朝テレ「報道ステーション」古賀茂明氏と古舘の言い争いから判断、安倍政権報道介入を受けた降板か否か

2015-03-31 09:16:05 | 政治



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       《3月31日(火)玉城デニー幹事長テレビ出演ご案内》    

      番組名:BS日テレ『深層NEWS』

      ◆日 時:平成27年3月31日(火)22:00~23:00(生放送)
        テレNEWS24 同日24:00~25:00(再放送)

      ◆テーマ:普天間基地移転問題と日米関係
      ◆内 容:
         ○辺野古の現状 何がどこまで進んでいるのか?
         ○国の論理と沖縄の主張
         ○沖縄の基地負担軽減をどうすべきな?など

 3月27日放送のテレビ朝日「報道ステーション」で不定期的に金曜日にコメンテーターとして出演している元経済産業省官僚の古賀茂明氏が自身の降板は政府の圧力が原因であり、キャスターの古舘伊知郎は降板ではないと否定趣旨の論争があったという。

 次の記事がその全文を紹介しているから、そのまま拝借することにした。

 《古舘伊知郎氏、番組降板する古賀茂明氏と口論 報道ステーション(全文)》(The Huffington Post/ 2015年03月28日 11時34分)   

 執筆者: 中野渉

元経済産業省官僚の古賀茂明氏(59)が3月27日、テレビ朝日の「報道ステーション」に出演し、自身の降板をめぐってキャスターの古舘伊知郎氏(60)と口論になった。さらに番組中に「I am not ABE」(私は安倍首相ではない)と書かれた手製の紙を掲げる一幕もあった。
古賀さんはこれまで同番組にコメンテーターとして出演し、安倍政権に批判的な発言を繰り返していた。

番組中盤、中東情勢についてのニュースに関して古舘氏が古賀氏に解説を求めた際、古賀氏が突然、切り出した。古賀氏と古舘氏とのやりとりは次の通り。

古賀:ちょっとその話をする前に。わたし、今日が最後ということで、テレビ朝日の早河(洋)会長とか、あるいは(制作協力している)古舘プロダクションの佐藤(孝)会長のご意向でですね、わたしはこれが最後ということなんです。これまで非常に多くの方から激励を受けまして。

で一方で、菅(義偉)官房長官をはじめですね、官邸のみなさんにはものすごいバッシングを受けてきましたけれども、まあ、それを上回る皆さんの応援のおかげでですね、非常に楽しくやらせていただいたということで、心からお礼を申し上げたいなという風に思います。本当にありがとうございました。

古舘:古賀さん、ちょっと待って下さい。ちょっと待って下さい、古賀さん、待って下さい。いまのお話は、私としては承服できません。古賀さんは金曜日に、時折出て下さって、大変わたしも勉強させていただいている流れの中で、番組が4月から様相が変わっていく中でも、古賀さんに機会があれば、企画が合うなら出ていただきたいと相変わらず思ってますし。

古賀:それは本当にありがたいことです。もし本当であれば、本当にありがたいです。

古舘:古賀さんが、これで、すべて、なにかテレビ側から降ろされるっていうことは、ちょっと古賀さんそれは、違うと思いますよ。

古賀:いや、でも、古舘さん言われましたよね、「わたしがこういう風になるということについて自分は何もできなかった、本当に申し訳ない」と。

古舘:もちろんそれは、この前お話したのは、楽屋で、古賀さんにいろいろ教えていただいている中で、古賀さんの思うような意向に沿って流れができてないんであるとしたら大変申し訳ないとわたしは思っている、今でも…。しかしさっきのはちょっと極端過ぎる。

古賀:録音させていただきましたので、もしそういう風に言われるんだったら、全部出させていただきますけれども。

古舘:いや、こちらもそれを出させていただくってことになっちゃいます、古賀さん。

古賀:いいですよ。

古舘:だから、ちょっとじゃあそれは置いて、これはわたしは違うと思っていますが、じゃあ、イエメンのお話、アメリカのことを聞かせていただけますか。

金曜のコメンテーターは週ごとに各分野から出演していた。日刊スポーツによると、テレビ朝日広報部は「そもそも古賀さんもその(各分野の)中の1人。降板ということではない」と説明したという。

この日の古賀氏の言動について、ジャーナリストの竹田圭吾氏や江川紹子氏らがTwitterで苦言を呈した

竹田圭吾
古賀茂明という人はテレビで発言する機会を与えられていることの責任と義務をまったく理解していない

2015年3月27日 23:09
1,114件のリツイート 443人がお気に入りに登録

Shoko Egawa ✔ @amneris84 フォローする
公共の電波で自分の見解を伝えるという貴重な機会を、個人的な恨みの吐露に使っている人を見ると、なんとももったいないことをするのか…と思う。

2015年3月27日 22:47
504件のリツイート 246人がお気に入りに登録

 古賀茂明氏はテレビ朝日会長と古舘プロダクションの意向で今日の金曜日の出演が最後で降板だと言い、古舘は企画が合う機会があるなら出て頂きたいと思っている、降板ではないと言う。

 古舘が言っていることが正しければ、降板は古賀茂明氏の思い込みで、早トチリということになる。

 但し古舘の意向は番組編成や出演者決定に相当な力を持っているだろうが、今後も「出て頂きたいと思っている」という意向だけでは本人の中ではそのことを確定事項することができたとしても、契約という形を取らなければ、相手に確定事項であることは伝わらないし、相手は確定事項とすることはできない。

 報道番組が出演者との契約をどのように行うか知らないが、 「報道ステーション」が4月から金曜日は従来どおりにテーマに応じて各分野からコメンテーターを招く予定ではあるが、月曜から木曜までのコメンテーターをこれまで一人で務めていたのを4人が日替わりで出演する編成替えを行うというから、例え編成替えが月曜から木曜日の出演者に限っていたとしても、編成替えと年度替わりが重なった場合、金曜日分も含めたすべての出演者に対して新たに契約を結ぶ、あるいは結び直すのが一般的であるはずだ。

 だが、古賀茂明氏に関してはその契約がなかった。その上、古舘から、「わたしがこういう風になるということについて自分は何もできなかった、本当に申し訳ない」と言われている。だから、3月27日の金曜日が年度替り前の最後の出演日と受け止めて、降板話をすることになったということであろう。

 それとも正式な契約というものはなく、日本式に口頭契約ということなのだろうか。1回の出演はいくらいくらと口頭で決めておいて、金曜日に出演をお願いした場合は、番組終了後か、あるいは月末等のテレビ局の給料支払日に合わせて纏めて支払いますと口頭で伝えてあるというだけのことだろうか。

 口頭契約の関係なら尚更に年度替り前に「何もできなかった」と言われ、謝罪されたということなら、それが以後の出演はないという口頭契約となって、古賀茂明氏が古舘の意向が降板を確定事項としていると受け止め、それを受けて自身も降板を確定事項とするに至ったとしても自然な判断ということになる。

 年度替り以後の、あるいは番組編成後の出演をお願いする口頭の契約も正式な文書契約も示していない以上、古舘の「古賀さんに機会があれば、企画が合うなら出ていただきたいと相変わらず思ってますし」はおためごかしの言葉に過ぎないことになる。

 古賀茂明氏としたら、当然、降板の原因を考える。

 他の記事はテレビ朝日は金曜日のコメンテーターはこれまでも固定化しておらず、その日のテーマに合ったコメンテーターを招いており、古賀さんもその一人だと言っていると伝えているが、テレビ局は古賀茂明氏を単にテーマに合わせたコマの一つに過ぎないと見ていたわけではないだろう。

 「報道ステーション」でも安倍批判を展開していたというが、元々反安倍姿勢を鮮明にして、批判を繰返していたのである。「報道ステーション」としてもその古賀茂明氏のスタンスを買って、金曜日の番組出演をお願いしたはずである。

 つまり「報道ステーション」自体が反安倍をスタンスとしていて、古賀茂明氏の反安倍の点に好感を感じ、響き合うものがあったから、出演を実現させたはずである。常識から言って、番組のスタンスに合わない人物を選ぶはずはない。

 「asahi.com」記事は古舘と古賀茂明氏の論争に絡めて、〈古賀さんは以前にも同番組で、過激派組織「イスラム国」(IS)による人質事件への日本政府の対応を批判し、「I am not ABE」と発言し、議論を呼んでいた。〉と解説している。

 テレビ局から番組の編成替えが公表され、そのことが既に報道されていながら、口頭の契約もなく、文書による正式な契約もなければ、一致していた双方のスタンスに破調を来たすことになったことを意味する。
 
 番組の最中に「I am not ABE」(私は安倍首相ではない)と書いた手製の紙を掲げている以上、古賀茂明氏のスタンスは変わっていないのだから、「報道ステーション」側のスタンスが変わったと見るしかない。

 古賀茂明氏は「報道ステーション」側のスタンスの変化を、「菅(義偉)官房長官をはじめですね、官邸のみなさん」から自身も受けてきた「ものすごいバッシング」、いわば安倍政権の報道圧力が原因と見て、それが古賀茂明氏自身の降板につながったと解釈した。

 この見方・解釈に正当性があるかどうかが問題となる。

 官房長官の菅義偉は勿論否定している。そのとおりですよと肯定するわけはない。3月30日の記者会見。

 菅義偉「全くの事実無根だ。公共の電波を使った事実に全く反するコメントで、極めて不適切だと思っている」(時事ドットコム

 だが、安倍晋三は報道介入の前科を繰返している。前科が一度で、その前科を悔い改めて、以後繰返していないというなら菅義偉の言い分を素直に納得させることができるが、繰返している以上、素直にはそうですかと言うことはできない。

 既に周知となっている、当ブログにも何度か取り上げていることを改めて書き記すことになるが、安倍晋三の表立って現れた報道介入の一つに2005年のNHK『慰安婦』番組に対するものがある。高裁は「制作に携わる者の方針を離れて、国会議員などの発言を必要以上に重く受け止め、その意図を忖度し、当たり障りのないよう番組に改変した」と判決を下した。

 つまりNHK側が単に国会議員の発言を勝手に忖度して番組を改変したとした。

 最高裁は政治家の介入については触れなかったというから、高裁の判決を以って政治家の介入については决定したことになる。

 安倍晋三はこのことを以って無罪判決だとしているが、NHKが国会議員の意図を忖度するについては、国会議員からそれなりの発言や接触があったことを受けた措置であって、発言の接触も何もがなければ、忖度の必要性は生じない。

 安倍晋三は自身も慰安婦に関わる発言を繰返し、NHK側に秘書やあるいはNHKに影響力を持つ第三者等を使ったのだろう、巧妙に接触し、巧妙に意図を忖度させて、番組を改変させる報道介入を行ったと見るべきだろう。

