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ねがうこと、ゆだねること

陶工・河井次郎記念館 in 京都

2015-02-04 | art
京都へ出張した折、陶工・河井次郎(1890 - 1966)の
記念館として公開されている元自宅を訪ねる。



大学時代の先生・濱田庄司や柳宗悦とともに戦前戦後の
「民藝運動」の中心人物であり、駒場の民藝館設立に尽
力した人。

若かりし頃は技巧的作品作りでも絶賛されていたところ
から「用の美」へ大転換を行ったことを再認識。



1934年(昭和9年)の室戸台風にて旧居が痛んだのを契機
に、3年後自らが建築、デザイン。棟梁はお兄さん。彼の
美意識と昔の家の良さだらけで、ほんま素敵な家。



吹き抜けあり、中庭あり、周り廊下があって、重層的な構
造で変化に富む。その上、大きな登り窯もあって職住一致
だったことも知る。



登り窯は共同利用で、彼は2番目を使用していたとか。焼い
た器が重ねておいてあって今でも焼けそうだけど、もう窯は
使われていない。いや今でも使えるそうだ。

1964年(昭和39年)、登り窯は公害問題から条例で禁止さ
れ、京都中の登り窯から炎が消えたそうだ。1回に薪を2000
束焼くそうだから、さぞ煙たかったんだろう。


故濱谷浩によるポートレートも飾ってあった。

北九州市立小倉城庭園でこの2/11から「土と炎の詩人 河井
次郎展」が開催されるとか。ポスターが可愛いでしょ;


昨秋オープン「Studio Sori」in 国立

2015-01-25 | art
昨日書いた、オリーブオイルの「ストラーダ・ビアンカ」さんに
置かれたチラシに目がとまる。




「廻航」-8人の作家による連続写真展-

とあるので、店主の山田 亮子さんに尋ねると隣近所に昨秋できた
ギャラリーだと教わる。地元なのに、しかも8連続写真展だとい
うのに知らなかったなぁ。

オリーブオイルをビニル袋に下げてそのギャラリー「Studio Sori」
を訪ねる。2軒並び立つアパートの一室。美容室、整体院、雑貨屋
などがテナントとして入っている静かな一角。12畳のなごむ空間。



店主の宮本うたさんに迎えられる。彼女は写真家だし、オープニン
グが8人の写真家展を連続して半年開催されるから、てっきり写真
ギャラリーかと思ったら、写真だけにこだわるつもりはないとか。

ムサビ、タマビ等あるのに、多摩地区というか都下には現代アート
のギャラリーはとても少ない。若手含め発表の場がほとんどないの
で、有名人ふくめ発表の場にしたいとか。素晴らしい。

さらにギャラリーではなく、スタジオというネーミングには、「そ
こが創意工夫を生み出す実験の場であって欲しいとの願い」が込め
られてるそうで、志はたかい。

佐久間元さんの写真展が開催中なんだけど、その話はまた明日にで
も。

Gagosian・ウォーホル画集

2014-12-31 | art
今年の最後はニューヨークのGagosianギャラリーから出版
されている画集・カタログのことを書くね。恵比寿のBOOK
&ART ギャラリー POST
ではGagosian特集を開催中で、約50
の画集やカタログが紹介されている。

 

いやぁ、これがいい。一つ一つが、作品を越えたというか
作品とは別の作品。アーティストへの愛に満ちているとい
うと言い過ぎかもしれないけど、リスペクトたっぷり。

その中で、とくに魅せられたのが、アンディ・ウォーホル
の『Early Hand-Painted Works』。プリントもいいけど、体
裁も質が高くていい。

 

同名の展示会を2005年秋に1ヶ月間に開いたもので、1961
-62年の手描き、というのもおかしいけど、シルクスクリー
ンではない絵に焦点をあてる。

 

今春の森美術館・ウォーホル回顧展もよかったけど、これは
見たことのない絵も多い。12,000円はちょっと高いけど、こ
のクオリティなら。後から知ったけど、Gagosianでも$100
で販売しているから、POSTは良心的。

 

