安倍派による石破茂退陣要求は自民党衆院選、都議選、参院選各敗北の主原因が安倍派還付金収支報告書不記載裏ガネ化等の政治スキャンダルを棚に上げた盗人猛々しいお門違い
自民党が衆院選、都議選、参院選で都議選は第一党から転落、他は第一党を維持したものの大きく議席を減らし、過半数割れを招いた敗北は旧統一教会の悪徳商法を駆使した資金集めと組織拡大に与党自民党議員として広告塔となることで結果的に貢献し、見返りに選挙での議員の当選に力を借りた安倍晋三が築いた国民の信頼を蔑ろにする不当な相互協力関係と安倍派政治資金パーティー利用の還付現金政治資金収支報告書不記載を手段とした政治資金裏ガネ化の不法行為に端を発した自民党政治に対する国民の政治不信が大本の原因となったことは明らかである。
当然、旧統一教会と関係の深かった自民党幹部議員や本人は知らないことだったと釈明しているが、還付金を不記載処理していた安倍派幹部の選挙敗選の責任は重い。ごく普通に考えたとしても、肩身を狭くしていると思いきや、特に裏ガネ化に関与していた安倍派幹部たちは選挙敗北の責任を首相の石破茂一人に被せて、辞任を迫る動きを露骨に見せている。
時事通信が伝えていたことだが、旧安倍派で裏ガネ事件の処分により離党中の元経産相世耕弘成、衆院選で非公認処分を受けたものの当選を果たした元政調会長萩生田光一と前官房長官松野博一、さらに元経産相西村康稔が2025年7月23日に会食、「石破首相は交代しなければいけない」との認識で一致し、西村康稔が自身のXで、「(衆院選、都議選と)3連敗した責任はうやむやにできない」と投稿したと伝えていた。
敗因をつくったのは誰かを置き去りにした自分たちの責任に対してカエルの面にショウベンでいられる神経は安倍晋三に勝るとも劣らない羞恥心を欠いた、見上げた神経の持ち主と言えるが、こういった面々がベテラン政治家でございますとのさばっているのだから、日本の政治の前途は明るい。
参院選敗北後、自民党内や地方組織から石破茂退陣を求める声が挙がる中、ここにきて低空飛行を続けていた石破内閣支持率が上向いている状況は石破政治を選挙敗北の主原因と捉えていない有権者の無視できない存在の根拠とすることができる。
改めて裏ガネ問題に焦点を当て、今までブログに書いてきたように安倍派幹部、特に2022年4月に安倍晋三と会合を持ち、その場で現金還付中止を指示されたとする西村康稔、下村博文、世耕弘成、塩谷立の各証言から4月の会合ばかりか、7月の安倍晋三の銃撃死後の8月の会合もデッチ上げの作り話ではないかということ、特に2022年4月と8月の会合に出席していた上記安倍派幹部4人は収支報告書不記載を承知していたのではないのかという証明を、多くは前に書いたことの繰返しになるが、試みてみる。
2024年3月1日の衆議院政治倫理審査会での西村康稔の2022年4月の会合に関する証言。
西村康稔「ただ今、思えばですね、事務総長として特に安倍会長がですね、令和4年、22年の4月に現金での還付を行ってる。これをやめるということを言われまして、私もこれはやめようということで、幹部でその方針を決めまして、そして若手議員何人かをリストアップして、電話も致しました。私自身も若手議員にかけ、電話をしてもやめるという方針を伝えたところ、伝えたわけであります。
従って、会長はその時点で何らかのことを知っておられたんだろうというふうに思います。全体のこと、どこまでご理解、把握しておられたのか分かりません。けれども、兎に角、現金は不透明で疑念を生じかねないから、こうして現金の還付はやめると、まあ、還付そのものをやめるということで、我々方針を決めて対応したわけであります」
安倍派派閥会長の安倍晋三から、「現金は不透明で疑念を生じかねないから、こうして現金還付そのものをやめる」と指示された。一方で「全体のこと、どこまでご理解、把握しておられたのか分かりません」と言っていることは矛盾するが(西村自身、釈明のところで前以って、「この清和会主催の政治資金パーティー収入の還付にかかる処理は歴代会長と清和会の事務職である事務局長との間で長年慣行的に扱ってきたことであり、会長以外の私たち幹部が関与することはありませんでした。先程申し上げた通り、事務総長(注:自身のこと)はこのことを含め、会計には関与しておりません」と証言していることが矛盾の根拠となる。)、派閥会長安倍晋三を庇っての控えめな物言いが矛盾を生じせしめたのだろう。
