2019年12月2日参議院本会議での共産党田村智子参議員の「桜を見る会」に関わる質問と対する安部晋三の答弁をなにかのさんこうになるかと思い、付け加えることにしました。青文字で寸評を加えた。(2019年12月4日朝8時5分)
「質問全文」(しんぶん赤旗)&安部答弁
日本共産党の田村智子議員が2日の参院本会議で行った、2018年度決算についての質問は以下の通りです。
予算の大幅超過
「桜を見る会」が大問題になった始まりは、支出額が予算の3倍にも膨れあがったことにあります。首相は、予算の大幅超過をいつ認識しましたか。知っていながら、なおも支出を増やし続けたのですか。
しかも結果的に予算を超えてしまったのではありません。本決算の2018年は、ケータリング2136万円、これだけで「桜を見る会」全体の予算1778万円を大きく超えています。しかも契約は、予算成立の5日後、予算審議中にその準備を進めていたのです。これは国会をあざむく行為ではありませんか。
憲法は、内閣に、国会へ予算を提出し、審議と議決を経たうえで支出することを義務づけています。予算審議中に、提案した額を上回る歳出を準備する。しかも毎年、予算超過を拡大させる。このように憲法が定める財政民主主義を無視したやり方が、なぜ許されていたのでしょうか。「首相主催」の行事は、憲法さえも超越するのですか。明確な答弁を求めます。
首相の推薦枠は
11月8日の予算委員会以降、安倍晋三事務所が作成・配布した文書が次々と明らかとなり、菅義偉官房長官は、首相などからの推薦の仕組みがあることを認め、20日の本会議で首相も「私自身も事務所から相談を受ければ推薦者についての意見を言うこともありました」と答弁した。つまりは、首相からの推薦・招待の仕組みを、安倍首相は前々からご存じだったのではありませんか。
それなのになぜ、予算委員会で、私の指摘を事実であると認めなかったのですか。私は、「首相は招待者のとりまとめをしていますか」とは、一言も聞いていません。安倍事務所が参加者を募り、首相の地元後援会員を招待しているかと、繰り返しただしたのです。これを認めなかったことは、まさに偽り、ごまかしの答弁そのものではありませんか。質問をすり替えることなくお答えいただきたい。
予算委員会理事懇談会に提出された資料により、各省庁からの推薦者数には、ほとんど変動がないことがわかりました。首相をはじめとする自民党からの推薦者が増え続け、1万8000人もの参加者となった。このことを認めますか。
後援会員を招待
「桜を見る会」は、招待がなければ参加できません。新宿御苑を貸し切り、禁止されている飲酒も特別に認められ、無料で飲食物が提供され、お土産が配られる。首相と特別に記念撮影ができる。このような場に、首相の選挙区をはじめ、自民党の後援会を大勢招待する。その目的・意図はなんでしょうか。
11月15日の会見で、「自分は安倍総理の選挙等を支えてきているから、その貢献で選ばれたと思うという方がいらっしゃった」という記者の問いに、首相は「確かにそう思われる方もおられると思います」と答えています。また今年は、直後の参議院選挙で改選となる議員に多くの招待状が配分されたことを、世耕弘成参院幹事長が認めています。自民党の選挙への貢献に感謝し、次の選挙でも支持を広げてくれることを期待し、後援会の招待を拡大してきたのではありませんか。
公職選挙法は、自らの当選だけでなく、第三者に当選を得させようとして、金銭・物品その他の供与、供応接待することを買収行為として禁じています。首相、「桜を見る会」であなたと自民党がやってきたことは、まさに税金をつかった事実上の買収行為ではありませんか。
首相は、「招待者の基準が曖昧であり、結果として招待者の数が膨れあがってしまった」と言いますが、内閣府が省庁に示した推薦の基準は、勲章・表彰を受けた方、ボランティアや被災地の復興に尽力した方など明確です。一方、安倍事務所の参加申込書には社会的な功績・功労を示す記入欄はありません。どのような基準で推薦名簿をとりまとめたのでしょうか。安倍事務所に申し込めば、すべての招待状が届く仕組みだったのではありませんか。
