日々礼讃日日是好日!

まほろ界隈逍遥生々流転日乗記

正月は一富士二鳶三江の島御膳で縁起良し

2023年01月08日 | 日記

 令和四年の元旦、六時過ぎに目覚める。寝室からリヴィングへ移ってカーテンを開けると、清らかな初春の朝日が射しはじめてている。
 何はともあれ、お湯を沸かし、まずは緑茶を一服。元旦の新聞朝刊は大量の広告紙面もあって分厚さではち切れそう。テレビチャンネルを回すとNHK総合が映り、画面には正月ならでは「富士山ぐるっと一周ウォーク 世界遺産巡り」が目はじまっていた。ナレーションは三浦友和と広瀬アリスのコンビ、落ち着きと若さがあって新春に相応しいか。
 眺めていたら、画面には駅前の源兵衛川遊歩道、白滝公園、三島柿田川湧水、三嶋大社境内、広小路老舗鰻家と出てくるではないか。あれあれ、これって去年春と秋に訪れたところじゃないかと嬉しくなってしまった。記憶の引き出しが継継ぎと蘇る。
 それはさらに続き、三保松原からの相模湾越しの霊峰富士の姿が映されると、今年の大河ドラマ「どうする家康!?」にまつわるエピソード、鷹狩り好きと半島で栽培される特産地場折戸ナスへとつながる。その次は富士宮市まで進んで、上空から本宮浅間大社全景を映していくのには驚かされた。世界遺産登録されたとはいえ、清水港から対岸の三保半島まで渡り、東海大学海洋博物館を横目にして、ぐるりと半島の松原海岸を歩いて美保神社まで巡ったひとはそういないないだろうな。あのときの旅の終点は富士宮だった。
 最後は、富士吉田に残る御師家屋や名物うどんが紹介され、最後には本栖湖からの富士山、これは千円札の裏面左側にデザインされている図柄のもとになった眺めなのだと知る。こうなると、いずれ機会をみて訪れて見たものだという気になってくる。
 
 やがて家族が起きてきて、そろってお雑煮をいただく。平凡であるがささやかな幸福が繰り返される食卓の正月風景が広がる。そのあとは家族ひとりひとりが別行動となり、わたしは自転車を駆って地元神社に初詣でにでかけることにした。
 行幸道路から座間キャンプの地下道を抜けて下り、キャンプ反対側に沿って下っていくと、その先に賑わう鈴鹿神明社があり、参拝のあとに干支絵馬と当年暦冊子を求めて戻るのが恒例になっている。ことしは五年ぶりに干支飾りの陶製「卯」を求めた。
 そこから母のところへと向かう途中、座間キャンプ正門前を通ると看板が一新されていた。A・レーモンドが設計に関わったであろう敷地内教会の尖塔をフェンス越しに眺めながら、通称行幸道路を息を切らしながら上ってゆくと、小田急相武台駅の前だ。


民家のむこうの座間キャンプ掲旗ポールの日の丸・星条旗。白昼の下弦月。


 行幸道路からみた座間キャンプ内教会鐘堂(2023.1.1)

 さてこの日の夜は、毎春恒例となったお楽しみ番組「ブラタモリ×鶴瓶の家族に乾杯・新春スペシャル」を見る。今年最初の訪問場所は「絶景!江の島ぶらり旅」ときた。
 一昨年暮れに友人と鎌倉山檑亭での昼食のあとに連泊して、翌々日大船からモノレールで江の島へと巡った近場絶景旅の最終風景と重なるわけで、なんという巡り合わせの偶然!まるで記憶体験を後追いして、味わい直している気分になってくる。

