「お知らせ」
「gooブログ」から、2013年1月31日を以って楽天銀行の決裁を停止する旨の連絡があり、有料グログを続けるには別の機関のクレジット払いにするよう言われた。
理由を問い合わせたが、決裁停止を言うばかりで、意味不明のまま。他のブログに移動することも考えたが、歳も歳ゆえ、新しく始めるのも億劫で、有料がダメでも、無料に移行するだけだということだから、例え死ぬことになって口座が停止されても、無料なら暫くはインタネット上にブログ記事がさまようのも自身の人生の最後にふさわしいように思えて、無料ブログを選択することにした。
但し機能の範囲が狭まることになり、有料の2万字が1万字となることから、2万字以上の記事の最後が途切れることになります。レイアウト左側のプロフィール欄にメールアドレスを添付しました。必要な記事がありましたなら、連絡をくだされば、メールで送ります。
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――全日本柔道連盟体罰処理に桜宮高体罰処理と同じ構造を見る――
部活でバスケットボール部に所属していた大阪市立桜宮高校2年生が昨年(2012年)12月23日、自宅で首を吊って自殺した。遺書には部活顧問から頻繁に体罰受けていたことが書いてあった。
バスケットボール部部活顧問は体罰常習者であったが、学校がもし把握していなかったとしたら、噂にも聞いていなかったことになる。
把握していながら、過小視していたに違いない。
2011年9月、市役所に件の部活顧問が「体罰を行っている」との情報が寄せられた。学校側が調査したが、顧問は否定した。部活顧問のみの聞き取り調査で、部員からの聞き取りは行わなかった。
事実を当事者が話す片面からのみ見た。部員の証言も併せて事実を両面から見ることをしなかった。
顧問教師「体罰は一切ない。トラブルもない。保護者会を年に数回開いているので、問題があれば、その場で情報が寄せられる。保護者には自分の指導方針を理解してもらっている」(NHK NEWS WEB)
調査は15分程で終了、否定を事実とし、その事実に正当性を置いた。その事実が市教委に報告され、市教委はその報告を了承、追加の調査を求めず、一件落着となった。
2011年10月の大津中2イジメ自殺事件でも、自殺後の学校調査でイジメ加害者の生徒からは、いじめた側にも人権があるとか、教育的配慮を口実に挙げて、聞き取り調査をサボった。
桜宮高では部活顧問の表向きの否定に反して体罰は続いていた。そして2012年12月23日、一人の生徒が常習的に体罰を受け、多分、怒りと絶望から命を断った。
体罰の場面は変わって、2013年1月29日、日本柔道女子の園田隆二代表監督(39)ら指導陣が強化合宿などで選手に暴力などのパワーハラスメント行為をしていたとして、女子トップ選手15人が昨年12月4日、日本オリンピック委員会(JOC)に告発文を提出していたことが判明、マスコミに報道されることになった。
園田監督は理論的指導方法に高い評価を得ていて、昨年11月、次のリオデジャネイロオリンピックまでの続投が決まっていたという。
その経歴は2008年8月の北京五輪で女子代表コーチを務め、3カ月後の11月に監督に就任している。体罰、もしくは暴力行為がコーチの時代からなのか、監督になってからなのか分からないが、2012年7月27日から8月12日迄のイギリスのロンドンオリンピック終了後の9月下旬、園田監督やコーチなどから暴力行為があったとする情報が全日本柔道連盟執行部に入った。
このときは桜宮高の初期対応と異なって、園田隆二監督と選手双方から聞き取り調査を行った。園田監督は暴力行為を認め、2カ月後の11月28日、二度としないと誓約、選手に謝罪。全柔連は園田監督の続投を決定。
これが監督のみの聞き取りだったら、否定、もしくは過少申告が事実として罷り通った可能性は否定できない。
但し被害者は桜宮高の未成年者に対して、女子柔道選手は、中には20歳に達していない選手がいるかも知れないが、大半が20歳を超えた大人の社会人であろう。常識的には聞き取りのサボタージュにできる対象ではない。
だとしても、全日本柔道連盟の監督続投決定は決定が許される範囲内の、問題にする程ではない暴力行為に過ぎないと判断したことになる。
対して11月28日謝罪、監督続投決定からたった6日後の12月4日、告発文がJOCに届いたということは、園田監督の選手に対する暴力行為に関わる評価が全柔連執行部側と選手の側では大きな落差があり、執行部側の処罰自体を軽過ぎると見ていたことを意味する。
軽過ぎるばかりか、暴力行為は直らないと見て、2016年8月のリオオリンピック迄、近づく程にトレーニングは強化され、その強化に応じて体罰も強化されたのでは溜まったものではないとする拒絶反応が告発文となって現れたといった可能性も否定できない。
