2025年5月27日の衆議院予算員会で自民党旧安倍派の裏ガネ事件に関わった幹部の一人、文科大臣等を歴任した下村博文に対する参考人質疑が行われた。
他の派閥も行なっていたが、人数、金額共に大掛かりな点で抜きん出ていた安倍派に関わる裏ガネ事件のこれまで判明している事の次第を先ずは振り返ってみる。
安倍派清和研政治資金パーティーを舞台にパーティー券売上へのノルマを派閥所属国会議員に課し、ノルマを超えた売上は派閥が自らの預かりとしていながら、それを現金還付して、派閥からの支出と各国会議員政治団体の収入共に収支報告書に長年に亘って不記載とし、裏ガネとしていた悪質な政治資金規正法違反を慣例化させていて、その不記載金額は安倍派全体では収支報告書不記載・虚偽記載罪の時効にかからない2018~22年の5年間で総額5億円規模に上る可能性が指摘されている一大政治スキャンダルの様相を呈することになっていた。
慣例の開始時期によっては時効外を含めると、十数億が裏ガネ処理されていた可能性も指摘できる。この安倍派政治資金不正処理事件は2022年11月の「しんぶん赤旗」がスクープし、他のマスメデアがあとを追い、広く世に知れ渡って政治不信を招き、真相解明を求める声に押されて、2024年3月以降、衆参政治倫理審査会や衆参予算委員会で関与議員に対する参考人招致が引き続いて開催されたが、不記載処理の現金還付方式をいつ、誰が始めたのかの真相は解明に至らず、証言で判明したことは2022年4月7日の安倍晋三と安倍派幹部西村康稔、塩谷立、下村博文、世耕弘成、安倍派清和研事務局長兼会計責任者松本淳一郎出席の会合で安倍晋三が「現金は不透明で疑念を生じかねない」との理由で現金還付の中止指示を出し、幹部たちが手分けして派閥所属議員に電話で伝えたが、既にノルマ以上のパーティー券を売り上げていた議員から自らの政治資金として還付して欲しいとう声が上がり、2022年7月に銃撃死した安倍晋三を除いて4月の会合と同じメンバーが集まった2022年8月5日の会合で安倍晋三の現金還付中止の指示は維持しつつ、現金還付に代わる政治資金手当の方策を議論したが、結論を出すことができないままでいたところ、誰が指示したのか不明のまま一旦中止したはずの現金還付が再開されていて、マスコミが報じるまで2022年のパーティー分も従来通りに現金還付し、不記載処理していたということが判明している。
但し今回、2025年5月27日の衆議院予算員会で行われた下村博文に対する参考人質疑は東京地検特捜部の起訴を受けた安倍派会計責任者松本淳一郎被告が2024年6月18日の東京地裁公判で、安倍晋三死去後の2022年7月末頃にある幹部から還流を求める議員がいると知らされ、8月の会合で協議、他の幹部からも還流を求める議員がいると知らされ、「還付やむなし」となったと証言したことと、2025年2月27日に松本純一郎に対して安住予算委員長及び理事らが東京都内のホテルに出向き、非公開で行われた衆議院参考人聴取後の安住予算委員長会見で2022年4月の会合で安倍元首相指示で一旦中止となったことは事実であること、8月の会合で還流の再会を求めたある幹部は現職の議員ではないこと、当該会合でいずれにしても返すのも止む得ないという結論になったこと、さらに下村博文自身が松本淳一郎のこの日の参考人聴取後の取材に対して再開を望む派内の声を松本氏に伝えたと発言したことから当予算員会の参考人聴取要請の議決を経て実現したものだった。
当然、質問は「安倍晋三の指示で一旦中止した現金還付の再開を指示したのは下村博文なのか」に集中した。2番手の質問者である立憲民主党の渡辺創と下村博文の遣り取りを見てみることにするが、下村博文の2024年3月18日の衆議院政倫審で、「2022年の4月に安倍会長の国会の事務所に私と塩谷さんとそれから当時西村事務総長、それから世耕参議院幹事長が呼ばれました。そのときに安倍会長の方から還付について現金の還付は不透明だからやめようということと、そのものをやめようという話がありましたが、還付が不記載であるとか、あるいは違法であるとかいう話は全く出ませんでした」と述べているが、渡辺創に対しては次の発言、「還付が不記載であるとか、あるいは違法であるとかいう話は全く出ませんでした」を除いて、「その4月に安倍会長がご存命のときに同じメンバーに言われました。そのときにこれから還付は、現金による還付は不透明なので行わないと、ノルマ以上の売り上げがあった者に対してそういう話があり、そして我々4人が手分けして、全ての清和会所属の国会議員に連絡を致しました」とほぼ同じ文言で安倍晋三の現金還付中止の理由を述べていることを前以って伝えておく。
渡辺創「下村参考人は政倫審での発言がですね、これまでの報道によれば、(8月の会合では)やる・やめる前提で議論をしてきたが、結論出なかったというふうに表現されてきました。今も同じだと思います。松本さんの参考人聴取後の取材には、再会を望む派内の声を松本氏に伝えたと発言しております。