 昨年12月の総選挙前の11月18日、安倍晋三はTBS「NEWS23」に出演した際、番組が景気の実感を街行く人にインタビュー、いわゆる街の声を聞いたが、その殆どがアベノミクスに批判的だったことに不快を感じたのだろう、「これはですね、街の声ですから、皆さん選んいると思いますよ。もしかしたら」と発言、安倍晋三ではあるまいにさも番組が情報操作しているかのように疑った。

 そしてその2日後の11月20日、「自由民主党 筆頭副幹事長 萩生田光一/報道局長 福井 照」の差出し人名で在京テレビキー局の編成局長、報道局長宛てに、「選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い」と題した文書を送った。

 萩生田光一は安倍晋三の側近中の側近である。

 内容は次の通り、

 ・出演者の発言回数及び時間等については公平を期していただきたいこと
 ・ゲスト出演者の選定についても公平中立、公正を期していただきたいこと
 ・テーマについて特定の立場から特定政党出演者への意見の集中がないよう、公平中立、公正を期していただきたいこと
 ・街角インタビュー、資料映像等で一方的な意見に偏る、あるいは特定の政治的立場が強調されることのないよう、公平中立、公正を期していただきたいこと

 全てはテレビ局の自主性に任せるべき表現の自由であるはずである。もしテレビ局の報道に関わる表現の自由によって不利益を被ったということなら、告訴して、適正な表現の自由であったかどうか裁判で決着をつけるべき問題である。

 だが、そういった常識的な手続きを踏まずに国家権力を握っている側が文書で「公平中立」、「公正」も名のもと、かくあるべしと要求する。

 当然、そのかくあるべしは国家権力側の利益を求める性格のものとなる。

 これが安倍晋三がTBS「NEWS23」出演の際に「街の声ですから、皆さん選んいると思いますよ。もしかしたら」とテレビ局の情報操作を疑ったことを受けた国家権力による報道介入ではないと誰が断言できるだろうか。

 かくこのように安倍晋三は国家権力を利用した報道介入の体質を持ち、その前科を繰返し、常習犯化している。安倍晋三側が記者会見や国会答弁を利用して報道介入を否定するなら、安倍晋三に危険を感じて批判する者が報道介入を疑ったなら、ありとあらゆる機会を把えて否定の声以上に報道介入だと断定、断罪する声を上げるべきだろう。

 そうすることが自ずと安倍晋三の報道介入を逡巡させる力となるはずである。

 例えそうしたとしても報道介入に逡巡しないとなったなら、そしてそれを国民が許すということなら、日本は引き返すことのできない危険な道に差し掛かっていることを意味することになる。

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安倍晋三は従軍慰安婦人身売買説の新たな歴史修正を持ち出したが、自分が何を言っているのか弁えているのか

2015-03-30 09:34:59 | 政治


 米紙ワシントン・ポスト電子版が3月26日に安倍晋三が同紙インタビューに答えて、「従軍慰安婦は人身売買の犠牲者だ」といった趣旨の発言をしたと日本の各マスコミが伝えた。

 安倍晋三「人身売買(ヒューマン・トラフィッキング)の犠牲となり、筆舌に尽くしがたい痛みと苦しみを経験された人々を思うと心が痛む」(asahi.com) 

 「asahi.com」記事は、〈(米紙ワシントン・ポスト電子版)記事では英訳が掲載されており、首相が日本語で実際どのような表現を用いたのか不明だが、同紙は、首相の側近が「『人身売買』との言葉を公に使ったのは初めて」と指摘したとも伝えている。〉と解説している。

 つまり「従軍慰安婦人身売買説」は安倍晋三が初めて唱えたものだとしている。 

 件(くだん)の記事《Shinzo Abe’s optimistic vision By David Ignatius Opinion writer 》ワシントン・ポスト電子版/March 26 )には次のような英文が載っている。

〈“On the question of comfort women,” he said, “when my thought goes to these people, who have been victimized by human trafficking and gone through immeasurable pain and suffering beyond description, my heart aches.” An aide said this was the first time he had publicly referred to “trafficking” in connection with the women.〉――

 ネット翻訳を利用しての和訳だが、確かに「aide」(補佐官)が「the first time he had publicly referred to “trafficking” in connection with the women.」 (女性に関して人身売買に言及したのは初めてだ」と書いている。

 記事題名は「安倍晋三の楽観的展望」となっている。

 安倍晋三がここで言っている女性を売買の対象とした日本に於ける一般的な人身売買(human trafficking)とは親が生活苦から金を得るためと口減らしのために娘を人買い業者に売り、人買い業者がその娘を売春宿により高い値段で売って、差額を利益とする商業形態を言う。こういった人身売買は封建時代から存在し、終戦後の初期まで特に東北地方や北陸地方の貧しい農村地帯で続いた。

 要するに安倍晋三は従軍慰安婦は日本軍による暴力的な拉致・誘拐・監禁による性奴隷化ではなく、親が娘を人買い業者に売って、業者が日本軍運営の慰安所に売るという形を取った人身売買だと歴史修正を施した。

 確かにそういった形態の従軍慰安婦化も存在しただろうが、すべてがそういった形態というわけではあるまい。例え事実そうであったとしても、日本軍が慰安所を自ら建設し、経営していた事実は記録されているのだから(中曽根康弘もそのことを証言している)、天下の日本軍が人買い業者から娘を買い受け、売春婦に仕立てたという事実は残る。

 尤も「Wikipedia」によると、日本に於ける「人身売買罪」はアメリカ合衆国国務省が発表するTrafficking in Persons Report 2004年度版に於いて日本の人身売買問題が厳しく非難されたことに対応して2005年6月16日に可決された刑法改正で新設されたと書いてあるから、日本軍が若い娘を人買い業者から買い受けたとしても犯罪とはならなかったとしても、売春宿の経営者さながらに人身売買に手を染めた事実は記憶されなければならない。

 まさか人買い業者が親から娘をタダで貰い受けて、その娘をタダで日本軍に譲り渡していたということはあるまい。あるいは親にはかなりの金を渡して、日本軍には無料で差し出す奉仕(=ボランティア)という形で、いわば持ち出しで慰安婦集めに協力していたわけではあるまい。

 安倍晋三は人身売買を手段とした従軍慰安婦化説を打ち立てれば、従軍慰安婦に関わる日本軍のすべての罪が無罪放免となるとでも考えたのだろうか。

 しかも「従軍慰安婦は人身売買の犠牲者だ」と、犠牲の罪を人買い業者にのみ着せるご都合主義を働かせている。

 どうも新しい歴史修正で戦前日本国無罪・日本軍無罪を打ち立てようと試みたのだろうが、自身が実際には何を言っていることになるのか全然弁えていなかったらしい。

 まあ、この程度の頭だと見れば、仕方はない。

 日本統治下の韓国に於ける日本政府の植民地統治機関であった朝鮮総督府の機関新聞「京城日報」と「毎日新報」に載っていた日本軍の慰安婦募集の広告がネット上に出回っている。


 早速利用することにするが、「毎日新報」の募集主は朝鮮旅館内許氏となっていて、「京城日報」は今井紹介所となっているから、人材斡旋の個人的な紹介所なのだろう。だが、行き先は「毎日新報」は○○部隊慰安所となっていて、「京城日報」は「○○」の文字のみ読み取れるから、朝鮮総督府の機関新聞の広告という点からしても、軍の依頼による募集であろう。

 紹介者、あるいは紹介所を介して日本軍自身が慰安婦を募集し、軍経営の慰安所の慰安婦としていた。

 軍隊自体が募集と経営を兼ねていたという例は韓国がベトナム戦争時に日本軍と同じことをしていた事実は知られているが、それ以外、欧米では例のあることなのだろうか。

 日本軍が直接徴集の形で慰安婦を募集した事実も残されている。日本軍の完全な支配下にあった天津特別市政府警察局で作成された報告書の中に日本軍天津防衛司令部が日本人や朝鮮人、中国人が経営する売春宿から1ヶ月以内に150人の売春婦を徴収するよう天津特別市政府警察局保安課にに命令を出した記録が天津市に残されているという。

 150人募集に対して229人が自発的に応募し、性病検査後に12人が逃亡、86人を搬送中、半数近い42人が逃亡との記録があるというから、自発的応募の229人はとても信用できない。

 仲介・直接に関わらず日本軍はかくまでも慰安婦募集と慰安所経営に深く関与していた。

 その上、安倍晋三が言っていることの結果として日本軍が人身売買の需要側に立つことでその片棒を担いでいたとなると、日本軍の倫理性は天皇の軍隊であることを誇りとしていたことに対して全くの倒錯化を自ら行い、女性の人権に関してその倫理性を有名無実化させていたことになる。

 安倍晋三が「従軍慰安婦日本軍強制連行・性奴隷化」に変える歴史修正をいくら持ち出したとしても、書物や様々な記録に残されている元従軍慰安婦たちの日本軍によって暴力的な拉致・誘拐の形で強制連行され、軍慰安所に監禁されて性奴隷とされた数々の証言まで歴史修正して消すことはできない。

 安倍晋三歴史修正主義者一派が精一杯できることは「河野談話」作成過程で非公開の約束で聞き取った朝鮮人元従軍慰安婦の証言を非公開のままにしておく歴史の修正ぐらいのものである。

 そのぐらいでは戦前日本国無罪・日本軍無罪の歴史修正を全うすることは不可能であるはずだ。

 最後にベトナム戦争で韓国軍が経営していたという従軍慰安所の慰安婦たちは日本軍がしていたように暴力的な拉致・誘拐によって狩り集め、強制的に性奴隷とされた女性たちなのだろうか。

 そうであったなら、日本だけを非難できない。


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安倍晋三の独裁者に近い所有姿勢を露わにした「我が軍」発言とその釈明に見る天性の自己発言正当化の大名人

2015-03-29 09:39:23 | 政治


 3月27日午後の参院予算員会で安倍晋三は小野次郎維新の党議員から自衛隊を「我が軍」と発言したことの真意を尋ねられた。

 安倍晋三「どういう発言をしたかと言いますとですね、真山委員(維新の党議員)からですね、共同訓練の意義等について質問がございまして、その中で絆が強化をされていくという趣旨のことを申し上げた後、『また我が軍の透明性をまさに一緒に訓練するのでありますから、上げていくということに於いては大きな成果を上げていくだろうとこう思います。自衛隊が規律をしっかりしていると、しっかりとした責任・監督・規律のもとに平和に貢献していこうということが多くの国民によく理解されているんではないだろうかと思います』

 このように述べたわけでございますが、この答弁はですね、まさに共同訓練に関する質問があって、これに対する質疑の流れの中でお答えしたものでありまして、共同訓練の相手国である他国の軍との対比をイメージを致しまして、自衛隊を『我が軍』と述べたものでありまして、それ以上でも、それ以下のものでもないわけでございまして、そもそも自衛隊の発足時ですね、昭和29年でございいますが、当時の大村防衛庁長官が政府解釈として、『自衛隊は外国からの侵略に対処するという任務を有するが、こういうものを軍隊と言うならば、自衛隊も軍隊と言うことができる』と答弁をております。

