2025年7月3日付「NHK NEWS WEB」記事が党総裁、代表等の参院選「公示第一声」を伝えている。その中から、「参政党神谷宗幣第一声演説全文」のうち、その優れた人間性を窺うことのできる訴えを取り上げてみる。記事は次のような断りを入れている。
〈※原則、発言内容をそのまま掲載しています。ただし、個別の候補者の名前のほか、誹謗中傷などは無音などの加工をしています。〉――
記事に各第一声の動画が添付されていて、好ましくない発言は無音加工しているということだが、テキスト箇所は*(アスタリスクマーク)4個に置き換えられている。誹謗中傷の場合はそこにも本人の人間性が埋め込まれているのだから、その人間性の質、程度、内容、是非等の判断は情報の読み手それぞれの受け止めに任せるべきなのだが、そうはさせずに意味不明にするということは公共放送の立場としても、マスメディアの立場としてもふさわしくない一種の情報隠蔽を行っていることになるように思えるが、局の方はそうは考えなかったらしい。
当方は文章の繋がりを簡単にするために記事の改行を無視して繋げることにする。
神谷宗幣は最初に2020年に参政党を作ったイキサツ、2022年の前回参議院選挙で176万票を獲得して神谷宗幣自身が当選したこと、2024年衆院選挙で187万票を獲得し、3名の衆議院が当選したこと、地方議員は150名いること、205年6月28日に参議院議員の「****」が加わって国会議員5名の国政政党となったこと等、いわば党勢伸長が勢いに乗っていることを示してから、「そんな参政党の今回の選挙の訴え、キャッチコピーは日本人ファーストです」と述べ、この言葉を選んだ意味を披露している。
「30年、経済成長しない中で、だんだん、だんだん中間層がいなくなって貧困層が増えてきました。逆に一方で、富裕層も増えてるんですね。これ、数年前からよく言われてきた格差というやつです。
この状態をわれわれはよくないというふうに考えています。1億総中流と言われた頃の日本は豊かで活気がありました。私は昭和52年生まれ、今、47歳ですが、私たちが子どものころは日本の未来に希望がもっと、皆さん、ありませんでしたか。
将来もっと日本がよくなるという展望がありましたよね。今、それがなくなっちゃってるんですよ。国民の心から希望とか夢がなくなってる。そして、若者たちが何か日本を諦めて海外に行こうとしている。
もっと言えば希望がないから、子どもを授かることすら、躊躇してしまっている、そんな日本を変えたい。それが日本人ファーストに込めた思いです。
まず国民の暮らしをしっかりと守っていく。これを我々はやりたいと思います」――
要するに日本は1億総中流時代から格差時代へと暗転した。国民は希望とか夢を持てなくなって、若者たちが何か日本を諦めて海外に行こうとしている。同じ理由で子どもを持つことを躊躇する風潮が生じている。このような、いわば閉塞した「日本を変えたい」。「それが日本人ファーストに込めた思い」だと訴えている。
つまり「日本人ファーストに込めた思い」イコール国民の暮らしを守ることのできる日本社会変革への実現ということになる。但しここまでの発言では「日本人ファースト」という言葉そのものが備えている日本人に対する優先性を誰を対象としているのか、どの程度のものかは不明である上に優先性がそのまま排他性を背中合わせとする場合が往々にしてあるが、日本社会変革にどう絡ませ、国民の暮らしを成り立たせ可能へとどう持っていくのかの具体論は触れていないが、これから触れることになるはずだ。
神谷宗幣は更に言葉を継ぐ。
「でも、なぜ国民の生活が貧困者が増えてきたか。
その背景に参政党は結党当時からグローバリズムというものがあるということを訴えてきました。カタカナなんでね、難しいグローバル化って、皆さん、聞いたことあると思います。
どんどんと世界が小さくなって国境がなくなり、移動が楽になったり、通信が便利になったり、これ、グローバル化です。でもその一方で、グローバル企業というものも生まれて国の垣根を飛び越えていろんな規制を取っ払い、多国籍の大企業がどんどん、どんどんと世界の経済を席けんしてるという現実がありますよね。
そうなると、ここに、どんどん富が集まっちゃうんですよ。
そして、富が集まって力を持つから国の規制とかを、どんどんお金とか献金とかそういうものを使って国会議員なんかにお願いして変えていってしまう。
そうすると規制緩和、自由化だって、一見、聞こえはいいけど、その結果、どんどん、どんどん自由競争が厳しくなって、規制がなくなって、結局、みんな貧しくなったじゃないですか。
結局、地方が衰退したじゃないですか。
こういう現象を、われわれはグローバリズムと言っています。今、世界で、このグローバリズムの流れに対して、あらがおうという政治の流れ、生まれてるんです。アメリカではトランプ大統領もこの流れで生まれてきた大統領だと、我々は考えています。
そして、ヨーロッパでも南米でも、そういった反グローバリズムといわれる、そういう政党が力を持ってきてるんですね。
