7月の参院選後初の参議院予算委員会が2025年8月5日に開催され、躍進した参政党代表の神谷宗幣が初質疑を行った。当然、その質疑に神谷宗幣の人格が示され、その人格が参政党に反映されて、本質的な人格を成すことになる。
神谷宗幣の追及の一部を取り上げて、「日本人ファースト」が題名どおりであることを証明しようと思う。質疑中の意味の取れない発言には(?)で表し、留意点には文飾を施すことにした。
神谷宗幣「参政党の神谷宗幣です。我が党初めての予算委員会になります。よろしくお願いします。
参政党はですね、この夏の参議院選挙で『日本人ファースト』というキャッチコピーをかけて選挙を戦い、たくさんの国民の方から支援を頂きました。この『日本人ファースト』という言葉に込めた意味はですね、国境を超えた経済競争による行き過ぎた新自由主義、多国籍企業に富が偏在し、それぞれの国の中間層が没落してしまうようなグローバリズムと言われる、そういった状態にですね、警鐘を鳴らすということで、我々は反グローバリズムを意味するキャッチコピーだということで、国民の皆さんに訴えてまいりました。
これ、一部メディアから排外主義だということで叩かれたりしましたけれども、全くそうではなくて、我が党が目指すのはやはり日本は日本として自立をして強く豊かに存在して、殆どの協調関係をしっかり作っていく。一つの世界の中に飲み込まれるんではなくて、我が国には実勢を持ちながら他国としっかりとした協調関係を作っていくということを強く訴えて、支持を受けたものと理解をしています」――
グローバリズムを利用して企業規模を拡大した多国籍企業への富の偏在が各国(それぞれの国の)中間層の没落を招いたと見て掲げることになった反グローバリズムを意味するキャッチコピーが参政党の「日本人ファースト」だと主張している。
但し中間層の没落をグローバリズムによる各国共通の弊害と見て主張することになった反グローバリズムがなぜ「日本人ファースト」限定となるのかの整合性ある論理的な説明は省いている。
「日本人ファースト」は決して排外主義ではなく、日本国家の強くて豊かな自立を望むものの、「他国としっかりとした協調関係を作っていく」と言うことなら、全ての国の中間層を視野に入れた"中間層ファースト"のキャッチコピーでなければならなかったはずだ。
だが、世界と協調していくと言いながら、「日本人ファースト」に限定している。大体が「日本人ファースト」という言葉自体に、「日本人第一」、「日本人優先」といった意味を読み取ることはできても、"世界との協調"を読み取ることは可能とは言えないはずだ。
神谷宗幣「そういった中で我々はですね、自国の生産力を強化することによって、内需を強化・拡大していったりですね、安い労働力としての移民の受け入れを制限していくことだとか、あとは社会インフラや土地・水源などの外資買収の規制をやったりとか、大企業に有利な税制を見直して、しっかりと内需を拡大し、そして中間層の復活をするといったことをですね。 国民の皆さんにお約束をして、今日この場に立たせて頂いているということを前提として、質問をさせて頂きたいと思います」――
ここに掲げた中間層の復活政策のうち、前者の安い労働力としての移民の受け入れ制限と社会インフラや土地・水源などの外資買収の規制は「日本人ファースト」の政治思想に合致することになり、参政党の政策として十二分な納得を与える。
但し後者の自国生産力の強化に基づいた内需の強化・拡大、大企業に有利な税制の見直し策を用いた内需拡大を手段の中間層の復活はほかの野党も主張していることで、参政党に特有の政策というわけではないが、そこに反グローバリズムと「日本人ファースト」を基本ベースに加えた場合、中間層の復活を策すとしていることは果たして可能と言えるだろうか。
二つの疑問を残したまま、次の質問を見ていく。
神谷宗幣はアルゼンチンのミレイ大統領が対米関税交渉を有利に進めて、有利な関税で収めたのはWHOの脱退等、トランプの政策を見習って、いわば気に入られたからだと前置きしてから、首相の石破茂も見習うべきではないかとする追及を行っている。
神谷宗幣「石破総理にお聞きしたいんですけども、これまで交渉もされたりとかですね、電話会談もされてると思います。これまでトランプ大統領からですね、例えば日本が進めてきたSDGs(注:貧困、飢餓、不平等、気候変動など、地球上の様々な課題を解決し、持続可能な社会を実現することを目標とした政策)という政策をやめるとか、パリ協定(注:地球温暖化対策に関する国際的な枠組み)とか含むとですね、脱炭素政策を廃止するとかですね、パンデミック対策の見直しを含めたWHOの脱退、ウクライナ支援の見直し、DEI(注:多様性、公平性、包摂性)政策の廃止、政府によるSNS規制の撤廃といったトランプさんが表明されてるような政策をですね、一緒に日本もやらないかというふうに声をかけられたとか、提案されたという事実はないでしょうか」――