 また、国際法的には軍と認識をされているというのが政府の答弁であります。

 また民主党政権に於いてもですね、一川防衛大臣が『自衛隊というのは我が国が直接外国から攻められるということがあれば、しっかりと戦うという姿勢でございますから、そういう面では軍隊だという位置づけでいいと思う』

 これが当時の民主党政権時代の政府の統一見解でもあるわけでもございまして、発足当時からこれ(自衛隊に対する軍としての位置付け)は一貫をしているいうことを申し上げて置きたいと思います」

 小野次郎「日頃思っていたことが口を突いて出ただけなんですかということを聞いてるんですよ」

 安倍晋三「今、答弁、丁寧に答弁させて頂いたので、十分にご理解頂けると思います」

 小野次郎「自衛隊はあたなの軍隊なんですか?」

 安倍晋三「違います」

 小野次郎「これで終わります」

 面白くなりそうだったが、時間切れで、残念なことをした。

 要するに安倍晋三は3月20日の参院予算委員会で真山維新の党議員の自衛隊が他国の軍隊と共に訓練を行う意義についての質問に対して「我が軍の透明性をまさに一緒に訓練するのでありますから」云々と答弁して、共同訓練の意義に関わる説明とした。

 そしてこの説明は、「共同訓練の相手国である他国の軍との対比をイメージ」して「自衛隊を『我が軍』と述べたもの」で「それ以上でも、それ以下のものもない」と釈明した。

 更に「自衛隊」と呼ばずに「軍」と呼称したことに関しては、昭和29年の自衛隊発足時の大村防衛庁長官が自衛隊を軍として位置づけていることが政府解釈となっていることと、国際法的には軍と認識をされていること、民主党政権時代も一川防衛大臣が軍として位置づけていて、このような自衛隊発足以来の政府統一見解としての位置づけの一貫性から言って、軍と呼称することに矛盾はないといった趣旨の答弁をしている。

 本人はこれでうまく言い抜けたと思っているのだろう。小野次郎に「自衛隊はあたなの軍隊なんですか?」と問われたのに対して、「違います」と一言答えて自席に戻るとき、うまくいったときの笑いを浮かべていた。

 確かに自衛隊の位置づけは誰が見ても立派な軍隊である。グローバル・ファイヤーパワーが公表した「世界の軍事力ランキング2014年版」によると、日本はアメリカ、ロシア、中国、インド、イギリス、フランス、ドイツ、トルコ、韓国に次いで世界第10位の軍事力を誇っている。有事に際しては軍隊として機能する。

 国際法的にも一般常識的にも軍として存在している。

 だが、安倍晋三が「我が軍」と答弁したとき、自衛隊を軍として位置づける文脈で述べた発言ではない。共同訓練の意義を述べる過程で「自衛隊」と単に呼べば済むのに「我が軍」と呼称したのである。

 そうであるのに政府統一見解としての自衛隊の軍としての位置づけを持ってきて、「それ以上でも、それ以下のものでもない」などと言って「我が軍」と呼んだことの自己発言正当化を狡猾にも成功させている。

 自衛隊を単に「自衛隊」と呼んだか、「我が軍」と呼んだか、軍としての位置づけとは何ら脈絡のない言葉の遣り取りの中で発生したあくまでも呼称の問題である。

 どう呼称するかは呼称する人の姿勢に関係してくる。例えば天皇を「天皇様」と、自己を最大限に低い位置に置いて天皇を最大限に高みに置いた呼び方をする者もいるし、「天皇陛下」と一般的な敬称で呼ぶ者もいるし、単に「天皇」と敬称を付けずに呼ぶ者もいるし、吐き捨てる言い方で「天皇」と言う者もいる。

 天皇という存在に対してのそれぞれの姿勢によって呼称は変わってくるし、その存在に込めた意味は限定されることになる。

 日本の首相、あるいは閣僚がその位置づけがどうであろうと一般的に「自衛隊」と呼ぶのに対して安倍晋三は首相の立場から「我が軍」と呼んだ。「我」と「軍」を結びつけ、一体化させたのである。

 前者の呼称はあくまでも自衛隊を独立した組織として扱う姿勢を示しているのに対して後者は、いくら自衛隊に対する最終指揮権を握っているとしても独立した組織と見做す姿勢を忘れてはならないはずだが、「我が軍」と呼ぶことによって自衛隊を独立した組織とはせずに安倍晋三自身に限りなく引き寄せたのである。

 独裁者は自国軍隊と自身を一体化させ、軍隊を自己所有物と見做す。 

 安倍晋三はそれに近い姿勢をふとした弾みに露わにしたのである。

 だが、そのことを巧妙に隠して天性の自己発言正当化の才能を発揮して、政府統一見解としての自衛隊の軍としての位置づけを述べたに過ぎないと誤魔化すことに成功した。

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1995年6月衆院採択「戦後50年決議」、安倍晋三が言う欠席理由が偽りか、朝日記事の理由が捏造か

2015-03-28 09:01:27 | Weblog



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       《13月24日(火)小沢代表・山本代表の定例記者会見要旨 党HP掲載ご案内》  

      山本太郎代表「政府の皮をかぶった強盗に近い辺野古移設問題」
  
      【質疑要旨】

      ・普天間飛行場の辺野古移設問題について
      ・NHK番組出演とストロンチウム計測発言について
      ・街頭記者会見について
      ・統一地方選について  

 安倍晋三の1995年6月9日に衆議院本会議で採択された『歴史を教訓に平和への決意を新たにする決議』(「戦後50年決議」)についての3月27日参院予算委員会発言をマスコミが紹介している。

 安倍晋三「政府として国会決議を尊重するのは当然のことだ。

 (自身の採決欠席について)当時、自民党では我々が要求したにも関わらず議論が重ねられなかった。その抗議の意味で欠席した」(時事ドットコム

 この記事は次のように解説している。

 〈同決議は、先の大戦の「植民地支配や侵略的行為」への「深い反省の念」を表明。こうした文言に自民党内の一部議員が反発した。決議は同年8月の村山富市首相の戦後50年談話につながった。〉

 議論不足の「抗議の意味で欠席した」。にも関わらず、国会決議を「政府として」と断って尊重するとしている以上、「村山談話」や「河野談話」の例から見ても分かるように本人は尊重していないということなのだろう。

 問題は安倍晋三の発言の中で特に釈明に関しては言い抜け名人で信用できないから、事実「抗議の意味で欠席した」かどうかである。

 ネット上を調べた所、次の記事に出会った。《安倍氏は国会決議を欠席、村山首相は談話を決断 95年》asahi.com/2015年3月4日04時59分)   

 記事の趣旨は、〈20年前、「村山談話」はなぜ生まれたか。〉である。

 どのような記事内容か順を追って見ると、〈村山政権で連立を組んだ自民、社会、新党さきがけ3党は1994年6月の政権発足時、「戦後50年を契機に、過去の戦争を反省し、未来の平和への決意を表明する国会決議の採択などに積極的に取り組む」との合意を交わし〉ていたことを受けて決議の文案づくりは翌1995年に始まった。社会党が「不戦」や「謝罪」の表現を入れることを求めたのに対して〈自民党慎重派「終戦50周年国会議員連盟」を中心に「後世に歴史的禍根を残す」と反発が広がった。〉という。

 同1995年3月、新人議員の安倍晋三が国会で「我が国が一方的に不戦の決議をするのは意味がない」と訴えた。
 
 3党は同1995年6月6日、「不戦」や「謝罪」の文言は入れずに「植民地支配」「侵略的行為」との文言を入れて合意に辿り着く。

 但し3日後の1995年6月9日の採決の場の衆院本会議で与野党から多数の欠席者が続出。安倍晋三も欠席、賛成多数で採択されたものの、〈全会一致が原則の国会決議が不調に終わり、政権は大きく傷ついた。「これではいけない」。村山富市首相は、首相談話の作成を決意した。〉という内容になっている。

 この記事の内容からすると、安倍晋三は決議の内容自体に反対して欠席したことになって、議論不足に対する「抗議の意味で欠席」は「政府として国会決議を尊重する」と言っていることと整合性が取れなくなることからの偽りの理由となる。

 安倍晋三が1995年3月何日のどの委員会で具体的にどう発言したのか、安倍晋三の「我が国が一方的に不戦の決議をするのは意味がない」の文言を頼りにネットで検索して見ると、上記朝日記事を指して、「朝日新聞が性懲りもなくまた捏造記事を書いて安倍首相を冒涜している」とする批判を見受けた。

 その中に2005年7月号の「諸君」に投稿した西村真悟の一文が紹介されていた。

 「自社さ政権下で、国会における謝罪決議が構想され始めたが、反対の声は超党派で強まり、決議案が上程されても否決が明白になった。すると6月9日の金曜日、“本日は本会議なし、議員は選挙区に帰られたし”との通知が出て、反対派の議員は選挙区に戻った。

 その隙を狙ったかのように、土井たか子議長が金曜日の午後8時近くという時間に、本会議開会のベルを押した。結果として265人の議員が欠席、議員総数509人の半数以下の230人の賛成で決議案を可決。しかし、参議院は採択を見送った」

 西村真悟が言っていることが事実だとすると、安倍晋三の欠席理由も違ってくることになる。果たして「朝日」の捏造なのか、それとも安倍晋三が自身で言っている欠席理由がウソなのか、明らかにしなければならない。

 安倍晋三の件(くだん)の発言は探すのに時間がかかったが、1995年3月29日の《第132回国会 衆議院外務委員会第11号》に記載されている。
 
 1993年に署名され、1997年に発効することになる多国間条約の「化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約」に関して、発効された場合の検証と不使用の実効性の質問を行ってから、「戦後50年決議」の質問に移っている。

 安倍晋三「今年我が国が戦後50年を迎えるわけでございますが、いわゆる不戦決議等々ということが言われているわけでございますが、この不戦決議というのもやはりこれは(化学兵器禁止条約と)全く同じでございまして、我が国が一方的に不戦を言っても、他国から侵略されたときには当然防衛戦争の権利があるということであっては、これが果たして本当に不戦がどうかというのは大変怪しいわけでございます。

 これは、バリ不戦条約を結んだわけでございますが、アメリカが公文書において、自衛権は当然あるんだよということを確認いたしたわけでございます。その後、結果はどうなったかというと、第二次世界大戦も引き起こったわけでございまして、なかなか実効性がないということでございますから、私としては、我が国が一方的に不戦の決議をするというのは殆ど意味がないことではないか。目指すのであれば、むしろ自衛権すら否定をする不戦の条約をマルチで結ぶということによって初めて可能になるのではないかと思うわけでございますから、その点のところを最後に外務大臣に御見解を承りたいと思います」