先程の質問でも伝えたことをお認めになってると思いますが、先ず伝えた時期は先程6月下旬からというふうに言われてましたが、いつ頃ですか。それとも複数回、松本さんにお伝えになってるのか、また、それは先程『事務的に』と仰いましたが、下村参考人が松本事務局長に直接お伝えになってるんですか。それとも間接的に間が入ってるんです。合わせて安倍さんにはどのような形でお伝えになったか」
下村博文「電話で松本事務局長には6月の下旬に一人の議員から還付を求める声があるということについて、松本事務局長は、4人のそれぞれが手分けして電話かけてましたし、意見集約のお立場でもありましたから、これは安倍会長ご存命のときでありましたから、勿論、安倍会長にそういう話があるってことを、私の方からお伝えしました。ということを申し上げました。
7月の下旬、安倍会長がお亡くなりになったときですね、このことがあるねということについては電話でですね、あの松本事務局長に連絡いたしましたが、しかし再開を求めるということではなくて、そのあと、8月5日に会合を持ったときですね、再開を求めるということが前提でなくて、現金還付はしないということの中で、しかし何らかの形で資金手当ができる方法はないかということを議論をしたということでありまして、松本事務局長にですね、再開をしろということを私は申し上げたつもりはございません」
下村博文は松本淳一郎に対して「一人の議員から還付を求める声がある」ことを伝えたが、還付を再開しろと伝えたわけではないと再開指示を否定している。
政治家個人、あるいは政治団体が行う政治資金に関わるカネの遣り取りは常に政治資金規正法という法律に関係する。現金還付の仕組みが"不透明"ということは政治資金規正法上、透明性を欠いているということであり、最低限、法的意味合いに於いて違法性に一定程度は足を踏み入れていると考えるのが誰にとっても常識となる。
つまり"不透明"という性格付けから合法そのものと解釈する人間は誰もいないことも常識としなければならない。実際にはその違法性はある程度どころではなかったが、もし安倍晋三がそのような言葉遣いをしたことが事実だとしたら、実態を露骨に曝すわけにはいかず、控えめに表現することになったということであり、4月の会合が安倍派幹部たちが作り上げたストーリーだったとしたら、自分たちの関与を否定するために実態どおりに話すわけにはいかないことから曖昧な表現にしたということであろう。
どちらであったかは無視したとしても、下村博文は不記載に自身が関わっていなかったことだとしても、"不透明"という言葉から現金還付に少なくとも違法性の影を見て取っていなければならなかったことになる。そうでなければ、"不透明"という表現から言葉通りの印象も受けず、その意味するところを何も思慮することはなかったあり得ない実態を曝すことになる。
当然、何がしかの違法性を前提としなければならない現金還付である以上、事件が明るみに出てから、安倍派所属議員100人近くのうち、80人近くが収支報告書を「寄付」名目で訂正していると報道されているが、還付を求める議員がたった一人であったとても、あるいは事務的にであったとしても、その存在を安倍晋三や事務局長である松本淳一郎に電話で知らせることは矛盾した行為となる。
なぜなら、下村自身が違法性の色付けで見なければならない現金還付でありながら、その再開を求めた議員の還付に付き纏うことになる違法性を考慮外に置くことを意味することになるからである。逆に安倍派幹部という立場上、還付を求める議員が出てきたなら、何がしかのその違法性を意に止めて、自分のところで、それはできないということを伝えなければならなかった。
だが、伝えずに電話で知らせた。たった一人であったとしても、その現金還付方式が抱えていると見て取らなければならない違法性の臭いに蓋をして、還付を求める議員の存在を電話で知らせたことになり、幹部としてあり得ない行動を取ったことになる。その点で、"電話した"が実際にあった話と受け止めることはできない裏付けとすることができる。何らかの目的を持たせた作り話の疑いが限りなく濃い。
さらに安倍晋三自身が現金還付は「不透明」だとその仕組の何がしかの違法性を指摘して中止させたが厳然たる事実であるなら、中止させたその本人に対して現金還付を求める議員の存在を"電話した"だけであったとしても、その中止の意思を派閥議員に徹底させ得なかった派閥幹部としての下村博文自身の責任欠如そのものを同時に伝えることにもなるのだから、実際にはそのような電話をすることはできないはずで、なおさらのこと、何らかのためにする作り話と見てかからなければならないことになる。
安倍晋三自身がどう言うかはもはや死人に口無しで確かめようがないが、3番手の質問者である日本維新の会の斉木武志との遣り取りを見てみる。