課題意識は、われわれと一緒です。まず、自国民の生活をしっかりと守っていこう、です。
そこでバランスを取って、もちろん経済活動、大事だし、グローバル化は止められないから。そのバランスを取りながら国民の生活をしっかり守ろうというのが、われわれの日本人ファーストに込めた思いでもあります」――
神谷宗幣は「国民の生活が貧困者が増えてきた」、「みんな貧しくなった」、「地方が衰退した」原因をグローバル化に置くことで、"日本人ファースト"が反グローバル主義=日本一国主義だという顔を覗かせる。尤も絶対反グローバル主義=絶対日本一国主義ではこれまでのグローバル化の行きがかり上、あるいはグローバル主義にどっぷりと浸かってきた関係上、やっていけないから、必要悪と不要悪を切り分けて、前者は利用し、後者は排斥、いわば、"バランスを取りながら国民の生活をしっかり守る"、これが"日本人ファースト"だと宣言している。
つまり"日本人ファースト"の対立概念は外部からの侵入者=外国人というところまで判明したことになる。
最初に1億総中流時代から格差時代への暗転が富裕層と貧困層の二極分化の格差を生み出したといった趣旨の主張をしていた二極分化の格差もグローバリズムを根本原因としていることになるということを押さえておかなければならない。。
但しグローバリズムは国民生活の隅々にまで浸透している。どの点を不要悪扱いしているか、次の発言によって明らかになる。
「だから、外国人の資本がどんどん入ってきて、東京の土地がいっぱい買われるとか、マンションが買われるとか、インフラが買われるとか、水源が買われるとか、企業の株がどんどん買われて経営者が外国人になっちゃうとか。
そういったことに一定の規制をかけていこうというのが参政党の訴えです。
どんどんと外国人の方は来られています。観光で来られるのは別に構わない。けれどもですね、安い労働力だと言って、どんどん、どんどん野放図に外国の方を入れていったら、結局、日本人の賃金、上がらない。
そして、いい仕事に就けなかった外国人の方は資格を取ってきても、どっか逃げちゃうわけですね。そういった方が集団を作って万引きとかをやって大きな犯罪が生まれています。
まだ万引きぐらいだったらと、いうと語弊があるかもしれないけれども、そういった人たちがね、違法な薬物とかをね、売り出したら日本の治安が悪くなるでしょ。窃盗や強盗が始まったら安心して暮らせないでしょ。
そういった治安の悪化を、我々は防ぎたいと思っています。だから、ここにしっかりと焦点を当て、警察の皆さんや行政の皆さんに人員を配置することによって治安維持を図る。
これも、われわれがやっていきたいことです」――
外国人の資本が東京の土地やマンションやインフラや水源を買収する、あるいは企業の株を買収して乗っ取り、経営者になる、こういったグローバリズムは不要悪として一定の規制をかける。但し外国人が観光で訪日するのは、いわば必要悪であって、全然構わない。安い労働力としての来日は日本人の賃金抑制要因となる上、資格を取って来日しても、いい仕事に就けなかった外国人はどっか逃げちゃって、集団万引きから始まって違法薬物売買、窃盗や強盗等、いわば大きな犯罪の温床となって日本の治安が悪化させるゆえに必要悪そのもので、「ここにしっかりと焦点を当て、警察の皆さんや行政の皆さんに人員を配置することによって治安維持を図る」
つまり参政党の政治主張、"日本人ファースト"の対立人種は主として生産資産としての日本の資本や土地を買い占め、乗っ取る富裕外国人と日本人労働者の賃金上昇の障害となる上に途中から勤務先から逃亡し、不法滞在状態となって犯罪集団化する危険性を抱えることになる安価な労働力として入国する外国人に置いているということになる。
この二種類の外国人に対する警戒感は耳に入りやすいし、受け入れられやすい。何しろ違法性の色付けを施して有権者の前に差し出しているからである。
しかも規則に従った仕事及び生活態度を守っている合法的存在としての外国人については伏せておく巧妙な情報操作を用いているのだから、結果的になおのこと違法性をより印象付けることになり、神谷宗幣が例に挙げた外国人に対する有権者の忌避感情を一層煽ることに成功し、支持率の上昇に役立っているのだろう。
正当な手続きを経て、正当な経済活動をし、日本社会に雇用やサービス・商品の提供、納税等の利益をもたらしている外国資本も多く存在しているだろうし、正規の手続きで入国し、真面目に働いて就職先企業に対して有益な人材となっている外国人労働者も数多く存在するはずである。
さらに労働力として入ってきた外国人に対する契約とは異なる低賃金、長時間労働、残業代未払、劣悪な労働環境等の人権侵害等々に耐えかねて失踪し、犯罪に手を染めてしまうケース等々、数多く指摘されている問題点は情報として耳に届けない。
