愚ダメ記、真誤付き、思い津記

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土石流

2021-07-03 | 日記

梅雨前線の北上に伴って梅雨明けの豪雨災害を心配していたが、記録的な豪雨でなくとも記録的な大災害が起き得ることを目の当たりにすることになってしまった。熱海で起きた土石流の凄まじさは、これまでの想像を超えていた。しかも、大きな雨量を記録していたものの広島での豪雨災害や球磨川氾濫の時に比べると、そこまでの豪雨ではない中での大被害発生だ。ハザードマップでは警戒地区に指定されており、しかも昼間の土石流発生なのに多くの被害者が出てしまったことは、多くの人に警戒心を呼び覚ますほどの豪雨でなかったことを示すのかも知れない。

 昼間だったので土石流の様子が映像に捉えられており、その威力と危険性を全国の人々に伝えることになった。土石流は繰り返し何度も重なるように押し寄せていて、沢筋に建てられていた多くの家屋・施設が流されたのだろう。何人か無事救助された方も居ると言うが、まだ20人以上が行方不明になっているらしい。土石流に命を奪われた方々の中には、咄嗟に何が起きたのか分からないままの方も居たかもしれない。その痛ましさを言葉で表すことなど出来るはずもなく、ただ「魂よ安らかに」と祈るしかない。

 「これまでに、こんな事は無かった」とある住民がインタビューに答えていた。何十年も、あるいは百年も二百年も崩れたことが無い崖や山も、いつか崩れて災害となる可能性があるということを、今回はあらためて思い知らされた。世界中の山々が数万年かけて侵食され続けた姿を我々に見せている。つまり、長い期間で見れば山は必ず侵食され、川はいつか氾濫する可能性があるものなのだと。人間が生きている時間でそれを推し量ることは難しく、何も起きないように見えても、それは地質・地形変化の時計においてはほんの一時の事に過ぎないのだと。今回の場所でも、もし上流で小さな土石流が何度か起きたりすれば住民の多くが警戒し避難していたのかも知れない。これまで何も起きなかったことが、いざ起きた際の被害を大きくしてしまう。

 普段をはるかに超えた豪雨でも、すべての山や沢で土石流が起きるわけでは無い。むしろ、起きない所の方が多いだろう。それが、「ここは大丈夫」という油断を生んでしまう。怖いような豪雨でも崩れなかった山が、普段より少し多い程度の雨で崩れることがあると今回教えられた。今後、気候変動で想像以上の雨量を覚悟しなければならない日本列島では、どこにいても「起き得る災害」への恐怖と最大限の警戒を忘れてはならないのだろう。特に、山肌に張り付くように建物が並ぶような地域では、「かなり早めに地域ごと避難する」ことまで想定する必要があるのかも知れない。それは日本人の住み方をも大きく変えるかも知れない。少なくとも関東以南の日本は、凄まじい雨季を持つ熱帯地域の山地と同じような場所へと変わって行くのだろうか?

 

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