現在、Gagosianでは村上隆さんの新作展を開催中。311以降、
自然災害を応じて生まれた日本美術を探求し始めたことによ
って生まれたもの。村上隆さん好きでもない人が見に行って、
かなりよかったと興奮気味に話していた。



今年もいろいろお世話になりました。よいお年をお迎えくださ
い。

パルコ劇場・再演「海をゆく者」

2014-12-26 | art
今をときめく役者5人の同じメンバーが5年前の初演を再演
するという「海をゆく者」をパルコ劇場で見る。

演出家の栗山民也さんも同じだし、小日向文世さん、吉田
鋼太郎さん、浅野和之さん、大谷亮介さん、平田満さん。



この売れっ子達のスケジュールをよく押さえたなぁと思う。
12月いっぱいは渋谷で、1月は全国6ヵ所で公演する。

吉田さんがボクより2歳年上、他の4人は1953か54年生まれ
で還暦を迎えている。30年以上舞台に立ってるし、小劇場の
出身の役者ばかり。

小劇場出身だからこそ、この汚さが出るんじゃない?w(平田)
そうそう、お金がない感もでるよねw(大谷)

クリスマスのできごと。吉田鋼太郎さんと平田満さんが兄弟
の役で1軒家に住んでいるところに、他の3人が遊びくる。み
な酔っぱらい。濃くって男臭い舞台。女っ気もゲイっ気もない。



よくしゃべる、しゃべる。いいたい放題でぶつかり合う。意味
や物語がどうこういう以前に、セリフのシャワーを浴びてるよ
うで心地よい。

反発しあってる人達もいるけど、男同士の仲間意識がいいし、
ちょっと羨ましくなる。言いたい放題だから。最後の兄弟愛
にも感動。アイルランドの戯曲家の台本で、舞台もアイルラ
ンドの片田舎。



捉えどころのない宇宙で、自分という存在はこの世の
森羅万象の一部だと意識しつつ生きているという感覚
は、言葉で表現することはできません。芸術を通じて
描き出すしか方法はないのです。

    ーーー原作者 コナー・マクファーソン 


高松次郎・近代美術館・回顧展

2014-12-13 | art
近代美術館では、奈良原写真展とは別エリアで、現代アーテ
ィストの故高松次郎さん(1936-1998)の回顧展を開催して
いる。3/1まで。

70年代後半以降の「絵画」はちらほら見たことがあるけど、
初期の作品は初めてのものばかり。パフォーマンスアートの
芸術集団ハイレッド・センターを一緒に結成した赤瀬川原平
さんがこの秋に亡くなられ、回顧展を千葉市美術館でやって
る(ちょっと行けなさそう)。

彼らの回顧展が千葉市や近美で開催される様になるとは、隔
世の感。外国で回顧展をされる前に、日本でやれたのかな。

冒頭は60年代制作していた影シリーズ。


《No.273(影)》1969

どうやって作品作りが生まれるか、二つに重なる影の実験のコ
ーナー。簡単だけど、似てないなぁw ちょっと科学館のノリ。



1972年「第8回東京国際版画ビエンナーレ」展に出品した作品
《THE STORY》が国際大賞を獲得している。コピーで創作する
ことが版画なのか・・論争が巻き起こったそうだ。


《THE STORY》部分 1972

紐を使った作品、パースのついた家具など様々なコンセプチュア
ルアートに挑んだ前半期の方が圧倒的に面白かった。よくわかん
ないんだけど、印象に残る。


《遠近法の椅子とテーブル》 1966-67

会場構成はトラフ設計事務所の鈴野浩一さん、禿真哉さん。淡
路島のプロジェクションマッピングのオブジェ設計をお願いし
た。ほんといろんな分野で活躍されてる。



展示ケースの高さが微妙に変えてあるので、展示に変化があっ
て集中しやすかった。柱をうまく利用してるので柱とは感じさ
せない。

「リー・ミンウェイ展とその関係展

2014-11-30 | art
ティム・バートン展の上階では「リー・ミンウェイ展とその関係展」
をやっている。台湾出身でニューヨーク在住の人による現代アートな
んだけど見る、話す、贈る、書く、食べる、といった日常的な行為を
人との関係性をとらえなおす参加型だから難解さはない。

