Sydney Yajima


GSM会員希望者は下記のURLへお進みください。
http://www.gsm.jp/

無策ゆえ 日本経済は かく生き残る

2011-08-27 21:03:04 | 経済
アメリカは2008年以降、ドルのマネーサプライを3倍にまで増やした。
もちろん、ヘリコプター ベンの本領発揮なのだが、リーマンショック以降、彼の取った策といえば、マネーサプライを増やすことだけだった。
そして、これは、なんらかの解決になったか?
と聞かれれば、私は躊躇なく答える。
「悪くなったのだ」と。
そう
解決どころか、問題は、ますます 深刻に、かつ複雑になり、そのうえ、戻れないターニングポイントを超えてしまい、アメリカドルは、過剰供給の影響を受けて、S&Pが、それでも お手柔らかなAA+にしたけれど、本当のアメリカドルの価値は、もっともっと悪いのである。にもかかわらず、アメリカは、S&Pに対し、文句を言っている。
透明性がないとか、どういう判断基準で行われたのか?とか、一体誰の判断なのか?などという言いがかりにも近い悲鳴をあげている。大統領は、「誰が何と言っても、アメリカドルは アメリカドルである」と異例の 通過基軸宣言とも言える声明を出した。
声明を出した というのは、正しい言い方ではないかもしれない。
声明を出さざるを得なかったと 言い換えるべきだろう。

日本はその後、円高となったが、多くのアナリストが認めるように、これは円高ではなく、ドル安であるということが すでにはっきりしている。
今後、アメリカドルはますます その価値を下げていくことになる。
このことは、すでに、日本の企業も金融機関もしっていることだ。
そこで、日銀は、なにをしたのか?


日銀はあくまで保守的な方法で、やりくりしてきた。
日本円の マネーサプライをそれほど極端に増やすこともせず、したがって、円高となるのだが、そのたびに、日銀はそれまでのお約束どおり、介入をした。
円高になるのは 当たり前である。なぜなら、ドルという商品が 3年間で三倍の量を増やして市場に出回っているのだ。
分かりやすく言えば、これから、秋刀魚の季節なので、これを例に挙げてみよう。
例えば、毎年、秋刀魚が 倍の漁獲量が増えたなら、どうなるかと考えてみて欲しい。
おそらく、スーパーマーケットでは、去年は一匹100円で売っていたものを2匹100円 あるいは、3匹で100円の激安とするか、あるいは、一部を冷凍食品として凍らせておいて、売るのを控えて値崩れを防ごうとするだろう。
円高は、三匹100円の状態であり、冷凍は、日本や中国が、ドル建て債を買うということである。
いずれにせよ、誰も消費しきれない量の秋刀魚が、市場に出回っているということなのだ。


ドルがどんどんと傷だらけになり、アメリカは彼自身の性格と反省のないままに、今までのやりかたで突き進む。GMは、今までどおり古臭い内燃機関から脱却することなく、ただ、他のカーメーカーが悪いと言い続けることで、口先だけの自己防衛をして 高い役員報酬を受け取る体質をそのままに進んでいる。

彼らが どれほど怒っても、泣いても わめいても、消費者は自分の丈にあった背広しか着ない。
フォードは 豊田とさっさと手を握り、新しい方向性を探し始めている。GMよりは、柔軟性がある。
アメリカは、銃社会でいまでも、西部劇とカーボーイが大好きなのだろう。ハリウッド映画は 相変わらず、ドンドン パチパチをやっているだけで、かつてのような人間性の奥深くを描写することは、なくなってしまった。

こういう中で、日本は何をしてきたか。
まったく、何もしてこなかったのである。
そう、まったく だ。

けしからんではないか
今は中小企業も ひいひい 言っているのに、何もしないなんて・・・
と 嘆くか 怒り心頭の諸兄がいるなかで、私は 「はて、そうかな?」と考えるのである。

日本の 何もしなかった日銀や、政府は、彼らの意図がなんであったにせよ、あるいは偶然の僥倖であったにせよ、もっとも優れた選択をしたのでは、ないだろうか?