こられの脱退、廃止、撤廃は、「世界との協調」に反する政策であり、排外主義者の顔を露わにしていることになるが、神谷宗幣が先に発言した「日本人ファースト」は排外主義ではなく、「他国としっかりとした協調関係を作っていく」とした発言を自ら否定することになるにも関わらず、本人はこの矛盾に気づかない。
つまり、「日本人ファースト」は本人がいくら否定しても、この言葉の響きそのものが持つ外国人よりも日本人優先という排外主義を思想としていることは誰の目にも明らかで、神谷宗幣以下参政党員とその支持者以外は否定し得ない事実であろう。
上記神谷宗幣の追及に対する石破茂の答弁。
石破茂「具体的な提案はございません。それは対面でも電話でも、随分多くお話はいたしました。トランプ大統領が一方的にお話になるということはありますが、それを日本も一緒にやらないかという提案を受けたという記憶は私はございません」
神谷宗幣「今の総理の答弁、聞きますと、トランプさんこういうこと、自分はやるんだということは一方的にお話になることはあるけれども、一緒にやらないかというようなことはなかったというふうに受け止めました。
今回のですね、関税交渉、これから進めていくときにここがポイントなんではないかなと、ずっと私はあの財政金融委員会でも加藤大臣とかにも提案をしてきました。ま、日本の今の政策っていうのは、かつてのバイデン政権のときの政策と非常に近いわけですね。で、トランプさんはですね、結構そこのところ、今挙げたようなところですね、変えていっているというふうに考えています。
ここのところですね、今6点程挙げましたけれども、何か総理としてこういったところはですね、一緒にやろうというふうにご提案されたりとか、あの話し合いを、直接お会いしてですね、 されようというのはおつもりはないんでしょうか」
石破茂「それは今SDGsの廃止、脱炭素政策の脱退、ウクライナ支援の見直し、DEI政策の廃止、政府によるSNS規制の撤廃等々、これは我が国には我が国として国益に資するかどうかは我が国が主体的な判断をするものでございます。
アメリカに言われて、関税の取引の材料としてこういうものを使うということは必ずしも正しいと私自身思っておりません。先程アルゼンチンの例をお話になりました。アルゼンチの大統領がトランプ大統領と非常に親密であるというようなことは私どもよく注目は致しておるところでございますが、アルゼンチンと我が国は違いますので、何が違うかと言えば、先ず全く貿易構造が違うということがございます。 そして我が国とアメリカは同盟国です。軍事姿勢、失礼、安全保障上、非常に緊密な同盟関係にあるということでございまして、そこはアルゼンチンと全く同列に論じるべきではございません。
それは安全保障の観点も、今回の関税交渉に於いて安全保障の議論というもの組み合わせたということはございませんが、それはそれとして日本国としてアメリカと共に如何にしてこのアジアの安全、そしてまた、・・・(?)で申し上げたことですが、ウクライナが、中東、このアジアと全部繋がっておりますので、そこはアメリカときちんと議論をしながら、我が国の国際的な責務を果したいとところでございます」――
神谷宗幣がトランプの政策のうち、SDGs政策の廃止、パリ協定からの脱退と脱炭素政策の廃止、パンデミック対策の見直しを含めたWHOからの脱退、ウクライナ支援の見直し、DEI政策の廃止、政府によるSNS規制の撤廃の6点を挙げて、その政策を見習うことで関税交渉を有利に進めるべきだとする主張したのに対して石破茂は厳格な物言いで、「我が国には我が国として国益に資するかどうかは我が国が主体的な判断をするものでございます」と拒否している。
だが、この6点の政策を挙げたことによって神谷宗幣の「日本人ファースト」が日本国民をターゲットに置いた優先政策とは全然無関係で、勿論、中間層の復活を目的とした主義・主張でもなく、日本国家優先を眼目とした「日本国家ファースト」そのものであるあることの正体を露わにすることになる。
SDGs政策とは国連サミット採択の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された貧困や飢餓、不平等、気候変動など、地球上の様々な課題を解決し、持続可能な社会を実現するための国際目標だそうで、SDGsからの脱退は中間層以下の生活者の生活困難を視野に置かない振舞いとなることから、神谷宗幣が言う「中間層の復活」を全くの絵空事にする主張となり、一方でSDGs政策に必要とする兆円規模の予算や投資から政府や民間企業を解放する方向に向かうことになり、「日本人ファースト」とは正反対の「日本国家ファースト」を意味することになる。