また、昭恵夫人が関わったイベントや団体の方からは「名刺交換をしたら毎年招待状が届くようになった」という発言が多数確認できます。総理や昭恵夫人からの直接の推薦者もあったと推測されますが、いかがですか。
推薦千人の根拠
菅官房長官は「総理からの推薦約1000人」と国会で答弁しましたが、この根拠は極めて薄弱です。官邸総理室がとりまとめた招待者は何千人になるのか、首相の責任で明らかにしていただきたい。答弁を求めます。
悪徳マルチ商法
悪徳マルチ商法で高齢者を食いものにし、その財産を奪い取ったジャパンライフの会長が、2015年「桜を見る会」に招待されたことは極めて重大です。ジャパンライフの資料には、招待状の受付票に「60」という招待区分番号が記されています。内閣府は、招待区分「60~63」が「総理・長官等の推薦者」であることをやっと認めました。首相、「60」は官邸総理室がとりまとめた「総理の推薦者」ではないですか。ジャパンライフの会長は、首相もしくは首相関係者によって招待されたのではありませんか。
11月29日の「桜を見る会 野党追及推進本部」では、被害者の肉声が公表されました。「安倍総理から招待されるのはすごいことだ、偉い会社だと、安心して貯金も生命保険も言われるままにつぎ込んだ。15歳から働いて蓄えた財産をすべて失ってしまった」。同日、大門実紀史議員は国会質疑で、ジャパンライフが計画的破綻を視野に、最後の荒稼ぎをしようとした時期に招待状が届いたことを明らかにしました。首相が、ジャパンライフを信用させ、悪徳商法の被害を拡大する役割を果たしたのです。この責任をどうとるつもりか。
14年、ジャパンライフへの厳格な立ち入り調査が行われる方針だった。ところが行政指導にとどまった。その理由として大門議員が入手した内部文書には、「政治的背景を懸念し」と書かれています。被害者7000人、被害総額2000億円、これほど被害が拡大したのはなぜか。「政治的背景」とは何か。徹底的な真相究明が必要であることを厳しく指摘しておきます。
招待の実態をただすと、内閣府は「名簿を廃棄したのでわからない」との説明を繰り返しています。
データ復元せよ
今年の名簿は、宮本徹衆院議員が資料要求した1時間後にシュレッダーにかけた。各省庁には推薦者名簿が保存されているのに、内閣官房にあるはずの「総理・長官等の推薦者」「与党による推薦者」の名簿だけが廃棄された。これが事実ならば、安倍政権のもとで、内閣府と内閣官房は、公文書のまともな取り扱いさえできない行政府になりはてた、ということではありませんか。
反社会的勢力が招待されたのかという事実確認さえ、「できない」で終わらせることは許されません。やましいところがないならば、首相の責任で電子データを復元させ、全ての名簿を明らかにすべきです。
国立公文書館には、「桜を見る会」の文書が多数保存されています。岸信介内閣時代の名簿は永久保存です。1957年の名簿は、戦後の引き揚げ者、戦後の復興への功績・功労者として、招待者の名前がすべて開示されています。政府がどのような考え方で、どのような施策を行ったのか、後世においても検証できるよう、国民の財産として公文書を保管する。自民党政権のもとでもこうした歴史と伝統、政府としての矜恃(きょうじ)は受け継がれてきたはずです。
安倍政権の7年間で、公文書が、隠され、改ざんされ、廃棄される。官僚の答弁は、総理をかばうために矛盾に矛盾を重ねる。こんなことがどれだけ繰り返されてきたか。いつまでこんなことを繰り返すつもりなのか。日本の民主主義が壊されていくことを黙認などできるはずがありません。当たり前の公正な政治を取り戻すために、心ある皆さん全てと力を合わせる決意を述べ質問を終わります。
安部晋三答弁
