岩手山麓景観形成重点地域を守ろう ★『イーハトーブ通信』

野生サクラソウ大群落を潰し岩手山麓の環境を破壊してきた旧町政。産廃問題に端を発した岩手山麓『誘致公害』の記録

5月24日、サクラソウなどの移植実行

2007年05月27日 | 世話人会発行「イーハトーブ通信」を読む
5月24日、雫石町と企業は移植を強行 

◎昨日(24日)、工場予定地(今はまだ町有地)の2本の沢沿いに多数生息したサクラソウと、トンボソウの一部(他の希少種の一部も)が、移植されてしまいました。 あまりに無残な移植の仕方でした。これが彼らのいう「保全対策」。


◎(原木置き場にいた企業担当者の話によれば)
移植に立ち会ったのは役場商工観光課長、NS環境、川井林業から3名の5名。

移植地は、2本の沢それぞれの伐採していない樹林のなかの下流部流域。
道路側の沢の下流部は日差しも暗く、水辺ではあるものの適地といえるか疑問

道路側の沢沿いなど特に、たくさん出ていた若い葉っぱの部分は、すっかり踏み潰され、“花が咲いていてインパクトがある株だけ移植”という状態です。

目視確認されていた概数のごく一部が移植された模様。
残りのまだ芽が出てきたばかりのものや花が開いていないものは、相当数潰されるかかく乱された状態。

地下で生きている根や、発芽している若葉は、潰されて無残な姿。
(絶滅危惧種保全は、種子や発芽状態のものも含めて責務があるとのことですが。)

◎当会の願いは、(22日付町長宛の申し入れ書) 
『せめて、ヒンジモ生育地周辺の保全区から西側の沢部分は保護区として町が管理する「希少植物保護地域」として残し、川井林業に賃貸せずに、町の学術的財産として残(遺す)してほしい』というものでしたが…。

詳細と経緯は追ってお知らせします。取り急ぎ。

参考:
岩手日報 <<生物の多様性保全 日本の「里山」モデルに
         中央環境審 「21世紀戦略」案>>
http://www.iwate-np.co.jp/newspack/cgi-bin/newspack_s.cgi?s_science_l+CN2007052501000328_1

 <(略)戦略は「里山」をキーワードにした生物多様性の保全などが柱。
   日本が2010年に誘致を表明している生物多様性条約の締結国会議に
   向け、健全で豊かな自然環境保全のため、日本人が自然を利用しながら
   共生してきた「里地里山」の考え方を生かした日本型モデルを世界に発信
   する「SATOYAMAイニシアチブ」の実施を提案した。(略)>

雫石町が率先して「里山保全」を目指してほしいと痛切に思います。

☆おばあちゃん ありがとうございました…☆

2007年05月18日 | 世話人会発行「イーハトーブ通信」を読む
5月15日 産廃溶融炉問題以来、地道にそして精力的に、頭が下がるほど、町内商店街を巡り署名を集めてくださったり、いろいろ文句も言われながらも臆せずに、さまざまな人たちにこの一連の問題性を語り伝えてきてくださった おばあちゃんが、「あんばい悪いから病院さ行ってくる・・」と出かけたまま、帰らぬ人となりました。
最期のときまで「お手本」みせてくれましたね、おばあちゃん。。。


お散歩カーを押して腰が曲がっても元気な笑顔で、「すばらくだったなあ!」と声をかけてくださったお顔・・
3年前、溶融炉問題署名提出のときの町長室で
「ちょうちょうさんは町民のおとうさんだべ。おとうさんはこどもだづが困ることはやらねえもんだべ」
『溶融炉ってなんだのす?』勉強会のとき、
「町長さん、あんたの家の隣さ、こういうの建てられたらどう思いますか?」


私たちにはこう言って励ましてくれましたった…
「あんただづよそからきたひとがこの町ばきれいなまんま伝えていきたいって頑張ってんのに、むかすからいるおらたづがなにもすねわけにいかねがんべよ」と。

工場予定地になろうとしているあの土地を眺めたら、なんて言ったでしょうね、おばあちゃん。


おばあちゃんの「思い残し切符」をしっかりと受け止めていきたいと思います。
ありがとう☆ おばあちゃん! ☆

新たに発見された絶滅危惧種植物を守って!