オレオレ詐欺グループやときには住人の殺害にまで及ぶアポ電強盗等、少なくない人数の日本人特殊詐欺グループの存在は外国人の犯罪ばかりではないことを教えているが、そういった諸々の情報は伝えないままに違法性の色付けを施した外国人のみを対象にして不要悪とし、"日本人ファースト"の対立概念として持ち出している関係自体が外国人に対する排外主義を精神の骨格としていることを自明とする。
要するに神谷宗幣がしていることはグローバル化=悪玉外国人のイメージを刷り込み、日本人を善玉に位置づけて、その日本人をグローバル化や悪玉外国人から守ると主張する参政党を守護者に仕立てているようなもので、そのカラクリで支持者を増やそうという魂胆が見て取れる。
「で、そういったこと(不法外国人に対する治安維持)をやりながらですね、国民経済を復活するために、われわれが訴えている一丁目一番地の政策は減税です」――
あくまでも不法外国人取締まりを前面に置いた日本の建て直し、日本人の生活の建て直しを意図させていて、排除の構造、いわば"日本人ファースト"を精神の骨格としていることに変わりはない。
神谷宗幣の減税政策は国民の税金と社会保険料の合計である国民負担率を約46%から35%に下げるというもので、「消費税だけ下げるとか、所得税だけ下げるとか、社会保険料だけ下げるとか、そういうことを我々は言っていない」と宣伝しているが、国民の税金の内訳は所得税、法人税、消費税等の国税と住民税、固定資産税等の地方税であり、所得税や法人税、社会保険料などの減税が行われると、所得の多い層ほど金額ベースでの恩恵が大きくなるという構造を抱えているという。
つまりカネ持ち程利益を得る。「30年、経済成長しない中で、だんだん、だんだん中間層がいなくなって貧困層が増えてきました。逆に一方で、富裕層も増えてるんですね。これ、数年前からよく言われてきた格差というやつです」と言い、「1億総中流と言われた頃の日本は豊かで活気があった」、「日本の未来に希望を持っていた」といったことを口にしながら、富裕層を利して相対的には格差を却って拡大させることを隠したまま国民負担率の軽減を何か素晴らしい政策であるかのように言う情報操作は、先に見た、外国人を悪者のみと見せかける情報操作と巧妙さの点に於いて甲乙つけ難い。神谷宗幣の人間性及びその信用性がどの程度かを窺い知ることができる。
「財源どうすんだというふうに、いっぱい言われてますけども、今まで取りすぎて、この疲弊ですからね。だから、5年間なら5年間、10年間なら10年間なり1回決めてですね、国民の皆さんにお金を使ってもらう」
政府が税金を取り過ぎて「疲弊」ということはあり得ないから、国民の側が税金を取られ過ぎて「疲弊」ということでなければ、国民負担率を下げることと整合性は取れない。
さらに続けて、国民負担率軽減で手に入れたカネは外国製品ではなく、国産品を買うか、国内投資に回す仕組みを政府に促す。そうすることで30年間停滞してたGDPを5年から10年の間で倍ぐらいにする。
「自民党のGDPは15年で1.5倍は少な過ぎる。それでは日本の経済、立ち直れない。世界は2倍3倍になっている。「だから外国の方はこんなにたくさん銀座に買い物に来れるんですよ」――
日本のGDPは中国、ドイツに抜かれても世界4位だが、円安政策で対ドルに対しても、対ユーロ、対ポンドに対しても円安となり、外国貨幣の価値が上がっている上に購買力平価と比較した日本の物価水準は2025年7月時点での計算だと、ドル円レートは146.23円で、2025年の総合の購買力平価は対米国が169.45 円/ドル、対米比較で約116円となり、実際の対米為替レート146.23円よりも+30円の割安感で円を使うことができる状況となっていて、さらにユーロに対しても、ポンドに対しても日本の物価水準の安さから観光客が集まるのであって、その分、円安由来の物価高で中間層以下の生活を苦しめているのだから、そういった点に目を向けずに、また、違法性の色付けを施した外国人を"日本人ファースト"の対立概念として持ち出した排外主義をケロッと忘れて、「だから外国の方はこんなにたくさん銀座に買い物に来れるんですよ」と無邪気にインバウンド需要を口にできるご都合主義には感心する。
物凄い勢いで人口減少が進んでいる。参政党は少子化にも力を入れていく。女性の社会進出はいいことだが、男女共同参画とかは間違えていたとしている。
「けれども、子どもを産めるのも若い女性しかいないわけですよ。これ言うと差別だという人がいますけど違います。現実です。いいですか、男性や、申し訳ないけど、高齢の女性は子どもが産めない。
だから、日本の人口を維持していこうと思ったら、若い女性に、子どもを産みたいなとか、子どもを産んだほうが安心して暮らせるなという社会状況をつくらないといけないのに、働け、働けってやりすぎちゃったわけですよ。やりすぎたんです。
その代わりに子育てだけだったら収入がなくなるから、月10万円、子ども1人あたり月10万円の教育給付金を、参政党は渡したいというふうに考えています。子ども1人だから、0歳から15歳、1人1800万円。2人いたら3600万円。