また、パリ協定からの脱退と脱炭素政策の廃止は地球温暖化が豪雨や洪水や山火事といった大規模な自然災害を招く原因とされていて、多くの命が失われ、その被害は低所得層程甚大となる傾向から、一部の日本国民の命を軽視し、経済活動にのみに国の予算を振り向ける狙いの「国家ファースト」の目論見そのもので、結果として階層に差別を設ける意思を隠した「日本人ファースト」となる。
ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包括性)を重視し、推進するDEI政策の廃止にしても、性別や性的指向等々に関係なしに個人の多様性や公平性を生きて表現する命の自由な選択と活動にストップを掛け、不自由な社会活動を強いる方策は「日本人ファースト」に差別を設ける仕掛けを隠していることになり、結果、神谷宗幣等の国家主義者が考える正常な人間だけを選別する「国家ファースト」のみを露わにすることになる。
これが参政党の神谷宗幣が唱える、実体は「日本国家ファースト」そのものである「日本人ファースト」の正体である。この正体は参政党が考える「新日本憲法(構想案)」が如実に証明することになる。
天皇を元首に据え、日本国の代表とし、主権は国民にはなく、国家が有し、国民の要件は父母の一方を日本人とする日本民族としての血を基準とし、母国語を日本語のみとする国家主義を骨組みとしている点、「日本人ファースト」は装いでしかなく、その実、「日本国家ファースト」を精神の根っこに据えている。
「日本人ファースト」を反グローバリズムを意味するキャッチコピーとしていて、その主義・主張を背景とした参政党の諸政策の目的を「中間層の復活」が狙いだとしている点についても、国家優先の精神を体現している以上、「日本人ファースト」という言葉から目を逸らせるためのカムフラージュとして用いている「中間層の復活」であり、その訴えが多くの有権者に生活上の実利性を心情的に訴え、それが功を奏した議席の飛躍的な獲得といったところであるはずである。
神谷宗幣は優れた国家主義者であり、SNS等を駆使した優れたアジテーター(大衆を扇動して行動を促す人物)と言える。
神谷宗幣の追及の一部を取り上げて、「日本人ファースト」が題名どおりであることを証明しようと思う。質疑中の意味の取れない発言には(?)で表し、留意点には文飾を施すことにした。
神谷宗幣「参政党の神谷宗幣です。我が党初めての予算委員会になります。よろしくお願いします。
参政党はですね、この夏の参議院選挙で『日本人ファースト』というキャッチコピーをかけて選挙を戦い、たくさんの国民の方から支援を頂きました。この『日本人ファースト』という言葉に込めた意味はですね、国境を超えた経済競争による行き過ぎた新自由主義、多国籍企業に富が偏在し、それぞれの国の中間層が没落してしまうようなグローバリズムと言われる、そういった状態にですね、警鐘を鳴らすということで、我々は反グローバリズムを意味するキャッチコピーだということで、国民の皆さんに訴えてまいりました。
これ、一部メディアから排外主義だということで叩かれたりしましたけれども、全くそうではなくて、我が党が目指すのはやはり日本は日本として自立をして強く豊かに存在して、殆どの協調関係をしっかり作っていく。一つの世界の中に飲み込まれるんではなくて、我が国には実勢を持ちながら他国としっかりとした協調関係を作っていくということを強く訴えて、支持を受けたものと理解をしています」――
グローバリズムを利用して企業規模を拡大した多国籍企業への富の偏在が各国(それぞれの国の)中間層の没落を招いたと見て掲げることになった反グローバリズムを意味するキャッチコピーが参政党の「日本人ファースト」だと主張している。
但し中間層の没落をグローバリズムによる各国共通の弊害と見て主張することになった反グローバリズムがなぜ「日本人ファースト」限定となるのかの整合性ある論理的な説明は省いている。
「日本人ファースト」は決して排外主義ではなく、日本国家の強くて豊かな自立を望むものの、「他国としっかりとした協調関係を作っていく」と言うことなら、全ての国の中間層を視野に入れた"中間層ファースト"のキャッチコピーでなければならなかったはずだ。
だが、世界と協調していくと言いながら、「日本人ファースト」に限定している。大体が「日本人ファースト」という言葉自体に、「日本人第一」、「日本人優先」といった意味を読み取ることはできても、"世界との協調"を読み取ることは可能とは言えないはずだ。