人との関係性から切り離された非日常的な体験をしたい、と思って
音楽やアートを体験する文脈からいくと、まったく逆。誰だってで
きそうなんだけど、ちょっとできないこと、そして美しさを内包し
た作品が続く。

プロジェクト・繕う 2009/2014
縫いたいと思っている洋服や人形などを持参すると、対話しながら
縫ってくれて、壁の糸巻きと糸で結び付けてくれる。会期中どんど
ん洋服や人形も増えるし、糸も増えるいっぽう。美しい作品だ。



石の旅 2012
全く同じ形の石が2つ並べて展示されている。 一つは作家がニュー
ジーランドの川で見つけたもの。 もう一つは複製を作ったもの。
この作品を購入する人は二つのうちどちらかを放棄しなければなら
ないというルールがあるそうだ。決定までの期限はないらしい。

そんなの聞いたことないw選んでいる間、ただの所有とは違って、
選択をする必要があるわけで、いろんなことを考えることを狙っ
た作品らしい。購入してからも続く・・



そういった作品の次にあったのが彼が関係性を考える上で影響を
うけたアーティストの紹介エリア。ここも面白かった。ここがあ
るから図録も買う。


白隠 隻手 18c

とくに禅に関して、白隠・今北洪川・鈴木大拙・久松真一の書や考
え方が紹介してあるのは渋い。

美術館で食事をするプロジェクト、一泊するプロジェクトなんての
もあって申し込んだけど、外れたみたいw

ひろがる花園  2009/2014
選んだ花を帰り道に出会った見知らぬ人に渡すというプロジェクト



布の追想  2006/2014
銀座資生堂ギャラリーでも2012年に行ったプロジェクト。ス
テージにある箱を一つ選んで開けると、作家がお母さんに作っても
らった手作りの品とその思い出の語りを見ることができる。



トレイラー映像

映画監督ティム・バートンの世界巡回展

2014-11-29 | art
昨日のミシェル・ゴンドリー展と同じく映画監督の
美術展なんだけど、「ティム・バートンの世界展」が
六本木・森アーツセンターギャラリーで、1/4まで。

世界巡回展というのも同じで、こちらは2008年ニュ
ーヨークのMoMAで約80万人が来場し、開館以来3
番目の入場者数という大記録を樹立。このサイト
まだ残ってる。彼の世界観だし、とっても面白い。

ミシェル・ゴンドリー展は参加型だし、実験的な要
素が強いのに対して、ティム・バートン展はある意
味オーソドックスな、美術展スタイル。

彼が少年時代から年代別に描いていた絵やスケッチ
が展示。まだ映画監督になれない時代にも、彼の世
界観の作品をたくさん描いていたことがわかり、凄
いなぁと思う。


Untitled (Little Dead Riding Hood) 1981

みんな丁寧に保管してあるのも、作家やなぁと思う。

ボツとなった映画のドローイング。どんだけ思いが
こもってるか、絵としての面白さや完成度は高い;


Untitled (Trick or Treat ) 1980

まして映画化に成功して、人気監督になってからも
絵は描き続けているし、スタッフが模型を作ってる
のも凄い。制作の準備に必要であっても、映画には
登場してないから。




映画監督ミシェル・ゴンドリー世界巡回展

2014-11-28 | art
映画監督ミシェル・ゴンドリーの巡回展がMOTで開催中。
2008年にニューヨークのダイチギャラリーで開催されて以
来、世界各地を巡回してて、東京にもやってくる。1/4まで。



目玉は、美術館で映画を作ろうとことで、いろんなセットが
置いてある。残念ながらこの日はやってなかったというか、
毎水曜日、土曜日、日曜日、祝日で開催してるんだから、ち
ゃんとチェックしていくんだった。


映画というよりテレビのセットみたい。ちゃちさがたまらない。

日本大学 映画学科の学生達が作成しはった紹介動画;



ビョークやケミカル・ブラザーズはじめたくさんのミュージ
ック・ビデオのさわりをたくさん紹介するコーナーがある。
懐かしくなると同時にちょっと消化不良になる。しまってあ
るDVDがみたくなる。