斉木武志「6月下旬にですね、松本事務局長に対してキックバックを求める声があると、一名、この声を電話でお伝えしたと。で、このことに関しては安倍会長にもお電話で報告をされたというふうにおっしゃいました。安倍会長はこれに関してどのような指示をされましたか」
下村博文「5月の17日に清和研のパーティーがございました。元々4月の上旬に『現金が不透明なので、ノルマ以上の売り上げについて還付しない』ということを安倍会長から指示があって、そして4人のそれぞれの議員が手分けして電話を致しました。
しかしそれが4月ということですね、全員が、私はあの20人近く電話致しましたが、『承知しました』という返事でありましたが、パーティーが終わった後ですね、ノルマ以上の売り上げがある議員がおられて、その議員から何とか還付できないかという話があったということで、そういう声があるということを松本事務局長と、それから安倍会長にご報告致しました。これはご報告ですので、安倍会長はそうですかというお答えでありまして、それ以上特にコメントはございませんでした」
斉木武志「それは4月に安倍会長が仰っていた、やめるべきだ、還付、キックバックは不透明なのでやめるべきだという安倍会長のお考えとは違う声ですよね。それに対してこういう派内からこういう声があるんだけれどとお伝えをした、下村議員がお伝えをしたのであれば、何らか安倍会長の考えとは真逆の考えですから、声ですから、何らか、じゃあ、派としてこうしなさいであるとか、それでもやはり還流はやめるべきだとか、何か安倍会長から発言があって然るべきだと思うんですが、ちょっとそのときの電話の会話ご紹介頂けますでしょうか」
下村博文「ご指摘のように4月の会合のときに安倍会長からノルマ以上の売り上げについても現金の還付は不透明だからやめるということを指示されて、徹底して電話したわけでありますから、当然、8月のときもそうだったですけども、それが前提でずっと議論されてますから、それをひっくり返すような話ということは、勿論、ないわけでありまして、ただ一議員がそういう声があるということの情報としてお伝えしたと。だから変えるという話は、勿論、私も申し上げてませんし、安倍会長からもそういう話は全く出ておりません」――
斉木武志は下村博文のこの答弁に矛盾があることに気づかずに安倍会長の還付中止の決意は相当固かったことに反して還付を求める議員の存在を伝えたなら、何らかのリアクションがあったのではないかとなお食い下がるが、下村から現金還付中止の前提で議論してきたのだから、還付を求める議員の声があることを情報として伝えたのみで、だからと言って還付を再開する話にはならないといった趣旨の答弁で逃げられることになった。
斉木武志は下村博文が松本淳一郎に還付を求める議員の存在を電話で伝えたこと自体を、「不透明なのでやめるべきだという安倍会長のお考えとは違う声ですよね」と追及するのではなく、
「現金は不透明」と性格付けた安倍晋三の言葉自体を下村博文自身がどのような法的意味合いで受け止めていたのかを問い質すべきだったろう。
もし下村博文が現金還付を合法的な色合いを持たせて解釈することになっていたのなら、西村康稔が証言したように「不透明で疑念を生じかねない」としている以上、そのような解釈は成り立たないことになるが、還付を求める国会議員の存在を電話で伝えたとしても、その行為を問われることになることはない。
違法性の色合いを持たせた解釈で受け止めることになっていたからこそ、中止の指示に従い、所属国会議員に還付中止の電話連絡を入れるというプロセスを取ったはずであり、8月の会合では「安倍会長の還付は行わないという方針を維持するという中で」とか、「還付をしないという安倍会長の意向を維持しながら」と間接的な物言いで、「不透明で疑念」の法的意味合いに添う姿勢を示していて、その線で現金還付に代わる合法的となる政治資金を手当する方策を議論することになったはずであり、下村博文自身も渡辺創の問いに、「安倍会長の思いの中で我々も動いているわけでありまして」と同じ姿勢であることを一方では示しているのである。
当然、たった一人の国会議員の還付再開の要請であったとしても、現金還付という仕組みを違法性のレベルで見なければならないことになっているのだから、そのような議員の存在を"事務的に"であったとしても、報告すること自体が安倍晋三の「不透明で疑念を生じかねない」とした現金還付中止の意図を無視する、常識では考えられない行動となる。
このような意味で"電話した"は実際の出来事と見ることはできないし、もし要請を受けたが事実であるなら、その要請を受けた時点で、安倍晋三の現金還付中止の意思との関係で「安倍会長の思いに逆らう動きを見せるわけにはいかない」と幹部の立場から相手に説得を試み、安倍晋三の意思通りに中止を徹底させる当たり前の努力を払うべきで、払っていれば、電話をする必要性は生じないし、生じない努力を果たすのが幹部としての当然の役目であるにも関わらず、果たすべきプロセスを省いているのだから、こういった意味からも、"電話した"は何らかの目的を持った作り話と見る他ない。
