安倍森友疑惑:証人喚問のトップバッターは工事業者 値引き額不当性証明後に安倍昭恵を証人喚問

2017-11-30 12:35:55 | 教育

 2017年11月28日の衆院予算委、共産党宮本岳志の安倍森友疑惑追及は他の質問者とほぼ同様、相変わらず言葉だけを費やすムダな質問が多く、ムダに時間の積み重ねとなっていた。

 対森友学園国有地売却検証で「値引き根拠不十分」と指摘した会計検査院報告書の地下埋設物量の算定やその撤去・処分費用の算定等々の食い違いや不適切性をなぞって時間をかけて如何に「根拠不十分」であるかを縷々描き出して、時折り自分の描き出したことが間違っていないことの確認を会計検査院長の河戸光彦(かわと・てるひこ)に求めて「根拠不十分」の確かさを印象づけることに多くの時間を割き、宮本岳志の独演会さながらの様子を呈していたが、その分、追及が疎かになった感が否めない。

 その追及にしても、質問に立った目的はあくまでも会計検査院の報告に基づいて政府側に国有地売却に関して自分が疑っているとおりの不正を認めさせる、少なくとも不正を否定できないところにまで追い詰める点にあるはずだが、その機能を満足に果たすこともできなかった。

 森友学園問題に入った冒頭、「森友疑惑の核心、これは国民の財産である9億5600万円の国有地がなぜ8億1974万円も値引きされ、タダ同然で売却されたのか」と言いながら、その「なぜ」の追及の矛先は必ずしも鋭くなかった。

 二度追い詰める機会があったが、二度とも逃した。

 宮本岳志「この報告書には合規性という言葉を使っておりますけれども、合規性というのは耳慣れない言葉でありますけれども、予算、法律、政令等に従って適正に処理されているかという、こういう基準に照らしても適正でない事態という内容の事態が認められたと。

 つまり会計検査、会計処理が予算、法律、政令に従って適正に処理されているとは認められない事態だったと、こう言っているわけですね。

 総理に聞くんですけども、あなたは第一に適正であるかどうかの判断の拠り所にされた会計検査院の会計報告が予算や法律や政令に照らして決して適正であったと言えない事態があったと言うことになりました。

 総理はこの会計検査院の報告を受け止め、なお適正だったという認識をお持ちですか」

 「総理、総理」と安倍晋三の答弁を求めたが、麻生太郎が答弁に立った。

 麻生太郎「これは、あのー、従来からお答えをしていると思いますが、森友学園の国有地の売却に関わる事実関係というものは、今大阪地検で捜査が行われていますんで、捜査に影響を与えかねないということで捜査そのものに関するコメントは慎重に対応させて頂きたいとこのように申し上げてきましたが、本件に関して会計検査院に於きましては地下埋設物の撤去費用については一定の仮定に置いた試算が複数示されているんです。

 今回、報告書の中ではそしてその仮定の試算によりましては(地下埋設物の)処分量の推定値は大きく変動する状況にあるということなどを踏まえれば、撤去・処分費用を算定する際に必要とされる慎重な、いわゆる調査検討に変えていかなければならないということにつきましてはご指摘を受けておりますのでこれは重く受け止め、今後必要な見直すということを行っていかなければならないものだと思っています。

 他方、本件の土地の処分につきましてはこれまでも度々これまでも国会で質問されましたので、ご説明させて頂いたとおり、校舎の建設工事が既に進んで、その中で新たに出た地下埋設物、相手方から出てきたんではないかと(よく聞き取れないが、「申し出があり」か)損害賠償ということの恐れがある、いわゆる切迫した状況の中で行われたもんでありますんで、いわゆるよく瑕疵担保という責任を免除するという特約条項を、理不尽の対応だったということも併せて考えておかなければならないものだと思います」

 宮本岳志は何も捜査に関することを聞いたわけではない。国有地売却に絡んで一部行政が不正に関わり、その不正に一国の首相の名前が利用されたのではないかという疑惑が浮上し、それを明らかにする国会の機能を果たすそうとしているに過ぎない。

