goo blog サービス終了のお知らせ 

やまねこマッサージ

ねがうこと、ゆだねること

鳥獣戯画・4巻公開

2014-11-07 | art
昨日に引き続き、国宝鳥獣戯画と高山寺展。鳥獣戯画、
全4巻=甲乙丙丁を一挙に見たのは初。正確にいうと、
前後期で半分づつの展示だから、全体の半分を見れた
ことになる。

すごい人気。4年にわたる修復後の初お目見というこが
大きいのだろうけど、もともと人気が高い。国内外の美
術館からの貸出依頼はひっきりもなし、というか何年待
っても無理っていう状態と聞く。

随所にスタッフが立っていて、「立ち止まらない様に」
と列の動きを促し続ける。じっくり作品を見るのは無理。
全貌を把握するにはよかったかも。甲乙巻が好きだって
ことが、全巻を見てわかる。


擬人化された動物の動きが秀逸の甲巻。


架空の動物もまじる「動物図鑑」の乙巻。

丙乙ってあまり見たことないから、期待していくと、丙
の後半は擬人化した動物なんだけどタッチに力がないと
いうか、うまく真似したろうという感じでいまいち。

乙巻に至っては、動物は出てこないし、描写が下絵みた
いで深みがなさすぎ。こういう類を好きな人も多いのか
しら。



今回の修復を担当しはった大山昭子さんが、丙巻につい
ての新発見を発表してはったけど、

長らく前半が人物画、後半が動物画という組み合わ
せに疑問が持たれていた丙巻について、もとは表裏
の両面に描かれていたものを相剥(あいへぎ)し、
つないで一巻に仕立てたもの



裏紙に描いたのを剥がして2倍にしていたっtこと!
例えばこの写真にあるように、蛙の横にある墨は、
烏帽子の位置にぴったり合う。

気軽に描いたのではないかという推測が生まれる。紙
も繊維が荒い比較すれば安いもの。紙は当時貴重だっ
たにしろ、天皇などが描かせた絵巻などは繊維が細い
高級紙が使わわれるのが常だそうだから。



修復の4年の間、鳥獣戯画と向かいながら地道で細や
かな作業をしていくといろんな発見があるんだろう
なと思う。

大山昭子さんは美術館や大学所属かと思ったら、民間
企業の部長だった。京都にある明治創業の岡墨光堂
いう会社。修復技術も世界的に上がってきているとか。

明恵上人と高山寺

2014-11-06 | art
平成新知館を見終わったのが夕方。本館の国宝鳥獣戯画
と高山寺展
はだいぶ空いてきてて、30分待ちだとか。ちょ
っと揺らぐ。

東京でも来春開催(東博で)されるから、わざわざ待た
なくてもとも思ったけど、京都でこの混みようだから、
東京では見る気が失せるかも、と思い並ぶことに。

鳥獣戯画がメインだし目玉だけど、タイトルの通り絵巻
を所蔵する高山寺の国宝を初めとした名宝たちにまず迎
えられる。お寺さんは平成6年に世界文化遺産に登録。

数多くの文化財が集まっているのも、中興の祖、明恵上
人(1173-1232)が皇族、貴族から武士、女性にいたる
まで広い信頼と尊敬を得たからだ。


国宝 明恵上人像

明恵上人が著した華厳経に関する真摯な書物にもみいる
けど、なんといっても「夢記」。19歳から60歳まで、見
た夢を書き続ける。おそらく人類最初といわれている、
長期間にわたる夢の記録。実物は初めて。


重要文化財 明恵筆 1191

華厳経の書とは違って、軽やかな筆致。絵もあるんだ。
仏様や道具など夢で見た絵が書かれている。そして「華
厳宗祖師絵伝」って絵巻まで。

明恵上人が発案と考えられているが、華厳宗の開祖の伝
記を描いたもの。

善妙という女性が開祖の一人に恋するのだけど諌められ、
彼の航海を守るため、海に飛び込み!龍になって!!守る、
という物語なんだけど、この動きあふれる色と造形。


国宝 華厳宗祖師絵伝(華厳縁起)

一部しか展示されてないけど、カタログにはかなりの部分
が掲載されている。このカタログは出色の出来で、鳥獣戯
画の全巻豆本もついてて、京都国立博物館と共催の朝日新
聞社の本気度が表れている。

にしても、ここまででもお腹いっぱいw後半が鳥獣戯画の
展示に続く。それはまた明日に。

京博・平成新知館・リニューアルオープン

2014-11-05 | art
京都国立博物館の平常展示館がリニューアルして、国宝62点、
重要文化財130点という豪華な「京へのいざない展」へ行く。
「鳥獣戯画展」がお目当てだったんだけど2時間待ちというの
で諦めて、新しくなった「平成新知館」へ。