昨年12月に女子トップ選手15人からの告発文を受け取った日本オリンピック委員会(JOC)は全日本柔道連盟に連絡。全柔連は園田監督から聞き取り調査を行い、暴行の事実を認めたため、園田監督と元コーチを1月19日付けで戒告処分とした。
だが、告発した選手の氏名が明らかにされていないとの理由で選手の聞き取り調査は行なっていないという。
処分は4段階あるそうだ。
(1)会員登録の永久停止
(2)会員登録の一時停止
(3)文書による戒告
(4)口答による注意(時事ドットコム)
2番目に軽い戒告処分だが、ロンドンオリンピック終了後の9月下旬、園田監督やコーチなどから暴力行為があったとする情報が全柔連執行部に寄せられ、監督・選手双方から聞き取りの末、監督が認めたために2カ月後の11月28日に謝罪、監督続投決定、それからたった6日後の12月4日、告発文がJOCに届いたという経緯と、選手側からの聞き取りを外した監督側からの聞き取りのみの処分という経緯を併せ見た場合、当然、今回の処分のみならず、前回の処分も併せて決定の判断が妥当かどうかの問題となる。
告発選手の氏名が不明であっても、園田監督が指導しているオリンピック日本代表女子選手を全員集めて、中には15人に加わらなくても、体罰を受けている選手も存在するかもしれないのだから、話し合うという形で聞き取りは可能のはずだ。
それを行わずに、監督側のみの聞き取りで済ませて、2番目に軽い処分とした。最初から監督続投ありきの姿勢で調査に臨んだ疑いが出てくる。
1月30日、全柔連、東京・文京区で記者会見開催。小野沢弘史専務理事が暴力行為があったことを認めたうえで陳謝。《柔道選手告発 全柔連が園田監督を戒告》(NHK NEWS WEB/2013年1月30日 14時44分)
全柔連調査に対する園田監督の説明。
園田監督「合宿中に指示どおりに動かないと殴った。
棒で胸を小突いた。勝たせたいという気持ちが強すぎて手を上げてしまった」
記事。〈全日本柔道連盟では、園田監督が過ちを認識し深く反省し、指導力や情熱を持っていることなどから引き続き、監督として指導させると話しています。〉
園田監督説明による暴力行為は11月28日謝罪以後も続いていた暴力行為なのか、謝罪以前の暴力行為を説明したものなのかは、読んだ記事の範囲では分からない。
前者だとしたら、論外である。後者だとしても、謝罪からたった6日後の12月4日に全柔連の加盟上部団体であるJOCに対する告発文というのは、全柔連では埒が明かない(=片付かない)と見たからだろう。
埒が明かないとは自分たちが望んでいる処分とは差があり過ぎるということを意味しているはずだ。当然、どちらの判断が妥当か、検証しなければならない。
全柔連はこうした問題が2度と起きないよう強化委員会の中に新たに相談窓口を設置、選手と指導者のコミュニケーションを密にしていく方針だというが、やるべきことは処分内容の妥当性を第三者に判定して貰うことであるはずだ。
誰が見ても片手落ちの検証に見えるが、告発文を受け取ったJOC自体が調査に異を唱えた。
《JOC“全柔連の調査は不十分”》(NHK NEWS WEB/2013年1月30日 18時2分)
1月30日午後、東京都内記者会見。
市原則之JOC専務理事「選手の聞き取りをしていないことは不十分だ。われわれとしては早急に選手に話を聞くように要望した。
選手と指導者の信頼関係があるかどうか、出直しができるのかが重要だ。人事については越権行為になるが指導ということでお話しすることはできる。
今後も同じような問題はあると思うのでしっかり対応していかないといけない。これを契機にJOCも反省してさまざまな改革を進めていきたい」
経緯を見る限り、「選手と指導者の信頼関係」は決定的に壊れている。だが、全柔連側は監督の続投を維持している。
竹田恒和JOC会長「JOCに加盟するスポーツ団体で今回、このようなことがあったことは大変申し訳ない。よく内容を精査して、全日本柔道連盟には必要な指導をしていきたい。
(いつ知ったかの質問に)つい最近知った」
記事はオリンピック柔道元日本代表の男女の選手の声を伝えている。
元日本代表女子選手、「合宿でみんなが練習に打ち込んでいるときに勝手に水を飲みに行った選手を平手で殴ったり、竹刀でたたいたりしたこともあったが、園田監督ほど熱意のある監督はいない。処分が出たあとは指導陣と選手たちが以前より話をして、変わろうとしているようだ」――
だが、15人の女子選手たちは、そうは見ていない。
元日本代表男子選手「確かに殴ったり、蹴ったりはあった。柔道界では指導者がたたくことはよく見かけるし、今回の一件は氷山の一角に過ぎない。多少、けがをしてても試合に出るよう選手を指導するのは、園田監督個人の考えではなく、日本代表の方針であり、それに選手が反発したのだと思う。園田監督は、選手のことをよく考えているが、監督自身が殴ることが指導の選択肢の1つという環境の中で育ったことも背景にあると思う」――
二人とも、園田監督の側に立って庇(かば)っている。15人が庇うことに納得するかどうか迄考えていない。