では、どのような目的を持たせた作り話なのだろうか。4月の会合で安倍晋三は「現金還付は不透明で疑念が生じやすい」との理由を紹介して現金還付の中止を指示したと安部派幹部の西村康稔と下村博文はそれぞれの政倫審で証言。他の塩谷立と世耕弘成はただ単に「還付中止を指示した」と証言。
そして8月の会合で、繰り返しになるが、「安倍会長の還付は行わないという方針を維持するという中で」、あるいは「還付をしないという安倍会長の意向を維持しながら」現金還付に代わる政治資金手当の方策を議論したが、塩谷立を除いて結論が出なかったとする幹部3人の証言は安倍晋三の現金還付中止理由との兼ね合いで非常に整合性が取れている。
だが、4月の会合での安倍晋三の現金還付中止の指示に対して8月の会合で現金還付を求める議員が存在し、「現金還付もやむ無し」との結論に達したとの松本淳一郎と塩谷立の証言は安倍晋三の指示を真っ向から破棄している点に於いて整合性は何ら見い出すことはできない。
事件のほとぼりが冷めたなら、今後も大臣職を経験することになるだろう西村や世耕に何のメリットもない松本淳一郎と塩谷立の証言となるが、尤も証言の食い違いを問われたとしても、下村博文と同様に"認識の齟齬"でかわすことになるだろうが、松本淳一郎と塩谷立にどのようなメリットがあるのだろうか。
今後の経済的保障を担保に"毒を喰らわば皿まで"、"一蓮托生"の覚悟がメリットでは我慢ならず、一寸の虫にも五分の魂とばかりに自らの正義を証明することにメリットを賭けたということなのだろか。
しかし4月の会合と8月の会合が実在しなかった会合で、安倍晋三の名誉を守ることと安倍派幹部たちが収支報告書不記載に気づいていなかった、いわば自らを無罪放免に持って行くためのデッチ上げだと見ると、松本淳一郎の「2022年7月末頃にある幹部から還流を求める議員がいると知らされた」と「8月会合で現職でない方が再開決めた」の証言と下村博文の「7月に松本と安倍会長に電話した」の証言からは別の側面が見えてくる。
先ず4月と8月の会合をデッチ上げと見る根拠は、4月の会合で現金還付中止を指示したなら、その時点で派閥のボスという立場にある安倍晋三は所属議員のモチベーションを維持する目的と同時に自前で満足に政治資金を手当できない議員に対して現金還付に代わる資金集めの方策を自ら提案するか、幹部たちに構築させるかして、組織の変わらぬ結束を意図する責任を有していたはずだが、安倍派幹部がそのような責任主体として扱わずにただ単に還付中止のみの登場で終わらせている点はあまりにも不自然で、中途半端に過ぎ、現実感を喪失させている。
安倍晋三のこのような非現実的な存在性からも、4月の会合が事実あったことと認めることはできない。
さらに幹部の誰もが4月と8月の両会合共に「違法性についての議論は一切行われなかった」といった趣旨の証言を行い、自分たちが不記載に気づいていなかったことの裏付けとしているが、このことは安倍晋三の「現金還付は不透明で、疑念を起こしやすい」の言葉からどのような法的な意味合いも受け取らなかったことを意味させていて、生身の人間としてはあり得ない無感覚な存在として自分たちを描いていることになり、両会合共に実在したという根拠を失わせる。
では、このように4月と8月の会合をデッチ上げと見ると、松本淳一郎の「8月会合で現職でない方が再開を決めた」の証言と下村博文の「7月に一人の議員から還付を求める声があることを松本と安倍会長に電話した」はどのような目的、メリットがあるのだろうか。
小説や演劇で登場人物の内面に矛盾した心理を用意し、心理同士を衝突させて、葛藤を生み出し、物語を盛り上げる。あるいは物語の展開の上で人物同士間に矛盾した行動を引き起こして、確執や反目を生み出し、物語を活気づける。このように心理面や行動面での矛盾という要素が読み手や観客の興味を惹きつける。
8月の会合では現金還付に代わる政治資金手当の方策を議論したが、結論を出すことはできなかったという安倍派幹部の西村康稔と下村博文と世耕弘成の証言に対して8月の会合で現金還付の再開が決まったとする安倍派事務局長松本淳一郎と塩谷立の証言の矛盾を用意することで、4月の会合に対して8月の会合では実際にはどのような話し合いが行われていたのか、追及の焦点を当てさせることになり、結果として4月と8月の会合共に正真正銘、実在した会合であると思わせることに成功している。
そのように思わせるための松本淳一郎の「8月会合で現職でない方が再開を決めた」の証言と下村博文の「7月に一人の議員から還付を求める声があることを松本と安倍会長に電話した」の連携プレーだということである。
4月の会合と8月の会合はデッチ上げに過ぎないという観点に立つことによって安倍派幹部たちが収支報告書不記載を承知していて現金還付を受けていたことが証明できる。
