冒頭にいきなり自転車の写真を載せると,最近手に入れた新車かと思われるかもしれません。これは「たま自転車」と名付けられたレンタサイクルである。和歌山電鉄貴志川線の伊太祈曽(いたきそ)駅頭で貸し出していた。
今回,和歌山方面に出張の機会があり,用務が終わった後,帰るのを一日遅らせて和歌山電鉄貴志川線に乗り,「たま」駅長に会いにいくことにした。「たま駅長」はもちろん人間ではなくネコである。無人駅である貴志駅に駅長室を設置してもらって,週6日間の激務を果たしている。詳細は和歌山電鉄のホームページをご覧ください。ホームページアドレスはwww.wakayama-dentetsu.co.jp。
左は「たま」自転車のエンブレム。さすがにこのエンブレム売ってなかった。右は今回使用した1日乗車券である。終点の貴志駅まで片道360円なので650円の1日乗車券はお得である。
貴志川線は和歌山駅を起点に終点貴志駅までは12駅あり,所要時間は約30分。電車は2両編成のワンマンカーを運行している。電車の種類は普通電車,いちご電車,おもちゃ電車そしてたま電車の4種類がある。運行時期と運行時間が車体ごとに違っているので,乗りたい車体の時刻は確認する必要がある。当日は普通電車とたま電車のみの運行であった。
そして,運が良かったのは貴志駅の改修に伴って1月24日~2月末日まで「たま駅長」は別の場所に一時避難することになっており,23日は1月の最終勤務日だったのである。
貴志川線のホームはJR和歌山駅の9番ホームにある。切符はどこで買うのかと思ってJRの券売機付近を探しても見つからない。改札の駅員さんに聞くと何のことはない,9番ホームの専用窓口で売っているとのことである。JRの改札口で「和歌山電鉄にのります」といえばJRの改札口からホームへ入場できる仕組みであった。
9番ホームをあがり,たま電車とご対面。正面には立派なひげが描き込まれ,いかにも猫である。車体には「たま駅長」の色んなポーズが踊っており,子供や猫好きにはたまらない。あわててエンブレムのアップを取り忘れた。
車内は床材は木を貼り,ベンチ式のシートはデザインを変えたさまざまないすが配置してある。
左はとなりの車両との仕切である。「たま駅長」ののれんが下がっている。右は壁面にしつらえられた本棚。子供が退屈しないように絵本などが置かれている。
ベンチの数々。デザインは異なるが,「たま駅長」をモチーフにしたカバーと壁紙で統一してある。
壁面の照明もねこがモチーフ。ベビーサークルの隣には,エアフォースワンなみに「たま駅長の移動執務室」がある。
床には「たま駅長」足跡がプリントされ,遊び心満点。そして,ベンチの脚は当然「猫脚」であった。
伊太祈曽駅に停車した「たま電車」と終点の貴志駅。この日も「たま駅長」に会いに来た観光客が多かった。
左は貴志駅待合室のある「たま駅長」の執務室。なんだか落ち着かない様子でガラス張りの執務室をうろうろしていた。訪れた11時前後の時間帯は眠っているらしい。右は「たま駅長」。1月最後とあって団体で訪れる観光客も多かった。「写真撮影の際にはフラッシュを焚かないでください」と表示がしてあった。わざわざ来る人は猫好きと見えて,私がいた間にフラッシュを焚く人は皆無であった。「たま駅長」に会いたくて大勢の人が入れ替わり立ち替わり訪れる。猫にすればさぞストレスがたまるだろうと想像する。新駅開業まではゆっくり休んで欲しいと願って貴志駅をあとにした。
大の大人が時間とお金を使って猫を見に行くのかと思われるだろう。しかし,猫好きの私には至福の時間でした。