安部晋三「田村議員の質問にお答えする前に先程の柴田議員の決算検査報告書についての質問に対する私の答で指摘額を1200億円と申し上げましたが、正しくは1002億円でございましたので、訂正し、お詫びを申し上げます。
『桜を見る会』への予算と支出について質問がありました。『桜を見る会』については長年の慣行の中で行わてきたところではありますが、招待基準が曖昧であり、結果として招待者の人数が膨れ上がった実態があったと認識しております。
私自身は支出の詳細については承知しておりませんでしたが、結果的には望ましいものではなかったと認識しております。4月上旬に契約を締結するためには入札等に必要な工事期間を適正に確保する必要があることから予算審議中に工事自体は一般的に行われているものと承知しております。また契約額は予算積算上の見積額を上回ってはいるものの、国会で既設(?)を頂いた内閣府の共通定義の範囲内で執行されたものと承知をしております。(下線箇所、意味不明)
(共産党席の議員が笑い、何かヤジめいた言葉を発している様子をカメラが映し出していたから、こじつけた答弁だったのだろう。)
いずれにしても『桜を見る会』のこれまでの運営については大いに反省すべきであり、今後、私自身の責任に於いて招待基準の明確化や招待プロセスの透明化を検討すると共に予算や招待人数も含めて全体的な見直しを幅広く、意見を聞きながら行って参ります。
『桜を見る会』の招待に関する私の答弁についてお尋ねがありました。『桜を見る会』の招待者については内閣官房及び内閣府が最終的な取り纏めを行っているところ、長年の慣行として官邸内や与党にも推薦依頼を行っており、私の事務所にも、これまで推薦を行って参りました。その過程に於いて私自身も事務所からの相談を受ければ、推薦者についての意見を言うこともありましたが、実際の事務所に於ける推薦作業の詳細は承知しておりません。
『桜を見る会』の招待者については提出された推薦者につき最終的に内閣官房及び内閣府に於いて取り纏めを行っているところであり、当該プロセスには一切関与しておりません。従って、私が地元後援会員を招待しているのではないかとの質問に対する私の先日の答弁は虚偽とのご指摘は当たりません。
『桜を見る会』への推薦者についてお尋ねがありました。『桜を見る会』については長年の慣行として官邸内や与党にも推薦依頼を行っているところ、自民党内の推薦の経緯等については参議院幹事長から先日ご説明があったものと承知をしておりますが、政府として把握しておりません。
私の事務所に於いては後援会の関係者を含め、地域で活躍されているなど『桜を見る会』への参加にふさわしいと思われる方を始め、幅広く参加希望者を募り、推薦を行ってきたところです。
既に記録が残っていないところから、その詳細は明らかではありませんが、『桜を見る会』については長年の慣行の中で行われてきており、招待者の基準が曖昧であった結果として招待者の数が膨れ上がってしまった実態があると認識しております。
他方、いずれにしても招待者は選出された推薦者につき最終的に内閣官房及び内閣府に於いて取り纏めを行っているところであり、公職選挙法に抵触するのではないかとのご指摘は当たりません。
『桜を見る会』への私の事務所からの推薦についてお尋ねがありました。私の事務所に於いては内閣官房からの依頼に基づき後援会の関係者を含め地域で活躍されてるなど、『桜を見る会』への参加にふさわしいと思われる方を始め、幅広く参加希望者を募り、推薦を行っていたところであります。その過程に於いて私自身も事務所からの相談を受ければ、推薦者についての意見を言うこともありましたが、事務所を通じた推薦以外は行なっておりません。
他方、繰り返しになりますが、『桜を見る会』の招待者については提出された推薦者につき最終的に内閣官房及び内閣府に於いて取り纏めを行っているところであり、私の事務所が申し込めば必ず招待状が届くものではありません。
(安部後援会と自民党参議院の案内状は「事務所が申し込めば必ず招待状が届く」内容となっている。)