 河野外相「国会で戦後50年というこの節目に何か決議をやろうというお話し合いをしようということが、連立政権樹立の折に三党で合意がなされております。その3党の合意の、50年目という節目に当たる年に何か決議を、この50年目という年に思いをいたして決議をしよう、こういうことについては、私はちょっと外務大臣という立場で院の決議にあれこれ申し上げることはいかがかと思いますが、そういう話については大変意味のあることだというふうに私は思っているわけでございます。

 問題は、その決議の中身がどういう中身であるかということであろうと思いますが、今申し上げましたように、50年という節目に当たって、我々はもう一度初心を思い起こして、そうしたものを自分自身に言い聞かせるということも一つの考え方であろうと思いますし、あるいは50年目という節目に、未来に向かって我々はこういう道筋を進んでいこうではないかというのも一つの考え方であろうと思います」

 これらは院におきまして、議員の皆様方の総意といいますか、合意を導き出すという努力が今なされようとしているというふうに伺っておりまして、意味のある決議をぜひお願いしたいものだ、私はこう考えております。

 安倍晋三「では、これで私の質問を終了したいと思います。ありがとうございました」

 安倍晋三は第一次世界大戦後の1928年にフランスのパリで調印された「パリ不戦条約」が第2次世界大戦の開戦を防ぐことができなかったことを例にして、自衛権すら否定する不戦を趣旨とするなら、一方的な不戦決議と整合性を持たせることができるが、そうでなければ、一方的な不戦の決議は意味はない、実効性がないと逆説的に反対の意思を伝えている。

 なかなか巧妙な論理を用いている。「自衛権否定」の文言を入れたなら、国民の多くが反対するとの読みがあったのだろう。だが、理想と現実とは常に異なる。だからと言って、理想を捨てることはできない。

 人類の多くが戦争のない世界を望んでいる。しかし現実は人間同士・国同士の戦争が跡を絶たない。だからと言って、戦争のない世界への希求は誰もが反対できないだろう。いつ実現できるか分からないし、実現できないだろうと思いつつも、戦争のない世界を望み続けて、人類への期待を捨てることができない。

 安倍晋三はバリ不戦条約を例にして他国からの侵略の可能性を想定した場合は「戦後50年決議」は実効性のない言葉だけのことだと決議自体に反対していた。この姿勢の裏を返すと、軍事力を以って戦う意志を示すことでしか自国防衛は不可能だとしていることになる。

 この姿勢は安倍晋三の今日の姿につながっている。

 当然、議論不足からの「抗議の意味で欠席した」は偽り、欺瞞そのものとなって、「朝日」の記事は捏造でも何でもないことになる。「抗議の意味」としたのは、そうしなければ、「政府として国会決議を尊重する」としているとことと整合性が取れなくなるからであり、戦後日本の姿として常々提示している「戦後日本は平和国家として歩んできた」とする訴えと整合性が取れないからであり、自身がスローガンとして掲げている「積極的平和主義外交」と整合性が取れないから、人類の理想である「不戦」に反対だから欠席したとは言えなかったが事実といったところであるはずである。

 内実は「不戦決議」に反対し、軍事力を信奉している。

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外務省の戦後日本の役割を印象づける対外援助実績PR動画の陰の主役は「戦後70年談話」を控えた安倍晋三

2015-03-27 10:38:08 | 政治


 韓国メディアが日本の外務省が最近制作の戦後日本の対外援助実績をPRした動画が実態を歪曲していると一斉に批判していると日本のマスコミが伝えている。、

 YTNテレビ「韓国などアジアの繁栄が日本の援助のお陰だと妄言を言っている」(47NEWS

 記事は安倍晋三の訪米によって米国が日本に理解を示し、韓国が不利になるとの観測が出ていること、この動画が日本が安倍氏訪米を前に有利な国際世論づくりを狙ったものだと解説していると伝えている。

 動画が戦後日本のアジア各国への貢献を描いているものなら、戦前の日本の負の歴史を限りなく薄めて、戦後日本の歩みに焦点を当てて日本の地位を限りなく高めようとの意図を露わにしている、いわば戦前否定・戦後肯定を狙った「安倍戦後70年談話」の正当化に歩調を合わせて日本の役割を印象づけようとする外務省の、安倍晋三と同様の意図を持たせた動画と言うこともあり得る。

 そうであるなら、動画の陰の主役は安倍晋三となる。

 果たしてそのような動画なのか、外務省のサイトにアクセスして動画を見つけた。《戦後国際社会の国づくり 信頼のおけるパートナーとしての日本》  

 動画ナレーション「戦後自らの復興を成し遂げた日本は平和国家としてアジアの繁栄と平和を作り、国際社会の国造りに積極的に関与してきました。

 1951年のサンフランシスコ平和条約により国際社会に復帰した日本は1954年のミャンマーを皮切りにアジア各国への経済援助協力を開始、韓国浦項(ポハン)の総合製鉄所の建設、中国の石炭生産地秦皇島(しんこうとう)と北京を結ぶ鉄道の拡充、スリランカのハブ港、コロンボ湾の拡張など、各国のインフラ整備をODA (政府開発援助)により支援し、アジアの発展の基礎を築きました」

 途中、『ミャンマー・バルーチャン水力発電所』、『韓国ソウル地下鉄1号線』、『タイ東部臨海工業開発』、『ベトナム・フーミー火力発電所』、『ラオス第2メコン国際橋』等の映像がキャプション付きで紹介されている。

 動画ナレーション「これにより日本企業を含む多くの民間投資を促進し、持続的な経済成長をもたらしました」

 云々と更に続く。

 確かに韓国の「YTNテレビ」が批判しているように「韓国などアジアの繁栄が日本の援助のお陰だ」とする趣旨の動画となっている。

 出だしからして、いくら安倍内閣が歴史修正主義がオハコであったとしても、「戦後自らの復興を成し遂げた日本は」と、日本が敗戦からの復興をさも自力で成し遂げたかのような幻想を与える歴史修正主義が施されている。

 「Wikipedia」記事を参考にすると、連合国は占領目的の巨額な財政支出と労働力を日本政府に負担させてはいたが、餓死者まで出す程に枯渇していた食糧を補うことができたのはユニセフや外国の民間人道支援団体の援助であって、それらの力なくして復興は不可能だったはずだ。

 そして何よりも1950年(昭和25年)6月25日から1953年(昭和28年)7月27日休戦までの朝鮮戦争による戦争特需を忘れてはならない。

 アメリカ軍の軍備を補充するための兵器や砲弾の生産の許可、軍事車両のライセンス生産、あるいは軍事車両の修理、航空機の定期修理等の特需によって雇用の確保、外貨獲得を果たして景気を回復方向に向けることができただけではなく、敗戦によって立ち遅れていた技術の最新モデル化やアメリカ式の大量生産方式の学習に役立ち、産業立国となるための重要なノウハウを作り上げることができたのであって、そのような過程を経ることで日本経済は好況に転じることが可能となり、その後の高度経済成長の基盤にもなったとも言われいる。

 いわば朝鮮戦争特需なくして日本の復興はなかった可能性が指摘されている。

 その象徴的な最大の例が現在世界のトヨタと言われているトヨタ自動車であろう。当時倒産寸前であったが、朝鮮特需で軍用トラックの修理や米軍人の乗用車の修理によって息を吹き返し、同時にエンジン構造のノウハウを学んで、自前の乗用車の生産へと進むことができ、今日の発展の出発点を築くことができた。

 「Wikipedia」は「経済的影響」として、1950年から1952年までの3年間に特需としての契約額が10億ドル、1955年までの間接特需として契約額が36億ドルと言われていると書いている。

 当時は1ドル360円の固定相場性の時代である。

 10億ドル×360円=    3600億円
 36億ドル×360億円=1兆2960億円
 合計          1兆6560億円

 現在の価値よりも当時の方が遥かに大きかったはずだ。

 当時の日本の一般会計予算額を見てみる。

 昭和25年6,333億円
 昭和26年7,498億円
 昭和27年8,739億円

 日本の一般会計予算額約2年分以上の利益が朝鮮特需によってもたらされた。

 日本は動画が趣旨しているようには決して自力て敗戦の荒廃から復興を成し遂げたわけではない。朝鮮戦争によって韓国は尚更に荒廃し、日本は荒廃から復興へと場面を展開していくことができた。

 歴史の皮肉としてあったこの一種の恩恵を忘れてはならないはずだが、安倍政権は歴史修正主義を旨としているから、忘れてしまって、日本の自力性だけを演出する歴史修正主義で動画全編を覆っている。

 戦後復興を成し遂げていく過程で日本は確かにODAでアジア各国の復興に力を貸した。だが、欧米各国の評判は必ずしも芳しいものではなかった。日本のODAは人材育成分野よりもインフラ整備等のハコモノ分野に重点を置いている上に無償資金協力よりも、低利・長期返済の緩やかな条件であったとしても、有償資金協力の割合が多く、しかもハコモノ分野は日本の企業帯同のヒモ付きであったからだ。

 いわばODAの資金援助による相手国のハコモノ建設に日本の企業が関わることで、その資金の一部が企業利益となって日本に還流する仕組みのODAが主であり、決して動画まで作って、戦後の日本が「平和国家としてアジアの繁栄と平和を作った」とか、「アジアの発展の基礎を築きました」と、日本がアジアの繁栄と平和と発展の基礎を築いた主人公であるかのような顔をして威張る程に立派なODAと言うわけではなく、そのように見せるのは歴史修正主義も甚だしいと言わざるを得ない。

 ODA の国際的な目標値は対GNI(国民総所得)比0.7%となっているが、2007年度の日本のODA対GNI比は0.17%で先進国中20位となっている。2006年の国民一人当たりのODA負担額は87.2ドルで16位に過ぎない。

 このことも日本がアジアの繁栄と平和と発展の基礎を築いた主人公であるかのような顔をする歴史修正主義の僭越さを物語って余りある。

 動画は1951年にサンフランシスコ平和条約を締結して国際社会に復帰した後はアジアの国々に援助一辺倒であったかのような情報を撒き散らしているが、《世界銀行と日本》世界銀行)のサイトには次のような記述がある。

 〈日本はサンフランシスコ講和条約が調印された1951年の翌年の1952年8月に世界銀行に加盟しました。1953年より世銀から資金を借入れ、電力、基幹産業、交通・水・インフラ整備など、経済成長の基盤となる様々なプロジェクトを行いました。〉云々。