他の派閥も行なっていたが、人数、金額共に大掛かりな点で抜きん出ていた安倍派に関わる裏ガネ事件のこれまで判明している事の次第を先ずは振り返ってみる。
安倍派清和研政治資金パーティーを舞台にパーティー券売上へのノルマを派閥所属国会議員に課し、ノルマを超えた売上は派閥が自らの預かりとしていながら、それを現金還付して、派閥からの支出と各国会議員政治団体の収入共に収支報告書に長年に亘って不記載とし、裏ガネとしていた悪質な政治資金規正法違反を慣例化させていて、その不記載金額は安倍派全体では収支報告書不記載・虚偽記載罪の時効にかからない2018~22年の5年間で総額5億円規模に上る可能性が指摘されている一大政治スキャンダルの様相を呈することになっていた。
慣例の開始時期によっては時効外を含めると、十数億が裏ガネ処理されていた可能性も指摘できる。この安倍派政治資金不正処理事件は2022年11月の「しんぶん赤旗」がスクープし、他のマスメデアがあとを追い、広く世に知れ渡って政治不信を招き、真相解明を求める声に押されて、2024年3月以降、衆参政治倫理審査会や衆参予算委員会で関与議員に対する参考人招致が引き続いて開催されたが、不記載処理の現金還付方式をいつ、誰が始めたのかの真相は解明に至らず、証言で判明したことは2022年4月7日の安倍晋三と安倍派幹部西村康稔、塩谷立、下村博文、世耕弘成、安倍派清和研事務局長兼会計責任者松本淳一郎出席の会合で安倍晋三が「現金は不透明で疑念を生じかねない」との理由で現金還付の中止指示を出し、幹部たちが手分けして派閥所属議員に電話で伝えたが、既にノルマ以上のパーティー券を売り上げていた議員から自らの政治資金として還付して欲しいとう声が上がり、2022年7月に銃撃死した安倍晋三を除いて4月の会合と同じメンバーが集まった2022年8月5日の会合で安倍晋三の現金還付中止の指示は維持しつつ、現金還付に代わる政治資金手当の方策を議論したが、結論を出すことができないままでいたところ、誰が指示したのか不明のまま一旦中止したはずの現金還付が再開されていて、マスコミが報じるまで2022年のパーティー分も従来通りに現金還付し、不記載処理していたということが判明している。
但し今回、2025年5月27日の衆議院予算員会で行われた下村博文に対する参考人質疑は東京地検特捜部の起訴を受けた安倍派会計責任者松本淳一郎被告が2024年6月18日の東京地裁公判で、安倍晋三死去後の2022年7月末頃にある幹部から還流を求める議員がいると知らされ、8月の会合で協議、他の幹部からも還流を求める議員がいると知らされ、「還付やむなし」となったと証言したことと、2025年2月27日に松本純一郎に対して安住予算委員長及び理事らが東京都内のホテルに出向き、非公開で行われた衆議院参考人聴取後の安住予算委員長会見で2022年4月の会合で安倍元首相指示で一旦中止となったことは事実であること、8月の会合で還流の再会を求めたある幹部は現職の議員ではないこと、当該会合でいずれにしても返すのも止む得ないという結論になったこと、さらに下村博文自身が松本淳一郎のこの日の参考人聴取後の取材に対して再開を望む派内の声を松本氏に伝えたと発言したことから当予算員会の参考人聴取要請の議決を経て実現したものだった。
当然、質問は「安倍晋三の指示で一旦中止した現金還付の再開を指示したのは下村博文なのか」に集中した。2番手の質問者である立憲民主党の渡辺創と下村博文の遣り取りを見てみることにするが、下村博文の2024年3月18日の衆議院政倫審で、「2022年の4月に安倍会長の国会の事務所に私と塩谷さんとそれから当時西村事務総長、それから世耕参議院幹事長が呼ばれました。そのときに安倍会長の方から還付について現金の還付は不透明だからやめようということと、そのものをやめようという話がありましたが、還付が不記載であるとか、あるいは違法であるとかいう話は全く出ませんでした」と述べているが、渡辺創に対しては次の発言、「還付が不記載であるとか、あるいは違法であるとかいう話は全く出ませんでした」を除いて、「その4月に安倍会長がご存命のときに同じメンバーに言われました。そのときにこれから還付は、現金による還付は不透明なので行わないと、ノルマ以上の売り上げがあった者に対してそういう話があり、そして我々4人が手分けして、全ての清和会所属の国会議員に連絡を致しました」とほぼ同じ文言で安倍晋三の現金還付中止の理由を述べていることを前以って伝えておく。
渡辺創「下村参考人は政倫審での発言がですね、これまでの報道によれば、(8月の会合では)やる・やめる前提で議論をしてきたが、結論出なかったというふうに表現されてきました。今も同じだと思います。松本さんの参考人聴取後の取材には、再会を望む派内の声を松本氏に伝えたと発言しております。