また、私の事務所から推薦に基づく招待人数の概数については既に官房長官が内閣官房及び内閣府の事務方からの聞き取りを踏まえ、国会にて報告したところでありますが、既に記録が残っていないところから詳細を明らかにすることは困難だと承知をしております。
平成27年の『桜を見る会』の招待者についてお尋ねがありました。先ずご指摘の番号は招待状の発送を効率的に行うために便宜的に付しているものであり、会の終了を以って使用目的を終えることから、内閣府に於いて現時点でこれらに関する情報は保有していないと報告を受けております。
その上で『桜を見る会』の個々の招待者やその推薦元については個人に関する情報であるため、招待されたかどうかも含めて従来から回答を差し控えさせているところであります。
一方、一般論として申し上げれば、『桜を見る会』は企業や個人の違法、不当な活動に利用されることは決して容認できません。『桜を見る会』については長年の慣行の中で行われてきたところでありますが、招待者の基準が曖昧であるなどのご批判を国民の皆様から受けているところであります。
これまでの運用を大いに反省し、今後私自身の責任に於いて招待基準の明確化や招待のプロセスの透明化を検討すると共に予算や招待人数も含めて全般的な見直しを幅広く意見を聞きながら行ってまいります。
招待者名簿の廃棄等についてお尋ねがありました。『桜を見る会』の招待者名簿については会の終了を以って使用目的を終えることに加え、これを全て保存すれば、個人情報を含んだ膨大な量の文書を適切に管理するなどの必要が生じることから、公文書文書管理法等に基づき、内閣府に於いて保存期間1年未満文書として終了後、遅滞なく廃棄する取り扱いとしています。
『桜を見る会』運営等についてはこれまでの運用を大いに反省し、今後、私自身の責任に於いて全般的な見直しを行ってまいりますが、内閣府始め予め定められた手続きに則って招待者名簿を廃棄しているものと承知をしております。
内閣府が採用しているシステムは個々の端末ではなく、サーバーでデータを保存するシンクライアント方式であり、端末にデータが保存されておらず、またサーバーをデータ廃棄後、バックアップデータの保存期間を経たあとは復元は不可能であるとの報告を受けております」(以上)
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安部晋三支持者や自民党国会議員支持者を好き勝手に招待した疑いから予算の私物化・行政の私物化ではないかと糾弾対象と化した安部晋三主催の公的行事「桜を見る会」に関しての安部晋三側の態度は野党の糾弾に対して招待者に関しては「個人に関する情報」であることと推薦者名簿と招待者名簿は共に廃棄したことを楯に一切の情報公開を遮断、野党が疑惑追及の場として予算委員会開催の要求していることに対しても開催拒否を貫き、私物化疑惑の払拭に努めているが、マスコミの世論調査で政府の説明は信用できないが70%から80%も占めている。
時間が経てば、疑惑は沈静化するだろうと踏んでいるのかもしれないが、特に「個人に関する情報」を楯に情報公開を遮断し、説明責任を回避することは果たして正当性ある態度として許されるのだろうか。
「桜を見る会」の予算の私物化疑惑・行政の私物化疑惑は2019年11月8日の参議院予算委員会で日本共産党議員田村智子が取り上げてから、一気に問題化した。安倍晋三側は田村智子から質問通告を受けて、どう逃げ切るか、用意周到に準備を整えていたのだろう。
当該参院予算委では安部晋三側は「各界に於いて功績・功労のあった方々」が「桜を見る会」の招待基準だとして、全ての招待客が基準に合致しているとの趣旨で答弁、対して田村智子は安倍晋三の後援会員やその他の自民党議員の後援会員を招待基準抜きに恣意的に招待したために約1万人としていた定員をオーバーして招待客が1万8千人(11月20日午前の衆院内閣委員会での官房長官菅義偉の答弁では約1万5000人=首相枠約1000人+各界功労者や勲章受章者約6000人+自民党関係者約6000人+特別招待者や報道関係者約1000人+副総理ら官邸幹部が約1000人)にものぼったのではないかと追及した。