もし

日銀あたりに、ベン バーナンキーのような優秀な学者がいて、同じようなマネーサプライを増やす政策をとっていたら、日本は、どうなっていただろうか?
アメリカと道連れに 地獄へまっしぐらに走っているかもしれないのである。

日本はしかし、ひどい景気ですよと、いう人もいるかもしれない。
しかし、断じて言うが、世界のどの国に比べても、日本はずっとずっと、良い状態なのである。
東日本大震災にあい、原発の放射能がもれている上に、失業率が、5%を超えているのにもかかわらず ですか?
と言う声が聞こえてくるが、私はそれにも迷わず、「YES」と答える。
日本は、ずっと マシなのである。

世界は、日本にいる日本人には想像もできないほど変わってしまっている。
それも、ずっとずっと悪いほうに、だ。

日本人はここ数年、あまり海外旅行をしなくなった。
しなくなったのは、できなくなったからだ。金がないからだ。と言う人もいるかもしれない。
だが、そうではない。

出来なくなったのではなく、海外に行く理由がさしずめ見つからなくなった。
つまり、外国へ行く楽しみが 以前ほど感じられなくなったということなのである。
それよりも、日本の国内で、ゆっくりしていたい
そう考えるようになったのである。
もちろん、JALもJTBにしても、そういう日本人の変化に対応できず、赤字を出し続けている。
しかし、世相は 変わっていくのである。

日本の今後は、おじいちゃんとおばあちゃんが一杯いる、加齢臭と、養護施設の国になる。
こんなことは、ずっと前から分かっていたことだ。
日本人は、そういう選択を ずっと前にしたのだ。
無気力ではなく、日本人は、明治維新から第二次世界大戦の敗戦まで、さまざまな世界の移り変わりのなかで、外国と言うものを常に意識して、頑張り続け、そして、疲れたのである。

世の中というものは、あまり変わらないように見えるかもしれないが、じっとしていることはない。
日本と言う島国においても、そうなのだから、世界の動きという大きなスケールになると、それはさらに、細胞が複雑に分かれていて、到底、一言で言い表せるようなものではない。
ただ、そのなかで、共通して言えることがある。
それは、人間が自然に対して行ってきた傲慢なツケが、今、その何倍もの脅威を持って、その 人間自身に襲い掛かっているという事実だ。

もちろん、津波や地震、台風という災害だけではなく、それはもっと大きな範囲で、確実に人間生活を脅かしている。
ニューヨークには今夜、ハリケーンが上陸するという。
私たちは、そういう未曾有の世界のなかで、いかに子供たちの未来を守っていくのかを、考えなければならない。
そんな 時代にはいっている。

私は、時々 思うことがある。
私たちは、確かに 車を持ち、家電を持ち、そして、幾分かの金を持ち、ほぼ欲しいものをすべて手に入れ、さまざまな経験もつんで、そのうえで、一番大切なこと・・・家族を守るということが できなくなってしまったのでは ないだろうか。

福島第一原発では、地域に、図書館であったり、様々な施設であったり、雇用であったり と住民たちが歓迎するようなことが、たくさんあったらしい。
今にして思えば、それらは、すべて 一体、なんだったのか・・・
と虚しく 空ろで、あまりにも、見苦しい政治家たちや、東電の「大人たち」が、テレビに出てきて、そして、安物の頭を下げているというだけの世界なのである。

私たちは、一体 なにをしてきたのだろう。
アメリカのウォールストリートは、アメリカインディアンを皆殺しにした後地に、建てられたものだ。
ウォールとは、砦があった後なのだ。
あれから何百年かたち、そして、そこで築かれた砦は、また崩されようとしている。
虚しいのは、アメリカン インディアンたちだけではなく、世の中のすべて・・・

まったく、祇園精舎の鐘の声・・・である。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。