2024年3月18日の下村博文の衆議院政倫審でも、西村康稔の上記証言に添った発言をしている。
下村博文「2022年の4月に安倍会長の国会の事務所に私と塩谷さんとそれから当時西村事務総長、それから世耕参議院幹事長が呼ばれました。そのときに安倍会長の方から還付について現金の還付は不透明だからやめようということと、そのものをやめようという話がありましたが、還付が不記載であるとか、あるいは違法であるとかいう話は全く出ませんでした」
他の2名の出席者である世耕弘成と塩谷立は安倍晋三が使ったとしている「不透明」とか、「疑念」とかの言葉は使わずに「現金還付の中止の指示があった」程度の証言で済ませているが、西村康稔と下村博文が耳にした安倍晋三の現金還付制度の性格付けの言葉は同じく耳に止めていなければならない。
下村博文は「還付が不記載であるとか、あるいは違法であるとかいう話は全く出ませんでした」と話しているが、他の3人の幹部も同様の発言をしている。
西村康稔「まさに現金での還付は不透明、そして様々な疑念を生じかねないということで、還付そのものをやめるということが安倍会長の意向として示されたわけであります。そのときに何か収支収告書の話をしたわけでもありません。還付そのものが適法なのか違法なのか、そういった議論もしたことはありません」
塩谷立「確かに今申し上げましたように現金あるいは不透明な点だからやめようということで、それ以上の具体的な話は我々した記憶がございません。そういうことで、一応安倍さんの判断で、あの還付をやめたということでございます」
要するに現金還付は不透明だから中止するとの指示はあったが、「それ以上の具体的な話」はなかったと間接的に違法性の話は出なかったとしている。
世耕弘成「そのミーティングではですね、違法性についての議論は一切行われなかったと思います。先程申し上げましたけれども、安倍会長からですね、ノルマ通りの販売にするからというご指示が出た場だというふうに思っています。私はそこで意見を述べるというよりは、参議院側にそのことをしっかり伝達をする役割として呼ばれてるというふうに認識をしておりました」
世耕弘成「これはですね、当然、政治資金の処理っていうのは合法的にやるのは当たり前だと思ってました。だからその確認ということで私は申し上げました。4月7日の安倍会長がいらっしゃった幹部の会合でも、あるいは8月5日の安倍会長が亡くなった後の会合でもですね、少なくとも私は違法性の認識は持っていなかった。そこはチェックは甘かったと思ってます」
安倍晋三は現金還付方式を"不透明"で、"疑念"を与えるといった性格付けを行った。もし4月の会合が実在した会合であったなら、安倍派幹部の面々は還付された現金が不記載処理されていた事実を関知していなかった場合は安倍晋三のこの性格付けのキーワードから人間のごく当たり前の感覚としてどこが"不透明"で、どこに"疑念"が存在するのだろうかと不審に思い、安倍晋三に「どういうことでしょうか」と尋ねているだろう。
もし不記載を承知していて還付を受けていたなら、「何かヤバいことが起きたのかな」ぐらいは思い、安倍晋三に「何かあったのですか」ぐらいは尋ね返していたはずだ。
ところが、"不透明"、"疑念"のキーワードから適法・違法いずれなのかを考えも、受け止めもせずに、「適法なのか違法なのか、そういった議論はなかった」とか、「違法性の議論はなかった」等、話がなかったことを以って「現金還付が違法とは知らなかった、2022年11月からのマスコミ報道で違法性を知らされた」とする、現実にはあり得ないストーリー仕立てにしている。
この非現実的なストーリー仕立ては4月の会合が事実存在していなかった会合とすることによって一貫性を持ちうる。もし事実存在していたなら、"不透明"、"疑念"のキーワードから現金還付が少なくとも違法性の領域に足を踏み入れていたことを察知していなければならないからである。安倍派幹部にまで上り詰めるについては政治の裏も表も舐め尽くしているはずである。
西村康稔、世耕弘成、下村博文、塩谷立の幹部4人が、あるいは他の幹部も加えて口裏を合わせてデッチ上げた会合でなければ、こういった常識外の展開はお目にかかることはできまい。