 そして《日本が世界銀行からの貸出を受けた31のプロジェクト》世界銀行)なるサイトには次の記述がある。  

 〈1966年、日本は最後の借入に調印し、世銀の卒業国となりました。世銀からの資金を基礎として著しい復興と躍進を遂げた事は世界の注目を集めました。こうして日本は、資本市場として重要な役割を担うようになり、現在では、世銀にとって第二の出資国となり、様々な分野で世銀の重要なパートナーとなっています。日本が世銀から借入れた総額はおよそ8億6,300万ドル、31件となり、最後の借入を完済したのは1990年です。〉――

 世界銀行からの借り入れから卒業したのは1966年。借り入れ完済は1990年。

 世界銀行から借り入れを行った「31のプロジェクト」の主なところは東海道新幹線建設(借入額8000万ドル)、トヨタを含む大手企業の工場建設、東名高速道路建設、火力発電所建設等となっている。

 世界銀行から借り入れをして復興を図りつつ、アジア各国にヒモ付きの多いODAを行っていたのである。

 にも関わらず、外務省動画は朝鮮戦争特需の恩恵には一言も触れず、日本が単独で成したアジアの繁栄と平和と発展の基礎を築いた主人公であるかのような大言壮語で全編を満たしている。

 飛んでもない歴史修正主義である。繰返すことになるが、この歴史修正主義は安倍晋三の歴史修正主義を受けて、その双子をなしているはずで、最初の印象通りに動画の陰の主役は安倍晋三以外の何者でもない。

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安倍晋三の3月20日参院予算委「我が軍」発言は自衛隊と自身を一体化させた独裁者的表現だったのか 

2015-03-26 09:10:23 | 政治


 安倍晋三が3月20日の参院予算委員会で維新の党の真山勇一議員が自衛隊が他国と共に訓練を行う意義に関する質問を行った際の答弁中、自衛隊を「我が軍」と表現したという。

 安倍晋三「我が軍の透明性を上げていくことに於いては大きな成果を上げている。自衛隊は規律がしっかりしている、ということが多くの国々によく理解されているのではないか」(asahi.com)  

 記事は安倍晋三が自衛隊を「軍」(=軍隊)として表現することは次の点で問題だとしている。

 先ず憲法9条が「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と定めている点。いわば自衛隊を「軍」(=軍隊)とすることは憲法9条の規定に反する不的確な表現を一国の首相が行ったことになる。

 次に2006年の第1次安倍内閣の答弁書で「自衛隊は我が国を防衛するための必要最小限度の実力組織で、『陸海空軍その他の戦力』には当たらない」としている点。

 要するに憲法違反とならないように自衛隊を「軍」(=軍隊)に当たらないと閣議決定していることに反して安倍晋三自身が自らが自衛隊を「軍」(=軍隊)に当たる組織であるが如くに表現している点に問題があるということなのだろう。

 大体が実質は軍隊であるにも関わらず「自衛隊は我が国を防衛するための必要最小限度の実力組織で、『陸海空軍その他の戦力』には当たらない」とすること自体がマヤカシ以外の何ものでもないが、何しろ世界に対して日本の軍事的影響力を高めようと意図していることから考えると、他国軍との共同訓練という場面を想定する中で自衛隊を実質的に他の国の軍隊と同等、あるいは遜色のない優秀な組織として扱いたい衝動を常日頃から抱えていてることを図らずも曝(さら)け出したといったところに違いない。

 果して記事が指摘する二つの問題点のみだろうか。
  
 安倍晋三の発言に応えてSNSに次のよう投稿が現れている。

 〈「我々の」でもなく「我が国の」でもなく「我が」って何なんだよ。しかも「我が自衛隊」ではなく「我が軍」。〉

 〈みずからの近衛兵であるかのように自衛隊を「我が軍」とサラッと言えちゃうところにも彼のおぞましさが現れているわけです。〉・・・・・

 要するに安倍晋三の「我が軍」という発言に独裁者的表現を見ている。あるいは独裁者的表現の臭いを嗅ぎ取った。

 独裁者は自国軍隊を自身が所有する軍隊と見做し、国家や国民の利益のためにではなく、自身の政治的利益を目的に利用する。独裁者自身と自国軍隊の一体化の病理に侵されることになる。

 一体化によって強大な国家権力を個人的に握ることになる。独裁者は自身の国家権力をより強大化すべく欲すると、国民の利益を犠牲にしてまで自国軍隊組織の肥大化を謀り、自身と一体化させた軍による国民支配を強化する。

 安倍晋三が自衛隊を「我が軍」と表現したとき、その表現に 自衛隊と自身を一体化させた独裁者的ニュアンスが顔を覗かせていなかったろうか。

 安倍晋三はA級戦犯全員無罪を自らの歴史認識とし、東京裁判否定、さらには日本の戦争の侵略否定を歴史認識としている。戦前という歴史的空間に日本無罪、あるいは日本軍無罪の世界を見、戦後の世界にその無罪を持ち越している。

 あるいは安倍晋三は靖国参拝を通してそこに葬られている戦死者に対して常に一体感を見せている。

 靖国の戦死者が戦前の日本国家を一身に背負い、国家の戦争意志を国家に代わって貫徹した国家の体現者であるのに対して戦後の参拝が国家体現者であった戦死者を通した追悼である以上、自ずと戦前の国家体現を同時に行っていることになる。

 それが「お国のために戦った」という戦死者に対する追悼の表現となって表れているのであって、戦後はいつの間にか消えてしまったが、「天皇陛下のために戦った」という追悼の表現となって表れた。

 いわば「お国のために戦った」と戦前の「お国」を同時に体現し、「天皇陛下のために戦った」と戦前の天皇を同じく同時に体現しているのである。

 安倍晋三は最も強烈なその国家体現者の一人である。

 このような戦前無罪の歴史認識を持ち、戦前の国家体現者である安倍晋三が自衛隊を「我が軍」と言ったとき、そこに軍隊と自身の一体化を常に策謀・欲求している独裁者さながらに自衛隊と自身を一体化させようとする意識が些かも働いていなかったと果して断言できるだろうか。

 ただ単に日本国憲法が培うこととなった戦後日本の民主主義がそれを拒んでいるのであって、意識としては安倍晋三の歴史修正主義、軍国主義、国家主義から言っても、働いていたと見る方が妥当性があるように思える。

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安倍政権は沖縄の民意を除け者にした“瑕疵”という覆いの中で辺野古移設工事を進めている

2015-03-25 08:59:10 | 政治



      生活の党PR

       《3月17日(火)小沢代表・山本代表の定例記者会見要旨 党HP掲載ご案内》    

      小沢一郎代表・山本太郎代表の定例記者会見要旨
 
      【質疑要旨】
      ・アメリカの安倍政権の評価について
      ・電源三法と地域振興について
      ・統一地方選の投票率向上策について
      ・NHK番組への出演について
      ・街頭記者会見、マスメディア対策について 

 翁長沖縄知事と安倍政権との間で普天間移設の辺野古沖の工事を巡って戦争が勃発しそうな気配が生じた。事の発端はご存知のように沖縄防衛局が名護市の辺野古沿岸部に現在行われているボーリング調査のため立入禁止区域を示すブイやフロートの重りとして設置したコンクリートブロックが湾内の複数箇所でサンゴを傷つけているのをダイバーが発見、沖縄県は岩礁への影響を調査するために工事に伴う立入り禁止区域に入るのを認めるようアメリカ軍に申請したが、アメリカ軍は外務省を通じて立ち入り不許可を県に回答。

 これを受けて沖縄県は立入り禁止区域外で調査、海底のサンゴがブロック1つに押しつぶされているのを確認、3月23日の記者会見で海底面の現状変更の全ての作業を1週間以内に停止するよう沖縄防衛局に文書で指示したことを明らかにし、1周間以内に作業停止の報告がない場合は来週にも海底の岩石採掘と土砂採取などの岩礁破砕に関する許可を取り消す方針を示した。

 対して安倍政権の対応。

 菅義偉(3月24日の記者会見)「防衛省からは、沖縄県の海上作業の停止指示に関する文書の内容を検討した結果、アンカー設置等について、沖縄県は岩礁の破砕許可を不要としていたことや、那覇空港滑走路増設工事等、沖縄県で国を事業者として行われた同種事案でも、本件と同様のアンカーの設置は岩礁破砕許可手続きの対象とされていなかったことから、当該指示は違法性が重大かつ明白で、無効なものであり、現在行われている作業を中断する理由にはならないと考えているという報告を受けている。

 本日の午前中に、沖縄防衛局から沖縄県に出向く形でお会いし国の考え方を伝えたが、沖縄県側からは特段の反応がなかった」(NHK NEWS WEB
 
 ブイやフロートの重りにするためにコンクリートブロックを海底に設置する(海底に置く)際、コンクリートブロックが波によって動かないよう、海底に固定用のアンカーを打ち込むについては沖縄県は岩礁の破砕許可を不要としていたとしている。

 菅義偉の発言だけを見ると、政府に正当性があるように見えるが、現在実施中のボーリング調査に関しては沖縄県から実施の了承を得て許可が降りているから作業続行は可能だが、今夏開始予定の埋立て工事に関しては沖縄県知事の岩礁破壊許可が取り消された場合は工事に入れない可能性もあるというから、菅義偉が言う岩礁破砕許可不要はすべての工事に亘って有効というわけではないことになる。

 但し翁長知事自身は23日の記者会見で岩礁破砕の許可をしていないと言っている。

 翁長沖縄県知事「辺野古沖で知事の許可を得ずに岩礁破砕がなされた蓋然(がいぜん)性が高く、県漁業調整規則違反の懸念が払拭できない。サンゴの損傷状況を県が調査する必要がある」(時事ドットコム

 これは知事が変わったのだから、新知事の許可を改めて得る必要があると言うことなのだろうか。あるいは逆に前知事の許可は新知事によって取り消し可能だということを言っているのだろうか。

 なぜ翁長知事はサンゴの損傷の蓋然性を理由とするのではなく、辺野古移設に反対だからとすべての工事許可を取り消さないのだろうか。民意を背景に法廷闘争に持ち込むのも一つの手であろう。

 中谷防衛相「(政府に)何の瑕疵(かし)があったとも思っていないので、粛々と事業の推進計画を進めたい」(ロイター

 全然瑕疵がないとは言えないはずだ。なぜ米軍は沖縄県側の調査要求を断ったのだろう。話し合うべきだったろう。友好的な態度を示さなかった瑕疵がここにある。

 安倍晋三は翁長知事の面会希望になぜ会おうとしないのだろう。パク・クネ大統領に対しては「前提条件を付けずに率直に話し合いたい」と要求しながら、翁長知事の辺野古移設反対姿勢を一種の前提条件として面会忌避する条件の使い分けをしている。

