・今朝は実に寒かった。Tさんによると、富良野では-12.7度だったらしい。寒くなると空知川から水蒸気が立ち上り、何とも幻想的な風景になる。こうした日は例によって快晴になる。

・昨日の続き。講義準備。文献をさらに加え、一応、形になってきた。本講義の方はこのくらいまで仕上げておけば何とかなるだろう。スキャナーを利用していくつか論文の図表を取り込んだり、と。
・気が重かったレビューを一つ片付ける。多少、英文が変かもしれんが、これ以上悩んだところで結果は変わらないもんね。ついで、所内の仕事も手をつけて、少々気が楽になる。
・ということで、午後から久しぶりに文献読み。Keller et al. 2000 Journalof Applied Ecologyを読んでみる。Restoration Ecologyがらみの論文で緑化に利用される普通種、Agostemm githago, Papaver rhoeas, Silene albaの3種(繁殖様式、生活史特性が異なる)について、スイスの自生産にイギリス、ドイツ、ハンガリー産の花粉を交配して、F1とF2のパフォーマンスを見るというもの。F2が普通に出てくるところ、さすがに草本商業種は進んでいる。
・親同士のバイオマスを比較すると、基本的に自国のスイス産は他国産よりもパフォーマンスがよく、Home-site advantage仮説が成り立つ。ところが、F1は必ずしもスイス産よりも低下するわけではなく、かえってHybrid vigorが認められるものがある。しかし、F2になるとエピスタシス効果でパフォーマンスはほぼ例外なく落ちる、という非常にきれいな結果である。
・興味深いのは、Agrostemma githagoの結果だ。スイス産とドイツ産では親世代は同等のパフォーマンスを示し、F1も同程度である。ところが、F2になるとガクッと落ちる。したがって、親世代の相互移植だけでは計り知れない仕組みがあるということになる。ううむ、奥が深い・・・。
・ところで、この論文を読んで、ヘテロシスを誤解していたことに気が付いた。親世代の自国産のバイオマスの平均値をP1、他国産の平均値をP2とすると、ヘテロシスの効果があるという場合には、親同士の平均値(0.5×P1+0.5×P2)として求められる期待地に比べて、F1のバイオマスの方が有意に大きいことを言うようである。
・Hufford & Mazor(2003)では、遠交弱勢という用語はもう少し広義に使っているようだが、本来はF2世代以降のエピスタシス効果によるパフォーマンスの低下を示すことが多いようである。トドマツ交雑論文でも、用語には注意する必要がありそうだ。トドマツの場合、むしろ、この期待値とほぼ同じところにF1の値が落ちているので、ヘテロシスは起こっておらず、Dilutionが起こっているとするのが正しい解釈で、F2以降についてはやはり「やってみないと分からない」と考えるのが妥当かもしれない。それにしても、やっぱりちゃんとした論文を通読せんといかん。

・昨日の続き。講義準備。文献をさらに加え、一応、形になってきた。本講義の方はこのくらいまで仕上げておけば何とかなるだろう。スキャナーを利用していくつか論文の図表を取り込んだり、と。
・気が重かったレビューを一つ片付ける。多少、英文が変かもしれんが、これ以上悩んだところで結果は変わらないもんね。ついで、所内の仕事も手をつけて、少々気が楽になる。
・ということで、午後から久しぶりに文献読み。Keller et al. 2000 Journalof Applied Ecologyを読んでみる。Restoration Ecologyがらみの論文で緑化に利用される普通種、Agostemm githago, Papaver rhoeas, Silene albaの3種(繁殖様式、生活史特性が異なる)について、スイスの自生産にイギリス、ドイツ、ハンガリー産の花粉を交配して、F1とF2のパフォーマンスを見るというもの。F2が普通に出てくるところ、さすがに草本商業種は進んでいる。
・親同士のバイオマスを比較すると、基本的に自国のスイス産は他国産よりもパフォーマンスがよく、Home-site advantage仮説が成り立つ。ところが、F1は必ずしもスイス産よりも低下するわけではなく、かえってHybrid vigorが認められるものがある。しかし、F2になるとエピスタシス効果でパフォーマンスはほぼ例外なく落ちる、という非常にきれいな結果である。
・興味深いのは、Agrostemma githagoの結果だ。スイス産とドイツ産では親世代は同等のパフォーマンスを示し、F1も同程度である。ところが、F2になるとガクッと落ちる。したがって、親世代の相互移植だけでは計り知れない仕組みがあるということになる。ううむ、奥が深い・・・。
・ところで、この論文を読んで、ヘテロシスを誤解していたことに気が付いた。親世代の自国産のバイオマスの平均値をP1、他国産の平均値をP2とすると、ヘテロシスの効果があるという場合には、親同士の平均値(0.5×P1+0.5×P2)として求められる期待地に比べて、F1のバイオマスの方が有意に大きいことを言うようである。
・Hufford & Mazor(2003)では、遠交弱勢という用語はもう少し広義に使っているようだが、本来はF2世代以降のエピスタシス効果によるパフォーマンスの低下を示すことが多いようである。トドマツ交雑論文でも、用語には注意する必要がありそうだ。トドマツの場合、むしろ、この期待値とほぼ同じところにF1の値が落ちているので、ヘテロシスは起こっておらず、Dilutionが起こっているとするのが正しい解釈で、F2以降についてはやはり「やってみないと分からない」と考えるのが妥当かもしれない。それにしても、やっぱりちゃんとした論文を通読せんといかん。