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ねがうこと、ゆだねること

『河北新報のいちばん長い日』

2012-01-17 | 環境
仙台に本社をおく東北の地方新聞
河北新報が震災にどう対応したかの
ドキュメントを書いた『河北新報の
いちばん長い日
』(文藝春秋)を読む。

それは被災した新聞社がどう被災者と
地震&津波と向き合ったかの物語。


311当日の号外は新潟日報の助けを得たもの

取材をすること、その原稿をデスクに
送り込む困難さは全国メディアと変わらないが、
(それも他紙より大変だったんだけど)
それを編集→印刷→配送→配達→集金
することがどんなに大変かそしてそれを
どう切り抜けて、休刊をせず継続できたか。
販売店では24人以上の犠牲者も出たそうだ。

備えもあるがいろんな人達の熱意、協力の
総結集につきる。1日2回約50万部を発刊
するのだから。

電力、通信がとまると、テレビ、ラジオ、電話が
繋がらない被災者からどれほど新聞が必要とされたか。
新聞を渡してごくろうさま、と言われたことはあったけど
ありがとうって言われたのは初めてだったそうだ。



記者の宿命だが、被災している人を助けるのか
報道をするのか・・に悩む・・例えば取材をする
ヘリコプターに救助を求めて手を振る人々の
建物に着陸できない。

他紙が載せる悲惨な写真をあえて載せないことで
被災者と共に、の立場を鮮明にしていく。

支援物資や手紙、投稿が全国から寄せられる
ことも、絆を文字通り感じるものがたくさん
感じられる一方で、被災地の盗難やフクシマへ
取材できない悩みから記者を辞める話まで進行物語。

一連の報道で河北新報は去年の新聞協会賞を
受賞している。



すべて実名入り。文章を読むことで彼等の
状況、悩み、そして解決していく様子が
想像できるのが不思議だとも思う。想像を
こえたできごとだから。

でも、「今も、私たちの東北は大震災の
ただ中にある」との言葉は東京にいる
ボクはどこまで理解できるのだろうか。