これぐらいあれば、パートに出るよりも、事務でアルバイトするよりもいいじゃないですか。だって、子どもを産み育てるって、ものすごい労力かかるし、国の未来をつくる仕事なんですよ。そういった女性や子育てをする方々、これは男性も含めて、応援しないと国が滅ぶ。
経済合理性や個人の自由だけを求めていたら社会がもちません。だから、そこをしっかりとバランスを取って日本人の暮らしを守る日本人ファーストです」――
勿論、自由選択だが、国の政策によって金銭と交換に女性を出産と子育ての一本化に持っていくのは、引き受けた場合、そこに否応もなしに国に対する義務感が生じ、戦前の"産めよ殖やせよ"の二の舞いを招く危険性が生じないだろうか。
その恐れは出産を「若い女性」限定とし、「高齢の女性は子どもが産めない」と排除の対
象とする効率重視と選別の精神性から窺うことができる。
この手の精神性は女性の真の自由と尊厳と権利を尊重する土壌からは芽吹かない。内心に女性
に対する差別感情を隠している。「経済合理性や個人の自由だけを求めていたら社会がもちませ
ん」と言いながら、個人の自由を排除し、カネの力で差配しようとする経済合理性を打ち出して
いる。言葉は聞こえはいいが、聞こえだけで、信用できない。
「われわれは自公政権の政策にはノーです。しかし、選択的夫婦別姓とか、LGBTとか、そ
ういうイデオロギーの絡んだ共産党や立憲民主党の政策にもノーです。そして、積極財政、子育
て支援、治安の維持、そういったことにしっかりと力を入れて日本人の暮らしを守る」――
選択的夫婦別姓やLGBTを「イデオロギー」(政治思想)の範疇で捉える。個人の尊厳の問
題、基本的人権の保障、あるいは個人の本質的な存在性の問題として捉えることができない。ここには個人よりも国家優先の思想が隠されている。
「日本の子どもたちの未来を守る。日本の地方を守る。そういった国民中心で国民を守っていきたい。国民に安心して暮らしてもらいたい。そういったことを一丁目一番地に訴えるのが、われわれ参政党です」――
"日本人ファースト"の思想自体が対立概念とする他人種や他国籍者を全体的に価値づけて、日本人全体の価値をその上に置く全体主義性を抱えているのだから、「国民中心」を言っているが、国民主権に基づいた"国民中心"ではなく、国家主権に寄り添わせた"国民中心"でなければ、"日本人ファースト"としている全体主義性は整合性を自ずから失わせることになる。
今回の選挙の争点は自公政権過半数維持可能か否かで、多くの議席を与えてくれれば、参政党がキャスティングボードを持つかもしれないと言っているが、参政党の全体主義性、他人種や他国籍者に対する排除の論理に見る不寛容性、女性の出産数をカネの力で支配しようとする優しくない経済合理性等を考えて投票しなければならない。
参政党のご都合主義に対しても警戒感が必要である。「選択的夫婦別姓とか、LGBTとか、そ
ういうイデオロギーの絡んだ共産党や立憲民主党の政策にもノーです」と拒否していながら、その拒否を、「今度、立憲民主党のほうが勝ったらば、立憲側に、われわれ、参政党がキャスティングボートを持って提案していきたいと思います」と舌の根も乾かぬうちから無効にする無節操にも気をつけなければならない。
そして参政党への投票のお願いに入る。「この政党に国民の皆さんの希望をかけてください。われわれに皆さんの思いや力を貸してください」
「参政党は国民中心の国民主権の政治をやっていきます。それをね、やらないって言っている人がいるけど、全部、うそです」
『参政党が創る新日本憲法』の「第1章天皇 第1条」には「日本は、天皇のしらす君民一体の国家である」と記している。「しらす」は「治める」の意味持つ古語。「君民一体」は天皇を上に置き、国民を下に置いた天皇と国民の協力一体を指す。
天皇と国民が対等の協力関係にあるなら、「日本は、天皇のしらす」云々ではなく、「日本は、天皇と国民のしらす」云々としなければならない。
大体が「しらす」などといった古語を用いること自体が戦前の天皇中心の国家を想定していると受け止めなければならない。当然、参政党が「国民中心の国民主権の政治」をどう掲げようと、「やらないって言っている人」の判断は「全部、うそ」とは断罪できない。予見性優れた見解と見るほかない。
最後に神谷宗幣は最初の方で30年間の経済成長停滞が格差を招いたと主張しているが、格差は富の再配分政策の機能不全が主たる一因となっている社会的・経済的不平等状態なのだから、的確な富の再配分政策を行い、格差是正に努めて、希望が持てるような社会へ持っていくことが肝心なことであり、そうできていないことを問題とすべきで、富の再配分政策を機能不全とさせている要因に外国人が関わっているなら話は別だが、外国人と比較する要素を与えて、「日本人ファースト」と呼ぶのは無理がある。富裕層が外国人で占められていて、日本人の入る余地がないと言うなら、正統性はあるが、そうはなっていない。
