岩手山麓景観形成重点地域を守ろう ★『イーハトーブ通信』

野生サクラソウ大群落を潰し岩手山麓の環境を破壊してきた旧町政。産廃問題に端を発した岩手山麓『誘致公害』の記録

公開討論会前後-その1:条例は飾りもの?

2009年03月31日 | 「しずくいし銀河の森」
岩手県が定めている「岩手山麓・八幡平周辺景観形成重点地域」とは
雫石町のホームページにも次のように記されている。
<岩手山麓・八幡平周辺地域は、美しく、豊かで、雄大な自然に恵まれ、優れた眺望を有する地域となっています。一方、この地域は、我が国有数の高原リゾート地としての発展が期待され、さまざまな開発が進められ、景観が変化しつつある地域でもあります。こうしたことから、岩手県ではこの地域の優れた景観を保全し創造するため、県内で初めて景観形成を図るうえで、特に重要な地域として岩手山麓・八幡平周辺を景観形成重点地域に指定しました。>
(写真は指定された田園景観形成重点地域に「景観に影響を及ぼさない」と町長が承諾書を即時付与した誘致工場から排出されているばい煙の様子)


雫石町ふるさと景観条例には
<私たちのまち雫石は、秀峰岩手山をはじめとする美しい自然や山麓に広がる牧歌的風景、町内を流れる雫石川や町中に広がる田園風景など、すばらしい景観資源に恵まれています。この美しい景観は、町民や、訪れる人々の心に安らぎやうるおいを与えてくれる貴重な財産であり、この景観を守ることは、私たちの責務です。
町民が誇りと愛着の持てるふるさと、魅力あふれるまちづくりをするため、私たちは、この美しい景観を守り、育て、更に次世代へ引き継いでいくことを決意し、ここに雫石町ふるさと景観条例を制定します。>


環境基本条例もふるさと景観条例も、中屋敷氏が町長になってから定められた条例である。これら条例はいま、全く表向きお題目でしかない。作った本人が守ろうとしないのだ。ここ『銀河の森』=『環境保全等用地』は彼のある構想の餌食となった。

「環境基本条例」は
将来にわたって町民が自然と共生し、健康で文化的な生活を営むことのできる環境の確保に寄与することを目的として制定された。
<環境は、祖先から贈られたものであると同時に子孫からの預かりものです。私たち今を生きるものは、健全で恵み豊かな環境を享受する権利があると同時に、将来の世代に引き継ぐ責任と義務があります。>

極楽野の誘致工場の近隣住民世帯は、雫石の環境にいわば惚れ込んで移住した世帯が多い。この前文精神を自覚しているからこそ、今回の誘致工場による環境悪化を懸念している。

条例第13条には、「町は、公害の原因となる行為その他の環境の保全上の支障を防止するため、規制その他必要な措置を講ずるものとする。」
しかし、誘致責任者であるの町の姿勢は、本気でこれら基本的な雫石町の宝である環境を守り次世代に引き継ぐ責任を、首長自身が自覚していない。なにか別の彼にとって魅力的なもののほうを守ろうとしているのが真実の姿である。


2002年9月28日、雫石中央公民館に600人近い町民が集まって町長選立候補予定者の公開討論会を行った。そのときのことを記す前に、中屋敷町長になってから掲げられた“素晴らしい条例やキャッチフレーズ”をしっかりと記憶しよう。

長らくご無沙汰でした。記録の再開です。

2009年03月30日 | 「しずくいし銀河の森」
↑(写真は平成21年1月17日の雫石町長が景観形成区域であり小岩井農場隣接の町有地<銀河の森>に、サクラソウ群落を重機で踏み潰してまでも誘致した大型木材工場からの排ガスの様子。質の悪い湿り気の多い木くずや樹皮を燃やしている為、不完全燃焼で電気集塵機の電極棒が200本も曲がり警報が鳴っても燃焼を続けていた。応急修理でしのぎ、排出基準を担保できなければ運転を停止せよと保健所から指摘され、「本格修理」を6日後に実施した。燃料質の改善をしなければ再びの故障と異常なばい煙は続くとみられる。住民通報によってこの事実は知られることになった。)



