岩手山麓景観形成重点地域を守ろう ★『イーハトーブ通信』

野生サクラソウ大群落を潰し岩手山麓の環境を破壊してきた旧町政。産廃問題に端を発した岩手山麓『誘致公害』の記録

極楽野からの願い

2008年03月24日 | 「しずくいし銀河の森」
(写真は 小岩井農場に隣接する行政区「極楽野」から見た岩手山)

極楽野は小岩井農場に近く長山街道沿いにありまして農業、酪農家が多い、空気がきれいな観光地です。この地域に大型木材工場ができるにあたり、1km以内の近隣住民としてこれまでのように安心な生活が保たれ将来も“極楽野”であるために、次のことを含めた協定を結ぶことを署名をもって要望いたします。

これは、工場から半径1km付近に住む20世帯からの署名要旨です。
なんと当たり前の願いでしょう。胸が熱くなります。わたしのふるさとですから。


この3年間で、これで5回も住民署名が行われている雫石町です。(泣)


 2005年 小岩井農場隣接地に県内最大規模の民間産業廃棄物溶融炉建設計画が発覚。小岩井、雫石町の自殺行為であると全国規模で反対署名活動。(このとき町長は「自分は業者と県とのパイプ役にしか過ぎない」と発言。事業計画は中止。

 2005年 盛岡のみずがめ「御所湖源流」に存在する二つの最終処分場公害防止協定締結のための三つの行政区による署名活動。(ひとつは未解決

 2006年 産廃溶融炉計画中止から4ヵ月後、絶滅危惧種動植物生息地帯と指摘されているすぐとなりの町有地「環境保全等用地」に、13ヘクタール大規模開発で合板工場を“町長が”誘致。事業者は化学物質を使用する合板から製材工場へと変更。『十分な環境調査を実施すべし』と署名活動。継続中。

 2007年 雫石町と小岩井農場の玄関口にあたる場所に、民間産廃中間保管施設計画。地元行政区が一丸となって反対署名活動。事業者計画中止。

 2008年 大型木材工場の排ガスや沢水への影響を心配した半径1km付近の住民が、“説明も聞きたいし地元の要望も聞いてから安全協定を結んでほしい”と地域内で署名。要望書を提出中。


このような町民の苦労の中、今年1月1日に「雫石町環境基本条例」が施行されました。
具体的に「歯止め」のない「精神条例」です。委員全員が雫石町ならではのハードルを設けて環境破壊を防ぐ条例をと決めたのにも関わらず、策定事務局がその方向でしか条例は作らない、それが町長の意向であるとしてゆずらず、
条例は一般論となり、基本計画で具体的に決めるとなってしまいました。

その「環境基本計画」策定についての町長の3月議会 所信表明です。


『今日の環境問題は、従来からの産業公害に加え、都市化の進行や社会経済活動、住民の生活様式の変化などによる都市型生活環境問題、地球温暖化や酸性雨などによる地球環境問題など複雑かつ多様化しております。これらは、従来の規制的な手法だけで解決できるものではなく、行政はもとより、事業者、住民一人一人が環境への負荷は私たちの日常生活の中からも生じていることを認識し、課題解決に向けて、自発的かつ積極的に取り組みを行っていくことが必要であります。

このような状況の中、雫石のすばらしい自然環境の中で暮らす町民の生活環境を良好に保全し、将来にわたって町民が健康で安全かつ快適な生活を確保できるよう、本年1月1日から施行しました「雫石町環境基本条例」に基づき、本町の環境の現状と動向を把握し、環境にやさしいまちづくりの実現に向けた施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、平成20年度において「環境基本計画」の策定に取り組んで参ります。本計画は、アンケート調査や地域懇談会の開催、庁内プロジェクトの設置など、町民・事業者・行政の協働により作業を進めるほか、パブリックコメントも実施しながら策定して参ります。』

<同じ3月議会 極楽野住民要請について 議員一般質問>
「地元の方々は、何もなければ今の平和で安全な生活をしていける。
それをしたいが為に、いろいろ説明を受けて、協力できることや要望を十分話し合って協定を結んでいきたいと望んでいる。
話し合いと要望を聞くということを是非実行してもらいたい。
間違っても、30人の雇用と、たかだか20世帯ぐらいの地域住民の安心な暮らしを引き換えにするというようなことがないように、住民が安心して暮らせるような協定内容にしていただきたい。そう切に願うものであります。」
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崇高な理念と精神の条例をお互いに守りましょう。
そしてもう、署名活動などをしなくてもいいような町づくりをしましょう。
「雫石町環境基本条例」に責任と義務にこう書いてあります。(今年1月1日に施行された生まれたて♪)

 (町民の責務)
第4条 町民は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に従い、自ら環境についての理解を深め、その日常生活に伴う環境への負荷を低減し、自主的かつ積極的 に環境の保全及び創造に努めるとともに、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
 (事業者の責務)
第5条 事業者は、基本理念に従い、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずるおそれのある公害を未然に防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。
2 前項に定めるもののほか、事業者は、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減、その他環境の保全に自ら努めるとともに、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
 (町の責務)
第6条 町は、基本理念に従い、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、実施するとともに、町民に対して説明する責務を有する。


薪ストーブ燃料には「化学物質は含んでいないこと」なのにボイラーは?