所詮、国家主義的立場からの日本人絶対主義に根ざした排外主義な"日本人ファースト"にしか見えない。
〈※原則、発言内容をそのまま掲載しています。ただし、個別の候補者の名前のほか、誹謗中傷などは無音などの加工をしています。〉――
記事に各第一声の動画が添付されていて、好ましくない発言は無音加工しているということだが、テキスト箇所は*(アスタリスクマーク)4個に置き換えられている。誹謗中傷の場合はそこにも本人の人間性が埋め込まれているのだから、その人間性の質、程度、内容、是非等の判断は情報の読み手それぞれの受け止めに任せるべきなのだが、そうはさせずに意味不明にするということは公共放送の立場としても、マスメディアの立場としてもふさわしくない一種の情報隠蔽を行っていることになるように思えるが、局の方はそうは考えなかったらしい。
当方は文章の繋がりを簡単にするために記事の改行を無視して繋げることにする。
神谷宗幣は最初に2020年に参政党を作ったイキサツ、2022年の前回参議院選挙で176万票を獲得して神谷宗幣自身が当選したこと、2024年衆院選挙で187万票を獲得し、3名の衆議院が当選したこと、地方議員は150名いること、205年6月28日に参議院議員の「****」が加わって国会議員5名の国政政党となったこと等、いわば党勢伸長が勢いに乗っていることを示してから、「そんな参政党の今回の選挙の訴え、キャッチコピーは日本人ファーストです」と述べ、この言葉を選んだ意味を披露している。
「30年、経済成長しない中で、だんだん、だんだん中間層がいなくなって貧困層が増えてきました。逆に一方で、富裕層も増えてるんですね。これ、数年前からよく言われてきた格差というやつです。
この状態をわれわれはよくないというふうに考えています。1億総中流と言われた頃の日本は豊かで活気がありました。私は昭和52年生まれ、今、47歳ですが、私たちが子どものころは日本の未来に希望がもっと、皆さん、ありませんでしたか。
将来もっと日本がよくなるという展望がありましたよね。今、それがなくなっちゃってるんですよ。国民の心から希望とか夢がなくなってる。そして、若者たちが何か日本を諦めて海外に行こうとしている。
もっと言えば希望がないから、子どもを授かることすら、躊躇してしまっている、そんな日本を変えたい。それが日本人ファーストに込めた思いです。
まず国民の暮らしをしっかりと守っていく。これを我々はやりたいと思います」――
要するに日本は1億総中流時代から格差時代へと暗転した。国民は希望とか夢を持てなくなって、若者たちが何か日本を諦めて海外に行こうとしている。同じ理由で子どもを持つことを躊躇する風潮が生じている。このような、いわば閉塞した「日本を変えたい」。「それが日本人ファーストに込めた思い」だと訴えている。
つまり「日本人ファーストに込めた思い」イコール国民の暮らしを守ることのできる日本社会変革への実現ということになる。但しここまでの発言では「日本人ファースト」という言葉そのものが備えている日本人に対する優先性を誰を対象としているのか、どの程度のものかは不明である上に優先性がそのまま排他性を背中合わせとする場合が往々にしてあるが、日本社会変革にどう絡ませ、国民の暮らしを成り立たせ可能へとどう持っていくのかの具体論は触れていないが、これから触れることになるはずだ。
神谷宗幣は更に言葉を継ぐ。
「でも、なぜ国民の生活が貧困者が増えてきたか。
その背景に参政党は結党当時からグローバリズムというものがあるということを訴えてきました。カタカナなんでね、難しいグローバル化って、皆さん、聞いたことあると思います。
どんどんと世界が小さくなって国境がなくなり、移動が楽になったり、通信が便利になったり、これ、グローバル化です。でもその一方で、グローバル企業というものも生まれて国の垣根を飛び越えていろんな規制を取っ払い、多国籍の大企業がどんどん、どんどんと世界の経済を席けんしてるという現実がありますよね。
そうなると、ここに、どんどん富が集まっちゃうんですよ。
そして、富が集まって力を持つから国の規制とかを、どんどんお金とか献金とかそういうものを使って国会議員なんかにお願いして変えていってしまう。
そうすると規制緩和、自由化だって、一見、聞こえはいいけど、その結果、どんどん、どんどん自由競争が厳しくなって、規制がなくなって、結局、みんな貧しくなったじゃないですか。
結局、地方が衰退したじゃないですか。
こういう現象を、われわれはグローバリズムと言っています。今、世界で、このグローバリズムの流れに対して、あらがおうという政治の流れ、生まれてるんです。アメリカではトランプ大統領もこの流れで生まれてきた大統領だと、我々は考えています。
そして、ヨーロッパでも南米でも、そういった反グローバリズムといわれる、そういう政党が力を持ってきてるんですね。
課題意識は、われわれと一緒です。まず、自国民の生活をしっかりと守っていこう、です。