但し菅義偉による政府側公表の約1万5千人は推薦者名簿も招待者名簿も、これらの電子データも廃棄したとしているのだから、確かめようもないことで、少なく見積もった約1万5千人ということは十分にあり得る。
この質疑に関しては2019年11月11日の当「ブログ」に取り上げたが、今回は「個人に関する情報」を楯に情報公開を遮断している発言箇所を適宜拾い出して、招待基準との兼ね合いでそれが正当性ある発言となっているのかどうかを見てみる。
大塚幸寛(政府参考人内閣府大臣官房長)「今のその、『開催要領』にあります『その他各界の代表者等』の『等』でございますが、これはまさしく各界に於いて功績・功労のあった方々を幅広く招待できるよう、『等』をつけているというものでございまして、何か特定の分野ですとか、カテゴリーを想定しているものではございません。
まさしくこういったことを踏みまして、各省庁から幅広くご推薦を頂き、最終的に私ども内閣府、内閣官房に於いて取り纏めているところでございます」
田村智子「各省庁から推薦を頂いて、功労・功績が認められる方ってことなんですね。『等』を含めて。あの『開催要領』にはね、計約一万人なんですよ、招待範囲。当然、各府省はこれを念頭に入れて、功労・功績のある方を推薦しているはずで、事実、安倍総理より前は大体1万人前後なんですよ。
なぜ一転、1万8千人になるのかっていうことですよ。『桜を見る会』に参加した皆さんがインターネットでその模様をたくさん発信して頂いているので、見てみました。
『稲田朋美の日々の活動報告』、平成26年4月12日、『桜を見る会』、地元福井の後援会の『地元福井の後援会の皆様も多数お越しくださり、大変思い出深い会になりました』
これ当時規制改革担当大臣。『世耕弘成後援会ニュース』、2016年新年度。『桜を見る会』にて地元女性支援グループの皆さんと、これ写真が載っています。当時官房副長官。
2016年に初入閣された松本潤衆院議員の『国会奮戦記』、なかなか興味深いものがありました。2013年4月20日、内閣総理大臣主催『桜を見る会』、『役職ごとに案内が割り当てられます。今回は限られた少数の案内しか入手できず、残念ながら後援会の皆様にご案内することができず、止む無く我が陣営は不参加』
その後、2015年4月18日、『選挙のウグイス嬢の皆様を始め、後援会の皆様と参加致しました』」
大塚幸寛が言っている「その他各界の代表者等」とは「皇族、元皇族」を筆頭に「各国大公使等」、「国会議員」等々11段階に分けたうちの最下位に位置する「招待範囲」であり、他の「招待範囲」と同様に招待基準をほかの答弁に合わせて「各界に於いて功績・功労のあった方々」としている。
実際に招待された中に国会議員の後援会員や選挙のウグイス嬢、安部晋三の後援会会員が混じっているとなると、「功績・功労のあった方々」といった価値づけにふさわしい招待基準としていたのかどうか、国民側からしたら説明責任を求める権利があるはずだが、その責任を「個人に関する情報」であることと名簿廃棄を楯に果たそうとする意思を一切見せようとしていない。
田村智子「後援会なんですよ。総理ね、つまり自民党の閣僚や議員のみなさんが後援会支援者の招待客、これ自民党の中で割り振ってるということじゃないですか。これ総理じゃなければ、答えられない。総理お答えください。総理ではければ、答えられない。総理じゃなきゃ、答えられないですよ」
安倍晋三「今、説明しますから。『桜を見る会』についてはですね、各界に於いて功績・功労のあった方々をですね、各省庁からの意見等を踏まえ、幅広く招待をしております。招待者については内閣官房及び内閣府に於いて最終的に取り纏めをしているものと承知をしております。
