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ねがうこと、ゆだねること

試写会キム・キドク監督『アリラン』

2012-01-18 | 映画
韓国のキム・キドク監督の
「アラリン」の試写を観る。
この監督の映画を初めて観る、
っていうのはちょっと恥ずかしい?

そりゃそう。わざわざ言わないで
隠しとこうかと思った。有名みたいだし
なんせ面白かったし。



彼のファンには堪らないだろう。
2008年の夢を最後に、映画界から
忽然と消えたそうだ、キム監督。
13年で15本も映画を撮ってきたのに
突然復帰だったらしい。前触れもなく。

しかも超セルフムービーをもって登場。
なぜ消えたのか、何をしてるのか、
映画は撮らないのか?

それを2人目のキム、3人目のキムが
キム本人に質問したり、つっこむという独特の
形で独白が続く。対話、そしてそれに
コメントする自分?1人三役のような、
でも全部キムが演じている不思議な感覚。

全面彼だけの感覚が全開だ。主演、監督は
もちろん編集、音響、美術まで。どうやって
撮ったのかなっていう興味もわくシーンも多い。



恨み=ハンが人々の基本感覚との科白がある。
韓国の人にはよくでてくる考え方。おだやかな
人間関係が好きなボクからは、そればかりでは
ないだろうって思うが、ハンだからこそ、
包まれているユーモアも引き立つのかもしれない。

サド、マゾ、自虐が自分の性格だと言い放ち、
強い映像や科白が今でも目に浮かぶ。

彼が閉じこもったというか引きこもった場所が
雪が積もってたからなおさら印象が強まる。
これが南の島なら、別のイメージになろう。



「人は2~3秒見ればすべてわかる、それを
長く説明するのが映画だ」

「役者は悪人役をやりたがる、それに悪人は
簡単だ。自分の内部の邪悪な部分を見つめて
それを表にだしさえすればいいのだから。」




最後のシーンで「オレのゴミみたいな記憶を
持ってる奴等をピストルで殺す」と言って
でかける。三人別々に、一発ずつ。そして
最後は・・ドキュメンタリーに虚構が入り込んで
いきながらエンターテイメントさせる。

これから彼の過去の作品を観るという
楽しみが一つ増えた。

「第12回東京フィルメックス」観客賞
「カンヌ映画祭」ある視点部門・最優秀作品賞
をそれぞれ受賞。3月から渋谷イメージフォーラムで
公開予定。