モントリオールの地図を見ると、街のあちこちに大小の緑地(=公園)が広がっています。 モントリオール市立のイル・ビザード自然公園( Parc-Nature-du-Bois-de-l'ile-Bizard )も、そのうちの1つです。 イル・ビザード自然公園の案内図
遊歩道が整備されていて、小さな管理棟、駐車場、食事指定場所(テーブルとイスが設置されています)などがあるだけですが、面積は1日十分楽しめるだけの広さがあります。
このような公園はたくさんあるのですが、街の中心部にあって見晴らしも良いモン・ロワイヤル公園を除いては、観光的にはほとんど知られていないようです。 公園はセントローレンス川に接しています
この公園の特徴としては、湿地が多いことでしょうか。 日本では木々に囲まれて1日歩くとすれば近郊の山に登るのでしょうが、ここでは標高差のほとんど無い平地の林の中を歩いて自然を楽しむことができます。 私もたくさんの植物や虫や鳥を見ることができました。
モントリオールの街で、ビルが立ち並ぶダウンタウンは日本のオフィス街とそんなに違った印象を受けないのですが、住宅や店が入り混じるような場所では、いろいろとおもしろい発見がありました。 今回はそのうちの特に日本との違いを感じた樹木と車について書いてみたいと思います。
上の写真は住宅街を撮ったものですが、大きな木の多さが目立ちます。 右端に少し家屋が見えていますが、他の家屋は木に隠れてはほとんど見えません。
モントリオールでは行政側が木をとても大切にしています。 日本なら道路標識や信号が隠れないよう、街路樹は強く剪定されますが、モントリオールでは標識よりも木が大切なようです。
宅地の庭の木も、たとえ鳥が運んできた種子が芽生え、知らないうちに伸びていた木であったとしても、数十センチに伸びた木は、当局の許可が無いと、勝手には切れないようです。
下も1枚目と同様の写真で、ほとんど宅地が見えませんが、木に隠されて宅地が並んでいます。
1枚目の写真も上の写真もですが、駐車している車が目立ちます。 走っている車が少ないのは休日の早朝だからですが、とまっている車の多くは住民のものです。
モントリオールの道路の多くは、路上駐車を前提にしているようです。 もちろん駐車してもいい場所といけない場所は厳密に決められています。
上の写真で、道路の右と左で車が同じ方向を向いているのは、これだけの道幅があっても、一方通行だからです。 一方通行の道がたいへん多いように思いました。
信号は、日本に比べると少ないように思いました。 かわりに多いのが、下の写真の一時停止の標識です。
上はダウンタウンに近い場所ですが、このような車も人も多い所でも信号は無く、一時停止の標識があります。 上の写真では、3方向から来る車は、この交差点で一時停止( 2秒以上の完全な停止 )をしなければなりません。 残る一方向は、一方通行で、車は来ません。
この一時停止は、取り締まりの厳しいこともありますが、どの車も驚くほどきっちり守っていました。
結果としてどういうことが起こるのか。 次の文は、車は右側通行ですので、日本とは左右を逆に考えてください。
───┘ └──
← ②
③ →
───┐ ┌──
①
例えば交通量の多い交差点で、自分の車は①にいて、左折して②の方向に進みたい場合、自分が先に①の位置で一時停止しておれば、③からの車が多くても、その車は必ず一時停止しますから、その間に左折すればいいわけです。 「優先道路」という概念は無く、交差点への先着が優先されます。
住宅地では交差点が多くなりますが、必然的に頻繁に一時停止しなくてはならなくなり、車はスピードを出せないことにもなります。
もうひとつ、とても驚いたのが上の写真です。 この道は片道3車線です。 右端に止まっているのはスクールバスで、児童の送迎中です。 スクールバスは「 ARRET 」(フランス語で「停止」)という表示を出しています。
スクールバスは児童の乗降時にこの表示を出します。 すると、同じ方向に走行しようとする後続車(上の写真のケースでは3車線全ての車!)は、この表示が引っ込むまで(=スクールバスが動き始めるまで)停止していなければなりません。 児童の飛び出しを考えてのことなのか、スクールバスが停止していることで後続車が車線変更しようとする時の事故を回避しようとしているのか、とにかく日本では考えられません。
モントリオールは完全に車社会です。 ほとんどの人が車に乗り、免許は簡単に取れますし、車検もありません。 全て自己責任です。 ですから、運転の下手な人も走っているでしょうし、整備不良の車も走っているでしょう。 日本とはかなり異なる車社会で、交通規則もそれに合わせて違ったものになる必要があるのでしょうね。
