メルケル首相は日独首脳会談で果たして安倍晋三に過去の直死と日韓和解を説かなかったのだろうか

2015-03-13 10:05:58 | 政治



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       《3月10日(火)小沢代表・山本代表定例記者会見要旨・党HP掲載ご案内》

      《会見要旨》
 
      ・東日本大震災から4年の受け止めについて
      ・脱原発を推進する欧州と日本との原発政策の相違について
      ・憲法改正について
          「真面目に憲法改正をとらえていると思えない」
      ・政治資金の規制のあり方について 
      ・統一地方選への対応について
      ・自民党二階総務会長について

 ドイツのメルケル首相が日本を訪れ、3月9日、首相官邸で悪名高い歴史修正主義者安倍晋三と首脳会談を行った。〈日本政府によると、 会談では歴史認識問題をめぐり議論にならなかった。〉と、「共同通信」記事を「47NEWS」が伝えている。

 果してメルケル首相は安倍晋三に対して首脳会談を機に日本と中韓関係のわだかまりの原因となっている歴史認識問題に関して何も言及しなかったのだろうか。
 
 メルケル首相は午後4時過ぎからの会談に先立って午前中、都内で講演し、その質疑で過去直視の大切さを説いている。

 《メルケル独首相の講演全文 戦後70年とドイツ》asahi.com/2015年3月10日00時18分)

 ――大変素晴らしいスピーチをありがとうございました。主催者を代表して質問させていただきます。隣国の関係はいつの時代も大変難しいものです。そして厳しいものです。過去の克服と近隣諸国との和解の歩みは、私たちアジアにとってもいくつもの示唆と教訓を与えてくれています。メルケル首相は、歴史や領土などをめぐって今も多くの課題を抱える東アジアの現状をどうみていますか。今なお、たゆまぬ努力を続けている欧州の経験を踏まえて、東アジアの国家と国民が、隣国同士の関係改善と和解を進める上で、もっとも大事なことはなんでしょうか?


 メルケル首相「先ほども申し上げましたが、ドイツは幸運に恵まれました。悲惨な第2次世界大戦の経験ののち、世界がドイツによって経験しなければならなかったナチスの時代、ホロコーストの時代があったにもかかわらず、私たちを国際社会に受け入れてくれたという幸運です。

 どうして可能だったのか?一つには、ドイツが過去ときちんと向き合ったからでしょう。当時ドイツを管理していた連合国が、こうした努力に非常に大きな意味をくみ取ってくれたからでしょう。法手続きでいうなら、ニュルンベルク裁判に代表されるような形で。そして、全体として欧州が、数世紀に及ぶ戦争から多くのことを学んだからだと思います。

 さらに、当時の大きなプロセスの一つとして、独仏の和解があります。和解は、今では独仏の友情に発展しています。そのためには、ドイツ人と同様にフランス人も貢献しました。かつては、独仏は不倶戴天(ふぐたいてん)の敵といわれました。恐ろしい言葉です。世代を超えて受け継がれる敵対関係ということです。幸いなことに、そこを乗り越えて、お互いに一歩、歩み寄ろうとする偉大な政治家たちがいたのです。しかし、それは双方にとって決して当たり前のことではなかった。隣国フランスの寛容な振る舞いがなかったら、可能ではなかったでしょう。そして、ドイツにもありのままを見ようという用意があったのです」

 ドイツの首相として、私はアジア地域にアドバイスをする立場にはないし、するつもりもありません。それは社会的プロセスから生まれてこなければならないことです。歴史が示しているように、アドバイスを貰ってうまくいくとは限らず、難しくすることもあります。一方で、平和的な解決策の道が見いだされなければならない、ということも正しい」――

 メルケル首相はドイツが過去ときちんと向き合ったから、いわば過去を直視し、事実を客観化できたから、国際社会がドイツを受け入れたと言っている。一方で、「ドイツの首相として、私はアジア地域にアドバイスをする立場にはないし、するつもりもありません」と言って、歴史という過去をどう克服し、解決するかは日本や中国、韓国といったアジアの問題だと、匙を投げているわけではないだろう、距離を置いている。
 
