医療崩壊
2022-02-09 | 日記
心筋梗塞で救急車を呼んだ高齢の方が、何件もの病院に断られた挙句に自宅での療養になり、その後まもなく亡くなられたという。コロナ専用病棟を確保したと行政は言うが、比較的軽症で済むという変異株で確保したコロナ用のベッドはかなり空きがあるとも聞く。一方で、いつもなら救急医療によって少なくとも命は取り留めた可能性のある急性期の患者が、病院での検査・治療も受けられないままで死亡してしまうとは。
2年前、新型コロナが猛威を振るった欧米の都市では同様の状況が頻発し、「医療崩壊」の名称で報じられた。今の日本の状況は「医療崩壊」という呼び名で事例を報道するものの、行政側には「医療崩壊が始まった」との認識は無いらしい。「我が国ではワクチン接種が欧米より遅れたから」という理由で、何事も数カ月遅れで進めているのが自然だと思わせたいらしい。
コロナ感染での死者は、これまでよりずっと少なく抑えられているというが、寒い冬で例年救急搬送の要請が増える季節にも拘らず、事態は一向に好転しそうもない。そんな中で政府も地方行政も有効な手を打とうとせず、まるで「そのうちコロナ感染が減少に向かえば全ての問題が無くなる」と言わんばかりに思えてくる。
もとから多くの課題が指摘されていたこの国の救急医療体制は、新型コロナ感染拡大という非常事態を経て根本的な解決を突き付けられた感がある。それでも政府・行政側は、その解決を目指そうとするどころか、この事態を耳を塞ぎ眼を瞑ってやり過ごそうとしているようにしか見えなくなって来た。