2008年03月21日 | 「しずくいし銀河の森」
一縷の灯火薪ストーブ燃料に「化学物質は含んでいないこと」と岩手県パンフに明記 
(写真は、雫石町が希少動植物生息地観光地と知っていながら誘致した大型工場建設中のようす。この奥に16m煙突が建つ。ここは岩手山麓田園景観形成区域。このアンバランスさをどのように処理するのかな?)                    
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●ちょっと速報:::雫石高校新卒業生就職率100%
  そのなかの、雫石町が(正確には町長が)誘致したこの工場は、林業就職人数は3名なのだそうです。(4名という情報もあります。)
(“若い人に人気がない”という巷の話は、本当だったんですねえ。
(ますます、誘致のメリット面で“あやしく”なりますね。)

産廃焼却炉施設計画の年に同じ町長が全面改訂した『工場等誘致条例』により、固定資産税は実質3年間町の収入には入らないし、土地はみせかけの不動産鑑定により超安値賃貸だし、水道料金収入も無断井戸掘削したためにずいぶんと減るだろうし、(でも、使わせないって言ってるので信用しましょう。)
多量の大型車輌の通行で町道補修は税金を使うし・・・
植林までのスパンを計画して「Co2ニュートラル」と言っているとは思えないし・・・
この会社のお膝元の村は林業では食っていけないと毎日新聞にでていたのに、雫石町まで来て大型工場を作るからには大きな甘いものがあるからなんでしょーねえ・・
(第3セクターの社長もしているのにどうして地元の村で貢献しないのかな??)

それでもって、自然景観と住んで良し訪れて良しの雫石町で、
ボイラーからの排水はお湯(40度未満)のまま沢に流すし、貯水槽を作ってお隣りの県営温水プールの配慮と同様に水温を下げてくれと要望書を出しても「流れていくうちに薄まるからダイジョーブ」と言って(企業ではなく自然環境を守るはずの条例を作ったばかりの役場“商工観光課担当者”回答)沢の生き物は死ぬだろうし、(バイカモ群落・底質に棲む川虫やカワセミという水辺の鳥など、イワナの遡上にも問題あり!!)
なのに、なのに!!・・・

 
誘致のメリットとは何だったのか。 代りに失おうとしているものの貴重さ、取り返せない宝の数々を、一体どれだけ挙げればいいのか・・。
いったい、誰のため?何のため?の誘致なんでしょう??
いまいちど、
“雇用100人も夢ではない”とか
“○○商社がバックについている”などと大風呂敷は広げずに、事実を挙げてもらいたい。ほんとうにそう思います。
一部の利益の為に、かけがえのない大切な宝を失おうとしている我が愛する町よ、どこへ行く?


☆閑話休題@@@@@@@@@@@@@@@

薪ストーブ燃料・ペレットに「化学物質は含んでいないこと」と岩手県パンフに明記    
2008年2月発行の、 『火のある暮らしを楽しむ』
        (副題:薪ストーブ・ペレットストーブ導入の手引き)
という一般家庭向けに岩手県が発行した18ページほどのパンフレットを読む機会がありました。
(県庁の県民室に出てるかな?)
(企画制作) 岩手県農林水産部林業振興課


暖房の基礎知識から、薪割りの仕方まで読みやすい絵入りのページの中に、

◆『薪について』①十分に乾燥していること。
        ②化学物質を含んでいないこと。

◆ペレットストーブのページには、
    「木質ペレットとは化学処理や接着剤など添加物が加わっていない
     木材を原料として・・」

と明記されています。

これまでは「ペレット原料は無垢材に限るとはしているが、きちんとした規制がないのが不安材料」としていたものが、一般家庭向けにはっきりと表現したことは、大きな意味があります。
しかし、法令や条例で定めているのではなく、あくまでも「指導」の域を出ていないところがミソ!

これで、化学物質含有の端材を、事業者の処理経費負担を暗に陽に逃げることはできなくなってくれればいいのですが。
大型ボイラーでは化学物質もイッショに燃やしても良いという「公の安全根拠」を、どう示すつもりでしょうか?
大防法規制値以内であれば、年間6.22トンもの接着剤を焚いてもいいというその理由は?

ボイラーは大気汚染防止法で規制されているが、ストーブは大防法の範疇外であるから、無垢材に限ると指導して来たのだ、というのが、これまでの県庁の答えでしたが。。


「接着剤付着木くずはボイラー燃料に認めない」ということは、国や県の動きを待たずして、町レベルで出来ることなのです。
川井林業との協定のなかに、環境対策のひとつとして明記し、事業者に守ってもらえばいいだけなのですから。
あとは、町がそうする気があるかないかだけ。