 にも関わらず、麻生太郎は「捜査そのものに関するコメントは慎重に対応させて頂きたい」などとトンチンカンなことを言う。

 トンチンカンなことは言わないで貰いたいとなぜガツンと一発喰らわしてやらなかったのだろう。喰らわさないから、そのあとの好き勝手な詭弁を許すことになる。

 報告書は書いている。〈大阪航空局が算定した本件土地における処分量19,520t及び地下埋設物撤去・処分概算額8億1974万余円は、算定に用いている深度、混入率について十分な根拠が確認できないものとなっていたり、本件処分費の単価の詳細な内容等を確認することができなかったりなどしており、既存資料だけでは地下埋設物の範囲について十分に精緻に見積もることができず、また、仮定の仕方によっては処分量の推計値は大きく変動する状況にあることなどを踏まえると、大阪航空局において、地下埋設物撤去・処分概算額を算定する際に必要とされる慎重な調査検討を欠いていたと認められる。〉

 国土交通省大阪航空局が地下埋設物の見積り量算定に〈深度、混入率について十分な根拠が確認できない〉、尚且つ〈仮定の仕方によっては処分量の推計値は大きく変動する〉数値を用いているばかりか、〈既存資料だけでは地下埋設物の範囲について十分に精緻に見積もることができ〉ないにも関わらず地下埋設物量を見積った。

 地下埋設物の見積り量に十分な根拠を見い出すことができなければ、当然、撤去・処分費用の見積もり額も正確性の根拠を失うことになる。

 と言うことは、根拠を示すことができる正確なデータを用いて万全な見積もり額を弾き出すことが求められているということであって、麻生太郎が言っているような「一定の仮定に置いた試算」によって「処分量の推定値は大きく変動する」といったことが問題ではない。

 麻生太郎は単に仮定に対する推定値の変動の関係を持ち出して、それを見直していくとすることで見積もりに不正があったのではないかという疑惑をそらそうとしたに過ぎない。

 宮本岳志はこの点を突くべきだった。「会計検査院が一発で納得のできるデータに基づいた見積もりを大阪航空局が行っていなかったことが現在問題となっているのであって、そうしていれば、複数の仮定を用いた試算などする必要はなかった。逆の状況であったことが問題になっているのではないのか。今後必要な見直しをするとかしないということは先の話だ」と。

 麻生太郎の詭弁の答弁に対する宮本岳志の反応。

 宮本岳志「何も答弁になっていないんじゃないですか。適正だったと言えないんですよ。今回の会計検査院の指摘はね」

 これだけである。後は再び会計検査院の「根拠不十分説」を持ち出して、どう報告しているかを述べてから、「杭打ち以外の深度3.8メートル、杭打ち部分深度の9.9メートル、ゴミ混入率47.1%のうち一つでも十分な根拠の裏付けが確認されたのか」と報告書に既に書いてあることを会計検査院長に尋ねて、尋ねたとおり「確認されていない」との返事を貰うと、「確認できないことは一つや2つではない」と、肝心の如何に追及するかを置き去りにして再び報告書の説明に入ると言った具合である。

 もう一つの追い詰める機会は音声データに関わる質問である。

 「8億2000万円値引きに至る経緯」なる題名のパネルを出す。

 宮本岳志「このパネルを見て頂きたい。昨年3月11日、森友学園側から従来から分かっていた地下3メートルのもっと深い所から、ゴミが出てきたという連絡を受けるや、3月14日、近畿財務局は大阪航空局とともに現地で確認を行いました。

 そこで地中深くから出てきたというゴミの山は工事中の写真を見せられました。3月15日、籠池夫妻は上京し、財務省本省で田村嘉啓(よしひろ)国有財産審理室長と面談します。

 1時間半に亘って行われた面談についてはそれを録音した音声データが存在し、田村嘉啓前室長自身が自らの声であることは、この面談を記録したものであることを認めております。

 財務省、間違いないですね」

 太田充財務省理財局長「ご指摘の平成28年3月15日の音声データにつきましては本年4月の衆議院財務委員会に於ける議論を踏まえまして御法川委員から音声データが同一の遣り取りを記録したものかどうか確認するようにご指示があり、当時の国有財産審理室長に確認し、ご説明をさせて頂いたところでございます。

 音声データは音声が発する音が不明瞭な点が多いものの、当日の遣り取りを記録したものと思われるが、二人が同時に話されることも多かったことから、全体については記憶にないということでございました。

 本委員会でも9月8日だと思いますが、宮本委員のご質問にお答え申し上げているところでございます」

 一筋縄でいかない役人言葉と役人らしい逃げ口上となっている。
 
 宮本岳志「内容に鮮明な記憶がなくても、録音当日の面談のものであることは認めておられるわけですから、そこに記憶されていることは紛れもない事実だと言わなければなりません。