神谷宗幣「そういった中で我々はですね、自国の生産力を強化することによって、内需を強化・拡大していったりですね、安い労働力としての移民の受け入れを制限していくことだとか、あとは社会インフラや土地・水源などの外資買収の規制をやったりとか、大企業に有利な税制を見直して、しっかりと内需を拡大し、そして中間層の復活をするといったことをですね。 国民の皆さんにお約束をして、今日この場に立たせて頂いているということを前提として、質問をさせて頂きたいと思います」――
ここに掲げた中間層の復活政策のうち、前者の安い労働力としての移民の受け入れ制限と社会インフラや土地・水源などの外資買収の規制は「日本人ファースト」の政治思想に合致することになり、参政党の政策として十二分な納得を与える。
但し後者の自国生産力の強化に基づいた内需の強化・拡大、大企業に有利な税制の見直し策を用いた内需拡大を手段の中間層の復活はほかの野党も主張していることで、参政党に特有の政策というわけではないが、そこに反グローバリズムと「日本人ファースト」を基本ベースに加えた場合、中間層の復活を策すとしていることは果たして可能と言えるだろうか。
二つの疑問を残したまま、次の質問を見ていく。
神谷宗幣はアルゼンチンのミレイ大統領が対米関税交渉を有利に進めて、有利な関税で収めたのはWHOの脱退等、トランプの政策を見習って、いわば気に入られたからだと前置きしてから、首相の石破茂も見習うべきではないかとする追及を行っている。
神谷宗幣「石破総理にお聞きしたいんですけども、これまで交渉もされたりとかですね、電話会談もされてると思います。これまでトランプ大統領からですね、例えば日本が進めてきたSDGs(注:貧困、飢餓、不平等、気候変動など、地球上の様々な課題を解決し、持続可能な社会を実現することを目標とした政策)という政策をやめるとか、パリ協定(注:地球温暖化対策に関する国際的な枠組み)とか含むとですね、脱炭素政策を廃止するとかですね、パンデミック対策の見直しを含めたWHOの脱退、ウクライナ支援の見直し、DEI(注:多様性、公平性、包摂性)政策の廃止、政府によるSNS規制の撤廃といったトランプさんが表明されてるような政策をですね、一緒に日本もやらないかというふうに声をかけられたとか、提案されたという事実はないでしょうか」――
こられの脱退、廃止、撤廃は、「世界との協調」に反する政策であり、排外主義者の顔を露わにしていることになるが、神谷宗幣が先に発言した「日本人ファースト」は排外主義ではなく、「他国としっかりとした協調関係を作っていく」とした発言を自ら否定することになるにも関わらず、本人はこの矛盾に気づかない。
つまり、「日本人ファースト」は本人がいくら否定しても、この言葉の響きそのものが持つ外国人よりも日本人優先という排外主義を思想としていることは誰の目にも明らかで、神谷宗幣以下参政党員とその支持者以外は否定し得ない事実であろう。
上記神谷宗幣の追及に対する石破茂の答弁。
石破茂「具体的な提案はございません。それは対面でも電話でも、随分多くお話はいたしました。トランプ大統領が一方的にお話になるということはありますが、それを日本も一緒にやらないかという提案を受けたという記憶は私はございません」
神谷宗幣「今の総理の答弁、聞きますと、トランプさんこういうこと、自分はやるんだということは一方的にお話になることはあるけれども、一緒にやらないかというようなことはなかったというふうに受け止めました。
今回のですね、関税交渉、これから進めていくときにここがポイントなんではないかなと、ずっと私はあの財政金融委員会でも加藤大臣とかにも提案をしてきました。ま、日本の今の政策っていうのは、かつてのバイデン政権のときの政策と非常に近いわけですね。で、トランプさんはですね、結構そこのところ、今挙げたようなところですね、変えていっているというふうに考えています。
ここのところですね、今6点程挙げましたけれども、何か総理としてこういったところはですね、一緒にやろうというふうにご提案されたりとか、あの話し合いを、直接お会いしてですね、 されようというのはおつもりはないんでしょうか」
石破茂「それは今SDGsの廃止、脱炭素政策の脱退、ウクライナ支援の見直し、DEI政策の廃止、政府によるSNS規制の撤廃等々、これは我が国には我が国として国益に資するかどうかは我が国が主体的な判断をするものでございます。