建替えは20年越しの計画だったそうで、概略はこちらなど。
美術館設計の重鎮谷口吉生さんの設計。葛西臨海水族園と東
博法隆寺宝物館くらいしか行ったことないけど、後者と感じ
が似ている。



大きさが手頃だし、1階2階の吹き抜けが中央にあるから、全
体感を把握しやすい。その吹き抜けには、仏像がずらり。



仏教といえば、空海、最澄、親鸞、明恵といった錚々たる宗教
家の直筆が置かれていた。なかでも書も達人と言われた空海の
書をまじまじと見る。


国宝 金剛般若経開題 空海 

絵巻物好きとしては、動物が武士になっている「十二類絵巻」
が見れて満足。


重文 十二類絵巻

国宝、重要文化財っていっても、これがなんでなんだろうって
思うのもある。逆にこれはなんで国宝でないんだろうって感じ
るのも。とくに縄文時代のものなど。国宝選定の基準がわかっ
てないw

絵と古道具の展覧会「エノナ」

2014-11-01 | art
地元のギャラリー・◯ミで久しぶりの展覧会が
始まっている。国立ローカルな組み合わせで、
国立に住む近藤晃美さんの油絵が、国立北口で
古道具屋コレノナを始めはったしまもとありさ
んの古道具に囲まれたコラボ企画。



題して絵と古道具の展覧会「エノナ」。11/17ま
で。時間が止まったような、懐かしい感じの趣き。



アトリエみたい、と在廊中の近藤晃美さんに話す
と、こんな整然としてなく、散らかし放題ですよ、
と笑う。そりゃそうだw



近藤さんの描くのが身近なものばかりということ
も、古道具とマッチしている。古道具もいつもの
お店とは違って、お家にあるみたい。



よく見ていくと、古道具に描いたものもある。面
白いって思い、古い小皿に電球を描いた小品を買う。

#5横浜トリエンナーレ2014 in 新港ピア

2014-10-28 | art
横浜トリエンナーレの続き。会場を無料バスで移動
して、新港ピアへ。海沿いにあるし、倉庫を改造し
たいい会場なんだけど、ほとんど稼働していないの
では。駅からちょっと遠いだけなんだけど・・

こちらの会場も入ってすぐの大空間に大きな作品が
ある。


やなぎみわ《移動舞台トレーラー》 2014

やなぎみわさんって、写真などを使う作家では・・
と思ってると、2010年より演劇にも取り組んでる
とか。製作過程はこちらに。


設置時の映像。

会期当初にポールダンスショー(!)をやったり、
いとうせいこうさんとのトークショーが開かれたそ
うだけど、その演劇は披露されなかったとか。


イライアス・ハンセン《It ain’t what it seem》 2012

吹きガラスの制作もしてはったそうだけど、あえ
てフラスコなどの既存の実験器具などを組合せた
一種のマイクロポップアート。印象的。

奥の空間には、大竹伸朗さんの新作が鎮座。



彼の手によるイメージ図が意外にかわいい。



この他、BANK ART や黄金町でも作品が展示されい
るそうだけど、そこまでは行けず。また森村泰昌さ
んは今回に備えて、世界の作品や作家に会っていき
はったけど、アジアまではカバーできなかったとか。

そこは、福岡アジア美術館と連携展示を依頼するこ
とで補完しているそうだ。#5福岡アジア美術トリエ
ンナーレ2014
といって、 11/30まで。

#5横浜トリエンナーレ2014 in 横浜美術館

2014-10-27 | art
来春開催予定のOpen Show CP+の打ち合わせ
に、横浜美術館へ行く。大雪で今年は中止に
なったことは、ここにも書いたけど、はるか
昔のことの様。

Open Show Tokyoの方は6月の山谷佑介さんを
もってしばらく場所探し中。第2回からずっとお
借りしてた東京都写真美術館が2年間の改修閉館
となったからね。



打ち合わせが終わって、横浜トリエンナーレを見
る。アーティスティック・ディレクターは森村泰
昌さん。現代美術のフィールドから「忘却」をテ
ーマに作品を世界から集めはった。

今回はいわゆる旬の作家を紹介するショーケース
ではなく、我々が大切だと思っているテーマを反
映するビビッドな作家たちを選んでいる。生と死
の関係を考えることは忘却というテーマを考える
上ですごく重要。

彼の視点が一貫していて、各エリアの説明も彼の
言葉だから、自然彼の声で読んでいるし、彼とど
こか対話している感覚を、作品をとおして感じる
のが、キュレーターとは違う。

たとえば、第二次大戦を翼賛した詩をかいた、高
村光太郎、北原白秋、佐藤春夫、三好達治、草野
心平らの詩集が「大谷芳久コレクション」から一
部が展示;