私は主催者としての挨拶や招待者の接遇は行うのでありますが、招待者の取り纏め等には関与していないわけであります。その上で個々の招待者については招待されたかどうかを含めて個人に関する情報であるため、従来から回答を差し控えさせて頂いているものと承知をしておりますが、その詳細についてはですね、詳細については政府参考人に答弁させます」
「各界に於いて功績・功労のあった方々」の「招待者については内閣官房及び内閣府に於いて最終的に取り纏めをしているものと承知」をしていて、安部晋三自身は「招待者の取り纏め等には関与していない」からと、暗に誰が招待されたのか分からないとし、その上、「個々の招待者については招待されたかどうかを含めて個人に関する情報であるため、従来から回答を差し控えさせて頂いている」と、二重三重に説明拒否を張り巡らせている。
大塚幸寛(内閣府大臣官房長)「あの、具体的な、その招待者の、その推薦、例えば推薦名簿ですが、推薦にかかる書類はこれは毎回の『桜の会』の終了を以って使用目的を終えるということもございますし、それからその個人情報を含んだ膨大な量の文書を適切に管理すると、支障が生じることもございまして、これは従前からその一連の書類につきましては保存期間1年未満の文書として終了後、遅滞なく廃棄する取扱いとするところでございます」
安倍晋三やその他の閣僚等からの「推薦名簿」の中から内閣官房と内閣府が誰を招待するのか最終的に取り纏めて「招待者名簿」を作成する。「推薦名簿」の廃棄は「招待者名簿」をも廃棄したことを意味する。両方の名簿を廃棄しないことには招待基準に則った招待であったかどうかが明らかにされる恐れを残すことになる。
尤も廃棄しなくても、「個人に関する情報」を楯に答弁拒否できるのだが、答弁拒否をより堅固な城壁で囲って崩さられないために廃棄も必要としたと疑うことはできる。
上記ブログに、〈招待の基準とする「功労・功績」がどのような性格と程度を備えたものであることが必要であるといったことは「個人に関する情報」を口実にして、決して説明しようとしない。招待の基準は「個人に関する情報」のうちには入らない。〉と書いた。
なぜなら、「功労・功績者」とする招待基準は原理・原則の問題であって、その基準に合致しているかどうかは個々の個人情報とは無関係に判断ができるからである。例えば安部晋三の今年の「桜を見る会」の招待枠約1000人のうち、その後援会会員が多く含まれていて、誰が招待されたかは分かっているだろうから、誰がは問題にせずにどのような招待理由で推薦されたかは聞き取り可能で、聞き取った招待理由から招待基準に則っているかどうかは国民の判断に委ねることができる。
この国民の判断に委ねる行為こそが国民に対する説明責任に当たり、説明責任を果たすことになる。
例えばウグイス嬢が招待されたとしても、それがどこの誰であるのかといった「個人に関する情報」は無関係に地域に関係することであっても、社会一般が認めるどのような「功労・功績」を地域に与えて、招待基準としている原理・原則をクリアするに至ったのかといった一点を明らかにすることによって「桜を見る会」が予算の私物化や行政の私物化を免れて、正しく運営されたかどうかの判断材料となるはずである。
だが、こういった説明責任を果たす意思はサラサラ見せないばかりか、招待基準の原理・原則の問題を疎かにしたまま「個人に関する情報」であることを口実に答弁を拒否して、説明責任とは逆行する態度に終止している。「桜を見る会」の招待を巡る運営に瑕疵はないとする自己正当化にいくら邁進したとしても、そのことを以って国民に対する説明責任を果たしたとは言えない。招待基準の原理・原則に則った招待であったかどうかの問題をクリアしてこそ、説明責任を果たすと同時に全ての疑いを晴らすことができて、安部晋三以下の政府側の自己正当化は成り立つはずである。
当然、「個人に関する情報」とは無関係に「功労・功績者」とする招待基準に合致した招待であったかどうかの原理・原則の問題こそが核心的部分で、その問題をクリアしないままの現在の段階での自己正当化は認めるに値しない。
