安倍晋三の東日本大震災〈3・11をむかえて〉のビデオメッセージに安倍晋三の人柄を見る

2015-03-12 08:28:02 | 政治

 
 安倍晋三様々が2015年3月11日、『3・11をむかえて~安倍総理のメッセージ~』と題してビデオメッセージを出した。



 安倍晋三「大震災から4度目となる3月11日を迎えました。ご遺族の方々、被災された方々の消えることのないご心痛に寄り添いながら、復興を加速しなければなりません。

 この1年、被災地を訪れるたびに少しずつ風景が変わり一歩ずつ進む復興の歩みを実感することができました」

 キャプション

 〈三陸鉄道が昨年4月より全線開通〉

 〈高台移転は9割、災害公営住宅は8割以上が事業スタート〉

 〈常磐自動車道がこの3月より全線開通〉


 安倍晋三「しかし一方でハード面の復興は土台でしかありません。復興の主役は言うまでもなく前を向いて歩む一人ひとりの人です。

 宮城県亘理町の長瀞小学校が再建され、『雰囲気が明るくなった』と話してくれた女の子。岩手の大槌町ではやりがいを持って手仕事に励む女性たちの笑顔にも出会いました。




 つい2週間前に訪れた福島県本宮市(もとみやし)のスマイルキッズパークでは元気よく遊ぶ子どもたちに明るい未来を感じました。一人ひとりの想い、歩みを更に後押ししなければなりません。

 今後も政府として高齢者の見守り、子どもたちのケアなど『心』の復興にさらに力を入れていきます。『生業』(なりわい)の復興も加速していきます。

 全国のみなさん、三陸鉄道に乗ってあまちゃんで有名になった町を走りましょう。南三陸さんさん商店街に活気と復興にかける意気込みを感じに出かけましょう。

 活気ある魚市場いわき市のら・ら・ミュウで旬の魚を味わいましょう。海の幸やお米や野菜、東北には美味しいものがたくさんあります。私も毎日官邸で福島産のお米を美味しくいただいています。是非みなさんに東北を満喫して頂きたい。

 そのことが東北の復興を成し遂げる大きな力になると信じます。

 現地ではまた細やかなニーズに応えるボランティアが必要とされています。是非みなさん、行ってください。

 勿論私も足を運び続けます。明日から震災5年目がスタートします。国民一丸となって新たな一歩を踏み出しましょう」

 安倍晋三の人柄だろう、復興の光(=成果)に当てた、明るさに満ちたメッセージとなっている。「復興の歩みを実感した」と言い、「ご遺族の方々、被災された方々の消えることのないご心痛に寄り添いながら、復興を加速しなければなりません」とは言っているが、あくまでも復興に重点を置いた物言いであって、復興加速化の過程で「ご遺族の方々、被災された方々の消えることのないご心痛に寄り添うことは忘れません」といった物言いをすることで初めて、「寄り添う」ことに重点を置くことができるが、逆の物言いとなっている。

 このことは「ハード面の復興は土台でしかありません。復興の主役は言うまでもなく前を向いて歩む一人ひとりの人です」という言葉にも現れている。

 「ハード面の復興の土台」にしても、「復興の主役」にしても、被災者一人ひとりでなければならない。“ハード”は器でしかないからだ。必要不可欠な重要性を与えられていたとしても、より重要なのは生活者自身が“ハード”満たすことによって初めて“ハード”としての意味を持つからであるし、“ハード”から取り残された被災者が数多く存在していたとしたら、「ハード面の復興」は安倍晋三が口で言っている程ではないことになる。

 口程ではないことはキャプションで、〈高台移転は9割、災害公営住宅は8割以上が事業スタート〉と説明、事業がスタートしたことを以って成果を誇っていることが証明している。

 土地のかさ上げとか自治体職員の人手不足等々色々と事情はあるだろうが、岩手と宮城、福島の3県に災害公営住宅の完成率は19%に過ぎないと3月7日付の「NHK NEWS WEB」が伝える。

 全体で2万9900戸建設計画が完成5582戸だそうだ。

 復興庁の見通しで、来年の2016年3月までに計画の65%に当たる約1万9100戸、再来年の2017年3月までに計画の82%に当たる約2万4000戸の供給予定だそうだ。

 それでも計画の2万9900戸に5000戸以上不足する。

 2年先でもこのような状況であるのに、「災害公営住宅は8割以上が事業スタート」と、さも近いうちに入居可能のようなことを言って、復興加速の成果のうちに入れる。

 安倍晋三は記者会見や国会答弁でも同じようなことを発言している。

 やはり人柄なのだろう。

 NHKが今年1月から2月にかけて行った、回答者701人の岩手・宮城・福島の3県の被災者アンケートから、どのくらい復興が進んでいるか見てみる。

 「震災時に暮らしていた地域の復興」

 ▽「想定より早く進んでいる」2%、
 ▽「それなりに進んでいる」33%

 ▽「想定より遅れている」38%
 ▽「進んでいる実感が持てない」27%と

 合計65%は前年調査比-15ポイントだというから、復興は進んでいることになるが、それでも高い率であることに変わりはない。

 「1年後の自分の未来は明るいと思うか」

 「そう思う」+「ややそう思う」17%

 明るくないと思う被災者が80%前後占めるということになる。

 安倍晋三はビデオメッセージで復興の光を語り、被災者の多くが未だに復興の影のうちに置かれている。

 政府主催の震災4年追悼式での天皇のお言葉は復興の影の部分に置かれた被災者への言及を忘れていない。

 「被災地で、また避難先で、被災者の多くが今日もなお、困難な暮らしを続けています。特に年々高齢化していく被災者の健康は深く心に掛かります」

 「今なお、みずからの家に帰還する見通しが立っていない人々が多いことを思うと心が痛みます」
 
 「依然として被災した人々を取り巻く状況は厳しく、これからも国民皆が心を一つにして寄り添っていくことが大切と思います」

 最後に安倍晋三は「私も毎日官邸で福島産のお米を美味しくいただいています」と言っているが、寝起きは新宿区富ケ谷の私邸で行っている。私邸ではどこ産の米を食べているのだろう。私邸でも福島産を食していたなら、「官邸でも私邸でも」と言ったはずだ。

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