さらに付け加えると、4月と8月の会合を現実にあった話だと仮定すると、安倍晋三が4月の会合で指示した現金還付中止を全員で決めたというのが事実なら、中止に代わる合法的な手段での若手議員や中堅議員に対する資金手当ての方策をどう講じるか、自らが決めるか、幹部たちに講じるよう指示するか、いずれかの選択をするのが派閥会長としての安倍晋三の責任と義務だが、そのような姿が一切見えないこと自体も、4月の会合がリアリティーを失わせる要因となっている。
要するに現金還付中止を指示した以上、安倍派の政治資金パーティーが1ヶ月後に迫っていたのだから、"今後どうするか"の方針の検討、あるいは決定が緊急を要する欠かすことのできないプロセスだったはずが、欠かしたままの会合仕立てとしていること自体が会合の実在性を疑わせている。
結果、安倍晋三は中止指示以後、その指示を電話で派閥議員に知らせる派閥幹部の背後に隠れてしまって、派閥会長として演じるべきそれ相応の役割を一切見せていない点も、会合としての全体性を失わせていて、虚構と見る以外に整合性は取れない。
さらに8月の会合での幹部たちの動向も、会合が作り話であることを十二分に窺わせる内容となっている。
安倍晋三亡き後の8月の会合ではノルマよりも多く売った分の還付を求める議員がいて、どうするか4月の会合と同じ顔ぶれの幹部たちが還付中止の安倍会長の意向を維持しながら、どう対応すべきか様々に議論したが、結論は出なかったとしていて、結果として誰が指示したのか不明のまま、現金還付が継続されていたことになっている。
本来なら4月の会合で安倍晋三自身が現金還付中止に代わる若手議員や中堅議員の資金手当の方策を講じるか、講じる手立てを考えるように幹部に指示するのが常識的な方向性だと既に指摘しているが、そういった常識的な展開はなく、8月の会合でも、幹部たちは安倍晋三亡き後の安倍派という派閥を運営・発展させていくべき責任と義務を背負いながら、その能力を発揮できずに現金還付中止に代わる資金手当の方策を考案することもできなかった。
その結果、安倍派を瓦解させることになった。安倍派幹部としての名誉も、本人たちは痛くも痒くもないようだが、剥ぎ落とすことになった。
国会議員としての経歴も経験も豊富なはずの4人が雁首を揃えていながらのこのような体たらくは4月の会合と8月の会合を虚構としなければ、彼らの責任と義務の不履行は理解し難いレベルと見なければならない。
虚構だからこそ、責任と義務の不履行を持ってきて、辻褄合わせをしなければならなかった。
現金還付と還付現金の収支報告書不記載の制度は森喜朗が始めたと噂されているが、事実そのとおりであったとしても、制度を派閥所属議員全員にまで広げる徹底した活用は安倍晋三が考案した可能性は否定できない。
なぜなら、首相の座を維持できる唯一の方策は自分が考える国民のための政治を行うことによってではなく、選挙に勝つことだという考えに立っていて、毎年4月の首相主催の「桜を見る会」を利用、自身や自民党国会議員の後援会会員にまで招待客の対象を広げて、招待の名誉を票に結びつけるべく画策したり、旧統一教会と持ちつ持たれつの関係を築いて、信者個人個人を票に仕立てたり、選挙中は国民に不人気な政策は争点から外したり、消費税増税を二度延期したりの選挙に勝つためのなりふりの構わなさは天下一品で、還付した現金を不記載処理扱いし、選挙や政治活動に自由に使える裏ガネとしたのも、選挙に勝って、首相の座を維持する方策の一環としていたからであり、票を最大化するためには現金還付制度の派閥の全員適用化が必要条件となるからであろう。
ところが2022年11月に入って現金還付と還付現金の収支報告書不記載が世間に知れることとなり、現金還付制度に深く関わっていた安倍晋三に還付を中止したという功績を与えて、その功績に注目させ、現金還付制度の徹底化を謀った罪から目を逸らせる役目を持たせる必要上、4月と8月の会合をデッチ上げるに至ったということは十二分にありうる。
功績を与えるためには現金還付制度の違法性を一定程度は明かさなければならず、明かすことになったが、そうすること自体が還付現金の収支報告書不記載を承知していたことになる。