と言うことは、過去の「桜を見る会」なのか、今年の「桜をみる会」なのか、反社会的勢力が招待されていて、その人物と官房長官の菅義偉が肩を並べて握手しながらカメラに向かっている写真がネット上に出回っているが、その人物が誰であるかの「個人に関する情報」とは無関係に、招待されて、菅義偉と握手することを可能とした、招待基準に関わる原理・原則を無効とした理由の説明責任、あるいは原理・原則に関しては十分に機能していて有効そのもので、それが正当性ある出席で、握手にしても正当性あるとすることができる理由の説明責任こそが、当然、核心的に求められることになり、政府側はその求めに応じなければならないことになる。
このような求めに応じているのか、反社会的勢力が「桜を見る会」の招待客となっていたことに関わる菅義偉の国会答弁や記者会見発言の正当性如何を見てみる。
2019年11月26日午後菅記者会見。
記者「長官の以前の会見で反社会的勢力とされる方の出席についてそういう方が入られたということはそのように言われても止むを得ないと答えられておりますけれども、それでは実際にそうした方が出席があったことは把握しているんでしょうか。また出席があって、軽率だったと考えていますか」
菅義偉「出席は把握しておりませんでしたけれども、『桜を見る会』で写真を撮った中にそうした方がいたそうですという指摘を受けましたので、結果として入っていたんだろうということを申し上げたところであります。
何年の分か分かりません。いつのときだったか全く分からない状況ですけどけれども、まあ、マスコミの方から『そうした方』というご指摘を頂いたということは、これ事実でありますから、結果的に入られたんだろうというふうに思ってます」
反社会的勢力が「結果として入っていたんだろう」、あるいは「結果的に入られたんだろう」と答えている。物事は結果に対して原因が存在する。原因の存在しない結果などありようがないことは誰にでも分かっている。菅義偉は11月25日の参議院行政監視委員会で安部晋三主催の「桜を見る会」での招待者決定の際の最終的な意思決定者は誰かと問われて、「私が責任者だ」答弁している。
当然、菅義偉は招待者決定の際の最終的な意思決定者である以上、反社会的勢力が「結果として入っていた」なら、なぜ「入っていた」のかの原因を究明する責任を有することになる。兎に角「桜を見る会」の会場と思われる場所で花を咲かせた多くの桜の木とその前に集っている大勢の人を背景にその人物と菅義偉が肩を並べて握手しながらカメラに向かっている写真がネット上に出回っている以上、その写真が合成なのか、合成でなければ、何年の「桜を見る会」の会場だったのか、実際に反社会的勢力の一員なのかどうか、一員だとしたら、どのような理由・経緯で招待されるに至ったのか、事実関係=原因を究明する段階で否応もなしに招待基準を「功労・功績者」とする原理・原則に合致していたのかどうかの問題に行きつくことになる。
ところが菅義偉の発言は「結果として入っていた」と結果だけを口にする無責任極まりない内容となっている。
2019年「菅義偉11月27日記者会見」(asahi.com/2019年11月27日21時47分)
記者「長官の『(反社会的勢力が)結果として入っていたんだろう』との発言を受け、野党側は『進退に関わる』と問題視している。責任をどう捉えているか」
菅義偉「『桜を見る会』の個々の招待者が招待されたかどうかも含め、個人情報なので従来から回答は控えている。『反社会的勢力』は様々な場面で使われ、定義は一義的に定まっているわけではない。26日の記者会見では、もし一緒に撮った写真があるなら、私自身は把握していないが、その方は結果として会場にいたのだろうと(いう趣旨で)申し上げた。反社会的勢力の出席を私自身は申し上げてはいない」
記者「本当に出席していたかは確認しているのか」
菅義偉「撮影の人物は面識がないし、個々の招待者の参加について承知していない」