そこでバランスを取って、もちろん経済活動、大事だし、グローバル化は止められないから。そのバランスを取りながら国民の生活をしっかり守ろうというのが、われわれの日本人ファーストに込めた思いでもあります」――
神谷宗幣は「国民の生活が貧困者が増えてきた」、「みんな貧しくなった」、「地方が衰退した」原因をグローバル化に置くことで、"日本人ファースト"が反グローバル主義=日本一国主義だという顔を覗かせる。尤も絶対反グローバル主義=絶対日本一国主義ではこれまでのグローバル化の行きがかり上、あるいはグローバル主義にどっぷりと浸かってきた関係上、やっていけないから、必要悪と不要悪を切り分けて、前者は利用し、後者は排斥、いわば、"バランスを取りながら国民の生活をしっかり守る"、これが"日本人ファースト"だと宣言している。
つまり"日本人ファースト"の対立概念は外部からの侵入者=外国人というところまで判明したことになる。
最初に1億総中流時代から格差時代への暗転が富裕層と貧困層の二極分化の格差を生み出したといった趣旨の主張をしていた二極分化の格差もグローバリズムを根本原因としていることになるということを押さえておかなければならない。。
但しグローバリズムは国民生活の隅々にまで浸透している。どの点を不要悪扱いしているか、次の発言によって明らかになる。
「だから、外国人の資本がどんどん入ってきて、東京の土地がいっぱい買われるとか、マンションが買われるとか、インフラが買われるとか、水源が買われるとか、企業の株がどんどん買われて経営者が外国人になっちゃうとか。
そういったことに一定の規制をかけていこうというのが参政党の訴えです。
どんどんと外国人の方は来られています。観光で来られるのは別に構わない。けれどもですね、安い労働力だと言って、どんどん、どんどん野放図に外国の方を入れていったら、結局、日本人の賃金、上がらない。
そして、いい仕事に就けなかった外国人の方は資格を取ってきても、どっか逃げちゃうわけですね。そういった方が集団を作って万引きとかをやって大きな犯罪が生まれています。
まだ万引きぐらいだったらと、いうと語弊があるかもしれないけれども、そういった人たちがね、違法な薬物とかをね、売り出したら日本の治安が悪くなるでしょ。窃盗や強盗が始まったら安心して暮らせないでしょ。
そういった治安の悪化を、我々は防ぎたいと思っています。だから、ここにしっかりと焦点を当て、警察の皆さんや行政の皆さんに人員を配置することによって治安維持を図る。
これも、われわれがやっていきたいことです」――
外国人の資本が東京の土地やマンションやインフラや水源を買収する、あるいは企業の株を買収して乗っ取り、経営者になる、こういったグローバリズムは不要悪として一定の規制をかける。但し外国人が観光で訪日するのは、いわば必要悪であって、全然構わない。安い労働力としての来日は日本人の賃金抑制要因となる上、資格を取って来日しても、いい仕事に就けなかった外国人はどっか逃げちゃって、集団万引きから始まって違法薬物売買、窃盗や強盗等、いわば大きな犯罪の温床となって日本の治安が悪化させるゆえに必要悪そのもので、「ここにしっかりと焦点を当て、警察の皆さんや行政の皆さんに人員を配置することによって治安維持を図る」
つまり参政党の政治主張、"日本人ファースト"の対立人種は主として生産資産としての日本の資本や土地を買い占め、乗っ取る富裕外国人と日本人労働者の賃金上昇の障害となる上に途中から勤務先から逃亡し、不法滞在状態となって犯罪集団化する危険性を抱えることになる安価な労働力として入国する外国人に置いているということになる。
この二種類の外国人に対する警戒感は耳に入りやすいし、受け入れられやすい。何しろ違法性の色付けを施して有権者の前に差し出しているからである。
しかも規則に従った仕事及び生活態度を守っている合法的存在としての外国人については伏せておく巧妙な情報操作を用いているのだから、結果的になおのこと違法性をより印象付けることになり、神谷宗幣が例に挙げた外国人に対する有権者の忌避感情を一層煽ることに成功し、支持率の上昇に役立っているのだろう。
正当な手続きを経て、正当な経済活動をし、日本社会に雇用やサービス・商品の提供、納税等の利益をもたらしている外国資本も多く存在しているだろうし、正規の手続きで入国し、真面目に働いて就職先企業に対して有益な人材となっている外国人労働者も数多く存在するはずである。
さらに労働力として入ってきた外国人に対する契約とは異なる低賃金、長時間労働、残業代未払、劣悪な労働環境等の人権侵害等々に耐えかねて失踪し、犯罪に手を染めてしまうケース等々、数多く指摘されている問題点は情報として耳に届けない。
オレオレ詐欺グループやときには住人の殺害にまで及ぶアポ電強盗等、少なくない人数の日本人特殊詐欺グループの存在は外国人の犯罪ばかりではないことを教えているが、そういった諸々の情報は伝えないままに違法性の色付けを施した外国人のみを対象にして不要悪とし、"日本人ファースト"の対立概念として持ち出している関係自体が外国人に対する排外主義を精神の骨格としていることを自明とする。