モントリオールの聖ジョセフ礼拝堂( Oratoire Saint-Joseph du Mont-Royal )は、カトリックの礼拝堂で、バチカン市国のサン・ピエトロ寺院に次いで世界で2番目に大きいものです。
もともとは、この礼拝堂の前にあるノートルダム神学校(現在は中学校)で門番として働いていたアンドレの所に病人や悩みのある人が訪ねてくるようになり、アンドレは聖ジョセフ(キリストの養父)に祈るように勧めると共に香油を塗り癒していましたが、次第に多くの人が集まるようになってきました。 アンドレは修道士として丘の上に小さな礼拝堂を作りましたが、特に足の不自由な人達がアンドレ修道士にお祈りしてもらい歩けるようになった話が広がり、世界中から人々が集まりだしました。 アンドレ修道士は「奇跡の人」と呼ばれ、小さな礼拝所では信者が収まりきらなくなり、信者達の義援金により現在の礼拝所が建てられました。 2階の特別展示室には、アンドレ修道士の心臓が保存展示されているそうです。(私は時間外で見ることはできませんでした。)
上の写真で、礼拝堂正面に至る階段が3列あります。 左右の階段は観光客など、誰でも通ることができるのですが、中央の階段は木製で、信者が祈りながら1段ずつひざまずいて上っていく階段です。 私も2人の信者が上っていくのを見ましたが、1段上っては深々と祈り、また1段と上っていく姿には、カメラを向けることもできませんでした。 礼拝室は複数あります
礼拝堂の中には、来る時は杖に頼っていた人が、帰る時には不要になったという杖が、たくさん奉納されています(上の写真)。
モン・ロワイヤル公園( Parc du Mont Royal )は、モントリオール( Montreal )のほぼ中央に位置し、標高 232mの小高い丘を中心とした公園です。 mont は英語では mount つまり「山」で、「モン・ロワイヤル」は「王の山」という意味です。 じつは、綴りを比較してもわかるように、モントリオールの名前は、この小高い丘モン・ロワイヤルに由来しています。 丘の半分は広大な墓地( Notre-Dame-des-Neiges )になっていますが、山に墓地を作るのはイギリスの慣習です。 そして丘の残りの部分が、ニューヨークのセントラルパークと同じデザイナーにより、公園に整備されています。
公園といっても、日本の公園のような子供用の遊具があるわけではなく、芝生の広場や、林を巡る散策路が整備されていて、中腹には上の写真のような展望台が設けられています。 また山頂には高さ30mの十字架が作られています(下の写真)。
公園内の林は、本来の自然植生に戻そうとする取り組みが行われていて、許可なく散策路を離れて林内を踏み荒すと、処罰されるとのことです。 私にとって、この公園はモントリオール付近の自然植生を知るいい機会となりました。
モン・ロワイヤル公園に隣接するノートルダム・デ・ネージュ墓地(Notre-Dame-des-Neiges)は、日本的に言えば広大な公園墓地と言っていいでしょう。
墓地入口のゲート
墓石が並んでいますが、まだ墓石が並んでいない場所も広く、そのような場所は芝刈りが行われていますし、いろんな野草も入り込んでいます。 また、日本のように墓参時に切り花を供えるのではなく、墓の前に美しい花を咲かせる植物が植えられています(下の写真)ので、その花を訪れる虫たちもたくさんいます。
あちこちに大きな木も植えられています。 もちろん観光地ではありませんし、墓参の人にしか会いませんでしたが、私にとっては、なかなかおもしろい場所でした。
モントリオールのダウンタウンは高層ビルが立ち並ぶ近代的な街です。
上はモン・ロワイヤル公園の展望台から見たビル群で、その後ろに見えるのがセントローレンス川です。
オールド・モントリオール( ビュー モントリオール )は、上の写真のビル群の背後に接して隠れ、セントローレンス川との間に広がります。
オールド・モントリオールは、かつては城壁に囲まれていた旧市街で、フランスの香りを色濃く残しています。
以下はオールド・モントリオールのスナップ写真です。
モントリオール市庁舎
モントリオール市庁舎(裏から)
旧裁判所(裏から)
ネルソン提督(注1)の碑
ジャック・カルティエ広場
サン・ポール通り東
観光用の馬車
あちこちにオープン・カフェ
ノートルダム大聖堂
モントリオールの創始者 Paul de Chomedey の像
後ろはバンク・オブ・モントリオール・ミュージアム
(注1) フランス色の強いモントリオールですが、イギリス海軍の英雄ネルソン提督の像は、モントリオールがイギリス支配下にあった時代のもののようです。