2007年04月02日 | 世話人会発行「イーハトーブ通信」を読む
新たに発見されたウキクサ科の希少植物は、天然記念物に指定する動きもあるほど価値あるものでした。
岩手山旧火山の流山群から湧出する低温の水質が、町の「学術的財産」であるこの植物を守って育ててきたわけです。
私たちが銀河の森と呼んでいた『地域環境保全等用地』森の内、工場予定地の樹木が道路沿いの僅かな残地を除いて一本残らず伐採され、まるはだかになってしまってから、それは見つかりました。
人間は罪作りなことをしてしまったわけです。
きちんと四季を通した調査を行い、データをそろえて後に…と意見書など提出していたにもかかわらず。。。


◎3月30日、絶滅危惧種植物の保全に的を絞った要望書を県と町に提出◎
(連名団体)岩手県自然保護団体協議会
      雫石 野の花会
      環境情報調査資料室
      (発見された絶滅危惧種)○○○○を守る会
      イーハトーブ雫石を守る会
 
(要望内容)            
1.発見された絶滅危惧種植物の移植をしないこと。

2.水温、流速、地下水の湧水量、水質、底質保全のため、周辺の現況
  地形の改変(抜根、整地、重機の乗り入れ、地下水の汲み上げ、
  地盤改良の為の資材使用など)を行わないこと。
  特に、生息地北側地域の地盤改良を伴う工事は地下水の挙動の
  変化による湧水量の増減、水質などに影響を与える可能性があるので
  地盤改良を行わないよう事業者に求めること。

3.生育地保護のため、直ちに湿地周辺の樹林回復措置を実施すること。
  
4.生息環境を保全するため、生息地北側(生息地と現在の
  原木置き場までの間)の森林全体の回復措置を極力早期に実施すること。

5.伐採地は今後も希少野生動植物が確認される可能性が予測されるので、
  未確認時期である春、初夏、夏、3季の調査を事業者に求めること。



 ◎ 「希少植物発見のビデオ」を観る機会がありました。  
   
妖精が棲んでいる森のような雰囲気で、
   
BGMのネパールの音楽が実にマッチ!♪
  
 伐採後の3月10日の調査で、画面にうごめく「にんげんたち」を、
   追いやられたニンフたちが、周りの木々のあいだからじっと   
見つめているようでした。。。
   
地質的にも、ここはこういうふうな里山の森でありつづけることが
   
一番似合う・・
   
そう感じることができました。
   
この辺を通る人はこの伐採のありさまに、皆さん少なからず心を痛めています。

   「トウホクサンショウウオ」の卵塊も見つかりました。
   いまの原木置き場には砂利を入れる前に、たくさんのサンショウウオが
   いたんだそうです・・・

企業にではなく町民の安全と未来に軸足を

2007年03月23日 | 世話人会発行「イーハトーブ通信」を読む
▲▲広報掲載の「許容濃度」は引用に大きな間違いが!▲▲
◎化学物質過敏症家族が訂正記事を広報に載せることを町に要請。  (返事はまだなし)


計画変更前(LVL工場構想の際)に工場で用いることになっていた「フェノール系接着剤」
その成分許容濃度の表が、昨年の10月広報に載りました。

その引用の仕方が、日本産業衛生学会の注意書きを無視したものであったことは、前に通信でお伝えしましたが、
広報掲載のどこがどう間違っていたのか。(正確に言うと「安全だということを強調したいがために、引用注意事項を無視して掲載していた)

以下、訂正文を町の広報に載せることを要請しているご本人からの投稿です。

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雫石町議会12月定例会で、町長は一般質問したY議員に同調する形で、
「本当にいい企業が来てくれたというふうに思っておりますが、一番のネックは
化学物質過敏症のご家族がいること、それ以外は大きな問題が無い」との見解を示していました。