要するに神谷宗幣がしていることはグローバル化=悪玉外国人のイメージを刷り込み、日本人を善玉に位置づけて、その日本人をグローバル化や悪玉外国人から守ると主張する参政党を守護者に仕立てているようなもので、そのカラクリで支持者を増やそうという魂胆が見て取れる。
「で、そういったこと(不法外国人に対する治安維持)をやりながらですね、国民経済を復活するために、われわれが訴えている一丁目一番地の政策は減税です」――
あくまでも不法外国人取締まりを前面に置いた日本の建て直し、日本人の生活の建て直しを意図させていて、排除の構造、いわば"日本人ファースト"を精神の骨格としていることに変わりはない。
神谷宗幣の減税政策は国民の税金と社会保険料の合計である国民負担率を約46%から35%に下げるというもので、「消費税だけ下げるとか、所得税だけ下げるとか、社会保険料だけ下げるとか、そういうことを我々は言っていない」と宣伝しているが、国民の税金の内訳は所得税、法人税、消費税等の国税と住民税、固定資産税等の地方税であり、所得税や法人税、社会保険料などの減税が行われると、所得の多い層ほど金額ベースでの恩恵が大きくなるという構造を抱えているという。
つまりカネ持ち程利益を得る。「30年、経済成長しない中で、だんだん、だんだん中間層がいなくなって貧困層が増えてきました。逆に一方で、富裕層も増えてるんですね。これ、数年前からよく言われてきた格差というやつです」と言い、「1億総中流と言われた頃の日本は豊かで活気があった」、「日本の未来に希望を持っていた」といったことを口にしながら、富裕層を利して相対的には格差を却って拡大させることを隠したまま国民負担率の軽減を何か素晴らしい政策であるかのように言う情報操作は、先に見た、外国人を悪者のみと見せかける情報操作と巧妙さの点に於いて甲乙つけ難い。神谷宗幣の人間性及びその信用性がどの程度かを窺い知ることができる。
「財源どうすんだというふうに、いっぱい言われてますけども、今まで取りすぎて、この疲弊ですからね。だから、5年間なら5年間、10年間なら10年間なり1回決めてですね、国民の皆さんにお金を使ってもらう」
政府が税金を取り過ぎて「疲弊」ということはあり得ないから、国民の側が税金を取られ過ぎて「疲弊」ということでなければ、国民負担率を下げることと整合性は取れない。
さらに続けて、国民負担率軽減で手に入れたカネは外国製品ではなく、国産品を買うか、国内投資に回す仕組みを政府に促す。そうすることで30年間停滞してたGDPを5年から10年の間で倍ぐらいにする。
「自民党のGDPは15年で1.5倍は少な過ぎる。それでは日本の経済、立ち直れない。世界は2倍3倍になっている。「だから外国の方はこんなにたくさん銀座に買い物に来れるんですよ」――
日本のGDPは中国、ドイツに抜かれても世界4位だが、円安政策で対ドルに対しても、対ユーロ、対ポンドに対しても円安となり、外国貨幣の価値が上がっている上に購買力平価と比較した日本の物価水準は2025年7月時点での計算だと、ドル円レートは146.23円で、2025年の総合の購買力平価は対米国が169.45 円/ドル、対米比較で約116円となり、実際の対米為替レート146.23円よりも+30円の割安感で円を使うことができる状況となっていて、さらにユーロに対しても、ポンドに対しても日本の物価水準の安さから観光客が集まるのであって、その分、円安由来の物価高で中間層以下の生活を苦しめているのだから、そういった点に目を向けずに、また、違法性の色付けを施した外国人を"日本人ファースト"の対立概念として持ち出した排外主義をケロッと忘れて、「だから外国の方はこんなにたくさん銀座に買い物に来れるんですよ」と無邪気にインバウンド需要を口にできるご都合主義には感心する。
物凄い勢いで人口減少が進んでいる。参政党は少子化にも力を入れていく。女性の社会進出はいいことだが、男女共同参画とかは間違えていたとしている。
「けれども、子どもを産めるのも若い女性しかいないわけですよ。これ言うと差別だという人がいますけど違います。現実です。いいですか、男性や、申し訳ないけど、高齢の女性は子どもが産めない。
だから、日本の人口を維持していこうと思ったら、若い女性に、子どもを産みたいなとか、子どもを産んだほうが安心して暮らせるなという社会状況をつくらないといけないのに、働け、働けってやりすぎちゃったわけですよ。やりすぎたんです。
その代わりに子育てだけだったら収入がなくなるから、月10万円、子ども1人あたり月10万円の教育給付金を、参政党は渡したいというふうに考えています。子ども1人だから、0歳から15歳、1人1800万円。2人いたら3600万円。