戦時下でベストセラーになったこと、だけど戦後は、
本人も社会も封印し、「忘却」の中に押し込められ
たこと、なんて初めて知る。「忘却」させれられる
仕組みへの批判なのか、忘れてはいませんよ、とい
うメッセージなのか。



会場の入口は、横浜美術館の無駄とも思える大空間
をうまくつかった、マイケル・ランディの《アート・
ビン》 2010

美術のためのゴミ箱で、作家が失敗作を棄てるとこ
ろという作品。高いところに登って、作品を投下す
るのはどんな気持ちだろう。会期終了が近づいたけ
どそんなに溜まっていない。平面作品ではなかなか
空間をかせげないとか。


福岡道雄《飛ばねばよかった》彫刻 1966

昭和40年の作品とは思えない。
吹き抜けの空間にうまくはめ込んだ、


林剛+中塚裕子 《法と星座・Turn Coat / Turn Court》 2014

ちょうど反対の半分を使って、テニスコート風なもの
が展開されている。

ウィレム・デ・クーニング展

2014-10-24 | art
ウィレム・デ・クーニング(1904-1997)がまとまって見
れるのは、日本で初という企画展が、ブリヂストン美術館
で開催中
。1/12まで。

海外でもたくさん所蔵している美術館はあまりないのでは。
その点、本展はデ・クーニングの有数のコレクションをも
つアメリカのジョン・アンド・キミコ・パワーズ・コレク
ションから油彩、水彩、素描作品27点が来ている。



後半生の1960年代の女性像が中心。50年代のような激しさ
は影をひそめ、「溌剌として健康的、時に滑稽な性格を示
している。」(カタログより)。

だから、ある意味なごやかに作品を見ることができる。ブ
リヂストン美術館の奥の2部屋が展示場所で、静謐な空間で
椅子に座ってゆっくり眺めていた。



それだけに前半性の独特な作品群をいちど見てみたくなる。
2011~12年にMOMAで大回顧展が開かれたのは羨ましい。

いつか日本で開催されるといいなぁ。すばらしいサイト
まだ残されている。サイトに作品がタイムラインで分類
れてる表がある。



年代やテーマによって、彼が抽象と具象のなかで揺れ動い
た様子もなんとなくわかる。彼の作品の変遷は河瀬昇さん
「アメリカ現代美術は何を残したか」などにも詳しい。

ルーヴル美術館の銅版画・カルコグラフィー

2014-10-23 | art
大日本印刷が銀座で運営するデザインやアートのギャラリ
ーgggがあってときおり遊びに行くけど、その隣のビルに
Maison des Musées du Monde(メゾン・デ・ミュゼ・デュ・
モンド:MMM)」というミュージアムショップやライブ
ラリーがあるのは知らなかった。

ファサードは割と派手なのに、gggからあっち側にに曲がっ
たことが無かったんだね。



フランス国立美術館連合(RNN)と大日本印刷が2003年に
始めはった共同プロジェクトがMaison des Musées de France
(メゾン・デ・ミュゼ・ド・フランス:MMF)が前身で、
2013にMMMへリニューアルされたとか。

ルーブル美術館を始めフランスの美術館、大英博物館、ボス
トン美術館などのミュージアムグッズ販売が中心みたいで、
4階もあり、地下のライブラリーは無料なのになかなかの蔵書。



とても気になったのが、カルコグラフィー(銅版画)。
ルーブル美術館が所蔵する時代もテーマもさまざまな銅版
画原版を用い、ルーヴル美術館内にあるカルコグラフィー
工房
において、版画職人によって刷ってくれるサービスが
あるという。



これは『エジプト誌』のウニ。形も面白いし、いい刷り。
サイズ:75.6×56.9cm 24,840円は無理がないでしょ。

ナポレオンがエジプト遠征にあたり150名を越える学術調
査団も同行し、幅広い分野での調査を行わたとか。その
研究の記録がフランスの国家事業となり、約900点の版画
図版を含む全23巻の書物『エジプト誌』として結実。


長谷川 潔 《グラスに挿された野の花 (秋)》

1951年に長谷川潔がルーヴル美術館カルコグラフィー室の
ために彫った原版からの刷り。50cm×32cmで27,000円。
詳しくは、サイト参照のこと。

銅版が保存されているから、当時も今も、刷師によって同
じような版画をリーズナブルに楽しめるわけで、うまい仕
組みやなぁと思う。今ではその数、13000枚以上あるとか。



大日本印刷は、ルーブル美術館とデジタル化に関する共同
ラボを開設していたり、ルーブル内にショールームがあっ
て驚いたこともあったし、彼らのリリースを読むと、今で
は展示手法を開発展開しているみたい、詳しくないけど。