 この音声データは籠池氏が『僕はもう紹介者に対して申し訳ないから』とか、『あの方自身が苦慮されていると思ったから、僕来たんです』とか繰返し背後にいる大きな力をちらつかせたために最後には『首相夫人が棟上げ式に来られて、餅を撒くことになっている』からなどと名誉校長である安倍昭恵氏の名前を出して交渉しております。

 会計検査院に聞きますけれども、今回の報告書にもこの森友学園の購入希望に至る経緯について書かれておりますか」

 会計検査院長は分かっている経緯は述べるが、詳細な日付のないもの、具体的な資料がないために内容が確認できない場合はその旨述べる。

 宮本岳志は会計検査院長の答弁に引き継いで、音声データが録音された3月15日以降、「神風が吹いたわけであります」と言い、それ以後の大阪航空局と近畿財務局との森友学園の協議の経緯を「何がどうした」といった形式の、本人が言っているだけと受け取られかねない、それゆえに決定的証拠とならないことを述べ始める。

 暫くこのような宮本岳志の独演もどきが続いた後、音声データの発言の一部分を書いたパネルを出し、書いてある通りに言葉で説明を始める。「8億2000万円値引きに至る経緯」は今まで散々遣り取りしてきたことだから、なぜ最初に音声データのパネルを出さなかったのだろう。

 以下、パネルから写した発言を記してみる。

 国側とミリとも学園側が口裏合わせ?

 関西テレビ報道番組の音声データより

 (国側の職員とみられる人物)

 「3mまで掘っていきますと、土壌改良をやってその下からゴミが出てきたと理解している」

 「その下にあるゴミは国は知らなかった事実なので、そこはきちっとやる必要があるでしょうというストーリはイメージしているんです」

 (工事関係者とみられる人物)

 「3mより下からは語弊があります。3mより下からは出できたかどうかは分からないと伝えている。

 そういうふうに認識を統一した方がいいなら、我々は合わせるが、下から出てきたかどうかは私の方からは、あるいは工事をした側から確定した情報として伝えていない」

 (池田靖国有財産統括官・当時)

 「資料を調整する中で、どういう整理をするのがいいのか、ご協議させて頂けるなら、そういう方向でお話をさせてもらえたらありがたい」

 (工事関係者とみられる人物)

 「3mより上のほうがたくさん出てきている。

 3mの下からっていうのはそんなにたくさん出てきていない」

 (国側の職員とみられる人物)

 「言い方としては“混在と、9mの範囲まで”」 

 (工事関係者とみられる人物)

 「9mというのは分からないです」

 「3メートルより下はそんなにゴミは出てきていない」

 宮本岳志は発言を読み上げる形で説明してから、森友学園の代理人の弁護士が割って入ったことを伝えてから続きのパネルを出して、同じように自身の言葉で読み上げて説明を加えていく。

 国側とミリとも学園側が口裏合わせ?

 関西テレビ報道番組の音声データより

 (学園の代理人弁護士)

 「そこはね、もう言葉遊びかもしれないけれども、9mのところまでガラ(廃棄物)が入っている可能性は否定できますかって言われたら否定できないでしょ。できないんです。そういう話です」

 (工事関係者とみられる人物)

 「その辺をうまくコントロールしてくれたら我々は資料を提供しますので」

 (国側の職員とみられる人物)

 「虚偽のないようにしてあれが大事なので、“混在していると。ある程度3mの所にもあると。ゼロじゃないと”」

 (工事関係者とみられる人物)
 
 「あると思います」

 (国側の職員とみられる人物)

 「そんなところで作りたい」

 (学園の代理人弁護士)

 「責任問題に発展しないように頑張っていただけると信頼している。半分は我々のためにやってもらえると思って、半分はご自身のためにがんばってください」

 宮本岳志「酷いじゃないですか。これじゃあ、冗談じゃないですよ。こんな口裏合わせで根拠も定かでない8億2千万円大幅値引きをやって、国民の財産である国有地をタダ同然で売却している。総理、これは明確な背任ですよ」

 宮本岳志は安倍晋三の答弁を求めたが、佐川宣寿後任の財務省理財局長の太田充が答弁に立つ。太田充はパネルにある国側の職員とみられる人物が「その下((3mよりも下)にあるゴミは国は知らなかった事実なので、そこはきちっとやる必要があるでしょうというストーリはイメージしているんです」と発した「ストーリ」という言葉についてはこれ以前に説明している。

