浜松これが日本一

浜松の日本一を様々な角度から紹介します!
浜松を愛し、学び、楽しみましょう。

京丸牡丹

2016-01-13 05:55:55 | 浜松七不思議
 昔,昔の話です。
 ある日,京丸の村に,若い男がまよいこんできました。けわしい山道を歩いてきたので,つかれはてていました。やっとの思いで村の長の家の玄関に立ちました。
「ごめんください。」
「見なれない旅の人。どうされましたか。」
「道にまよってしまいました。今晩,とめていただけないでしょうか。」
村の長は,親切にも,若い男が元気になるまで何日もとめてくれました。長の家には,美しい娘がいました。娘もまた,優しく親切に世話をして,いたわりました。
こうして若い男と娘は仲良くなりました。
 長はそのことに気付くと,
「困ったことになったなあ。」
と頭を痛めました。この村では,昔からよそから来た人を村人にしないという決まりがあったのです。長は,なやんだすえに若い男に話しました。
「長として,いつまでも村の決まりをやぶることはできない。村を出てくれないか。」
若い男は泣く泣く村を出ました。長の娘は,思いをたち切ることができず,男の後を追いました。
「京丸の村ではかなわぬ夢を,二人でどこかでかなえてほしい。」
娘を失った長は,二人の幸せを毎日いのり続けました。
 長のねがいが痛いほど分かる二人は,あてどもなく山の中を歩き続けました。ところが,二人が住む土地はどこにも見つかりません。二人は何ヶ月もさまよい続けた後,京丸の村の近くまでもどってきました。いざ,村に入ろうとしても,二人はどうしてもふみ入れることができません。
「村にもどれば,お父さんや家族まで苦しめてしまう。」
「かなわぬ夢は,次の世にたくそう。」
 二人は,村の近くを流れる川のふちに身を投げてしまいました。

 あくる年のことです。牡丹の花が川のふちを真っ赤にいろどりました。二人のたましいが牡丹の花になってふち全体をそめたのです。この年以来,命日になると、毎年毎年,二人のたましいは美しい牡丹の花となってふちをいろどり,ちり落ちた花びらは川の流れにのってどこまでも流れていったそうです。

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