多摩平和イベント実行委員会

多摩の市民グループが「戦後60年」を契機に地域の視点から、「戦後」「平和」「民主主義」を考える

靖国神社は、天皇のため死んだ人々の顕彰施設ではないのか

2006-08-09 22:52:10 | 靖国
 
小泉純一郎首相の一言、気になることばかりだが、今回の一言はどうしてくれよう。
「それぞれ人の思いがあるから、私がどうこう言う問題じゃない。それぞれの心の問題だから。参拝されてもいいし、しなくてもいいし。自由ですから」
そして、自身の参拝への影響は、「これはありません。それぞれの人の思いですから。心の問題ですから。強制するものでもないし、あの人が、あの方が行かれたからとか、良いとか悪いとかいう問題でもないと思う」
何度聞きなおしてもひっかかる。小泉首相は総裁選で8月15日に靖国神社に参拝すると公約し、「いまでも、公約は公約」とくったくがない。メディアが慣用句として使う、中国や韓国に、どう言われるかは問題ではない。「靖国神社」に参拝することが、首相の言う「二度と戦争をしないという誓いのために英霊に哀悼の誠をささげる」ということになるか、という点に焦点は、絞られるように思う。
先日、安倍官房長官が、隠密裏に靖国神社に参拝していたことが明らかになった。玉串拝礼をしたというから、賽銭箱にチャリンといれ、一礼するのとはわけが違う。しかも、早朝、靖国神社・神主にお願いし、玉串を奉納し、おそらく二拝二拍手一拝の作法で拝礼したに違いない。内閣官房長官と記名し、参拝したというから、憲法20条の「国及びその機関は宗教教育その他いかなる宗教的行事もしてはならない」という規定に明らかに抵触する。確信犯ではないか。
百歩譲って「戦没者に哀悼の意を表する、それがなぜ悪いのか」「心の問題は、ひとそれぞれ」と言われたとしても、一国のリーダーがとるべき行為かどうか、冷静に考える必要がある。確かに、今は戦前の国家神道の時代ではない。しかし、日の丸・君が代の強制やイラクへの自衛隊派遣など、いやがうえにもナショナリズムが高まる仕掛けが随所に表出している時代である。そのような時、首相や官房長官が記名し、さらに国会議員が集団で正々堂々と参拝することは、それを見る人々に、再び、国家(天皇)のために命をささげる、という感性を是とする意識を植え付けることになる。
「靖国神社」は「伊勢神宮」や「太宰府天満宮」など多くの八百万の神を祭っている神社とは本質的に違う。「合格祈願」や「商売繁盛」を祈願し、絵馬を奉納する世の中の「神社」とは明確に違うのである。
 そもそも、「靖国神社」は、1869年(明治2年)、「東京招魂社」として設立される。「勝てば官軍」と言われた官軍側の犠牲者を祀ったのがその始まり。新撰組は勿論のこと、幕府軍の犠牲者は一切、祀られていない。西郷隆盛との西南戦争後、天皇に直結する「別格官幣社」として、その存在を明確にする。官軍とは、薩摩・長州の軍を指してその総称として言っているだけではない。天皇親政、天皇統治のために戦い、尽くした人に天皇として礼を尽くすための神社として誕生したのである。高橋哲也氏(大学教員)は「靖国神社は天皇の軍隊の戦争だけを正義の戦争だと考えて、そのために死んだ兵士だけを英霊として祀るということになった」と説明する。「靖国の妻」「靖国の母」「靖国の遺児」という言葉の意味は、天皇のため、戦い死んだ人々の犠牲を喜び、天皇中心の国体を維持するための、精神的高揚をはかるものだった。高橋哲也氏はこの仕組みを「国民精神総動員」と定義づける。
 「靖国神社」に参拝者用の見学施設として「遊就館」が作られているが、この施設は、天皇のために戦ってきた日本の歴史を肯定し、過去の侵略戦争を、まさに聖戦として位置づけ、宣伝している施設でもある。
このように国家神道が解体された今日、国家神道が亡霊のごとく蘇った「靖国神社」に祀られること、参拝することが、「二度と戦争をしない」という誓いになるのだろうか。ここ数週間、「靖国神社」を特殊法人化する、無宗教化し、A級戦犯を分祀するというような提案が一部の政治家から出ているが、天皇のために戦った歴史を肯定し、聖戦とするような「靖国神社」に、このような提案は現実的にありうるのだろうか。
「靖国神社は追悼施設ではなく顕彰施設。つまり天皇のために死んだ人を褒め称えるための装置。施設であって、実は戦死者の死を悼むための施設ではない」(高橋哲也氏)のだから。



映画「あんにょん サヨナラ」上映会

日時 8月12日(土)午後2時半、6時の2回上映
      加藤久美子共同監督の講演あり。
      前売り大人1000円18歳以下500円
場所 多摩市立永山公民館ホール(京王線・小田急線永山駅下車)

 日本軍に徴用され、中国で戦死した父を持つ韓国在住のイ・ヒジャさん。映画は彼女が、父の死を90年代に入ってから知るところから始まる。父は遺族の知らないうちに日本政府の手により靖国神社に合祀されていた。彼女は、靖国神社から父を取り戻すべく、闘いをはじめる。父の足跡を追う旅にもでる。
「父の名前をかえしてほしい」と。

主催 多摩平和イベント実行委員会
後援 多摩市教育委員会

お申し込みは下記ホームページまで。
http://taenoha.com/tamaheiwa


 

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