今年の夏は特に暑く、近くの山に出かける気にもならず、北海道でコケ観察を兼ねて山歩きをすることにしました。
北海道はヒグマが怖いので、あまりヒグマが出ない観光地の近くでコケ観察に良さそうな場所を調べると、然別湖が良さそうです。 ここは観光船が出たりカヤックの人なども多い観光地ですし、大雪山国立公園の端に位置し自然は豊かです。
大阪から十勝空港(上の写真)へ、そこからはレンタカーです。
然別湖は然別火山群の活動によりヤンベツ川が堰き止められてできた堰止湖です。 然別湖南側の新期火山群の火山活動は約30万年前以降で最新の活動は2万年前より新しいことが知られています。
変化のある軽登山道があちこちに設けられています。
登山道のあちこちに、火山活動でできたガレ場(岩塊斜面)があり、ナキウサギの住処になっています。 また、このガレ場が多くの風穴をつくり出し、特殊な植生が見られます。
「日本の貴重なコケの森」にも選ばれています。 上は赤く色づいたミズゴケの仲間です。
観察したコケは「そよ風のなかで Part2」に載せていきます。
最終日は帯広百年記念館でいろいろお勉強。
紫式部の生涯がNHK大河ドラマ「光る君へ」で描かれていますが、紫式部が『源氏物語』の着想を得たとされる石山寺に行ってきました。
境内には大河ドラマ館が作られ・・・
境内の至る所に幟(のぼり)が立てられています。
紫式部像もあります( 上の写真:2018年12月撮影)。
が、それらを横目に見て、目的はコケ観察。 石山寺には、コケ観察を目的に、2015年5月と2018年12月にも訪れています。
石山寺は東は瀬田川に面していますが、北、南、西は林で、境内も広く、多様な環境があります。 多様な環境には多様なコケが見られます。
特に・・・・
本堂 (2018年12月撮影)
石山寺の本堂は珪灰石(けいかいせき)の巨大な岩盤の斜面に建てられた懸造(かけづくり)です。
珪灰石と多宝塔
珪灰石(wollastonite、ウラストナイト)とは、石灰岩にマグマが貫入してきた際、その接触部付近にできるスカルン鉱物です。
境内には石灰岩の露頭もあちこちに見られ、石灰岩上には石灰岩特有のコケが見られます。
2023年12月30日~2024年1月1日に高知県に行ってきました。 2023年は牧野富太郎ブームであったということもありますが、主目的は「日本の貴重なコケの森」にも選ばれている横倉山で、ここには石灰岩が多く、石灰岩につくコケを観察することでした。
観察したコケは「そよ風のなかで Part2」に載せていきますが、横倉山は安徳天皇にまつわる伝説でも知られている山で、以下はこのことについてです。
安徳天皇は下関の壇ノ浦の戦いで入水したとされています。 しかし、一説によると、屋島の戦いで源氏に敗れた平氏は、天皇の身代わりを立てた本隊を壇ノ浦に向かわせ、幼帝安徳天皇を擁した平家一門80余名はひそかに四国に上陸し、1年数カ月の潜幸の後、横倉山にたどり着いたとされています。 この説によると、安徳天皇は23歳で崩御し、横倉山山頂近くに奉葬された所は「越知陵墓参考地」として宮内庁所管地になっています。
横倉山には、安徳天皇にまつわる遺跡が数多く点在しています。
上は横倉山山頂にある横倉宮で、巨大な石灰岩の上に建てられています。 祭神は安徳天皇で、崩御された年に平知盛が建てて祭ったとされています。 知盛も壇ノ浦の戦いで自害したとされていますが、上記の説では幼帝と共にこの地に隠れ住んだことになっています。
上も巨大な石灰岩で、平家が身を潜めた穴とされていますが、今は崩れてしまっています。
横倉山中およびその周辺には安徳天皇護衛の従臣80余名の墓祠があり、横倉宮の摂社末社として祭祀が行われてきたのですが、戦後腐朽し不明になるものがあったため、御霊を1つの宮に招霊されたのが、上の「平家の宮」です。
上は横倉宮表参道入口で、横倉山登山道の1つになっています。
今年も残すところあと2週間、1年を振り返ってみました。
講師など
・1月 咲くやこの花館「コケ展」でコケの観察・解説ツアー(午前と午後を2日)
・4月~(来年3月) 大阪動植物海洋専門学校講師
・4月~9月 NHK文化センター京都教室で「ミクロで楽しむコケの不思議」講師
・5月12日~13日 愛知県 愛知緑化センターで講演「不思議なコケの国」
・10月~(来年3月) NHK文化センター京都教室で「身近なコケの不思議な世界」講師
・11月10日~12日 京都「苔こけコケ展」観察会テキスト作成と観察会講師
コケ観察旅行
・1月16日~18日 奄美大島
・3月8日~11日 屋久島(コケフォレーに参加)
・5月12日~13日 愛知県 段戸裏谷・面ノ木(苔むす会主催)
・6月23日~25日 北八ヶ岳(岸本氏主宰)
・9月8日~11日 阿寒(オカモスメンバーと)
・12月29日~1月1日 高知(予定)
その他
・オカモス関西 コケサロン観察会
・近郊でのコケ観察(箕面、京都府立植物園、くろんど園地など)
9月8日から11日までの3泊4日で、阿寒周辺でコケを中心に楽しんできました。
「たんちょう 釧路空港」でシマフクロウのオブジェがお出迎え
雄阿寒岳と野口雨情の歌碑
阿寒湖
阿寒川
観察地の1つ(雌阿寒温泉近く)
湯の滝
微生物の働きで作られた二酸化マンガンで真っ黒になった岩
オンネトーに映る雌阿寒岳(左)と阿寒富士
観察したコケなどは順次「そよ風のなかで Part2」に載せていきます。