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まほろ界隈逍遥生々流転日乗記

ジャニス・イアン「17才の頃」を聴きながら

2013年10月04日 | 日記
 最近気になる、というより思わず“耳に止まった”コマーシャルがある。ソフトバンクのコマーシャルで、吉永小百合が王貞治から届いたメールを見て何やらつぶやいているスマートフォンCMなのだけれども、その映像のバックに流れているのがジャニス・イアンJANIS IANの「AT SEVENTEEN 17才の頃」。グラミー賞アルバム「BETWEEN THE LINES 愛の回想録」の中の代表曲で、このスマートフォンCMとの意外な組み合わせに、おーっと思ってしまった。
 この曲は、まさしくわたしの高校生時代(17歳の頃)の1975年にリリースされて以来、今日まで大事に聴き続けてきた曲のひとつで、それが突然テレビCMの中に流れていたのが驚きだった。ジャニスは、この次の次のアルバム「奇跡の街」(1977年)のなかの「WILL YOU DANCE?」が1977年TBSドラマ「岸辺のアルバム」(山田太一脚本、八千草薫、杉浦直樹主演)の主題歌に使われて大ヒットし、わたしがちょうど大学生だったときに来日して公演をおこなっている。クラスメートと初めての日本武道館ライブ体験をしたのは、このとき1978年ではなかったか!

 「17才の頃」は、ボサノバ調のさりげない導入ではじまる、17才のモテない女の子の孤独・独白をうたった淡々とした内容のなんとも味わい深いメロディーである。間奏のフリューゲルホーンとナイロンギターの掛け合いがとても素敵で、全体の控えめな室内楽調のストリングスアレンジが秀逸だと思う(プロデューサーはブルックス・アーサー)。当時のわたしは、自分がむかえる「17才」という年齢に期待を不安をもって臨んでいた気がする。
 17才といったら、中学生のころにそのものズバリ、当時の人気アイドル南沙織=シンシアのうたった「17才」(作詞:有馬美恵子、作曲:筒美京平)が流れていた。こちらは、南国出身のさわやかなイメージでなんともまぶしくて、田舎の少年の胸中をめぐって不思議な息苦しさを残した。もちろん、いまでもその映像と歌声を思い出すたび甘酸っぱい青春前期のなつかしさに包まれる。
 実はジャニスと南沙織は音楽上の接点もあって、ジャニスの提供した楽曲「哀しい妖精(I LOVE YOU BEST」(1976年リリース、意訳しすぎか?)を歌っている。この曲をふくめてジャニスが数曲提供したアルバム「ジャニスへの手紙」を当時すぐ購入して、それはいまもある。記憶違いでなければたしか、練馬区向山にある遊園地豊島園の夏の野外ステージで、南沙織の歌う「哀しい妖精」を初めて生で聴いたはずだ。それ以来遊園地といったら、イメージするのはあの真夏の夢のような豊島園なのである。

 ジャニスイアンの自作自演した「17才の頃」は、南沙織歌う「17才」の素直な明るさ、まぶしさとはすこし違った人生の側面を感じさせた。青春の光と影とでもいうのだろうか、これによって田舎の少年はすこし大人になったような気がする。