安倍晋三と安倍派幹部、派閥所属国会議員の政治資金に関わる不正行為の罪は重い。衆議院選挙、都議会選挙、参議院選挙と主要な選挙で自民党の退潮を招く要因を成した。
自民党が衆院選、都議選、参院選で都議選は第一党から転落、他は第一党を維持したものの大きく議席を減らし、過半数割れを招いた敗北は旧統一教会の悪徳商法を駆使した資金集めと組織拡大に与党自民党議員として広告塔となることで結果的に貢献し、見返りに選挙での議員の当選に力を借りた安倍晋三が築いた国民の信頼を蔑ろにする不当な相互協力関係と安倍派政治資金パーティー利用の還付現金政治資金収支報告書不記載を手段とした政治資金裏ガネ化の不法行為に端を発した自民党政治に対する国民の政治不信が大本の原因となったことは明らかである。
当然、旧統一教会と関係の深かった自民党幹部議員や本人は知らないことだったと釈明しているが、還付金を不記載処理していた安倍派幹部の選挙敗選の責任は重い。ごく普通に考えたとしても、肩身を狭くしていると思いきや、特に裏ガネ化に関与していた安倍派幹部たちは選挙敗北の責任を首相の石破茂一人に被せて、辞任を迫る動きを露骨に見せている。
時事通信が伝えていたことだが、旧安倍派で裏ガネ事件の処分により離党中の元経産相世耕弘成、衆院選で非公認処分を受けたものの当選を果たした元政調会長萩生田光一と前官房長官松野博一、さらに元経産相西村康稔が2025年7月23日に会食、「石破首相は交代しなければいけない」との認識で一致し、西村康稔が自身のXで、「(衆院選、都議選と)3連敗した責任はうやむやにできない」と投稿したと伝えていた。
敗因をつくったのは誰かを置き去りにした自分たちの責任に対してカエルの面にショウベンでいられる神経は安倍晋三に勝るとも劣らない羞恥心を欠いた、見上げた神経の持ち主と言えるが、こういった面々がベテラン政治家でございますとのさばっているのだから、日本の政治の前途は明るい。
参院選敗北後、自民党内や地方組織から石破茂退陣を求める声が挙がる中、ここにきて低空飛行を続けていた石破内閣支持率が上向いている状況は石破政治を選挙敗北の主原因と捉えていない有権者の無視できない存在の根拠とすることができる。
改めて裏ガネ問題に焦点を当て、今までブログに書いてきたように安倍派幹部、特に2022年4月に安倍晋三と会合を持ち、その場で現金還付中止を指示されたとする西村康稔、下村博文、世耕弘成、塩谷立の各証言から4月の会合ばかりか、7月の安倍晋三の銃撃死後の8月の会合もデッチ上げの作り話ではないかということ、特に2022年4月と8月の会合に出席していた上記安倍派幹部4人は収支報告書不記載を承知していたのではないのかという証明を、多くは前に書いたことの繰返しになるが、試みてみる。
2024年3月1日の衆議院政治倫理審査会での西村康稔の2022年4月の会合に関する証言。
西村康稔「ただ今、思えばですね、事務総長として特に安倍会長がですね、令和4年、22年の4月に現金での還付を行ってる。これをやめるということを言われまして、私もこれはやめようということで、幹部でその方針を決めまして、そして若手議員何人かをリストアップして、電話も致しました。私自身も若手議員にかけ、電話をしてもやめるという方針を伝えたところ、伝えたわけであります。
従って、会長はその時点で何らかのことを知っておられたんだろうというふうに思います。全体のこと、どこまでご理解、把握しておられたのか分かりません。けれども、兎に角、現金は不透明で疑念を生じかねないから、こうして現金の還付はやめると、まあ、還付そのものをやめるということで、我々方針を決めて対応したわけであります」
安倍派派閥会長の安倍晋三から、「現金は不透明で疑念を生じかねないから、こうして現金還付そのものをやめる」と指示された。一方で「全体のこと、どこまでご理解、把握しておられたのか分かりません」と言っていることは矛盾するが(西村自身、釈明のところで前以って、「この清和会主催の政治資金パーティー収入の還付にかかる処理は歴代会長と清和会の事務職である事務局長との間で長年慣行的に扱ってきたことであり、会長以外の私たち幹部が関与することはありませんでした。先程申し上げた通り、事務総長(注:自身のこと)はこのことを含め、会計には関与しておりません」と証言していることが矛盾の根拠となる。)、派閥会長安倍晋三を庇っての控えめな物言いが矛盾を生じせしめたのだろう。