先程の質問でも伝えたことをお認めになってると思いますが、先ず伝えた時期は先程6月下旬からというふうに言われてましたが、いつ頃ですか。それとも複数回、松本さんにお伝えになってるのか、また、それは先程『事務的に』と仰いましたが、下村参考人が松本事務局長に直接お伝えになってるんですか。それとも間接的に間が入ってるんです。合わせて安倍さんにはどのような形でお伝えになったか」
下村博文「電話で松本事務局長には6月の下旬に一人の議員から還付を求める声があるということについて、松本事務局長は、4人のそれぞれが手分けして電話かけてましたし、意見集約のお立場でもありましたから、これは安倍会長ご存命のときでありましたから、勿論、安倍会長にそういう話があるってことを、私の方からお伝えしました。ということを申し上げました。
7月の下旬、安倍会長がお亡くなりになったときですね、このことがあるねということについては電話でですね、あの松本事務局長に連絡いたしましたが、しかし再開を求めるということではなくて、そのあと、8月5日に会合を持ったときですね、再開を求めるということが前提でなくて、現金還付はしないということの中で、しかし何らかの形で資金手当ができる方法はないかということを議論をしたということでありまして、松本事務局長にですね、再開をしろということを私は申し上げたつもりはございません」
下村博文は松本淳一郎に対して「一人の議員から還付を求める声がある」ことを伝えたが、還付を再開しろと伝えたわけではないと再開指示を否定している。
政治家個人、あるいは政治団体が行う政治資金に関わるカネの遣り取りは常に政治資金規正法という法律に関係する。現金還付の仕組みが"不透明"ということは政治資金規正法上、透明性を欠いているということであり、最低限、法的意味合いに於いて違法性に一定程度は足を踏み入れていると考えるのが誰にとっても常識となる。
つまり"不透明"という性格付けから合法そのものと解釈する人間は誰もいないことも常識としなければならない。実際にはその違法性はある程度どころではなかったが、もし安倍晋三がそのような言葉遣いをしたことが事実だとしたら、実態を露骨に曝すわけにはいかず、控えめに表現することになったということであり、4月の会合が安倍派幹部たちが作り上げたストーリーだったとしたら、自分たちの関与を否定するために実態どおりに話すわけにはいかないことから曖昧な表現にしたということであろう。
どちらであったかは無視したとしても、下村博文は不記載に自身が関わっていなかったことだとしても、"不透明"という言葉から現金還付に少なくとも違法性の影を見て取っていなければならなかったことになる。そうでなければ、"不透明"という表現から言葉通りの印象も受けず、その意味するところを何も思慮することはなかったあり得ない実態を曝すことになる。
当然、何がしかの違法性を前提としなければならない現金還付である以上、事件が明るみに出てから、安倍派所属議員100人近くのうち、80人近くが収支報告書を「寄付」名目で訂正していると報道されているが、還付を求める議員がたった一人であったとても、あるいは事務的にであったとしても、その存在を安倍晋三や事務局長である松本淳一郎に電話で知らせることは矛盾した行為となる。
なぜなら、下村自身が違法性の色付けで見なければならない現金還付でありながら、その再開を求めた議員の還付に付き纏うことになる違法性を考慮外に置くことを意味することになるからである。逆に安倍派幹部という立場上、還付を求める議員が出てきたなら、何がしかのその違法性を意に止めて、自分のところで、それはできないということを伝えなければならなかった。
だが、伝えずに電話で知らせた。たった一人であったとしても、その現金還付方式が抱えていると見て取らなければならない違法性の臭いに蓋をして、還付を求める議員の存在を電話で知らせたことになり、幹部としてあり得ない行動を取ったことになる。その点で、"電話した"が実際にあった話と受け止めることはできない裏付けとすることができる。何らかの目的を持たせた作り話の疑いが限りなく濃い。
さらに安倍晋三自身が現金還付は「不透明」だとその仕組の何がしかの違法性を指摘して中止させたが厳然たる事実であるなら、中止させたその本人に対して現金還付を求める議員の存在を"電話した"だけであったとしても、その中止の意思を派閥議員に徹底させ得なかった派閥幹部としての下村博文自身の責任欠如そのものを同時に伝えることにもなるのだから、実際にはそのような電話をすることはできないはずで、なおさらのこと、何らかのためにする作り話と見てかからなければならないことになる。
安倍晋三自身がどう言うかはもはや死人に口無しで確かめようがないが、3番手の質問者である日本維新の会の斉木武志との遣り取りを見てみる。