記者「写真の人物がどういう人物か確認しているのか」
菅義偉「まったくしていない」
記者「(オーナー商法を展開し、特定商取引法違反容疑で今年、家宅捜索を受けた)『ジャパンライフ』元会長の招待も疑われている。首相の推薦枠との指摘もある」
菅義偉「現時点でこれらの情報は保有しておらず、お答えできない」
記者「(反社会的勢力に関して)『結果として入っていた』という言い方だが、招待していない人物が入った可能性はあるのか」
菅義偉「個々の招待者については、招待されたかどうかも含めて個人情報なので従来から回答を控えている。26日の会見で私は『把握していない』と申し上げた上で、『みなさんからのご指摘があればそうだろう』と申し上げたということ。ただ、事実関係は承知していない」
記者「反社会的勢力をめぐっては、過去に(会合に同席するなどした)タレントが謹慎するなどしており、『知らなかった』では通用しない。首相や長官も謹慎すべきだといった厳しい意見もあるが、責任を取る考えはあるのか」
菅義偉「責任というか、私自身は把握しておりませんので、ただ、反社会の人かどうかということは皆さんがずっと言われているわけですから、私自身は把握していないということであります」
記者「反社会的勢力は定義の問題もあるのでしょうが、政府としては反社会的勢力と疑われる人が入っていたかどうかを改めて確認する考えはないんですか」
菅義偉「そこは反社会的勢力はいけないんじゃないかというふうに思っております」
やはり「『桜を見る会』の個々の招待者が招待されたかどうかも含め、個人情報なので従来から回答は控えている」を「桜を見る会」の運営の正当性を担保する唯一の楯にして、「結果」に於ける事実関係の確認、事実と確認した場合のそのような「結果」を招いた「原因」の究明を通して「功労・功績者」であることを原理・原則としている招待基準に合致した招待であったかどうかの問題を明らかにしようとする意思は毛程も見せていない。
そしてそのような自身の態度を正当化するために「『反社会的勢力』は様々な場面で使われ、定義は一義的に定まっているわけではない」などと擁護するようなことを口にしているが、この手の擁護は事実確認をしなければ口にすることはできないはずである。事実確認をして初めて、「彼のことを反社会的勢力の一員と見る向きもあるが、我々からすると、一員に入らない。定義は一義的に定まっているわけではない」と擁護できる。
既に触れたように核心的なことは「功労・功績者」であることを原理・原則としている招待基準に合致した招待であったかどうかであって、反社会的勢力と目された人物の出席の事実確認をして、事実と確認された場合は招待基準に合致した招待であったかどうかにまで遡って全ての経緯を明らかにしてこそ、安部晋三主催の「桜を見る会」が正しく運営されてきたのか、予算の私物化や行政の私物化との指摘に対する正否の判断の提供、即ち国民に対する説明責任となる
だが、安倍晋三も菅義偉もそのような正否の判断の提供が可能となる地点、国民に対する説明責任を可能とする地点にまで導く手立ては一切せずに「個人に関する情報」だからと、あるいは書類は廃棄したからと、情報公開を遮断し、説明責任は回避している。
そうすることを必要としている以上、不明朗な運営があったと判断せざるを得ない。記者が「反社会的勢力は定義の問題もあるのでしょうが、政府としては反社会的勢力と疑われる人が入っていたかどうかを改めて確認する考えはないんですか」と聞いたのに対して菅義偉が「そこは反社会的勢力はいけないんじゃないかというふうに思っております」と口だけで済ましているが、この発言にこそ、招待基準に合致した招待であったかどうかを含めて全ての事実確認を省こうとする意思を象徴的に表した最悪の説明責任となっている。
予算の私物化・行政の私物化の非難を解消する唯一の手立ては「功労・功績者」であることを原理・原則としている招待基準に合致した招待であったかどうかを明らかにする以外に道はないことを改めて指摘しておく。