 この言葉通り、安倍晋三との首脳会談でメルケル首相は歴史認識問題に触れなかったのだろうか。

 ところが、安倍・メルケル首脳会談翌日の3月10日、メルケル首相は岡田民主党代表と約40分間会談している。岡田代表の会談終了後民主党本部での記者会見。

 岡田代表「メルケル氏は慰安婦問題について『きちんと解決した方がいい。日韓は価値を共有しているので和解をすることが重要だ』と語った。私は日韓関係は歴代の首脳の間で一定の理解が進んだが、なかなか難しい状況だと説明した。
 
 メルケル氏は『過去について完全に決着をつけるのは不可能だ。常に過去と向き合っていかねばならない』と指摘した」(産経ニュース)(一部解説文を会話大尉直す。)

 メルケル首相は「ドイツの首相として、私はアジア地域にアドバイスをする立場にはないし、するつもりもありません」と言い、その言葉通りに安倍晋三との首脳会談では議論に取り上げったにも関わらず、なぜ岡田代表に対しては「慰安婦問題について『きちんと解決した方がいい。日韓は価値を共有しているので和解をすることが重要だ』と歴史問題を解決するようアドバイスしたのだろうか。 

 安倍晋三の頑迷牢固な歴史修正主義は治療不可能と見て、いわば事実匙を投げていたためということなのだろうか。

 だが、国と国との関係は関係が問われているその時々の政権同士の姿勢にかかっている。当然野党が過去を直視する姿勢でいようと、その野党が政権を取らない以上、国の姿勢となって国と国との関係に好影響を与えることはない。現状では安倍長期政権が予想できても、その分、野党が政権を握る可能性は非常に低い。

 メルケル首相はそのような野党である民主党代表に日韓和解を説いても、単に説くだけで終わることは承知していなければならないはずだ。

 いわば安倍晋三に説いてこそ、ドイツが学び、自身も引き継いでいる歴史直視の姿勢は他者参考となるし、他者参考となって日韓関係の歴史認識というトゲが取れれば、ドイツの国益にも適う。今や国際問題の解決には緊密な各国連携が必要となっている。

 日韓の歴史認識のトゲが取れれば、日中関係も少なくとも歴史認識問題で歩み寄ることが可能となる。

 これはアメリカが常々日本政府に望んでいることでもある。

 安倍晋三と違って聡明なメルケル首相が「ドイツの首相として、私はアジア地域にアドバイスをする立場にはないし、するつもりもありません」と言いながらも、例え安倍晋三が頑迷な歴史修正主義者であり、牢固な国家主義者だと百も承知していたとしても、せめて一言でも、過去の直死と日韓和解を説かなかっただろうか。

 説かなかったとしたら、冷戦時代への逆戻りの淵際にある今日の国際関係を前にして、だからこそ、日中韓の曲りなりの良好な関係が望まれるのだが、アジアに関しては独日の二国関係に限定した、視野狭い対日外交で終わらせることになる。

 また、安倍晋三との会談で一言でも触れて初めて、対岡田会談での過去直視と日韓和解の説得は国と国との関係を決定づける安倍晋三の姿勢を後押しすることを望む形となって、整合性を得ることができる。
 
 どうも触れたが、都合が悪いから、歴史認識に関わるメルケル発言はなかったと、情報隠蔽を謀っているように思える。その理由は安倍晋三は歴史認識を変えるつもりはないから、過去を直視して戦争を総括し、近隣各国と和解を果たしたドイツと差がつくことになるからだ。ドイツとの違いが浮き彫りになる。

 今年は戦後70年、安倍晋三は首相談話を出す予定でいる。ドイツとの差を目立たさせた中での過去直視を離れた談話発表は都合が悪かろう。

   
コメント
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