この“本当にいい企業”は、当初計画ではホルムアルデヒド・フェノール・メタノールを含む接着剤を1日8t使う計画でした。
町は、工場からの化学物質の放散量について、計画値は日本産業衛生学会の示す許容濃度以下で安全であると説明していました。

つまり、ホルムアルデヒドの許容濃度が0.5ppmで計画値0.5ppm以下、フェノールでは5ppmに対し5ppm以下、メタノールは200ppmに対し200ppm以下となっていて、次のような注釈がついています。

10月広報の【許容濃度】記事注釈として
<労働者が1日8時間、週40時間程度肉体的に激しくない労働強度で有害物質に曝露される場合、当該有害物質の平均曝露濃度がこの数値以下であればほとんどすべての労働者に健康上の悪影響が見られないと判断される濃度。 >

と町の記事は書いていました。 

 そうか、この濃度以下であれば安全性に問題はないんだ!!では安心安心…・・と思ったら大間違いでした。

日本産業衛生学会 平成16年4月13日付「資料 許容濃度等の勧告」を確かめたところ、これには、「許容濃度等の性格および利用上の注意」というのが冒頭についていました。
一部抜粋で紹介します。

 1 許容濃度等は、労働衛生についての十分な知識と経験をもった人々が
   利用すべきものである。

 5 人の有害物質等への感受性は個人毎に異なるので、許容濃度等以下
   の曝露であっても、不快、既存の健康異常の悪化、あるいは職業病の
   発生を防止できない場合がありうる。

 6 許容濃度等は、安全と危険の明らかな境界を示したものと考えては
   ならない。従って、労働者に何らかの健康異常が見られた場合に、
   許容濃度等を越えたことのみを理由として、その物質等による健康障害
   と判断してはならない。また逆に、許容濃度等を越えていないことのみ
   理由として、その物質等による健康障害でないと判断してはならない。

 7 許容濃度等の数値を、労働の場以外での環境要因の許容限界値として
   用いてはならない。

 10 許容濃度等の勧告を転載・引用する場合には、誤解・誤用を避ける
   ために、「許容濃度等の性格および使用上の注意」および「化学物質
   の許容濃度」や「生物学的許容値」等に記述してある定義なども、
   同時に転載・引用することを求める。


★「許容濃度等は、安全と危険の明らかな境界を示したものと考えてはならない。」「労働の場以外での環境要因の許容限界値として用いてはならない。 」等の注意を無視して、あたかもこれ以下なら、周辺環境に対しても安全であるかのような説明をしていたのです。

でも、ここで留まらないもっと重大な問題がありました。           

合板工場の接着剤からの有害物質の推定放散量は全て単体としての許容濃度以下でした。

ところが、実際に使われる化学物質はホルムアルデヒド・フェノール・メタノールの混合物です。
 
では学会の「許容濃度の勧告」に再登場して頂きましょう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「表示された許容濃度の数値は、当該物質が単独で空気中に存在する場合のものである。2種またはそれ以上の物質に曝露される場合には、個々の物質の許容濃度のみによって判断してはならない。現実的には相加が成り立たない事を示す証拠がない場合には、2種またはそれ以上の物質の毒性は相加されると想定し、次式によって計算されるIの値が1を越える場合に、許容濃度を越えると曝露と判断するのが適当である。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

というわけで、式は書きにくいので省略しますが、計画値をこの式に入れると、
3種とも単体での許容濃度ギリギリが計画値ですからI=3という数値がでて
きます。

 
★相加で見るわけですから、単純計算で同工場の有害物質の放散量は、そもそも労働環境における許容濃度の3倍に設定されていたことになります。 これでも、”本当にいい企業”といえるのか、問題が無いといえるのか。

 事業計画が合板製造から集成材の製造に変更になったとしても、安全性に関するごまかしがあったのですから、
 ”計画は集成材工場に変更になり、接着剤も変更になったのだから、いまさらそんなこと指摘されても…”で片付けられる問題ではないのです。