上記記事は伝えていないが、JOC会見で、園田監督が女子選手に対して「死ね」という言葉を浴びせたと、次の記事が伝えている。
《女子柔道告発問題:「死ね!」合宿で暴言 被害明らかに―JOC会見》(毎日jp/2013年01月31日)
〈12月4日にJOCに届いた告発文書には、大会や全日本合宿で園田監督やコーチ陣による暴力、暴言、脅しにおびえた選手の訴えが記されていた。〉と記事は解説している。
12月4日のJOCに送った告発文書とは別のものなのだろう、〈12月25日に選手側がJOCの女性スポーツ専門部会に送ったメールの嘆願書〉の要旨を伝えている。
(1)人事を含めた強化体制の見直し
(2)問題解決までの合宿の凍結
(3)第三者による調査
(1)の「人事を含めた強化体制の見直し」は園田監督の更迭を意味し、更迭と新監督の決定を問題解決のゴールと見做しているから、それまでの「合宿の凍結」ということになる。
そして全柔連の調査では園田監督擁護の結果しか期待でず、埒が明かないから、「第三者による調査」を求めることとなった。
平真JOC事務局長「合宿などで『死ね!』と言われたこともあったようだ。
(選手には従わないと代表から外される不安もあった様子で)暴力を受け、顔では笑いながら怖かったのでは」――
満足に能力を発揮しないことに対して体罰や暴言が浴びせられることは、即代表から外される恐れへと繋がっても不思議はない。
だったら、外されないように努力して上達すれば暴力も暴言も浴びることはなくなるという主張もあるだろうが、技術の不足によって代表を外されるのではないかという不安を抱えながら努力することと、体罰や暴言を受けることの恐れも加わった中で代表を外されるのではないかという不安を抱えながら努力することとは心理状態が前者はよりプラスの方向、後者はよりマイナスの方向に働くことになり、どちらの努力がより身についていくか明らかである。
大体が前者は後者と比較して、より人間らしい状態を保つことができる。
何よりも問題なのは、「死ね!」という罵倒であろう。「死ね!」は全存在否定を意味する。生きている価値の全否定である。
代表になる程に技術と能力を有した選手は自身に何が不足しているか、何を付け足さなければいけないか、自覚しているものだし、技を仕掛けた瞬間にどの点が悪かったか、どの点がうまくいったか、瞬時に自覚する能力を備えているものである。
当然、放っておいても、不足の能力・技術を身につけ、優れている点の能力・技術に磨きをかけて伸ばす努力を自分に課すはずだし、課すだけの主体性は保持しているはずだ。
そうっいった心理状況を無視して、「死ね!」と全存在を否定する暴言を浴びせる。生きている価値の全否定を行なう。これ程の不当・不条理な非人間的扱いはないはずだ。
良い点も悪い点も自覚なし、努力してより完璧に近づけようとする意志も働かすことができないような選手は決して代表にはなれないし、代表選手として残ることはできない。
もし園田監督に選手一人一人の人間を見る目、見る余裕があったなら、以上のことに気づくことができたろう。
全柔連による園田監督の女子選手に対する体罰、あるいは暴力行為に対する調査・検証が桜宮高校体罰に関わる学校側の調査・検証と同じ片手落ちの構造・過小評価の構造を取っていることも然ることながら、園田監督自身が理論的指導方法に高い評価を受けていたとしても、指導者として勝つことだけに目を向ける限界を抱えた、そうであるがゆえにこそ、選手一人一人の人間を見る目を失っている指導者となっていることは、その理論的指導方法を無にする欠陥としか言いようがない。
1月30日、全柔連が園田監督の辞任を示唆したとする記事がある。《全柔連、園田監督の辞任示唆…女子選手に暴力》(YOMIURI ONLINE/2013年1月31日03時09分)
全柔連幹部「選手から事情を聞き、その上で監督が自ら辞めるということであれば尊重したい」――
30日午前中記者会見の戒告処分・続投の方針に対しての発言だそうだ。
この期に及んでも全柔連自身が妥当な処分判断をする積極的な姿勢を見せることができず、園田監督自身にその進退を丸投げ、その自発性に委ねる受け身の態度でいる。
これは園田監督一人の責任問題だと矮小化する態度以外の何ものでもない。一人の責任問題だと矮小化することによって、全柔連の管理責任を限りなく回避可能とすることができる。
責任回避意識に支配され、園田監督と同様の勝つことだけの視線に立っているからこそ、積極的な解決姿勢を取ることもできない。
同じ勝利至上主義に囚われていたとしても、人事管理に関わ責任意識が確固としていたなら、選手が納得する解決策を見い出し得たはずだ。
体罰やいじめの隠蔽と違っても、責任回避という点でも、全柔連の体質は大津中学校や桜宮高校と同じ体質構造を取っている。
全柔連の態度にしても園田監督の態度にしても、「スポーツマンシップ」という言葉、その精神を真っ赤なウソにする、倒錯的な表現となっている。