 太田充「応々聞いておりますと『ストーリ』という言葉を使っておりますが、大変適切ではなかったと本人は申し上げております。それに致しましても先方とは様々な遣り取りがありましたが、新たな地下埋設物の撤去費用を見積もるためには資料が必要であるから、様々な資料の提供をお願い頂いたということでございます」

 対して宮本岳志は音声データが録音されている面談に大阪航空局の職員が同席していたかどうかを尋ね、太田充から同席していた旨の発言を受けると、「重大だ何だ」と反応しただけである。

 この場合の「ストーリ」という言葉は表には出すことができない何らかの利益を図るための良からぬ謀り事を創作する場合に使う。一般的には「話をつくる」、あるいは「絵を描く」と言う。ネットの「日本語俗語辞書」には「絵を描く」を「ヤクザ用語で敵をハメたり、自分や所属する組に都合の良い状況になるよう、陰謀や策略を練ることをいう」とあるが、一般人でも何か良からぬ謀り事を用いて人を騙して利益を得ようとするとき、どういった謀り事にするか、その種類と手順の考えを巡らすときに使う。

 要するに良からぬ利益を図ることを暗黙の了解として話し合う場合、自ずとそれぞれが「ストーリ」を作ることになったり、その作成に加担することになったりする。

 事実に即して物事を進めていたなら、「ストーリ」という言葉も「話をつくる」という言葉も「絵を描く」という言葉も使う必要はない。単に物事の性格に応じた計画を立てて、実行に移すという段階を踏むに過ぎない。「ストーリはイメージしているんです」という言葉が残されている以上、謀り事を暗黙の了解とすべく策していると見なければならない。

 当然、「大変適切ではなかった」と適切・不適切では片付けて済む言葉ではない。しかし宮本岳志は済ませてしまった。

 宮本岳志の「これは明確な背任ですよ」の問いに太田充は次のように応じている

 太田充「今程御答弁申し上げてきたとおり、先方と様々な遣り取りがありましたけども、あくまでも新たな撤去費用を見積もるために資料が必要であることから、様々な資料の提出をお願いしたということでございまして、委員ご指摘の口裏合わせをして地下埋設物の撤去費用を見積もろうとしたということは当たっていうふうに考えてございます」

 宮本岳志「口裏合わせじゃないと。そんな話は通りませんよ。総理、明確な口裏合わせじゃないですか。総理」

 安倍晋三は立とうとしない。ほんの少しの間質疑が中断し、再び太田充が答弁に立つ。堂々巡りのやり取りになるのは既に見えている。

 良からぬ謀り事を行うときに用いる「ストーリ」という言葉を足がかりに面談発言全体の、如何にゴミの量を増やして撤去・処分費用を嵩上げして差引き国有地売却額を少なくしようと謀っているか、そのことと「ストーリ」という言葉との整合性、これらと会計検査院の報告書の地下埋設物量の見積もり算定の「根拠不十分」、このことに応じた撤去・処分費用見積額算定の「根拠不十分」との整合性を追及することで、堂々巡りとならない展開が望めたはずである。

 それでも国側が「口裏合わせではない」と主張するなら、パネルに書いてある発言自体は否定できないはずだから、それをどう解釈するか、安倍晋三、石井国交相、麻生太郎、太田充それぞれにその認識を問うべきだろう。「発言全体のどこを押したら、新たな撤去費用を見積もるために資料が必要であることから、様々な資料の提出をお願いしたという認識しか出てこないのか」と問えばいい。
 
 「ストーリ」という言葉を「大変適切ではなかった」だけで片付けさせてはいけない。

 安倍晋三は「私はその音声データは聞いておりませんから」と逃げるかもしれないが、音声データであることから離れて、このような発言自体を読んでどう解釈するか聞かせてもらいたいと言えばいい。

 単に「酷いじゃないですか」、「そんな話は通りませんよ」ではいつまで経っても追い込むことはできない。

 また音声データ野中の登場人物の一人、工事関係者とみられる人物こそがゴミの実際の量を実際に目にし、最も知っている最需要の人物なのだから、工事関係者を国会の証人喚問に呼んで追及、実際には見積もっただけのゴミの量が存在しなかったことが追及できれば、近畿財務局、大阪航空局側がそれだけの配慮を示さなければならなかった理由は安倍昭恵が握っていることになり、安倍晋三が如何に反対しようと、証人喚問に応じざるを得ないように持っていくべきではないだろうか。

