中のこれらの化合物含有予想量を即急に提示するよう、業者に対して指導すること。
尚、化学物質過敏症は、有害物質に大量に、あるいは微量でも長期間にわたってさらされた結果発症する疾患であり、誰でも発症する可能性がある。特に子どもたちは体の大きさの割に呼吸量が多いため注意が必要である。呼吸から入ってきたものは、直接血液の中に入って全身に運ばれる。雫石町は、緊急時の避難対策も含めて近隣の学校の関係者にも建設計画について明確な説明責任を果たすべきである。
⑥ 「ダイオキシン類対策特別措置法」では、調査研究を推進し、研究結果によって対策を講ずる、と規定されていることから、雫石CCの稼動による排気ガス中のダイオキシン類(塩素化ダイオキシン・臭素化ダイオキシンなど)と他の内分泌撹乱作用のある物質(環境ホルモン)全てについての予測データを早急に提出させること。合わせて、計画地の土壌、隣接沢地の水質並びに大気中のダイオキシン類の測定を事前に住民に公開する方法で行うよう業者に指導し、且つ下記協定に明記すること。
⑦ 建設計画が申請され協議されるに当たっては、上記物質類の協定値のみならず、定期的な点検、不具合、故障、事故などの監視体制についても、公共事業にも劣らない手法で十分に実施することを盛り込んだ公害監視防止協定を事前に締結するよう県は雫石町に対して指導を行うこと。
また、この協定締結にあたっては、排ガス濃度規制値を盛岡市や滝沢村などの公共焼却溶融施設の基準値以上に厳格に設定し、定めのない重金属類及び内分泌撹乱物質についても明記し、これらの検査費用は業者負担とすること。
⑧ 本計画には「公共性」が認められないことから、万一、営業不能になった際には、民間所有地における民間企業の営業とはいえ、土質、及び水質などを含めて原状に戻すべき項目を盛り込み、その費用はすべて実施した企業(親会社を含む)が負担し、公費負担は行わない旨を覚書として締結したのちに着手するよう指導すること。
⑨ 具体的な企業責任として、2月22日開催された業者説明会において説明された焼却溶融のシステムフロー図を翌日23日の岩手県環境影響調査技術審査会においては固形物は溶融炉に入れないと明言し、一夜にして図面を差し替えると発言した雫石CC設置申請企業は、そのシステムの安全性と管理責任上の資質が問われることは疑いの余地のないことである。
それゆえ、このプラントの安全保障上から、明確なシステムフロー図及び「マテリアルバランスシート」(物質収支対照表)を町民及び県と町に対して早期に提出するよう業者を指導すること。又、今後岩手県は第一種第二種事業についてマテリアルバランスシートの提出を義務付けること。
⑩ 雫石町は、地球温暖化防止京都議定書による二酸化炭素4%削減をまず達成し、さらに長期にわたる対策を町及び町民が協働して地球温暖化防止を着実に進めていく必要があることから、この具体策を示すこと。
⑪ 表記周辺地域の今後の利用計画について、全国各地で展開されているところの「エコタウン」またはそれに類する産業廃棄物施設関連熱再利用を含めた構想は、景観保全の観点からは言うに及ばず、本意見書に記したすべての見地から、これに反対する。
雫石町は、表記周辺地域(約90ヘクタール)を町として取得ののちは、地方自治法の基本にのっとり、滞在者も含めた町民の健康と安全を確保し、福祉を標榜するに値する利用のデッサンを、広く住民および周辺企業と情報を共有しながら構想を描き、広く住民参加の下で立案すること。
⑫ 景観・環境形成のための国土利用のあり方を国政レベルにおいて提言していくためにもまず、岩手県に於いて「美しい県土の形成と保全に関して強制力のある」法整備を実施するよう、早急に検討に入ること。又、環境省も同時に国として、この法整備の検討を行うこと。
⑬ 岩手県は指導監督責任上、雫石町に対して地方自治法の基本にのっとり、町民に対して十分な説明責任と情報公開をするよう、指導勧告すること。
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