これぐらいあれば、パートに出るよりも、事務でアルバイトするよりもいいじゃないですか。だって、子どもを産み育てるって、ものすごい労力かかるし、国の未来をつくる仕事なんですよ。そういった女性や子育てをする方々、これは男性も含めて、応援しないと国が滅ぶ。
経済合理性や個人の自由だけを求めていたら社会がもちません。だから、そこをしっかりとバランスを取って日本人の暮らしを守る日本人ファーストです」――
勿論、自由選択だが、国の政策によって金銭と交換に女性を出産と子育ての一本化に持っていくのは、引き受けた場合、そこに否応もなしに国に対する義務感が生じ、戦前の"産めよ殖やせよ"の二の舞いを招く危険性が生じないだろうか。
その恐れは出産を「若い女性」限定とし、「高齢の女性は子どもが産めない」と排除の対
象とする効率重視と選別の精神性から窺うことができる。
この手の精神性は女性の真の自由と尊厳と権利を尊重する土壌からは芽吹かない。内心に女性
に対する差別感情を隠している。「経済合理性や個人の自由だけを求めていたら社会がもちませ
ん」と言いながら、個人の自由を排除し、カネの力で差配しようとする経済合理性を打ち出して
いる。言葉は聞こえはいいが、聞こえだけで、信用できない。
「われわれは自公政権の政策にはノーです。しかし、選択的夫婦別姓とか、LGBTとか、そ
ういうイデオロギーの絡んだ共産党や立憲民主党の政策にもノーです。そして、積極財政、子育
て支援、治安の維持、そういったことにしっかりと力を入れて日本人の暮らしを守る」――
選択的夫婦別姓やLGBTを「イデオロギー」(政治思想)の範疇で捉える。個人の尊厳の問
題、基本的人権の保障、あるいは個人の本質的な存在性の問題として捉えることができない。ここには個人よりも国家優先の思想が隠されている。
「日本の子どもたちの未来を守る。日本の地方を守る。そういった国民中心で国民を守っていきたい。国民に安心して暮らしてもらいたい。そういったことを一丁目一番地に訴えるのが、われわれ参政党です」――
"日本人ファースト"の思想自体が対立概念とする他人種や他国籍者を全体的に価値づけて、日本人全体の価値をその上に置く全体主義性を抱えているのだから、「国民中心」を言っているが、国民主権に基づいた"国民中心"ではなく、国家主権に寄り添わせた"国民中心"でなければ、"日本人ファースト"としている全体主義性は整合性を自ずから失わせることになる。
今回の選挙の争点は自公政権過半数維持可能か否かで、多くの議席を与えてくれれば、参政党がキャスティングボードを持つかもしれないと言っているが、参政党の全体主義性、他人種や他国籍者に対する排除の論理に見る不寛容性、女性の出産数をカネの力で支配しようとする優しくない経済合理性等を考えて投票しなければならない。
参政党のご都合主義に対しても警戒感が必要である。「選択的夫婦別姓とか、LGBTとか、そ
ういうイデオロギーの絡んだ共産党や立憲民主党の政策にもノーです」と拒否していながら、その拒否を、「今度、立憲民主党のほうが勝ったらば、立憲側に、われわれ、参政党がキャスティングボートを持って提案していきたいと思います」と舌の根も乾かぬうちから無効にする無節操にも気をつけなければならない。
そして参政党への投票のお願いに入る。「この政党に国民の皆さんの希望をかけてください。われわれに皆さんの思いや力を貸してください」
「参政党は国民中心の国民主権の政治をやっていきます。それをね、やらないって言っている人がいるけど、全部、うそです」
『参政党が創る新日本憲法』の「第1章天皇 第1条」には「日本は、天皇のしらす君民一体の国家である」と記している。「しらす」は「治める」の意味持つ古語。「君民一体」は天皇を上に置き、国民を下に置いた天皇と国民の協力一体を指す。
天皇と国民が対等の協力関係にあるなら、「日本は、天皇のしらす」云々ではなく、「日本は、天皇と国民のしらす」云々としなければならない。
大体が「しらす」などといった古語を用いること自体が戦前の天皇中心の国家を想定していると受け止めなければならない。当然、参政党が「国民中心の国民主権の政治」をどう掲げようと、「やらないって言っている人」の判断は「全部、うそ」とは断罪できない。予見性優れた見解と見るほかない。
最後に神谷宗幣は最初の方で30年間の経済成長停滞が格差を招いたと主張しているが、格差は富の再配分政策の機能不全が主たる一因となっている社会的・経済的不平等状態なのだから、的確な富の再配分政策を行い、格差是正に努めて、希望が持てるような社会へ持っていくことが肝心なことであり、そうできていないことを問題とすべきで、富の再配分政策を機能不全とさせている要因に外国人が関わっているなら話は別だが、外国人と比較する要素を与えて、「日本人ファースト」と呼ぶのは無理がある。富裕層が外国人で占められていて、日本人の入る余地がないと言うなら、正統性はあるが、そうはなっていない。
所詮、国家主義的立場からの日本人絶対主義に根ざした排外主義な"日本人ファースト"にしか見えない。