 宮本岳志は証人喚問を求めた中に安倍昭恵を入れていたが、工事関係者は含めていなかった。

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安倍晋三を喜ばす立憲民主党長妻昭の政府監視機能麻痺の質問時間に関わるダラダラ質問

2017-11-28 12:31:23 | 政治

 衆院予算委員会ではほぼ慣例であった「与党2対野党8」の質問時間が自民党側が「5対5」を要求、駆引きで最初は高めに設定したのだろう、交渉の末、結局「5対9」となったことに民進党の長妻昭は質問時間が短くなった分、質問内容を切れ味鋭くするといった考えも努力する意欲もさらさらなく、2017年11月27日衆院予算委で安倍晋三に元に戻すよう求める往生際の悪さを曝け出した。

 往生際が悪いから、質問時間が長かったかつて慣例で染み付いたダラダラ質問から脱し切れずに自分では気づかないままに同じ状態をを繰返すことになったのだろう。

 長妻昭「今で8年間、慣例があった野党と与党の質問時間の分布。であれば、この2日間の質疑時間は野党のトップバッターは今までお昼前に始まっていたところですが、与党の質問時間が2倍近くになった。

 これ、総理が直接萩生田幹事長代行ですか、指示されたと聞いております。けども、その質問時間を短くするという狙いというのはどこにあるんでございますか」

 安倍晋三「私が国会の質問時間について指示をするわけもなく、指示はしておりません。また萩生田議員のですね、インタビューに応じて指示を受けていないと明言をされたと承知しております」

 長妻昭「これは重要な問題だと思います。国会の監視機能、この問題でございまして、そして総理、不思議なんですね、各新聞がですね、じゃあ、誤報しまくっているのかということなんですか。

 例えば総理が熟読なさっている読売新聞、これが11月12日に『首相は野党に手厚い質問時間配分を見直すべきだと発言している』と報道していますし、日経新聞は見出しで、『与党の質疑時間、首相が拡大指示 萩生田氏に』と。

 中身も先程の通り(自身が説明した通り)でございますし、で、総理は萩生田氏に報道によると、これだけ民意を頂いたのは我々自民党であると括弧で書いて、発言内容も国民が注視しているので、機会をきちんと確保していこうと指示をされたと。

 総理、これ報道というのは間違いということでしょうか」

 安倍晋三「(小さく笑いながら)私から確固と(長妻が「括弧で書いて」と言った「括弧」に引っ掛けて)申し上げます。先ず私は指示をしておりません。私は指示をしていない。

 その場合、二人しかいないんですから、私と萩生田さんしかいないんですから、先ず一方の当事者である私が指示をしていないとハッキリと申し上げておきたいと思います。

 で、それを萩生田さんが何と発言しているかということでございます。萩生田光一さんは幹事長代行ですね、先般NHKの日曜討論(11月19日)でこう発言をしております。

 先ず、『総理からですね、国会の運営について指示があったというのは全くの誤報です。国会のことは国会にお任せしたいという前置きをした上で、私の説明に対して一定の理解を示したということを私は保留(?)したまま、あー、あー、ですね、ですから、NHKのニュースはこのことは放映されておりません』

 こう述べているわけでございます。つまり萩生田氏が私に説明して、私が聞いていたということでございます」

 長妻昭「これ程ですね、日本の大新聞が全部揃って誤報するのかと。しかもですね、これ不思議なのが、これも報道ですけれども、参議院の吉田幹事長という方が11月7日の自民党役員連絡会でですね、総理がこう言っていると言わない方がいいと萩生田氏に苦言を言ったと。

 こういう報道もあって、そしてその後でですね、時間配分は国会で決めること、総理が独断専行しているように見られると述べたというふうにあるわけで、まあ、総理は否定をされていますし、萩生田氏もですね、まあ、今の話ですと、否定をされておりますから、まあ、これ以上は言いませんけども、私はですね、そういうニュアンスが総理から相当あった、のではないかというふうに私は感じているんです。

 で、総理ですね、是非言っていないと言うんであれば、自民党の国体委員長の方にですね、より時間配分は従来どおりでいいんじゃないかと、そういうことをですね、是非、次回からそうしようとちょっと言っていただきませんか」