②「化学物質を含んでいないこと」の項目には次のように書かれています。

 <「薪ストーブでは、無垢の木しか使ってはいけない」ということです。
   家など建物を建築・解体した場合に端材・廃材が出ます。近頃では、無垢の木だけで家を建てることは珍しく、端材には集成材や合板等の割合が多くなっています。集成材や合板には、相当な量の接着剤が含まれ、塗装や薬剤注入されている部材もあります。これらを燃やした場合にはダイオキシンを含む有毒ガスが出るとともに、燃焼温度も無垢材に比べて高くなることがあり、ストーブを痛める原因にもなります。また、焼却灰にも有毒ガスが凝縮することが考えられます。>


①「十分に乾燥していること」には、次のように書かれています。
(薪ストーブを使っているご家庭の方、参考になりますよ♪)

  <十分に乾燥した薪とは、含水率(乾き具合)が概ね20%を下回っていることです。木材が自然状態で十二分に乾燥して安定した含水率(気乾含水率)は15%前後です。この状態に近づければよく燃える薪になります。含水率が25%を超えていると、燃やすときにジュウジュウと水が出ることになります。このような水分が十分抜けていない薪は、火着きが悪い上、特に煙突内部の結露の原因となります。煙突内の結露は、煤(すす)やタールの付着につながり、煙突掃除が頻繁に必要になるだけでなく、煙突火災の原因となりますので、非常に危険です。また、同じ体積の薪では、水分が多いほど発熱量が小さくなるので、体積で比較した場合には、水分が多い薪ほど熱量の面で損をすることになります。
伐採したばかりの生の木の含水率は木の種類や伐採する季節のよっても異なりますが、薪としてよく使われるコナラの場合、寒い時期に伐採した木の含水率は70~80%前後です。これを20%以下に乾燥するためには、太さ10~15cmの薪に割った場合には、1年半位必要といわれています。したがって、冬に伐採した木を春に割ったら、日当たりと風通しの良い場所で二夏乾燥させた後に焚くのが理想です。春に割った薪をその年の冬から焚くためには、細かく割るとか、ビニールハウスで温度をかけて乾燥するなどの工夫が必要となるでしょう。>


3月町議会、町長所信表明演説&一般質問の答弁によると・・

2008年03月18日 | 「しずくいし銀河の森」
ちと古い「NEWS」(古いのにニュース?)ですが、去る3月4日から始まった3月定例町議会の、雫石町長「所信表明」の一部要点です。

『町が持つ自然、観光資源、農畜産物を生かした産業振興や地域のきずなづくりが重要だ。厳しい条件の中だからこそ新たなまちづくりに挑戦できるという意識で、こん身の努力を注ぐ。』

町長が誘致した、木材加工工場(2千坪の工場に16mの煙突)の安全協定を、最も近い地域住民に説明し要望も聞いてこそ協定を結ぶのが筋ではないかと糺した議員への答弁。

<議員質問>
誘致企業との公害防止協定は、国の法基準通りのものであれば、協定を結ぶ意味がありません。地域住民の意見を充分踏まえて、住民の健康被害の保護は勿論のこと、農業と観光の町に相応しい協定を結ぶことが必要と考えます。町の考えを伺いたい。

<町長答弁>

『誘致企業との協定について、まず法基準に対する認識についてだが、環境基本法及びこれ準ずる各個別の規制法の主旨からは、環境基準およびこれを担保する規制基準を遵守することによって、住民の生活環境や健康への影響はないものと考える。
公害防止協定の基本的な考えは、法令の規定遵守を補完し、地域に応じた公害防止の目標値の設定、具体的な公害対策の明示などを内容とし、自治体又は地域住民が企業の操業に伴う公害を防止し、地域住民の健康の保護と生活環境の保全を図ることを目的として企業者と任意で締結するものである。

したがって公害防止協定は、公害関係諸法令を補完するものとして地域の実態に即応した、きめ細かい指導ができることから、今後も地域住民の生活環境を守っていく有効な手段として、誘致企業はもとより町内事業者との締結を実施してまいりたいと考えている。

また本町は、農業と観光の町であり、豊かな自然の中で生産される安全かつ安心な農畜産物の生産と、おとずれた方々を魅了する秀峰岩手山のフトコロに抱かれた美しい自然景観や田園風景などが最大の魅力であり、その環境を守るためにも誘致企業に対しては法の基準以上の現有における技術で可能な限り、自主的、積極的な環境への取り組みを求めてまいりたい。』

さすがです!!
それでこそ自然の豊かさが宝の町の町長です。
3年前に私たち町民と県民と国民の「場所を考えて!」の声により計画中止となった岩手県内民間最大規模の産業廃棄物焼却センターのときの拡散平均予測図によれば、今度の工場の16m煙突からでる排ガスは、一本桜方面に流れて行くのですから!
産廃よりも法基準の規制値は緩やかなのですから!

法基準でOKとはよもやしないとは思っておりましたが、この立派な演説を聴いてあんしん致しました。
あとは、最も近いところの町民に説明をし、要望も聞いた上で、公害防止協定を結んでくださいますね。

「ばい煙発生施設」の法規制値と、工場の事業者の計画値と、産廃焼却センターが建っていたらの数値を、並べてみましょう。
一本桜と弘法大師の桜と雫石川桜並木の観光ルートのどまんなかに誘致した工場なのですから、「あんしん」「あんぜん」でなければなりませんね。