アメリカに言われて、関税の取引の材料としてこういうものを使うということは必ずしも正しいと私自身思っておりません。先程アルゼンチンの例をお話になりました。アルゼンチの大統領がトランプ大統領と非常に親密であるというようなことは私どもよく注目は致しておるところでございますが、アルゼンチンと我が国は違いますので、何が違うかと言えば、先ず全く貿易構造が違うということがございます。 そして我が国とアメリカは同盟国です。軍事姿勢、失礼、安全保障上、非常に緊密な同盟関係にあるということでございまして、そこはアルゼンチンと全く同列に論じるべきではございません。
それは安全保障の観点も、今回の関税交渉に於いて安全保障の議論というもの組み合わせたということはございませんが、それはそれとして日本国としてアメリカと共に如何にしてこのアジアの安全、そしてまた、・・・(?)で申し上げたことですが、ウクライナが、中東、このアジアと全部繋がっておりますので、そこはアメリカときちんと議論をしながら、我が国の国際的な責務を果したいとところでございます」――
神谷宗幣がトランプの政策のうち、SDGs政策の廃止、パリ協定からの脱退と脱炭素政策の廃止、パンデミック対策の見直しを含めたWHOからの脱退、ウクライナ支援の見直し、DEI政策の廃止、政府によるSNS規制の撤廃の6点を挙げて、その政策を見習うことで関税交渉を有利に進めるべきだとする主張したのに対して石破茂は厳格な物言いで、「我が国には我が国として国益に資するかどうかは我が国が主体的な判断をするものでございます」と拒否している。
だが、この6点の政策を挙げたことによって神谷宗幣の「日本人ファースト」が日本国民をターゲットに置いた優先政策とは全然無関係で、勿論、中間層の復活を目的とした主義・主張でもなく、日本国家優先を眼目とした「日本国家ファースト」そのものであるあることの正体を露わにすることになる。
SDGs政策とは国連サミット採択の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された貧困や飢餓、不平等、気候変動など、地球上の様々な課題を解決し、持続可能な社会を実現するための国際目標だそうで、SDGsからの脱退は中間層以下の生活者の生活困難を視野に置かない振舞いとなることから、神谷宗幣が言う「中間層の復活」を全くの絵空事にする主張となり、一方でSDGs政策に必要とする兆円規模の予算や投資から政府や民間企業を解放する方向に向かうことになり、「日本人ファースト」とは正反対の「日本国家ファースト」を意味することになる。
また、パリ協定からの脱退と脱炭素政策の廃止は地球温暖化が豪雨や洪水や山火事といった大規模な自然災害を招く原因とされていて、多くの命が失われ、その被害は低所得層程甚大となる傾向から、一部の日本国民の命を軽視し、経済活動にのみに国の予算を振り向ける狙いの「国家ファースト」の目論見そのもので、結果として階層に差別を設ける意思を隠した「日本人ファースト」となる。
ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包括性)を重視し、推進するDEI政策の廃止にしても、性別や性的指向等々に関係なしに個人の多様性や公平性を生きて表現する命の自由な選択と活動にストップを掛け、不自由な社会活動を強いる方策は「日本人ファースト」に差別を設ける仕掛けを隠していることになり、結果、神谷宗幣等の国家主義者が考える正常な人間だけを選別する「国家ファースト」のみを露わにすることになる。
これが参政党の神谷宗幣が唱える、実体は「日本国家ファースト」そのものである「日本人ファースト」の正体である。この正体は参政党が考える「新日本憲法(構想案)」が如実に証明することになる。
天皇を元首に据え、日本国の代表とし、主権は国民にはなく、国家が有し、国民の要件は父母の一方を日本人とする日本民族としての血を基準とし、母国語を日本語のみとする国家主義を骨組みとしている点、「日本人ファースト」は装いでしかなく、その実、「日本国家ファースト」を精神の根っこに据えている。
「日本人ファースト」を反グローバリズムを意味するキャッチコピーとしていて、その主義・主張を背景とした参政党の諸政策の目的を「中間層の復活」が狙いだとしている点についても、国家優先の精神を体現している以上、「日本人ファースト」という言葉から目を逸らせるためのカムフラージュとして用いている「中間層の復活」であり、その訴えが多くの有権者に生活上の実利性を心情的に訴え、それが功を奏した議席の飛躍的な獲得といったところであるはずである。
神谷宗幣は優れた国家主義者であり、SNS等を駆使した優れたアジテーター(大衆を扇動して行動を促す人物)と言える。