 安倍晋三「今、長妻さんがですね、私と萩生田さんの遣り取りを見てきているわけではないんですから、ただ推測でモノを言っておられるわけですが、そう言った、言わなかったとしか言わなかったんですが、私は明確に言っていないと言うことを申し上げ、そして萩生田さんも、そう申し上げているわけですから、それをそれ以上ですね、いわば申し上げて、長妻議員が思い込みで言われても、建設的な議論ではないと、こう思われるわけでありますし、そもそも最初申し上げたように国会の質問に関しては私は指示する立場にはないわけですから、当然、どうこうすること自体、まさに前提を覆すことであって、あってはならないと言っていることを長妻議員が言っているわけですから、あってはならないことを私はやってはならないだろうと、こう思っている次第であります。

 まさにそれは国会でお決めになることであって、もう既に両党がご議論されて5対9ですか、5対9になって今議論しているんですから、そいう中で長妻さん、建設的な議論をしようではありませんか」

 長妻昭「議長、思い込みと言ってもですね、じゃあ、政治部の記者が思い込んで、これ吉田参議院議長も思い込んだということでしょうかね。 
 
 これ総理ですね、この8年間続いてきたこの国会のですね、野党に質問時間を重視するという予算委員会、これはですね、自民党が野党のときに強力に要請があって、そして与党の民主党が渋々受け入れたことから始まってるんですよ。

 総理、本当にこれですね、監視機能の問題なんですね。国会は勿論、政府の監視だけではないんです、役割は。我々は監視機能も大きな役割の一つだと思っていまして、まさかですね、監視を受ける政府のトップがその監視を緩めてくれと言われかねないような時間短縮の発言したとは思いたくはないんですが、ここまでマスコミが報道して、参議院の自民党幹事長まで注意をすると言うようなことでございますから、総理、じゃあ、最後一言ですね、時間配分については、まあ、従来どおりに戻そうと、そういうふうに一言だけ申し上げてください。お願いします。それで終わりにします」

 安倍晋三「あの、吉田幹事長がですね、ただ新聞報道にて萩生田さんにですね、まあ、そういう報道があるから、気をつけた方がいいと話をして、萩生田さん、そもそも指示を受けていないと吉田さんにも述べていたと私も承知しております。

 それをですね、政党間で協議をした結果がまさにこの配分だろうと。その中で私は総理大臣として出席をしております。我々、私もそうですが、内閣のそれぞれの各位がですね、筋を持って頂くことによって責任を果たされて頂きたい」

 長妻昭「是非ですね、予算委員会を含めて国会の監視機能ということについてのですね、是非、監視を受ける側でありましょうけれども、総理からそういう指示があったら遺憾でもありますし、指示がないんであればですね、元に戻すそうというようなこともですね、是非、サジェスチョンを自民党の国会議員にして頂きたいと、まあ、いうように思いますし、次回から元に戻して頂きたい。

 強くお願いします」

 長妻昭は安倍晋三が腰巾着の萩生田光一に従来の質問時間を短くするように指示したとする報道を否定した時点で、方向転換を図るべきだった。本人が指示していないと否定している以上、その否定を否定できる確かな論拠を持たない限り、堂々巡りとなる。

 だが、当初狙っていた質問の方向性なのだろう、そのことに拘って、堂々巡りするだけの時間のムダな浪費で終わることになった。

 もし事実安倍晋三の指示であったなら、尚且つ質問時間の配分は国会で決めるルールとなっているなら、「自民党の国体委員長の方にですね、より時間配分は従来どおりでいいんじゃないかと、そういうことをですね、是非、次回からそうしようとちょっと言っていただきませんか」などといった要請は、例え自民党総裁としての安倍晋三に対する要請であったとしても、受け入れられずはずはないことは前以って承知していなければならないことで、承知をしていれば、このようなムダな質問をしないし、ムダな時間とすることもない。

 しかも往生際が悪いというか、諦めが悪いというか、実際には機転が利かないだけの話なのだろう、最後の最後になって、「元に戻そうと自民党国会議員にサジェスチョンして頂きたい、次回から元に戻して頂きたい」とするはずもないことを求めるムダな質問を繰り出している。