斉木武志「6月下旬にですね、松本事務局長に対してキックバックを求める声があると、一名、この声を電話でお伝えしたと。で、このことに関しては安倍会長にもお電話で報告をされたというふうにおっしゃいました。安倍会長はこれに関してどのような指示をされましたか」
下村博文「5月の17日に清和研のパーティーがございました。元々4月の上旬に『現金が不透明なので、ノルマ以上の売り上げについて還付しない』ということを安倍会長から指示があって、そして4人のそれぞれの議員が手分けして電話を致しました。
しかしそれが4月ということですね、全員が、私はあの20人近く電話致しましたが、『承知しました』という返事でありましたが、パーティーが終わった後ですね、ノルマ以上の売り上げがある議員がおられて、その議員から何とか還付できないかという話があったということで、そういう声があるということを松本事務局長と、それから安倍会長にご報告致しました。これはご報告ですので、安倍会長はそうですかというお答えでありまして、それ以上特にコメントはございませんでした」
斉木武志「それは4月に安倍会長が仰っていた、やめるべきだ、還付、キックバックは不透明なのでやめるべきだという安倍会長のお考えとは違う声ですよね。それに対してこういう派内からこういう声があるんだけれどとお伝えをした、下村議員がお伝えをしたのであれば、何らか安倍会長の考えとは真逆の考えですから、声ですから、何らか、じゃあ、派としてこうしなさいであるとか、それでもやはり還流はやめるべきだとか、何か安倍会長から発言があって然るべきだと思うんですが、ちょっとそのときの電話の会話ご紹介頂けますでしょうか」
下村博文「ご指摘のように4月の会合のときに安倍会長からノルマ以上の売り上げについても現金の還付は不透明だからやめるということを指示されて、徹底して電話したわけでありますから、当然、8月のときもそうだったですけども、それが前提でずっと議論されてますから、それをひっくり返すような話ということは、勿論、ないわけでありまして、ただ一議員がそういう声があるということの情報としてお伝えしたと。だから変えるという話は、勿論、私も申し上げてませんし、安倍会長からもそういう話は全く出ておりません」――
斉木武志は下村博文のこの答弁に矛盾があることに気づかずに安倍会長の還付中止の決意は相当固かったことに反して還付を求める議員の存在を伝えたなら、何らかのリアクションがあったのではないかとなお食い下がるが、下村から現金還付中止の前提で議論してきたのだから、還付を求める議員の声があることを情報として伝えたのみで、だからと言って還付を再開する話にはならないといった趣旨の答弁で逃げられることになった。
斉木武志は下村博文が松本淳一郎に還付を求める議員の存在を電話で伝えたこと自体を、「不透明なのでやめるべきだという安倍会長のお考えとは違う声ですよね」と追及するのではなく、
「現金は不透明」と性格付けた安倍晋三の言葉自体を下村博文自身がどのような法的意味合いで受け止めていたのかを問い質すべきだったろう。
もし下村博文が現金還付を合法的な色合いを持たせて解釈することになっていたのなら、西村康稔が証言したように「不透明で疑念を生じかねない」としている以上、そのような解釈は成り立たないことになるが、還付を求める国会議員の存在を電話で伝えたとしても、その行為を問われることになることはない。
違法性の色合いを持たせた解釈で受け止めることになっていたからこそ、中止の指示に従い、所属国会議員に還付中止の電話連絡を入れるというプロセスを取ったはずであり、8月の会合では「安倍会長の還付は行わないという方針を維持するという中で」とか、「還付をしないという安倍会長の意向を維持しながら」と間接的な物言いで、「不透明で疑念」の法的意味合いに添う姿勢を示していて、その線で現金還付に代わる合法的となる政治資金を手当する方策を議論することになったはずであり、下村博文自身も渡辺創の問いに、「安倍会長の思いの中で我々も動いているわけでありまして」と同じ姿勢であることを一方では示しているのである。
当然、たった一人の国会議員の還付再開の要請であったとしても、現金還付という仕組みを違法性のレベルで見なければならないことになっているのだから、そのような議員の存在を"事務的に"であったとしても、報告すること自体が安倍晋三の「不透明で疑念を生じかねない」とした現金還付中止の意図を無視する、常識では考えられない行動となる。
このような意味で"電話した"は実際の出来事と見ることはできないし、もし要請を受けたが事実であるなら、その要請を受けた時点で、安倍晋三の現金還付中止の意思との関係で「安倍会長の思いに逆らう動きを見せるわけにはいかない」と幹部の立場から相手に説得を試み、安倍晋三の意思通りに中止を徹底させる当たり前の努力を払うべきで、払っていれば、電話をする必要性は生じないし、生じない努力を果たすのが幹部としての当然の役目であるにも関わらず、果たすべきプロセスを省いているのだから、こういった意味からも、"電話した"は何らかの目的を持った作り話と見る他ない。