昨年5月からブログ更新をしないできました。地元に「極楽野環境保全の会」が発足し、要望や提言、彼らの望む形での話し合いなど続けてきました。が、まったく何も変わっていません。「話合い」を役場+川井林業案を地元に呑ませるために利用しようとしています。やはり「原因」を広く知っていただかなくてはならないようです。町民としては役場は町民を守るためのもの、話し合えば良き方向にいくだろう、と「信じて」きました。しかし、これだけ自然環境を破壊し住民の生活環境を守ろうとする姿勢が無い現実を産んでいる元凶はなにかということに言及しなければ、いつまで経っても堂々巡りだと判断。これから先は、発行人の私個人の体験と記録を元に少しづつですがこの誘致工場による環境破壊の根本原因について記録していきたいと思います。


雫石町役場環境対策課長はこう言いました。
「工場を誘致したのは環境対策課ではない」
「自分は何の権限もない」
「町長に伝えることもできない」あるときは「伝えたが町長がどう言ったかは知らない」

誘致窓口であり、誘致工場におもねることで最後となった商工観光課長は、「観光客からばい煙にも低周波騒音にも景観にも苦情は寄せられていない」
この議会答弁を最後に定年を待たずして3月で退職。

役場管理職の立場をカワイソウだと同情もしてきました。開き直るのなら町民に対してではなく町長に向けよ。幾度もそのような思いにもなりました。
こういうとき、生活がかかっているということをいい逃れの方便によく使います。
両課長も、多数いる現町政に批判的な課長職員たちも、景観形成重点地域に特定騒音発生施設でありばい煙発生施設であるこの企業を誘致したこと自体、用地選定が間違っていると判っていたはずです。しかし結局は「町長にナニ言っても無駄」
他の仕事は一生懸命やってくださっても、この誘致工場に関する限り、開き直りの矛先は町民に向けられています。



最大の元凶は、言わずもがな『二期目現町長 中屋敷十(たてお)氏の企業癒着体質』です。
次に、そこにぶら下がっている男たちの情けない現実。
役場の課長、勉強不足の町議会議員たち、地縁血縁が優先する悪しき田舎体質。
日本中、国レベルから市町村に至るまで蔓延しているこの体質が、岩手県の宝といわれる雄大な岩手山を望む八幡平・岩手山麓景観形成重点地域を『法にさえふれなければ(=法違反で摘発されなければ)破壊しようが住民が騒ごうが知ったことではない・無視しろ』というあからさまな癒着体質のために破壊されていく元凶なのだということを知っておくことが必要です。

首長の手法ひとつで環境破壊が進行することがないように、宮澤賢治文学の風景地として国の名勝指定をうけた地域周辺の岩手県民の宝といわれる地域を、権力者のセンスのない野望から守りたい。その願いを込めて、知る限りのことを記録してみたいと思います。

話は中屋敷氏が落選した1998年の彼にとっての初めての町長選挙に遡ります。
彼のもつ資質と選挙基盤、借り物の知識、行政体質の中で身につけてきた矮小な手法が、農業と観光の町雫石にとって将来、大きなリスクになるだろうと感じたことが、いまこうして現実となってしまったのでした。

2005年マイトリー社産廃溶融炉問題の発覚。水面下で進められていた「法以内環境破壊計画」。この計画が事業中止となった経緯とその背景。
それからたった4ヵ月後の今回の環境破壊の意識さえも持たないまま実行された大型木材工場誘致の背景。
そして、私が委員を務めた一見「住民参加型」の看板の元に町長主導で実施された代表的な雫石町の委員会の実態。
町立病院のあり方に関する検討委員会
雫石町環境条例策定委員会
環境保全等用地利活用策定委員会
町政モニター会議…

そして、中屋敷町政になってからの6年の間、5度も行われた町内各地の環境保全問題についての住民署名活動。
行政頼みは遅々として進まず(進めず)住民の時間と労力と知恵とを費やしてようやく解決に結びつけた現実。
一方で、町の看板には「一人一人が輝くしずくいし」「キラリ輝く雫石」「住民参加」「協働」「共治」といったこれでもかと言うほどちりばめられた美辞麗句。
雫石役場の「環境対策課」の誕生は実は「合法的環境破壊課」として誕生した経緯。
これら一連の実情をふり返れば「公約詐欺」としかいえない現状が浮かんできます。


私は政治的にはまったくフリーです。自民党にも良い政治家はいましたし、野党でも企業癒着(平べったく言えば金がらみ)から抜けられない政治屋はそこかしこにいます。
町長という立場に与えられている権限をどう活用して行くか。これはひとえに人間としての資質に舞い戻るのだということを知ることが出来るでしょう。


次号では最初に、2002年9月に私が代表を務めていた「雫石を語る女性の会」で主催した町長選立候補予定者公開討論会にまつわることどもからお伝えしたいと思います。