 これでは質問時間が短くなって心がけなければならない短い時間で質問の効率を上げるために機転を利かせて戦術を適宜変更する鋭い追及は難しくなる。

 安倍晋三は自身の指示を否定している中で萩生田光一が安倍晋三から指示を受けていないことの証明にNHK「日曜討論」での発言を持ち出しているが、明確な言葉遣いとなっていない。指示している・指示していないで追及を続けるよりも、このような発言を狙い撃ちすべきだったろう。

 安倍晋三は次のように発言している。 

 「『総理からですね、国会の運営について指示があったというのは全くの誤報です。国会のことは国会にお任せしたいという前置きをした上で、私の説明に対して一定の理解を示したということを私は保留(?)したまま、あー、あー、ですね、ですから、NHKのニュースはこのことは放映されておりません』

 こう述べているわけでございます。つまり萩生田氏が私に説明して、私が聞いていたということでございます」――

  実際に指示を出していないなら、言葉遣いが明確さを欠くことも言い淀むこともない。それがウソである場合、明確さを欠いたり言い淀んだりする。

 「明確に意味が通じないから、もう一度意味が通じるように説明し直して頂きたい」と求めて、それでも明確さを欠き、言い淀みが見えるなら、いくら指示を出していないと主張したとしても、それがウソであるという印象を浮き立たせることはできる。

 安倍晋三は11月20日(2017年)の衆議院各党代表質問で質問時間に触れている。

 安倍晋三「一般論として、数万を超える有権者の皆さまから頂いて国会議員となった以上、与党・野党に関わらず、こうした国会議員としての責任を果たすべきであり、その上、有権者の負託に応えるべきであるとの指摘もあります。

 いずれにせよ、質問時間の配分自体についてはまさに国会で国会がお決めになることであり、内閣総理大臣の立場である私が答弁することは差し控えさせて頂きます」

 要するに与野党議員別なく国民の信任を受けている以上、与党議員にも野党議員と同等の質問時間を与えて有権者の負託に対する責任を果たさせるべきだという「指摘」が少なくあることを紹介した言葉遣いとなっている。

 それが第三者の「指摘」であったとしても、その「指摘」に反対の意思を何ら示さずに代表質問の答弁として用いる以上、その「指摘」に賛意を示していることになる。あるいはその「指摘」に組みしていることを意味する。

 要するに「指摘」そのものが安倍晋三自身が望んでいた野党の質問時間短縮の意思表明の証明となる。

 長妻昭はこの安倍晋三の答弁を聞いていたはずである。指示があった・なかったの議論ではなく、安倍晋三の意思としてあった時間短縮であることを、例え安倍晋三が否定しようと提示し、その意思の真偽は国民の判断に任せる戦術に出るのも一つの手となるはずである。

 時間短縮が安倍晋三自身も持っていた意思であったことを巧みに描写できたなら、安倍晋三がいくら誤報だ、思い込みだと自身の指示を否定したとしても、萩生田光一に対する指示も十分に有り得るという確信を国民に掻き立てさせることも可能となる。

 でなければ、「まさかですね、監視を受ける政府のトップがその監視を緩めてくれと言われかねないような時間短縮の発言したとは思いたくはないんですが」などと言わずに安倍晋三の否定を逆手に取って、「野党の質問時間短縮によって野党の政府や与党に対する監視機能が弱まれば、政府はその恩恵を受けることになる。政府の中でも首相が一番の恩恵に浴することになるという構造が確立することになる。第2次安倍政権の間にそういった構造が出来上がったと記録が残ることになる」と追及することで、事実そういった構造になることの国民の側にとっての危険性を知らしめることが可能となる。

 「首相は枕を高くして寝ていられるということですか」と皮肉を言うことも、野党質問時間短縮の政府側にとっての効用を広く記憶させる一つの手になる。

 いずれにしても、長妻昭の質問からは一つの問題にムダな時間をダラダラとかける堂々巡りの追及のみで、質問時間が短くなった分、様々に戦術を変えて政府側を追い込もうとする臨機応変の追及の仕方も、そうしようとする努力の跡も窺うことはできなかった。

 要するに質問時間の長短に関わらず、政府監視機能を麻痺させた何も変わらない質問の質の維持に留まっている。

 質問時間の長短ばかりに拘らずに質問のムダな贅肉を絞ることに先ずは意を用いるべきだろう。 

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会計検査院報告書が証明:森友学園国有地格安売却の神風を吹かせた救いの神は安倍昭恵と安倍晋三

