岩手山麓景観形成重点地域を守ろう ★『イーハトーブ通信』

野生サクラソウ大群落を潰し岩手山麓の環境を破壊してきた旧町政。産廃問題に端を発した岩手山麓『誘致公害』の記録

雫石町長による岩手山麓景観形成区域の環境破壊

2009年05月17日 | 「しずくいし銀河の森」
写真は、中屋敷十(たてお)現雫石町長が、企業との立地協定や自ら定めた環境条例の責務を守らず、環境対策の約束もせずに裁量権によって誘致した有限会社川井林業雫石工場の『木くず焚きボイラー』から排出された黒煙。
4月10日午後5時20分には、深緑色の煤煙が目視されている。
1月13日には電気集塵機のダストが燃焼してショートしてしまい、200本の電極棒が曲がってしまった。警報機がなっても稼動を続け、「本格修繕」は「大気汚染防止法排出基準をクリアすることが担保できなければボイラー稼動を停止せよ」という検査機関の指摘を受けた後のことであった。
「環境配慮」も、ワンマン体質の町長と事業者にとっては絵に描いた餅なのか。


このような加圧式木くず焚きボイラーは、接着剤木くずや乾燥させて一定の形状にするべきという一般の木質チップボイラーや家庭用薪ストーブの燃料指針は適用されず、売り物にならない濡れたままの樹皮くず、化学物質が付着したままの端材など、本来は産業廃棄物の指定を受けている木くず類他何でも燃焼させてしまっている実態がある。
売れる物は売り、売れないものは燃やす。これでは本来の環境配慮資源循環型木質バイオマスボイラーとはいえず、処理費用をけちっているだけにしか過ぎない。

「役場と川井林業の協定案」として一年前に同じ案文を二度も地元に示したなかに、排ガス規制値は隣村の廃棄物焼却炉と比べると2.5~20倍もゆるい、法基準すれすれのものだった。

なぜ、ボイラー性能として届け出た「計画値」を協定値とできないか。

一年稼動した経緯を見るとその真相が明らかである。
濡れたまま、場内散乱の樹皮粉、他から運んできた接着剤木くず、緑色の煤煙の原因となっていたであろう化学物質、重金属を含んだ何か、これらを燃焼させたのだから、ボイラー性能が保障できないで異常な煤煙が発生し、機器にも故障が生じるのは当然の結果なのだ。


この姿勢でいる限り、この木屑焚きボイラーは焼却炉併用のボイラーといえる。
このことは2006年11月10日、岩手県環境生活部長に意見書を提出した。


2006年12月20日、盛岡地方振興局長立会いで立地協定締結。
川井林業社長は記者会見席上で『環境に配慮しないと私たちの存在価値はないと思う』とコメントし、1月の雫石広報に掲載された。
産廃溶融炉建設に反対し、この大型木材工場誘致については、他のモデルと言えるような環境配慮が反対しない前提であるという姿勢だった小岩井農場も、その後は誘致工場による環境悪化には口を閉ざしたままである。
小岩井115年以上の歴史と創立精神から見れば、実に悲しむべきことと言えよう。



新緑がとても美しい季節を迎えた極楽野 クロツグミのさえずりが泣いているように聞こえる。

宮澤賢治文学の舞台風景として国の名勝指定を受けている5箇所のうち、鞍掛山、狼森(おいのもり)、七つ森。3箇所がこの地域の周辺に在ることの価値は、まったく無視されている。
国の名勝指定地の周辺地域であり希少動植物生息地であり、人と自然のふれあい活動が行われているとして、2005年に当時の岩手県知事からフルアセスメントが必要と判定を受けた地域・・・

その地域が今後ますます“産廃でなければ良いものだ”地域活性化と雇用確保のためと称しての工場進出に異議を唱えない地元、町議会。
土台には飲ませ食わせ利権私利私欲の渦・・・
修復不可能な環境悪化が広がるか、利権がらみの捜査が入るような事件が起きてからでなければ、気づく人の輪は広がらないのだろうか。一寸先はだれにも判らない。

雫石広報には相変わらず「きらり輝くしずくいし」「一人一人が輝く町づくり」の文字が並んでいる。



今朝の行政区回覧に、『町のマスタープランの見直し』について説明会とパブリックコメント募集を行うというものがあった。
町の北部・中央部・南部、ともに、『雇用確保のために準工業地帯を』という内容が含まれている。
「銀河の森=環境保全等用地」を準工業地帯にしたいという現町長の目論見を堂々と述べて問題点を洗い出し賛否を問い議論するやり方ではなく、町全体に広げた書き方。
しかし、町長の目的は『銀河の森』=(環境保全等用地として購入した町有地)を準工業地帯にすることなのである。


景観形成区域内で環境破壊を実行していくため既成事実を作り、反対や異議を封じ込め、広報とマスメディアを使ってプロパガンダする、住民参加を装い、パブリックコメントや審議会委員会は実施するがそれは形式上住民同意のお墨付きを得るためだけのこと。中屋敷町長流施策実行の布石である。それに気づいている町民は少なからず存在する。
一縷の灯りのごとく。


一人の首長の、小岩井農場の隣に産業廃棄物溶融炉を建設することを“後押し”する感覚。
この計画が中止となったとき、彼が学んだのは自然と生活の環境を守ることの大切さではなかった。
岩手県民の宝、引いては国の宝と言われている岩手山麓が、このような感覚の首長の胸先三寸で破壊されていこうとしている。


記録を続けよう。