2024年3月18日の下村博文の衆議院政倫審でも、西村康稔の上記証言に添った発言をしている。
下村博文「2022年の4月に安倍会長の国会の事務所に私と塩谷さんとそれから当時西村事務総長、それから世耕参議院幹事長が呼ばれました。そのときに安倍会長の方から還付について現金の還付は不透明だからやめようということと、そのものをやめようという話がありましたが、還付が不記載であるとか、あるいは違法であるとかいう話は全く出ませんでした」
他の2名の出席者である世耕弘成と塩谷立は安倍晋三が使ったとしている「不透明」とか、「疑念」とかの言葉は使わずに「現金還付の中止の指示があった」程度の証言で済ませているが、西村康稔と下村博文が耳にした安倍晋三の現金還付制度の性格付けの言葉は同じく耳に止めていなければならない。
下村博文は「還付が不記載であるとか、あるいは違法であるとかいう話は全く出ませんでした」と話しているが、他の3人の幹部も同様の発言をしている。
西村康稔「まさに現金での還付は不透明、そして様々な疑念を生じかねないということで、還付そのものをやめるということが安倍会長の意向として示されたわけであります。そのときに何か収支収告書の話をしたわけでもありません。還付そのものが適法なのか違法なのか、そういった議論もしたことはありません」
塩谷立「確かに今申し上げましたように現金あるいは不透明な点だからやめようということで、それ以上の具体的な話は我々した記憶がございません。そういうことで、一応安倍さんの判断で、あの還付をやめたということでございます」
要するに現金還付は不透明だから中止するとの指示はあったが、「それ以上の具体的な話」はなかったと間接的に違法性の話は出なかったとしている。
世耕弘成「そのミーティングではですね、違法性についての議論は一切行われなかったと思います。先程申し上げましたけれども、安倍会長からですね、ノルマ通りの販売にするからというご指示が出た場だというふうに思っています。私はそこで意見を述べるというよりは、参議院側にそのことをしっかり伝達をする役割として呼ばれてるというふうに認識をしておりました」
世耕弘成「これはですね、当然、政治資金の処理っていうのは合法的にやるのは当たり前だと思ってました。だからその確認ということで私は申し上げました。4月7日の安倍会長がいらっしゃった幹部の会合でも、あるいは8月5日の安倍会長が亡くなった後の会合でもですね、少なくとも私は違法性の認識は持っていなかった。そこはチェックは甘かったと思ってます」
安倍晋三は現金還付方式を"不透明"で、"疑念"を与えるといった性格付けを行った。もし4月の会合が実在した会合であったなら、安倍派幹部の面々は還付された現金が不記載処理されていた事実を関知していなかった場合は安倍晋三のこの性格付けのキーワードから人間のごく当たり前の感覚としてどこが"不透明"で、どこに"疑念"が存在するのだろうかと不審に思い、安倍晋三に「どういうことでしょうか」と尋ねているだろう。
もし不記載を承知していて還付を受けていたなら、「何かヤバいことが起きたのかな」ぐらいは思い、安倍晋三に「何かあったのですか」ぐらいは尋ね返していたはずだ。
ところが、"不透明"、"疑念"のキーワードから適法・違法いずれなのかを考えも、受け止めもせずに、「適法なのか違法なのか、そういった議論はなかった」とか、「違法性の議論はなかった」等、話がなかったことを以って「現金還付が違法とは知らなかった、2022年11月からのマスコミ報道で違法性を知らされた」とする、現実にはあり得ないストーリー仕立てにしている。
この非現実的なストーリー仕立ては4月の会合が事実存在していなかった会合とすることによって一貫性を持ちうる。もし事実存在していたなら、"不透明"、"疑念"のキーワードから現金還付が少なくとも違法性の領域に足を踏み入れていたことを察知していなければならないからである。安倍派幹部にまで上り詰めるについては政治の裏も表も舐め尽くしているはずである。
西村康稔、世耕弘成、下村博文、塩谷立の幹部4人が、あるいは他の幹部も加えて口裏を合わせてデッチ上げた会合でなければ、こういった常識外の展開はお目にかかることはできまい。