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★引用は以上ですが、原発の臨界事故寸前、または起こしていたことさえも隠蔽していた企業体質に共通しますね。
 日本産業衛生学会に問い合わせたところ、
 『あなた様の指摘は正しいので、行政当局に指摘するよう』と、返事をもらっています。


★ 問題の奥深い根は、これが誘致工場単独のコマーシャル記事ではなく、雫石町役場として公に、町民が安全だと思い込むような書き方(引用)をしていたという点です。

“いまさらそんなこと指摘されても…”で片付けられる問題ではありません。
計画が変更になり、接着剤も変更になるようです。
ただし、『当面』という但し書き付き。

今後、詳細にわたって、町民の健康と安全に軸足を置いた公表の仕方をするよう望むものです。

県と町のための『復習』講座

2007年03月12日 | 世話人会発行「イーハトーブ通信」を読む
一昨年、小岩井農場隣接地に「環境アセスメントが必要ですよ」という知事判定が出た。
おっと、その判定が出る前、定めに従って雫石町長の「意見」が文書で提出された。
先に中屋敷町長からの意見の内容、次に岩手県判定を掲載してみよう。
とくとご熟読、復習あれ。

この区域に希少植物が生育していることは判っていた。それを、調査データをそろえてからにせよ、という意見書も無視して、立地協定後のあっという間の森林伐採(皆伐=まるはだかにした)。そして、更なる絶滅危惧種の発見。
アセス対象事業であろうがなかろうが、希少種は町の学術的財産であるという認識がまるでない。
この責任は誰にあるのか。

町長は特に、原点に戻って考え、「雫石町の最大の財産は自然だ」と、かつて懇談会で語った「町のリーダー」としての初心に立ち返ることが、賢明なリーダーがいま為すべきことではないだろうか。

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2005年2月雫石町長意見(同じ地域へ)
事業の技術、その環境に対する知見が明らかでない
②計画地から遠い気象観測所や大気汚染常時監視局のデータだけでなく実測など土地の特性を踏まえるべき
計画地と周辺は希少動植物がおり、繁殖期や四季を通じたアセスが必要
景観形成重点地域や国の名勝指定があり景観上の配慮や眺望も含めたアセスメントが必要である。

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2005年3月11日 岩手県知事から「アセス必要ですよ」 判定内容

(1)事業計画区域内及びその周辺には国及び岩手県のレッドデータブックに該当する貴重な動植物であるチョウセンアカシジミ、エビネ及び猛禽類(クマタカ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ等)が存在しており、特に計画地周辺でオオタカの営巣地が確認されている。工事の実施及び施設の稼動に伴い、これら貴重な動植物の生息環境等へ相当程度の影響を及ぼすおそれがある。


(2) 事業計画区域に隣接する小岩井農場は、現在、年間約80万人が訪れ多くの人に利用されており、また、森林体験事業が行われている。さらに、周辺一帯を利用した森林とのふれあい活動も計画されているが、施設の稼動に伴うばい煙により、これらの人と自然のふれあい活動へ相当程度の影響を及ぼすおそれがある。


(3) 事業計画区域は、岩手山麓・八幡平周辺景観形成重点地域内の「田園景観形成区域」に該当している。また、計画区域北側は雫石町景観形成基準により「西根=堀切・篠崎民宿群~極楽野ペンションロード地区」に指定され、さらに、計画区域の周辺には、国指定名勝「イーハトーブの風景地」として、鞍掛山、狼森、七つ森が存在していることから、事業計画区域は景観に配慮を要する区域と認められる。事業計画区域での施設の稼動に伴い、煙突から排出される白煙(水蒸気)の発生が予想され、この地域全体の景観に対して相当程度の影響を及ぼすおそれがある。

『ここはもともと環境保全等用地』 現地調査、協議の結果

2007年03月11日 | 世話人会発行「イーハトーブ通信」を読む
写真はここに設置予定の半分規模のボイラーから、朝の立ち上げ時に出ているススが多量に含まれる排ガスの黒煙。こういう排煙と水蒸気白煙が、観光地であり環境保全等用地に建設されて、「問題はない」というのだろうか?
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==絶滅危惧種ⅠB、岩手県レッドデータブックAランク植物の運命は==
『移植は行わず地形改変も行わず保全する方向』という協議結論に。


