浜松これが日本一

浜松の日本一を様々な角度から紹介します!
浜松を愛し、学び、楽しみましょう。

波小僧

2016-01-18 05:55:55 | 浜松七不思議
 昔,昔の話です。
 ある日のことです。若者が田んぼに着くと,日照りでいねは今にもかれそうです。「困ったな,もう何日も雨が降っていない。水不足で,このいねがいつまで生きな がらえてくれるものやら。」
 田んぼの世話が終わり,一息ついていると,近くの草むらからかすかに声が聞こえてきました。
「お助けください。どなたか,助けてください。」
 声のするあたりを見ると,とても小さく弱々しく見える子が手を合わせておがんでいました。
「私は、波小僧という者で,この南の海に住んでいます。ところが、この前の大雨 で,ここまで流されてしまったのです。私は,海の中でしか生きていけません。 どうか,海に連れて行ってください。」
おどろきながら話を聞いた若者はかわいそうに思い,波小僧を海までだっこして行き,波打ちぎわにそっと置いてやりました。波小僧は,何度も何度もお礼を言いながら波間に消えていきました。
 日照りは,その後も何日も続きました。若者の田んぼのいねはぐったりして,今にもかれてしまいそうです。とほうにくれた若者はあぜ道にすわりながら,ぼんやりと海をながめていました。キラキラ光る波の間に小さな人かげが現れ,しきりに手をふっています。いつかの波小僧が現れたのです。
「この前は,助けていただいてありがとうございました。そんなにつらそうな顔を して,どうしたのですか。」
波小僧がこう問いかけると,若者は日照りが続き,困っていることを話しました。
「それはそれは,大変ですね。私の父は雨ごいの名人です。この前助けてくださっ たお礼に,雨を降らせてもらいましょう。また,これから先は,雨が降る時は東 南の方角で,雨が上がる時は西南の方角で波を鳴らしてお知らせします。」
 波小僧は,そういうと,波の中へ消えていきました。
 まもなく,東南の海から波の音が聞こえてきました。すると,たちまち雨が降り出し,いつの間にか,あたりの田んぼは水でいっぱいになりました。

 波小僧は,それから雨の具合をずっと教えてくれています。

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