「古道具坂田」の美術館「as it is」

2014-10-21 | art
南房総旅の帰り、目白で「古道具坂田」をやってはる
坂田和實さんが1994年にオープンしはった美術館「as
it is」
へ立ち寄る。



2003年に行って以来だから、11年ぶりの再訪。企画展が
ちょうど終わって常設展だったから、当時とあまり変わら
ない物たちに迎えられる。

坂田さんが世界中で見つけてきはった、美しいもの。作
られた年月も場所も関係なく並んでいるから、新しいも
のなのに大昔のものと勘違いしたりする。



この丸い金属製の物は、20世紀の日本の「裂織(さきお
り)」(写真左)と、写真には写ってないけど右側の 15
-16世紀のフランダースの「ゴシックオーク材 ドア」に
挟まれていて、さぞ古いものかと思った。

錆加減や色合いが絶妙。ところがこれは、20世紀の日本
の「ドラム缶 ふた」だそうだ。やられるwどこかの古道
具屋で見つけはったのか、はたまたゴミ置き場で拾いは
ったのか。

松濤美術館での展覧会を見逃したことはここに書いた
けど、そのショックも癒え、やっと買えたカタログに
書かれた序文が坂田さんのやられたいことが集約され
ている。

道具屋を始めはって、去年2013年で40周年だったそう
だけど、最初の20年間は;

美術や骨董の本を読み、美術館を見てまわり、近世ヨー
ロッパの人たちが考え 世界中に広がった美しさの基準や、
著名な日本の数奇者の言葉を丸暗記し、これでいくらか
は美しさが解かってきたと思い込んでいた時期でした。

その時に求め、選んでいたものは、より古く、より珍し
く、技術の完成度が高く、作り手の自己表現の強い物だ
ったように思います。

ところがある時から、ふと、それらの物が少し重くて、
うっとうしく感じるれるようになってしまいました。



(中略)

やっとその時、私にとって、長く連れ添えるものは、技
術の完成度の高さや、めずらしさを誇る美術作品ではな
く、用途のために素材と形が硬く結びついた普段使いの
日常工芸品で、使われ育まれたものなのだと気づきまし
た。 ここではもう作り手の自己表現も、臭いも消え去っ
ています。

(中略)

利休を始め、日本の美術や骨董を選び出す眼のその芯
の部分と大きく重なっているように思えます。 利休に
次ぐ、眼の天才柳宗悦が選んだ物も、又、私たちの前
の世代の青山二郎や白洲正子さんたちが選んだ物もそ
うです。

その大半は日常的なものの中から、各々の想定した建
築空間にぴったりとはもの見立て、選び出し、他の物
と絶妙に取り合わせる、日本の数奇者の眼とはそのよ
うなものでした。

そこでは、作者や作品よりも、選び使う側の眼に高い
評価が置かれていたともいえるのでしょう。

このことは、物に自立や、完成度の高さや、強い骨格
を求める、従来私たちが学校で教わってきたヨーロッ
パの近世美術の見方とは大きく異なっています。


長い引用となったけど、素晴らしい。日本の美に関す
る基準を世界が知りたがっているのだと、坂田さんは
言う
。日本の自然観も知りたがっている様だし。



「as it is」という名前は、柳宗悦が世界工芸者会議と
いうところで自分の美学を発表する時に書いた原稿に
由来したそうだ。

小林賢太郎・初個展「コントや演劇のためにつくった美術展」

2014-10-02 | art
お笑いのユニット・ラーメンズの小林賢太郎さん。NHKで年に1度、
テレビでコントを披露する番組「小林賢太郎テレビ」を見たことが
あって、多摩美卒業を感じさせるアートワークと笑いが印象的だっ
た。

表参道・スパイラルで10/6まで初の個展が開かれれていて、コン
トや演劇のために使った小道具・大道具、それを作るための絵コ
ンテや図面などが展示してあった。

テレビはわりと一方向で時空間が進むから、自分の好きに見るこ
とができるのは、ちょっと新鮮。どこから見ても、どんな時間の
かけかたも自由だからね。



面白かったものの一つが舞台衣装の棚。きっとこの棚ごと舞台に
あって、着替えのシーンなどもあるんだろうけど、棚はもちろん、
衣装も彼がデザインするとか。

市販の洋服に見えるものでも買うのでなく、通気性や動きやすい
素材で衣装さんが作ったものだとか。



舞台でのコントとして映像が展示されてたけど、ネット上でもあ
ったのが「Hand Mime」。背景の絵を描いたものを撮影・編集し
たものの前でパフォーマンスするシリーズ;



この背景の絵が展示されていて、コストも意識した最低限だけど
必要十分な形状のものを見たり、映像と見比べて面白かった。



写真は撮影不可だったので、プレスに掲載されたこことか、ここ
から。