企業、有識者、コンサル会社、岩手県振興局、岩手県環境生活部自然保護課、
役場商工観光課==合計約13名ほどで、10日午前中、現地調査が行われた。

その後地形、地質、地下水脈、水温、様々なデータを広げ、協議の結果として
『移植は行わず地形改変も行わず保全する方向』と結論付けられた。

今後の推移を厳重注意で見守りたい。


今後、役場商工観光課で協議議事録を作成。
それを調査・協議参加者に配布、了解を得た後、
川井林業がやはりこの地で工場建設を実行するならば、その「保全策」を
踏まえた工場建設計画を建てなければならないことになる。
建設断念になれば、町が保全対策として原状回復を行うことになるだろう。

(彼らにとって順調に進めば、3月中には賃貸契約を交わし、4月からは
 重機による抜根、整地作業に入る予定だった。)


しかし、森はすでに皆伐されてしまい、いま、産廃として処分するために
枝などを集める作業が進んでいる。(これも税金で行われている)

どのように保全対策をとるのか。。。
加えて、南側工場予定地の地盤が、深さ8m掘っても硬い地盤に達せず、
川井林業としては採算性に合わないことから南側の建設は無理の模様。
北側原野部分(原木置き場になっている場所)も、更なる地質調査が必要。
(世界アルペンの駐車場として砕石を入れたとき、沈み込んでしまい、
車両乗り入れができるまでに時間がかかったとのこと。)

川井林業の決断にかかってきた、といえる。
もうひとつは、振興局と町長の動き。
よくよく、厳重注意しつつ、見つめていかなければならない。

◎「環境保全等用地」は「保全」するべきものであった・・・この当然の帰結こそが、自然な成り行きなのである。
ずいぶんと費用も掛け、労力も費やしたがすべて「学び」だったと思い、今後に生かせば良いのだから。


絶滅危惧種の植物群生発見!「環境配慮」「優良企業誘致」の実像が浮かび上がるだろう

2007年03月09日 | 世話人会発行「イーハトーブ通信」を読む
写真は13ヘクタールが皆伐採された『銀河の森』
岩手山を望む景観は、この土地が本当に煙タイプの工場立地としてふさわしいのか、とセンスを問いかけている。
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昨日(3月8日)雫石町議会一般質問を傍聴した。
なんと!こともあろうに、わが町のちょうちょうは、しゃべってしまった!

「ご存知と思いますが○○藻が見つかりました。昨年見つかった○○ラン同様、どうするかを検討します。」

この工場誘致を心配した化学物質過敏症家族のおじいちゃんが「誘致は頭越えに決められて残りの分だけ検討委員会」を傍聴に役場を訪れたとき、「今日は非公開だから」と空戻りさせられた。ところが非公開情報であるレッドデータ植物所在地と種名を、べらべらとしゃべるあの感覚は、一体何なのだろう?

どうぞ、取っていって下さい、生命力があるやつみたいですよ(生命力あって絶滅危惧種になるか!)、売り買いもされているとWebに載ってましたよ(おいおい、絶滅危惧種売買は法律違反なんだよ!)、天然記念物でもないし…(天然記念物のモリアオガエルだっていることが判っているのに!)
と言っているようなものだ。(生命力と売り買い、天然記念物でもないことはホントに言った)
これは議会議事録にも載る。

岩手山麓の湧水にのみ、生育していて、岩手では6例目。2番目の見事な群生だと発見者は語っている。

しかし、今朝の岩手日報には、もう堂々と掲載された。
<雫石町長山の木材加工工場建設予定地で絶滅危惧種の○○藻の群生が見つかった。中屋敷町長が明らかにした。建設決定前の専門化調査では発見されていなかった。>

町は、10日午後に、県や環境省、事業者、有識者らと現地調査し、保全や移植などに向けた対応を協議するのだそうだ。

守るのか、移植して工事を続行するのか、地下水脈や土質の問題などと複雑に絡み合って、基本的に移植は不可能な植物をどこかへやってしまって、ブルドーザーを入れるのか、最後の良識を発揮するのか!