 この使い分けは政府側の瑕疵と言えないことはない。

 だが、何よりも沖縄の民意を無視していることがそもそもの瑕疵に当たるはずだ。民主主義社会に於いて民意を無視した国政の成り立ちは論理矛盾そのものだからだ。

 沖縄の民意を除け者にした瑕疵という覆いの中で移設工事を進めている。

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安倍晋三、台湾馬総統、プーチン、習近平、それぞれの歴史の演出とそれを超える創造性が求められている

2015-03-24 05:56:00 | 政治


 安倍晋三は第1次政権時代の2007年8月、3日間の日程でインドを訪問、8月23日に東部コルカタで極東国際軍事裁判(東京裁判)でインド代表判事を務めた故ラダビノード・パール判事の息子やインドの反英独立運動の指導者故チャンドラ・ボースの遺族らと面会している。

 英国の旧植民地インド代表のパール判事は米英、その他連合国判事の中で唯一東京裁判で日本人のA級戦犯全員の無罪を主張した。

 その息子と面会した。亡きパール判事を偲び、敬意を表したのである。いわば息子との面会を通して、パール判事のA級戦犯全員無罪主張を一つの大きな業績と見做して、そのことに敬意を表した。

 当然、亡きパール判事の無罪主張と自身の無罪主張を響き合わせる意図のもと息子と面会したのでなければ、敬意を表する意味は出てこない。

 安倍晋三のA級戦犯全員無罪のみの歴史認識は東京裁判は戦勝国が敗戦国を一方的に裁いた裁判以外の何ものではないとする東京裁判否定、さらには日本の戦争は侵略でも何でもなかったとする侵略否定につながっている。

 もし侵略だと認めていたなら、A級戦犯全員無罪は成り立たなくなる。A級戦犯全員無罪は侵略否定をイコールとしている。

 要するに安倍晋三はインドという大地に立って、パール判事の息子と面会することで日本の戦前の戦争は侵略戦争ではなかったとする歴史を演出しようとした。

 インドの反英独立運動の指導者故チャンドラ・ボースの遺族らとの面会はさしずめ侵略否定の歴史の演出をカモフラージュすることと、独立運動というものが反支配を動機とし、支配の否定を意味することから、戦勝国の日本の占領の否定の儀式でもあったに違いない。

 そして安倍晋三は戦後70年を迎えて、「安倍晋三70年談話」で日本の侵略戦争を限りなく薄める歴史の演出を試みるはずである。

 だが、このような歴史の演出は単なる一つの方向からの演出に過ぎない。すべての方向からの演出とすることは不可能で、常に相対化の力学を受けて、決して絶対化することはできない。

 台湾の馬英九総統は3月11日、台湾政府が7~10月に実施する「抗日戦争勝利70年」の記念行事について国防部(国防省)で演説したと言う。解釈文を会話体に直すと、次のようになる。

 馬英九総統「記念行事は歴史や戦争の酷(むご)さを若者に理解させ、東アジアが平和を勝ち取ることなどが目的だ。

 当時の中華民国は勝算のない中、80万人の日本軍に抗戦して連合国軍の勝利に大きな犠牲を払って貢献した」(産経ニュース

 記念行事には日中戦争当時の南京大虐殺の証言者とされるドイツ人、ジョン・ラーベ氏の孫らも招待するという。

 これも安倍晋三やその歴史修正主義のお仲間たちの南京大虐殺否定に対する肯定するための歴史の演出であり、演出のためにラーベ氏の孫に登場人物を担って貰うということなのだろう。

 中国は今年9月3日に反ファシズム勝利と銘打った「抗日戦勝70年記念行事」を開く。改めて日本の軍国主義と侵略戦争の歴史が前面に打ち出されることになるはずだ。

 これも中国・習近平による歴史の演出である。

 中国の王毅外相が韓国側に朴槿恵大統領の出席を希望したとマスコミは伝えている。

 プーチン・ロシアも今年9月3日に「対日戦勝70年記念行事」を開く。反ファシズムの歴史の演出となるのは目に見えている。

 いくら安倍晋三が日本無罪、あるいは日本軍無罪の歴史を演出しようと努力しても、常に相対化の力学が働いて、自らの歴史認識を絶対化することは不可能である。

 不可能であるにも関わらず、日本だけを絶対化しよう歴史の演出を試みるのは日本の中だけのこと、コップの中の嵐で終わる。

 一方が拳を上げると、もう一方が拳を上げる。そういった状態が延々と続く。もうそろそろ、不毛であることに気づくべきだろう。それぞれの歴史の演出を超える創造性こそ、求められているはずだが、安倍晋三は一向に気づかない。

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山本太郎NHK「日曜討論」初デビュー、その主張に耳傾け記憶に留めるべきかは有権者の判断にかかる

2015-03-23 05:22:30 | 政治


 「生活の党と山本太郎となかまたち」の山本太郎共同代表が3月22日のNHK「日曜討論」に初めて出演した。なかなかのデビューだと思うし、私が略称「生活の党」党員ということもあるから、一つ宣伝のために山本太郎の発言のみをほぼ取り上げて、他党出演者の発言概要はネットから引用して最後に取り上げておくことにした。

 山本太郎の発言以外で番組が紹介した安倍晋三の統一地方選に向けた3月8日、自民党大会での発言を見てみる。

 安倍晋三「統一地方選に勝ち抜いて日本の夜明けを確かなものとしていこうではありませんか。共に戦っていきましょう」

 果して安倍晋三に任せて大丈夫なのだろうか。それを占うことのできる自民党からの出演者である選挙対策委員長の茂木敏充の発言を山本太郎の発言の後に取り上げてみる。

 最初のテーマ、《統一地方選を通じた国民への訴え》

 山本太郎「現在統一地方選挙は物凄く大切な選挙だと思っています。と言うのはですね、国会の中に現在ブレーキがない状態であります。なぜならば、自民・公明で多数を握っておりますので、国会に上がったものは全て片っ端から決まってしまうという状況になっている。

 これを止めるには地方の力が必要だと。地方から既に悲鳴が届いています。どのような形でかと言うと、地方議会での反対決議・意見書というものが次々と上がってきているわけですね。

 例えばTPP、これ41の道府県議会で、そのような声明で出ていると。集団的自衛権に関しては190議会。秘密保護法では195議会。原子力で455議会が、まあ、数の力で押し切ったとして。

 毎回言われているのは丁寧な説明されたことがないんですね。この暴走を止めるためには今回の(統一地方)選挙、必ず勝たなければならないと思っています」

 《地方創生は活性化につながるか》

 山本太郎「どう活性化するかなんですけど、もう地方の所得を上げていくしかないと。勿論、他の地域もですけど、地方の所得を上げるにはどうしたらいいか。

 これアベノミクスを待っても、来ないんですね。だって、実質賃金19ヶ月連続ダウンしていますから。これ、勿論、賃上げされたと言っても、一部の大企業、まあ、大企業が殆どですね。中小企業・零細企業は関係ないと。

 じゃあ、地方の所得を増やすためには最低賃金上げるしかないと。国連から勧告出てますよね。日本の最低賃金低過ぎると。これじゃあ、健康で文化的な暮らしはできないということを言われているわけですから、最低賃金を上げると。

 一人暮らしでギリギリの生活をしている人たちが家族を持とうと思うか、子どもをつくろうと思うかっていう話だと思うんですよね。

 少子化対策っていうことを先ず言うんならば、人口減少ということを言うならば、先ず、この最低賃金を引き上げることが絶対。そして不平等税制の消費税を先ず5%に戻して、そして廃止に向ける。

 その財源をどうするかということですけれども、これは所得税の累進性を強化、資産の課税の強化って言うことをやっていくことによって消費税をやめることができると思います」

 《原発政策》

 山本太郎「原発がなくても電力が足りているということははっきりしているんですね。550日以上、原発1基も動かずにこの国の電力を賄われているとことははっきりしている。やはり東電原発の事故から見て、一体何を学ぶのかと。これ以上この地震国でこの発電方法を続けていくのかと。

 本当に世界一の安全基準だと言うのは本当に世界一の安全基準だと言うことは言えないわけですよね。で、恐らく、色んな方々から原発は必要ないという意見が出ると思うので、僕からはこの原発事故関連で僕が一番気にしていることなんですけれども、ストロンチウムの検査をして頂きたい。

 東電からの汚染水、勿論、25メータープールに300倍ですか、それ以上にも汚染水がただ漏れになっているという状況。海に直接流れているんですよ。

 安倍総理、『アンダー・コントロール』というウソをブエノスアイレスでオリンピックを呼ぶためにつきましたけども、実際にアンダー・コントロールできていない状況です。この中にストロンチウムの検査、食品の検査、できなければ、子どもたちの未来は危ない。至急ストロンチウムの検査をして頂きたい。宜しくお願いします」

 山本太郎がここで言っているストロンチウムが「25メータープールに300倍ですか」を調べた限りでは該当する情報を見つけることができなかった。ストロンチウム90の危険度がセシウムの300倍に相当するという情報は承知している

 「NHK NEWS WEB」記事を参考にちょっと解説すると、東電は2013年に汚染水タンクから高濃度の汚染水が相次いで漏出したことを受けてタンクの周囲に堰(せき)を設け、独自の排出基準を設けて、基準値以下の雨水を敷地内に散水、排水路を通して湾内に流している。

 しかし汚染水タンクの周囲以外に降った雨については排出する際の基準値を設けていない。2014年8月、海に流しているこの排水路から、法令で国が定めた原発から放出される水の放射性物質の濃度上限「告示濃度限度」「セシウム137」1リットル当たり90ベクレルに対して約8倍、東電独自排出基準の「セシウム137」1リットル当たり25ベクレル未満の約30倍の760ベクレル、「セシウム134」が告示濃度限度1リットル当り60ベクレルに対して約4倍、東電独自排出基準の「セシウム134」1リットル当り15ベクレル未満に対して約17倍近い250ベクレル、「告示濃度限度」「ストロンチウム90」1リットル当たり30ベクレルに対して50倍、東電独自排出基準の「ストロンチウム90」1リットル当たり10ベクレル未満に対して150倍の1500ベクレルがそれぞれ検出されている。

 これらの汚染水が排水路を伝わって湾内に流れている。2013年10月22日に衆院予算委員会。

 松野頼久維新の会議員「完全にブロックされているということは、汚染された水が外洋に出ていないということか」

 茂木経産相(当時)「海の水は混ざります。外洋で測った場合でも、基準値以下です。漏れるという状態で出ているわけではない。重要なのは基準値以下であるかどうか」

 広瀬直己東電社長「雨の水は全部流ます。雨が降ると、放射性物質が積もっているので、雨の水として流れているものがあると思います。

 (湾内を堰止める役割のシルトフェンスについて)ご存知のとおりカーテンのように下まで通しているが、船が通る時には一時的には外します」(YUCASEE MEDIA) 