では、どのような目的を持たせた作り話なのだろうか。4月の会合で安倍晋三は「現金還付は不透明で疑念が生じやすい」との理由を紹介して現金還付の中止を指示したと安部派幹部の西村康稔と下村博文はそれぞれの政倫審で証言。他の塩谷立と世耕弘成はただ単に「還付中止を指示した」と証言。
そして8月の会合で、繰り返しになるが、「安倍会長の還付は行わないという方針を維持するという中で」、あるいは「還付をしないという安倍会長の意向を維持しながら」現金還付に代わる政治資金手当の方策を議論したが、塩谷立を除いて結論が出なかったとする幹部3人の証言は安倍晋三の現金還付中止理由との兼ね合いで非常に整合性が取れている。
だが、4月の会合での安倍晋三の現金還付中止の指示に対して8月の会合で現金還付を求める議員が存在し、「現金還付もやむ無し」との結論に達したとの松本淳一郎と塩谷立の証言は安倍晋三の指示を真っ向から破棄している点に於いて整合性は何ら見い出すことはできない。
事件のほとぼりが冷めたなら、今後も大臣職を経験することになるだろう西村や世耕に何のメリットもない松本淳一郎と塩谷立の証言となるが、尤も証言の食い違いを問われたとしても、下村博文と同様に"認識の齟齬"でかわすことになるだろうが、松本淳一郎と塩谷立にどのようなメリットがあるのだろうか。
今後の経済的保障を担保に"毒を喰らわば皿まで"、"一蓮托生"の覚悟がメリットでは我慢ならず、一寸の虫にも五分の魂とばかりに自らの正義を証明することにメリットを賭けたということなのだろか。
しかし4月の会合と8月の会合が実在しなかった会合で、安倍晋三の名誉を守ることと安倍派幹部たちが収支報告書不記載に気づいていなかった、いわば自らを無罪放免に持って行くためのデッチ上げだと見ると、松本淳一郎の「2022年7月末頃にある幹部から還流を求める議員がいると知らされた」と「8月会合で現職でない方が再開決めた」の証言と下村博文の「7月に松本と安倍会長に電話した」の証言からは別の側面が見えてくる。
先ず4月と8月の会合をデッチ上げと見る根拠は、4月の会合で現金還付中止を指示したなら、その時点で派閥のボスという立場にある安倍晋三は所属議員のモチベーションを維持する目的と同時に自前で満足に政治資金を手当できない議員に対して現金還付に代わる資金集めの方策を自ら提案するか、幹部たちに構築させるかして、組織の変わらぬ結束を意図する責任を有していたはずだが、安倍派幹部がそのような責任主体として扱わずにただ単に還付中止のみの登場で終わらせている点はあまりにも不自然で、中途半端に過ぎ、現実感を喪失させている。
安倍晋三のこのような非現実的な存在性からも、4月の会合が事実あったことと認めることはできない。
さらに幹部の誰もが4月と8月の両会合共に「違法性についての議論は一切行われなかった」といった趣旨の証言を行い、自分たちが不記載に気づいていなかったことの裏付けとしているが、このことは安倍晋三の「現金還付は不透明で、疑念を起こしやすい」の言葉からどのような法的な意味合いも受け取らなかったことを意味させていて、生身の人間としてはあり得ない無感覚な存在として自分たちを描いていることになり、両会合共に実在したという根拠を失わせる。
では、このように4月と8月の会合をデッチ上げと見ると、松本淳一郎の「8月会合で現職でない方が再開を決めた」の証言と下村博文の「7月に一人の議員から還付を求める声があることを松本と安倍会長に電話した」はどのような目的、メリットがあるのだろうか。
小説や演劇で登場人物の内面に矛盾した心理を用意し、心理同士を衝突させて、葛藤を生み出し、物語を盛り上げる。あるいは物語の展開の上で人物同士間に矛盾した行動を引き起こして、確執や反目を生み出し、物語を活気づける。このように心理面や行動面での矛盾という要素が読み手や観客の興味を惹きつける。
8月の会合では現金還付に代わる政治資金手当の方策を議論したが、結論を出すことはできなかったという安倍派幹部の西村康稔と下村博文と世耕弘成の証言に対して8月の会合で現金還付の再開が決まったとする安倍派事務局長松本淳一郎と塩谷立の証言の矛盾を用意することで、4月の会合に対して8月の会合では実際にはどのような話し合いが行われていたのか、追及の焦点を当てさせることになり、結果として4月と8月の会合共に正真正銘、実在した会合であると思わせることに成功している。
そのように思わせるための松本淳一郎の「8月会合で現職でない方が再開を決めた」の証言と下村博文の「7月に一人の議員から還付を求める声があることを松本と安倍会長に電話した」の連携プレーだということである。
4月の会合と8月の会合はデッチ上げに過ぎないという観点に立つことによって安倍派幹部たちが収支報告書不記載を承知していて現金還付を受けていたことが証明できる。