面白かったのが、20ドルの料金で希望者募って描いた「1000
人の似顔絵」。始めはニューヨークで仮設小屋の中にはいって
描いてたそうだ。次は写真を送ってもらって、似顔絵を描くプ
ロジェクトを始めたんだけど、応募殺到でまだ終わっていない。

そりゃ20ドルなら、ファンならずとも誰って。とても魅力的な
似顔絵なんやから・・



最後が2013年公開「ムード・インディゴ うたかたの日々」に
使われた小道具。これはまだ観てなかったんだけど、面白そう。


デューク・エリントンの「クロエ」がモチーフらしい。


「雲」ってタイトルだけど、操縦できる乗り物みたい。

かわせみ座・座長 × ロバの音楽座・座長

2014-11-27 | art
独創的な人形を作り操るかわせみ座・座長の山本由也さんが
連続11夜で、毎晩異なる人達と組むパフォーマンスを行う。
第9夜の相手がロバの音楽座・リーダーの松本雅隆さん。

一夜限りなので、どんなものかと楽しみに、東中野のポレポ
レ坐へ向かう。地下の映画館のほかに、1階奥に80名位収容
の箱があるのは知らなかった。

東中野にあって、カルチャー発信基地としてユニークな存在。
オーナーの本橋成一さんは写真家・ドキュメンタリー映画作
家。江戸時代から続く名家で、お爺さんが始めた本屋が再開
発で立退きになる際、建てたビルだとか。



松本さんならびにロバの音楽座は楽曲の提供や演奏をかわせ
み座の3つのプログラムに行っているので、お互いの勝手を知
った仲。

とはいえロバハウスや青山円形劇場でジョイントをしたのは
かなり前だったので、とても新鮮。それ以上に、松本さんが
ソロで出演することはまず無いからむちゃくちゃ貴重w



舞台と観客を囲む四方の壁に、山本由也さんが制作してきた
数々の人形が並んでいる。松本さんの音楽が始まると、それ
にインスピレーションを得た由也さんが人形を選ぶ。

どんな動きが始まるか、即興舞台がもつ緊迫感が、人形と音
楽で和らいだり、笑いになったり。写真は、こちらより。

復元リニューアル・都庭園美術館

2014-11-25 | art
目黒の東京都庭園美術館がこの22日にリニューアル
オープン
。3年間の改修工事だったので、久しぶり。
内外装をやり直し、壁紙から家具に至るまで復元が
なされる。



それが新築の様な真新しさや匂いもない。かなりの
技術が投入されたことが一目で感じられる。1933
(昭和8)年竣工当時にかなり近づいたそうだ。

内藤礼さんの手のひらより小さな彫刻人形11体があ
ちこちの部屋に飾られていたそうだけど、気付いたの
は半分位w(写真はこちらから)



主役が建物、ということに呼応したような新作。朝香
宮のご家族が様子を見に来たようでもあり、観客の一
人として訪問したようでもある。休日だったので撮影
は不可だけど、平日ならいいそうだ。

都庭園美術館は何度となく来たけれど、展示作品を見
るのが主目的だったので、今回は平面図と見比べなか
ら、誰の部屋だったか確認したり、開かずの間はスタ
ッフに聞いたりした。

1階はパブリックで、2階が住居スペースだったことな
ど改めて認識する。ラジエータに施された装飾も凝っ
たもの。日本の伝統的な文様もあれば、アールデコの
時代に流行ったモチーフもあったり、和洋がはいった
ものも。


ルネ・ラリックのデザインによるラジエーター

天井や壁にある通気口もよかった。 特に天井にある
通気口は照明デザインと一体化してて今まではそれが
通気口とは思いもしなかった。(写真はこちらから)



新館はホワイトキューブが2部屋、カフェ・ショップ
が新たに作られていた。設計・監理:東京都財務局・
株式会社 久米設計だからではないけど、アート的に
言うならば、保守的な方針がだされたんだろう。

アドバイザーに入られた美術家・写真家の杉本博司さ
んもその方針に従われたと思う。アートの世界からみ
ると、オープン性や、意外性、参加性といったものは
希薄。旧館との連動性でありホワイトキューブ空間を
作ることが主眼だった気がする。