町長よ、そもそも「環境保全等用地」として購入した土地ではありませんか?
「環境に配慮しなければ私たち企業の存在価値はない」と社長は仰いましたね。

言うこととやることがこんなにも違うなんてことにはならないように祈るだけである。

「植生守れ」への回答について

2007年02月02日 | 世話人会発行「イーハトーブ通信」を読む
昨年の4月に、「環境保全等地域」に合板工場誘致話がでてきてから、つぶさに行政の動きを見続けてきた者として、この「回答」にみる『事実誤認』を指摘しておきたいと思います。
全国各地のさまざまな住民運動の中で、問題がこじれたり長期化したりしている最たる原因に気づいていただければ、と願いながら。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。

★自然保護課は自然環境保全をつかさどる岩手県の大本であるにかかわらず、「勧告」を出したこの地域を実際に検証していない。机を離れて現場を見ていただきたい。芽を出すと思われる春の様子も。
★<事業者と雫石町が「協力」して適切な保全対策が講じられた>のではない。事業を急ぐあまり冬の間に伐採する必要に迫られてのゆえである。
★町は<直ちに計画や事業内容を精査していた>だろうか。7月に当会が質問書を出して排ガスや接着剤成分などを企業に問い合わせ結果、11月になって環境影響の大きさから接着剤変更などを余儀なくされたのが実情。
★<木材を燃料とする=環境にやさしい>は、あまりに短絡的。企業は廃プラである接着剤がついた木くずまで燃焼させると言っている。県は燃やさないでほしいと伝えているというが、町は率先して接着剤が付いた端材をボイラー燃料としないよう、最低限文書で確認するべきである。
岩手県では木質バイオマス燃料=環境にやさしいとPR中だが、砒素などが含まれたCCA薬剤入り廃材や今回のように燃焼すれば硫化ガス発生が予想される接着剤まで木屑チップ化させることが混同されることが生じてはならない。
★<議論を尽くした>という形跡は議員から聞いたことがない。議員全員協議会で誘致進展状況が報告された際に反対意見が出なかったことで、議会も賛成と町長が表現したことについて12月議会で謝罪した。町民の知らないところで議論を尽くしたのだろうか。

★「民主的ルール」について役場の対応は非民主的なことが随所に生じた。
  ①町有地「環境保全等地域」利活用策定委員会が開かれた06年5月には、ゾーン策定も周辺に及ぼす環境影響も検討されずに残地だけの策定をしてほしいという町の意向だった。土地利用諮問機関に対する民主的筋道ではない。
  ②7月委員会を聞きに出向いた付近住民の傍聴を役場は拒否した。特に化学物質過敏症で環境悪化はそのまま生存権にかかわる家族に対する傍聴拒否だった。よほどの個人情報や希少種生育場所以外の委員会非公開は民主的とはいえない。
  ③10月に地域で行われた住民説明会は、誘致賛成意見を「やらせ」で行い、質問を封じて予定時間丁度の強行閉会となった。再度の説明会は企業と相談して決めるとマスコミには答えたが、事業内容変更後も2度目の住民説明会は開催することはない。
  ③町有地を賃貸する誘致は議会の議決案件ではなく町長の決済事項だが、住民との協働共治を掲げている町長は、何度でも話し合いを持ち合意形成に努める責任と義務がある。
  
<<この地域は「環境保全等地域」として血税を持って取得したものであり、その目的に合った事業が展開されるべきである。>>

掲載された投稿者の論旨後半の重要部分は、4月以降、当会として主張し続けてきたことでもある。

雫石町1月広報の記事によると、企業の社長は12月20日の立地協定締結日の記者会見において、「環境に十分に配慮しないと私たちの存在価値はないと思う」とコメントしている。
十分に環境に配慮した実際の行動が、今後一層検証されていくことになるだろう。