 船の通行で一時外すだけではなく、時にはフェンスの破損が見つかって湾内と外洋の海水は往き来している。単に外洋の膨大な海水に希釈されて基準値以下になっているに過ぎない。漏出問題は現在も起きているのだから、少なくとも汚染水に限って言うと、放射能は完全に“コントロール”されていると言うことは決してできない。

 《安保法制・自衛隊の後方支援》 

 山本太郎「イラク戦争のことを思い出して頂きたいですが、国民には、テレビを見ているみなさんには戦闘地域ではない所だと。安全な場所で行われている。給水・給油・医療提供などということを言われていましたけでども、実際、どうだったか。

 戦闘員、兵力の輸送と言うことまでやらされていると。バクダットへ飛行機で輸送するということまでやらされたと。これ、名古屋高裁で違憲判決出ていますよね。

 結局、補給活動というのも戦闘行為の重要な要素となるんだと。狙われるに決まってるんですよ、そんなの。で、もう一度思い出して頂きたい。イラク戦争中に派兵どれだけされましたか。派遣どれだけされましたか。自衛隊員1万人ですよ。1万人の方々が帰ってきて、その内28人の方々が帰国後に自殺されている。

 2012年の日本の自殺率で考えると、10万人に対して18.5人なんですよ。帰還兵で帰還された方々がどれだけの割合で自分の命を断ったか、分かっていただけると思うんですね。

 で、アメリカで帰還兵となる方、200万人ぐらいですね。アフガンとイラク。この方々だけで50万人ぐらいの方々が心にPTSD(心的外傷後ストレス障害)など病気を背負った。

 それだけじゃなくて、毎年250人以上の方々が自殺しているという現状。ここに注目していただきたいです。若者がこれから生き辛くなるようなことを政治で決定しないで頂きたい」(以上)

 私自身なりの感想を言うと、山本太郎はなかなか堂々と自説を述べていた。確かに「生活の党と山本太郎となかまたち」は国政を左右する程の議席を持っていないが、山本太郎の主張に耳を傾け、記憶する価値を認める有権者が出て、それが統一地方選の一票を投じる投票行動に影響を与えて、野党の議席を伸ばすことができたなら、国政に対する間接的な審判となって、総選挙の主たる争点から外した集団的自衛権行使等の軍事政策まで国民の信任を得たと拡大解釈する安倍晋三の暴走を少しは押しとどめる力となり得るかもしれない。

 安倍晋三に任せて大丈夫なのか疑う根拠を茂木敏充と民主党の玄葉光一郎の遣り取りから見ることができる。

 茂木「アベノミクスで求人倍率が増えた」

 玄葉光一郎「増えたとしても、非正規が4割を占める。結婚しにくい、子どもたちもたくさん生まれにくいという状況にある。そういうことに対してきちっとしたボールをストレートに投げる必要があるのではないのか」

 茂木「子育て支援を進めるために地方に本社機能を移転する。非常に大きな効果がある。例えば建設機械のコマツ。本社は赤坂だが、メインの工場は石川県にある。女性の管理職の出生率は東京は1を切っているが、石川県のコマツは2.5で、地方で生活し、子育てする豊かさ。こういったことを若い世代は感じて欲しい」

 安倍晋三と同じ論理構造を取っている。少ない成功例を持ち出して、さも全体が成功している、あるいは成功するかのような印象を振り撒いて自分たちの政策の成果とする。

 特に安倍晋三は被災地に出かけては復興に成功した企業や農業現場を訪れて、さも全体的に復興が進んでいるかのような印象を振り撒くのを得意としている。

 もし地方という環境のみが出生率を上げる要因となるとしたら、コマツの石川県工場の女性管理職の問題にとどまらず、地方全体の問題となり、なお且つ女性管理職の出生率が2.5なら、人口維持に必要な合計特殊出生率2.07をこえているのだから、東京やその他の大都会を除いた地方で人口減少といった現象は起きなかったはずだが、現実は逆となっている。

 大体が女性管理職のみに限った話となっていることが怪しい。女性従業員全体の話しなら、まだ少しは信じることができる。会社自体が大企業として高い賃金を払っている上に特別な出産支援・子育て支援を施している結果、たまたま女性管理職に現れた出生率ということだとしたら、地方の会社全てが大企業のコマツのマネはできないだろうから、地方の暮らしとは関係ないことになる。

 全体的に当てはめることができる例ではなく、他に当てはめることができない特別な例を挙げて成功しているかのように発言するようでは、アベノミクスの成功は覚束ない。

 最後に「概要ページ」。



 2015年3月22日放送《日曜討論 【「地方創生・原発・安保 10党に問う」】 ]の番組概要ページ》gooテレビ番組/2015年3月22日)   

統一地方選について中川緑が解説。来月12日に行われる前半戦では41の道府県議選や17の政令指定都市市議選などが予定されている。このなかで大分県知事、北海道知事、札幌市長選挙では自民党と民主党が事実上対決する構図となっている。来月26日には市区町村長・議員約900の選挙が行われる。また、選挙に求める視聴者の違憲も紹介した。

統一地方選に向けて茂木敏充は国民の期待に応えるために景気回復の実感を一日でも早く伝えるために地方創生を進める、などと述べた。玄葉光一郎は再生の土台となる統一地方選にしたい、国民生活の質の向上に焦点を当てた政策を訴えたい、などと話した。また、斉藤鉄夫も女性活躍や地方創生を目指したいと話した。一方、柿沢未途は身を切る改革を訴えたいとし、小池晃は民意に反対する安倍政権の暴走に歯止めをかけたい、などと述べた。そして、松沢成文は既得権を打破して地域から変えられる改革政策を訴えたい、とし、又市征治は少子高齢化社会に対応しなければならない、などと述べた。山田太郎もまた、暴走を止める必要があるという意見を述べ、山田太郎は地域が変わる人を積極的に立てていきたい、とし、荒井広幸は置き換えの支援策をとって地域で頑張る気持ちを育みたい、と述べた。

41の道府県議選での自民党の目標について茂木敏充は候補者を上積みしたい、などと述べ、玄葉光一郎も同様に現有議席を上回るようにするように戦いたいと
述べた。

中川緑が統一地方選の議論になりそうな地方活性に関するデータを解説。国土交通省が2050年の人口推計を地域別に予測したものを表示し、地方での雇用の確保が重要とされていることを解説し、政府が掲げている地方創生の総合戦略も表示した。そして、今年度の補正予算に1700億円、新年ど予算案に7225億円を計上していることなども説明した。

安倍政権が進める地方の地域活性化につながるかどうかについて議論。現在、東京圏への人口流入が増えているという事実があり、子育て・農業・エネルギーが大事、という意見を述べた。これに対し茂木敏充はこの2年で確実に改善しており、魅力ある仕事を作るという観点から地方創生を進めたい、と話した。こうした話を聞いて斉藤鉄夫は地域仕事支援事業や都市農村交流などを公明党が行っていることを述べた。

柿沢未途は20代から30代のIターンが定住している隠岐の島海士町では自分たちで責任をもってやることが大事だ、という考えがあり、政府の上から目線のやり方では地方は創生されない、とし、地域発の取組を応援することをうちださなければならない、と話した。小池晃は地方衰退は自民党政治だとし、これからやろうとしていることも地方からお金も人も吸い上げる政策ばかりだ、と話した。こうした批判に対し、茂木敏充は一括交付金なども行っている、ということなどを述べた。

松沢成文は州制度にしようという党の方針があることを説明し、又市征治も現在の地方衰退は自民党政治であるとし、根本的に経済運営を変えなければならない、と話した。荒井広幸は住民参加によって地域活性化を考えていることを話した。また、山田太郎は高齢化と人口減を分けなければならないとし、地産地消や地域が最低限成り立つための有機的な結びつきが大事、とし、山本太郎は地方の所得をあげるしかないとして最低賃金の引き上げと消費税の見直しをするべき、と話した。

これまでの議論を受けて茂木敏充は規制緩和をしっかり進めることが重要だ、と主張した。基礎自治体の競争についてはアイディアを引き出すということをしっかりやっていく、ということを述べた。

中川緑が春闘におけるベースアップの例を表示し、解説した。大手企業ではベースアップが相次いだ。一方、東京と地方の平均年収には大きな開きがある。また、賃金や労働に関する視聴者からのメッセージも紹介した。

茂木敏充は大企業で賃上げが続いているが、中小企業も含めて平均で2.07%上昇となっている、とし徐々に回復している、と話した。玄葉光一郎はそれも現実だが、物価上昇分に追い付いていないのも現実、などと話した。実質賃金が19ヵ月連続でマイナスとなっているが、4月からはプラスに転化すると予想されていることを茂木敏充は話し、サービス産業に対する対策も取って行きたい、とした。また、柿沢未途は底上げをしないと消費の拡大につながらない、という意見を述べた。

斉藤鉄夫はアベノミクスによって景気が良くなると思っており、長期的には消費拡大の方向に行くと思っている、と話した。また、小池晃は大企業はもっと体力があるはずだ、として労働者や中小企業に回っていないということを述べた。松沢成文は首都圏と地方の格差や大企業と中小企業の格差を無くすには花粉症の撲滅が良い、とし、林業労働者の確保や医療費減少など同時に出来る、と話した。又市征治は政府がやるべきことは最低賃金の引き上げだ、とした。

斉藤鉄夫はアベノミクスによって景気が良くなると思っており、長期的には消費拡大の方向に行くと思っている、と話した。また、小池晃は大企業はもっと体力があるはずだ、として労働者や中小企業に回っていないということを述べた。松沢成文は首都圏と地方の格差や大企業と中小企業の格差を無くすには花粉症の撲滅が良い、とし、林業労働者の確保や医療費減少など同時に出来る、と話した。又市征治は政府がやるべきことは最低賃金の引き上げだ、とした。

分権について柿沢未途は道州制を実現することが基本だとし、ばらまき的な補助金をして毎回失敗している、アイディアを引き出すことが大事、と話した。茂木敏充は全国的に仕組みを変える部分と、特区で成功事例を作って全国展開する、という2つを行うことが大事、などと話した。また、玄葉光一郎は一括交付金は地域にとってよかった、とし出来る限りの権限・財源・人間の移譲を行う意向である事を述べた。これに対し斉藤鉄夫も同様の考え方ではあるが格差是正するために国の富を集めて調整することは大事でその考え方は残さなければならない、とした。

小池晃も地方分権は大事だと思っているが今はどんどん悪くなっていっている、とし、これまでのことを反省した上で政策を打ち出すべきだ、と話した。茂木敏充はこれに対し、悲観的過ぎる、明るい要素を広げていくことが大事、などと話した。

原発について中川緑が解説。現在、国内に48基の原発があり全て運転停止している。このうち、川内原発と高浜原発の4基は新しい安全基準に適合しているとされた。しかし、現在原発を再稼働するにしても廃炉にするにしても最終処分場が決まっていないことが問題。