さらに付け加えると、4月と8月の会合を現実にあった話だと仮定すると、安倍晋三が4月の会合で指示した現金還付中止を全員で決めたというのが事実なら、中止に代わる合法的な手段での若手議員や中堅議員に対する資金手当ての方策をどう講じるか、自らが決めるか、幹部たちに講じるよう指示するか、いずれかの選択をするのが派閥会長としての安倍晋三の責任と義務だが、そのような姿が一切見えないこと自体も、4月の会合がリアリティーを失わせる要因となっている。
要するに現金還付中止を指示した以上、安倍派の政治資金パーティーが1ヶ月後に迫っていたのだから、"今後どうするか"の方針の検討、あるいは決定が緊急を要する欠かすことのできないプロセスだったはずが、欠かしたままの会合仕立てとしていること自体が会合の実在性を疑わせている。
結果、安倍晋三は中止指示以後、その指示を電話で派閥議員に知らせる派閥幹部の背後に隠れてしまって、派閥会長として演じるべきそれ相応の役割を一切見せていない点も、会合としての全体性を失わせていて、虚構と見る以外に整合性は取れない。
さらに8月の会合での幹部たちの動向も、会合が作り話であることを十二分に窺わせる内容となっている。
安倍晋三亡き後の8月の会合ではノルマよりも多く売った分の還付を求める議員がいて、どうするか4月の会合と同じ顔ぶれの幹部たちが還付中止の安倍会長の意向を維持しながら、どう対応すべきか様々に議論したが、結論は出なかったとしていて、結果として誰が指示したのか不明のまま、現金還付が継続されていたことになっている。
本来なら4月の会合で安倍晋三自身が現金還付中止に代わる若手議員や中堅議員の資金手当の方策を講じるか、講じる手立てを考えるように幹部に指示するのが常識的な方向性だと既に指摘しているが、そういった常識的な展開はなく、8月の会合でも、幹部たちは安倍晋三亡き後の安倍派という派閥を運営・発展させていくべき責任と義務を背負いながら、その能力を発揮できずに現金還付中止に代わる資金手当の方策を考案することもできなかった。
その結果、安倍派を瓦解させることになった。安倍派幹部としての名誉も、本人たちは痛くも痒くもないようだが、剥ぎ落とすことになった。
国会議員としての経歴も経験も豊富なはずの4人が雁首を揃えていながらのこのような体たらくは4月の会合と8月の会合を虚構としなければ、彼らの責任と義務の不履行は理解し難いレベルと見なければならない。
虚構だからこそ、責任と義務の不履行を持ってきて、辻褄合わせをしなければならなかった。
現金還付と還付現金の収支報告書不記載の制度は森喜朗が始めたと噂されているが、事実そのとおりであったとしても、制度を派閥所属議員全員にまで広げる徹底した活用は安倍晋三が考案した可能性は否定できない。
なぜなら、首相の座を維持できる唯一の方策は自分が考える国民のための政治を行うことによってではなく、選挙に勝つことだという考えに立っていて、毎年4月の首相主催の「桜を見る会」を利用、自身や自民党国会議員の後援会会員にまで招待客の対象を広げて、招待の名誉を票に結びつけるべく画策したり、旧統一教会と持ちつ持たれつの関係を築いて、信者個人個人を票に仕立てたり、選挙中は国民に不人気な政策は争点から外したり、消費税増税を二度延期したりの選挙に勝つためのなりふりの構わなさは天下一品で、還付した現金を不記載処理扱いし、選挙や政治活動に自由に使える裏ガネとしたのも、選挙に勝って、首相の座を維持する方策の一環としていたからであり、票を最大化するためには現金還付制度の派閥の全員適用化が必要条件となるからであろう。
ところが2022年11月に入って現金還付と還付現金の収支報告書不記載が世間に知れることとなり、現金還付制度に深く関わっていた安倍晋三に還付を中止したという功績を与えて、その功績に注目させ、現金還付制度の徹底化を謀った罪から目を逸らせる役目を持たせる必要上、4月と8月の会合をデッチ上げるに至ったということは十二分にありうる。
功績を与えるためには現金還付制度の違法性を一定程度は明かさなければならず、明かすことになったが、そうすること自体が還付現金の収支報告書不記載を承知していたことになる。
安倍晋三と安倍派幹部、派閥所属国会議員の政治資金に関わる不正行為の罪は重い。衆議院選挙、都議会選挙、参議院選挙と主要な選挙で自民党の退潮を招く要因を成した。