岩手日報論壇と県と町の回答にみる「環境保全」

2007年02月01日 | 世話人会発行「イーハトーブ通信」を読む
久し振りの更新になりました。
皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。
真冬日が1日もなかった異常気温の1月も終わり、今日は雪がしんしんと降り積もっています。しかし、この降り方は春の雪…。夏の水不足が心配です。

さて岩手県では、岩手日報という地方紙がメディア(マスコミ媒体)の中心で大きなウエイトを占めています。
1月24日の岩手日報論壇に「工場建設地の植生守れ」と題した投稿文が掲載されました。いま私たちが直面している工場誘致問題のなかの自然保護の部分だけではなく、さまざまな面で県の希少野生動植物や環境問題で実際に体を張ってデータを調べ提言を続けているメンバーの一人が投稿したものです。
その後、県と町では「回答」を岩手日報に載せましたが、個人の投稿とそれへの回答という次元にとどまらず、私たちの会としても見解を示さなくてはならない部分が実に多いものでした。(長くなりますので、見解は次回に致しますがおおまかなことを指摘しておきたいと思います。)



私たちの運動は、雫石の町是(農業と観光の町)と将来像からみて(特に小岩井農場隣接地に)産業廃棄物焼却炉はふさわしくない、ということから出発しました。そして、署名活動の柱として地域の自然や景観を守るという大きな合意点=共通の思いが出来ていきました。
産廃施設計画が中止になりホッとしたのもつかの間、すぐ隣の土地に「接着剤を使用する合板工場誘致」が出てきたわけです。それも、「環境保全等用地」として税金で購入した町有地に。

町民の健康面(特に産廃問題の時から指摘していた化学物質過敏症家族が付近に居住している点)や、自然景観の保全など、産廃問題から学んだはずの様々なことを、再び繰り返し行政に対して言わねばならない突然で残念な事件でした。

様々な経過がありましたが、具体的に行政に詰めていった事柄の中で、重要な点は次の二点です。
そもそもが産廃である木屑(特に接着剤が付いた端材まで)を燃料とするものを「ボイラー」と認定するには問題がある点。
もうひとつが、今回岩手日報論壇に掲載された、地域に生息する貴重な野生動植物の保全対策でした。一昨年の環境アセスメントが必要であるという判定と同じ地域なのにかかわらず、最低でも1年位の保全対策期間が必要なはずのものが、なぜ12月半ば過ぎという不適切期の移植で済まされることになったのでしょうか。
<<企業側が事業を急いでいる。>>
これが、すべてに優先されてしまったのでした。

論壇投稿文の論旨と「回答」の要旨をピックアップしたいと思います。

(尚、新聞掲載文のなかに訂正を要する箇所がありましたが、掲載前に直接連絡して修正了解がされていますので、その部分は省き、論旨として自然保護と行政のあり方の部分に限って重要な点をまとめてみることにしましょう。)

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★1月24日岩手日報論壇 『工場建設地の植生守れ』の論旨

①工場が建設される地域は、一昨年の産廃施設問題の時にフルアセスメントが必要と判定を受けた地域である。

②「岩手県自然環境保全条例」などに基づき県は有識者から意見を聞き、事業者へ指導、勧告が行われ、町は県の勧告に従うとした。

③有識者からは・春季の調査が必要・やむを得ず移植の場合は適期と場所に十分配慮を要する、という意見が県と事業者に提出されていた。

事業者は春季調査は行わず12月16日の不適切期に移植を行い、12月20日、町と事業者は立地協定を結んだ。

⑤事業者の言い分は移植を行ったことで勧告に配慮したとしているが、勧告のもとになった有識者の意見は満たしていない。

⑥しかも移植不適切期だったため確認されていた絶滅危惧種の多くは、適切な処理ができないまま放置され消滅の運命にある。

このような状況で、県は「勧告に従った」と認めるべきではなく、春の調査も行ってから適切な保護対策をとるよう指導を続けるべきである。
⑩モリアオガエルなどの絶滅危惧動物についても同様に指導を続けるべきだ。