原発の再稼働と廃炉について茂木敏充は4基の再稼働と5基の廃炉が決まっており、安全性に配慮しながら原発依存度を下げていかなければならない、ということなどを述べた。山本太郎は原発がなくても電力が足りているとして、ストロンチウムの検査をして欲しい、と述べた。そして、山田太郎は経営者の常識から言えばコスト計算が合うのかどうかが非常に大事だとして、分析評価が必要、と述べた。また、荒井広幸は原発は使いたいけれど使えないエネルギーだ、として再稼働は間違っている、と述べた。

茂木敏充は化石燃料の依存度が88%となっており、安定供給を考えると極めて危機的状況だ、とし、コストが安く、安定供給できて、環境負荷が少ない、安全性が高い、という4つを満たすのは現実的には難しい、などと述べた。玄葉光一郎は原発再稼働について2030年代にゼロを目指すというのが民主党の結論だ、として今調査会を中心に議論していることを述べた。また、柿沢未途は原発依存に真っ逆さまに戻るような政策を事実上進めている、再稼働ありきの今の進め方は国民の不信をもたらしていると述べた。こうした意見に対し、茂木敏充は再生可能エネルギーもフィットの制度を維持している、実証実験も進めているということなどを述べた。

斉藤鉄夫は公明党の基本方針はエネルギー基本計画によって原子力に依存しない社会を目指すというもので、原子力規制員会が認めたものについては再稼働を認めるという方針だ、とした。小池晃は再稼働の問題に関して世論調査では反対だ、とされている事を述べ、情報を出さない電力会社や政府を信用出来ないのは当たり前だ、とした。また、又市征治は地殻変動の激しい日本で最終処分場なんて探しようがない、としその上で再稼働を考えているのはありえない、と述べた。また、松沢成文は次世代の党の方針として30年程かけて原子力のフェードアウトをしていこうとなっていることなどを解説した。

これまでの議論を受けた茂木敏充は、バランスのとれたエネルギーの自給構造を作っていかなければならない、とし廃棄物の処分場についても将来世代が選択をできる方法を作ろうと考えていることを述べた。玄葉光一郎はエネルギーの地産地消は大事で、最終処分場も国が責任をもって対応しなければならない、と述べた。更に、斉藤鉄夫は高レベル放射性廃棄物の最終処分場が今決まっていないが技術的には確立している、とし、最終処分場は今回国が全面に立って決めていく、と述べた。

安全保障法制について中川緑が解説。一昨日、自民公明両党の協議は安全保障法制の具体的な方向性について合意した。「国際法上の正当性」などの3原則を前提に切れ目のない対応を可能なように法整備するとしており、後方支援や集団的自衛権の行使に関する具体的な方向性を解説した。

外国軍への後方支援の拡大など安全保障法制の合意について斉藤鉄夫は憲法9条の枠を超えることに関してはしっかり歯止めをかけ無くてはならない、ということを述べた。そして、茂木敏充は切れ目のない安全保障の法整備について、周辺状況の変化があるとして、そのための法整備をしっかり作っていきたい、と述べた。玄葉光一郎はこうした安全保障法制について、領土領海を守るのは当然とした上で、歯止めがなくなるようなことになってはならない、と話した。

柿沢未途は閣議決定の時の安倍首相の発言と今回の後方支援の境界について明らかになっていない部分があり、そこを明らかにしなければならない、とした上で議会が関与して歯止めをかける仕組みをビルトインすることが大事、と述べた。しかし、小池晃は結局歯止めなくやっていくことになる、これはまさに戦争立法だ、と述べた。小池晃の意見に対し茂木敏充は戦争をする国にするつもりはないが、国民らの財産を守る責任を果たさなければならない、そして歯止めはかけなければならない、ということを述べた。

安全保障法制における後方支援の拡大について松沢成文は抑止力の強化は賛成だが、今回の法整備で最大の問題は安全保障の基本原則を定める法律を作っていないことだ、と主張した。又市征治は憲法9条の理念に基いて日本は誇らしい道を歩んできたが、安倍政権がこの憲法を守る義務を放棄しており、歴史に逆行している、などと述べた。さらに山本太郎はイラク戦争を例に出し、1万人派遣された自衛隊のうち28人の帰還兵が自殺していることなどを説明した。

また、山本太郎は後方支援が国際貢献につながるのかがわかりづらい、として、政治不信につながっていく、などと述べた。こうした意見の一方で荒井広幸は今回の合意について一定の評価をしている、と述べた。

斉藤鉄夫は後方支援について2つに分けて考えなければならない、とし、その2つの例を出し歯止めはかかっているとした。一方、玄葉光一郎は後方支援と新存立事態は必ずしも分けられない部分がある、とし南シナ海の機雷掃海を例に出した。茂木敏充は後方支援について改めて解説し、無制限になるということはない、と話した。

南シナ海のエリアのような後方支援と集団的自衛権の行使が重なっている部分について、小池晃は「周辺事態」という部分を外してしまえば歯止めはなくなる、と話したが、斉藤鉄夫は憲法9条の基本的解釈を変えない上で行う、ということを述べた。さらに集団的自衛権が南シナ海以南にも広がるのか、ということについて茂木敏充はこれから議論が行われる、ということを述べた。こうした後方支援と集団的自衛権の問題について柿沢未途は国会がチェックをし議決する必要がある、と述べ、実施計画そのものを国会の議決の対象にすることが大事、と述べた。そして、玄葉光一郎は与党の方がどこまで覚悟を持って今回の合意をしたのかが不安がある、と述べた。

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安倍晋三は景気回復を人質として得た国会議席を絶対とする戦前に似た性格の独裁意志を政治原理としている

2015-03-22 10:53:17 | 政治


 戦前は天皇を「大日本帝国憲法」で「神聖にして侵すべからず」の絶対的存在に祭り上げ、「国体の本義」等で、「永久に臣民・国土の生成発展の本源」である現人神としての絶対的身分を纏わせて国民を宣撫・教育、国家と国民の統治者として最大限に価値づけた上に、そのような天皇の現人神としての絶対性を虎の威を借りる狐さながらに、あるいは水戸黄門の葵の御紋を印した印籠さながらに軍部や国家権力等の世俗権力が自分たちの権力の背景に置いて国民に対して絶対的位置に立ち、国民を独裁的に統治する装置とした。

 いわば天皇を現人神として絶対的存在に祭り上げることで軍部や国家権力が自分たちを絶対的存在に祭り上げて、国民の意志を無視し、権力の意志のみを優先させた。

 方や安倍晋三は国民の意思を権力遂行の本源とするのではなく、与党絶対安定多数の国会議席を権力遂行の本源として、戦前と似た性格の国民の意思を蔑ろにする独裁意志を露わにしている。

 このような独裁意志の露出はご存知のように日本国憲法が第9条で「戦争の放棄」と「戦力の不保持」、さらに「交戦権の否認」を規定していながら、国民の意思に基づいた憲法改正によってではなく、一内閣の意思によって、と言うよりも安倍晋三個人の意志を大きく反映させて集団的自衛権の行使を憲法解釈によって容認する閣議決定を行ったところに象徴的に現れている。 

 安倍晋三のこの独裁意志の露出は絶対安定多数の国会議席を背景としていることは断るまでもない。国民の反対を無力にして、国会議席を力として粛々と進めていけば、集団的自衛権憲法解釈による行使容認の法制は国会成立を可能とする。

 2015年3月6日~8日のNHK世論調査。

 「集団的自衛権行使可能の法律整備を進める安倍内閣方針についての賛否」

 「賛成」22%
 「反対」38%
 「どちらともいえない」34%

 どうもNHK世論調査の「どちらとも言えない」が理解できない。「賛成とも言えない、反対とも言えない」という意味となるが、日本という国の今後の行く末を決定づける重大な政策であることに反して国民に曖昧な判断を許していることになると同時に国民も曖昧な判断に甘んじることを自身に許していることになる。もし実際に判断に迷っているなら、「無回答」とすべきだろう。

 いずれにしても「賛成」が「反対」を16ポイント上回っている。

 朝日新聞社2015年3月14日、15日世論調査。

 「自衛隊の海外活動拡大」

 男女全体
 「賛成」33%
 「反対」52%

 男性
 「賛成」44%
 「反対」46%

 女性
 「賛成」22%
 「反対」57% 

 安倍晋三女性の活躍の拡大を盛んに言っている。当然、女性の意見を大事にしなければならない。だが、無視するのは目に見えている。無視を可能とする力の源は絶対安定多数の国会議席であることは断るまでもない。

 毎日新聞2015年3月14日、15日世論調査。

 「集団的自衛権行使容認の安全保障関連法案今国会成立政府方針について」

 「賛成」34%
 「反対52%

 安倍内閣は2014年12月14日総選挙で絶対安定多数の国会議席を獲得した。国家の運命を決める政策でありながら、集団的自衛権憲法解釈行使容認を主たる争点から外し、「アベノミクスを問う選挙だ」と景気回復を主たる争点に掲げて選挙を戦った

 安倍晋三は人間が生活の生きものであり、生活を最大の利害としていることを知っていたのだろう。多くの国民の景気回復の渇望を利用した。その結果の絶対安定多数の国会議席獲得であったはずだ。

 権力の独裁とは国民の意思に基づくべき政治権力行使を、その原則を無視して国家権力が独占し、自らの意思のみの実現を恣意的に謀ることを言うはずだ。

 総選挙絶対安定多数の大勝利を受けて、安倍晋三は「2年間の安倍政権の信任を国民に頂いた」とインタビューに答え、それ以来、生活上の利害からの「国民の信任」であるにも関わらず、集団的自衛権の行使、軍事力の強化、自衛隊の海外活動の無制限とも見える拡大に対する「国民の信任」にまで変えて、それを錦の御旗として、あるいは水戸黄門の葵の御紋をつけた印籠の如くに掲げて、絶対安定多数の国会議席を権力行使の道具として自らの政治権力を推し進めようとしている。

 安倍晋三のこの「国民の信任」の恣意的な振り替えと、世論調査を無視した軍事政策への恣意的な適用に見ることができるこの“恣意性”は果して独裁権力が内包している政治権力行使に於ける恣意性と共通していないと言うことができるのだろうか。

 安倍晋三は戦前の天皇独裁に基づいた軍部や国家権力の独裁的な国民統治程の恣意性を表現するに至ってはいないが、絶対安定多数の国会議席を力として景気回復政策の陰に隠しながら権力の恣意性を推し進めつつある。

 いわば戦前の民主的な装いを一切剥いだ独裁とは異なっていたとしても、似た性格の恣意的な独裁意志を民主主義を巧妙に装いつつ自らの政治原理としていると言うことはできる。

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