  こちらの番組のほうは、おそらく11月下旬から12月初旬あたりのロケなのだろう。ご両人、西浜海岸らしき砂浜で落ち逢って始まり、ふたりして弁天橋を渡りながら富士山絶景を眺め、青銅製の鳥居で別れたあと、タモリは参道をエスカーに乗車、鶴瓶のほうは左手の漁師町方面へとずんずん入ってゆく。そのあとには例によって住民との交流のひとしきりがあり、辺津宮で再合流したら、芸能の神様である弁財天を祀る奉安殿を参拝するという流れ。タモリのほうは、この後に再度エスカーを乗り継ぎ、稚児が淵岩屋洞窟まで探検することで江の島巡りは完結となる。
 あまりにも何度も個人的に訪れたお馴染みの風景に、おふたりの道行エピソード姿が重なっていき、元旦のNHK番組は面白さ倍々増の次第。やはり江の島詣でと富士の姿を拝むなら初春のころ、できることなら空気の澄み切った午前中に限る。

  三日はその記憶も冷めやらぬままに江島神社へ初もうでに出かける。午前九時すぎ、小田急片瀬江の島駅到着、人出はまだそれほどでもなく、思いのほかまばらといった感じ。
 駅舎は一昨年に赤色の柱に白壁を基調として新調され、華やかさとお目出度さが満載といった印象がして新年に相応しいと思う。残念ながら、元旦のテレビ映像には映らなかったけれど。


 龍宮殿?みたいなイルカの鉾が載った小田急片瀬江島駅。青空トンビが舞う。 

 駅前広場から引地川にかかる橋をわたり、国道地下道をくぐっっていく。弁天橋からは、冠雪の富士の秀麗としかいいようのない姿がくっきりと望める。この情景、何度訪れて見ても感嘆のため息がでるくらいにDNAの琴線に触れて、繰り返し心象風景に刻み込まれていく。
 青銅の鳥居をくぐり、両側にお店がひしめく参道は、まだ時間が早く空いていて進みやすい。やはり、正月の参拝は午前中に限る。石段をあがり、大鳥居前の広場につく。タモリはここからエスカーに乗り込んだけれど、例年通りそのまま急な石段をのぼっていく。上がるにつれて、見える風景がパノラマのように広がってゆく愉しさ。まずは辺津宮へ参拝、となりに祀られる弁財天様にもお参りする。

 八角形の奉安殿内には、八ッぴ弁財天と妙音弁財天の二体が並んで安置され、周囲を十五体の待童子が取り囲んでいる。妙音弁財天のほうは、すらりとした中性的な裸像で白塗りの肢体に琵琶を抱えて左足を下ろしたお姿。あらためて眺めれば、不思議な空間でタモリと鶴瓶のおふたりが訪れたというのもなんだか本当なの?という気がしてくる。いっそのこと、ご両人もこの先いつかここに祀られることがあれば、いあまどきの参拝者があふれるだろうなあ。

 さらに進んで亀ヶ岡広場に着くと、早咲きの河津桜が日当たりのよい枝先にぽつぽつりと咲き出している。デッキからは、相模湾越し真正面に浮かぶ富士と姿と対面できて、月並みに感動する。ここから、奥の宮までは石畳をあとすこしのアップダウンだ。締めの参拝を済ませてから、いつもの江之島亭でひと休み、富士山が眺められる海側の席で早めの昼食をいただく。このいつものお正月の習慣がささやかながらも、最高の贅沢のひとつなのかもしれない。
 お土産に黒糖饅頭を買いもとめ、稚児が淵まで降りて春の海を眺めにゆく。ここから遊覧船「べんてん丸」に乗船する。海上はあたたかで風もなく穏やかで、小型船の進む後にひとすじの白波線が引かれていくばかりだ。
 小さな航海は、江の島を右手に相模の山並みを左手に見ながら、ほんの五分ほどで弁天橋の江の島寄り桟橋へと到着する。


相模湾越し湘南平と丹沢箱根山のむこう、冠雪抱く霊峰不二(2023.1.3撮影)


 江の島頂上二景。龍野ヶ岡の向こうに富士と展望塔灯台(2023.1.3)



最新の画像もっと見る