これが市民から信託を受け法を守る行政としての責務であると考える。行政の腰折れで里山の自然が失われるのは慙愧に堪えない。

⑫雫石町は「環境保全等地域」として議会の承認を得て血税で取得している。

取得目的に合った事業が展開されるべき町有地である。

⑭当局の行為が("環境保全等地域として取得した")議会決定を無視しているのに、議員が異議の声を上げないことに民主主義の崩壊を感じるのは私だけだろうか。
  
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(以下、太字部分は問題点です。あらためて見解を書きましょう)

★1月27日掲載、 県自然保護総括課長「回答」の要旨
①学識者の意見は大筋で尊重している。
②大半の希少種は、従前からの場所で、あるいは新たな移植先で芽を出すものと思われる。
③県では条例に基づき希少種の保護をはじめ自然環境の保全に努めており今回の工場建設に当たっても、事業者や雫石町の協力で適切な保全措置が講じられているものと考えている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
★1月29日掲載、雫石町長「回答」の要旨
①工場の進出要望があった際、直ちにその計画や事業内容を精査した
②その結果、この工場は、林業振興、雇用の確保、木材を燃料とする環境にやさしい内容であり、町の進行発展からもふさわしいと判断した。
議会に説明して議論を尽くし進めてきた。
④町行政としては、まさに民主主義のルールにのっとり進めている


イーハトーブ通信:号外:

2006年10月23日 | 世話人会発行「イーハトーブ通信」を読む
イーハトーブ通信:号外その2(2006.10.22)

★町長選挙の結果★
(通信読者には町外~県外の方も多く、皆さん気にしてくださっていますので
  号外として流します。)
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中屋敷 十(たてお)氏(現職)・・・・・6,021票
深 谷 政 光  氏 (新人) ・・・・5,436票  (その差585票)

雫石有権者総数         15,672名
投票数               11,527票(投票率 73% 4年前80%?)
有効投票数            11,457票 
無効票                   70票
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★雫石町民の「民度」が問われた選挙でした。
  結果、町民の2分の1近くが、現町長に「NO!」を示したことになります。
  「無名」に近いゼロからの出発でしたが、静かに、しかし確実に輪を広げ、
  若い女性や小さな子供を持つ夫婦が家族で総決起集会に参加・・
  これまでの政治集会にはなかったことでした。
  
★ この結果は、今後も、LVL工場の強引な誘致手法に関して、安全面の
  問題点などについて、これまでにも増して、現町政に物申さなければ
  ならない事態が続くことでしょうけれど、覚悟してがんばりましょう。

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クボタリテックス 撤退を正式表明(岩手日報)
http://www.iwate-np.co.jp/news/y2006/m10/d22/NippoNews_4.html
(北上市の産業廃棄物溶融炉=昨年のマイトリー社計画と同タイプ同規模の産業廃棄物溶融炉(表面溶融炉・90トンクラス)が相次ぐ不祥事のため事業完全撤退!!)


『去年のマイトリー溶融炉が建たなくてほんとうに良かった!』
『学んでほしい雫石町。建ってからでは遅いんです!』
『去年、見学に行って、たいしたきれいでいいもんだ、といった町議さん、
見かけだけでは危険性はわからない。ちゃんと調べないとね!』

『マイトリー計画中止からたった4ヶ月後の合板工場強引誘致!』
『産廃溶融炉のダイオキシン、重金属類、酸性雨原因となる窒素酸化物などに加え、今度の合板工場は、ホルムアルデヒドなど化学物質の危険性』
いまだに「紳士協定」さえも結んでいないのはなぜなのでしょうか?
これでは安全な高基準の公害防止協定や、そのための設備対策などはどうするつもりなのでしょう?
企業だって困りますよね、
あとになってから、あれもこれもと注文つけられても…。
先に、必要な設備対策費や、検査費、追跡調査費などを十二分に確保しておいてくださいね。
法基準だけではダメなんですよ。