浜松これが日本一

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絵から抜け出す馬

2016-01-21 05:55:55 | 浜松七不思議
 昔,昔の話です。
 竜禅寺は,浜松の中でも古くからあるお寺で,周りに住む人々はいつもありがたく感じていました。そんな人々の田畑が,いつのころからか毎晩あらされるようになりました。
「大変だ,今日も田んぼや畑があらされている。」
「いったい,だれがこんなにひどいことをしたのだろう。」
あらされた田畑をくわしく調べると,馬のひずめのあとがいくつも見つかりました。
「馬があばれたのか。でも,どこの馬だろう。」
 当時は、馬は,とても高価な生き物で,竜禅寺の周りでかっている人はいませんでした。
 ある日のことです。竜禅寺の周りの田畑は今日もあらされていました。
「このあたりに馬はいないはずなのに?」
「あっ、そうだ。お寺に馬の絵が何枚もかざってある。ひょっとすると,あの馬が 抜け出してくるのでは?」
 このころの竜禅寺には大きな観音堂があり,立派な馬の絵のがくがかかげてありました。この馬の絵は,日本一の絵描きである狩野探幽が描いたものだと言われ,とても大切にされていました。
「ああ,あの絵の馬か。あの馬はいつ見ても生きているように見える。絵から抜け 出しても不思議ではない。」
「何とか馬が抜け出さないようにしなければ‥‥‥。」
困った人々は,和尚さんの所に相談に行きました。
「和尚さん。このあたりの田畑は、毎日馬にあらされて大変です。馬をかっている 人はだれもいないので、こまりはてています。万が一にも、お寺の絵の馬が抜け 出して田畑をあらすことなどありませんよね?」
「何,絵から馬が抜け出すなんて,そんなことがあるのかのう。」
和尚さんは首をかしげながらも,なんとか手を打つことを約束しました。
明くる朝,人々が田畑を見わたすと,何一つひがいはありません。
「和尚さんは,あの絵馬を焼いてしまったのでは?」
人々は喜びながらも,和尚さんがどんな工夫をしたのか聞きに行きました。
「絵馬はご覧のとおりここにある。ただ,二度と抜け出さないように馬に手綱を付けたのじゃよ。」
 和尚さんは,人々の話を聞くと,浜松一の絵描きにたのみ,絵の馬に手綱を付け,それを柱に縛り付けるように描き加えてもらったのでした。
 その後,田畑の被害は二度と起きなかったそうです。

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1 コメント

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遠州山脈を見た! (少年A!)
2016-01-21 14:52:18
 浜松がとっても寒くなった昨日一昨日・・・その前の日に、南の空を見ると、入道雲のような雲がいっぱい・・・先生が紹介してくれたお話のように、たしかに「遠州山脈」がありました!
 次の日に寒くなるかどうか、雲で分かるなんて、すごいですね。
 これから空を気にして見るようにします!
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