2017-11-27 12:08:21 | 政治

 2013年9月、 森友学園は大阪府に「安倍晋三記念小学校」の設立を相談している。

 この「安倍晋三記念」という名前を冠したのは安倍昭恵との相談によって決めたと予想できる。2017年4月28日付「IWJ Independent Web Journal」記事が2017年4月28日に衆議院第二議員会館で民進党・森友学園への国有地売却問題解明プロジェクトチームが行った当時森友学園理事長籠池泰典対するヒアリングで、小学校の建設構想が具体的に始まった直後の2012年10月頃、昭恵夫人に「まず真っ先に、この構想についてご相談申し上げた」との証言を伝えているからである。   

 更に記事が〈平成26年の3月、講演の最終的なご依頼のため、昭恵夫人と東京のホテルオークラでお会いすることになりまして、その席で、昭恵夫人から、小学校建設運動についてお話をし、『主人に伝えます』ということを言っていただき、さらには、『何かすることはありますか?』とまで言っていただき、嬉しかったことを記憶しております。〉と伝えていることからすると、「安倍晋三記念小学校」という名前を冠することは安倍昭恵から安倍晋三に話を通していたと見ることができる。

 尤も籠池泰典のこの証言は「本人が言っていること」と逃げることができるが、このことは一旦置いておく。

 これ以後の安倍昭恵の森友絡みの動きを見てみる。

 2014年4月25日に塚本幼稚園で講演会、小学校建設用地を視察し、籠池泰典と記念写真を撮っている。

 このことは2017年5月9日付「朝日デジタル」記事が伝えている。  

 〈籠池氏は2014年4月、昭恵氏を学園の幼稚園での講演に招いた。籠池氏によると、この際、昭恵氏を建設予定地に案内し、一緒に記念写真を撮った。直後の近畿財務局との土地取引の交渉で、財務局側から「見せてくれ」と求められ、写真を渡した。担当職員は「コピーを取って局長にみせる」と言っていたという。籠池氏は「(支援を)わかってもらわないと(いけなかった)」と話した。〉――
 
 2012年12月26日の第2次安倍政権発足から約1年4カ月後と言うことになる。

 財務局側から「見せてくれ」と求められたということは籠池泰典が前以って安倍晋三から支援を受けていると伝えたからであって、伝えたことに対する財務局側の反応ということであろう。

 但し籠池泰典のこの証言も本人が言っていることと切り捨てることはできる。

 2015年1月27日、 森友学園設立小学校に対して大阪府私立学校審議会臨時会が条件を附し認可適当と認めるとの答申を行っている。大阪府の審査基準では学校用地は原則として自己所有で借地上の校舎建設は認めていないことに対して借地契約もしていない土地への建設を条件付きながら認めたことも、写真が効いていた、いわば写真が証明することになる安倍昭恵の存在とその存在の背後にいる安倍晋三の存在が効いていた可能性は否定しきれない。

 2015年5月29日、森友学園は大阪府豊中市の不動産鑑定評価額9億3200万円の国有地を近畿財務局と買受け特約を付した貸付期間10年間の有償貸付契約を締結している。

 この締結に関しての「会計検査院報告書(要旨)」の記述を見てみる。    

 〈近畿財務局は、27年5月に買受特約を付した貸付期間10年間の定期借地権を設定する国有財産有償貸付合意書(以下「貸付合意書」という。)等を森友学園と締結した。

 貸付合意書では、24年までに行われた土壌汚染等に係る複数回の調査で判明した土壌汚染及び地下埋設物の撤去を森友学園が行うこと、森友学園が土壌汚染及び地下埋設物の撤去を実施して、これにより本件土地の価値が増加した場合の撤去費用は、有益費として、森友学園が支出した費用のうち国と森友学園が合意した額又は財産価格増加額のいずれかを国が選択の上、森友学園へ返還することなどが定められている。そして、27年6月から同年12月までの間に森友学園が土壌改良工事等を実施したことから、近畿財務局、森友学園及び大阪航空局の三者による合意に基づき、大阪航空局は、28年4月に当該工事等に係る有益費として空港整備勘定から1億3176万円を森友学園へ支払っていた。〉――

 但し報告書はこの貸付期間10年間の有償貸付契約が特例であったことを他のところで記述している。

 〈なお、(平成)24年度から28年度までの間に3財務局及び6財務事務所等が公共随契により売払いを行った契約118件についてみたところ、売払い前提の定期借地とする特例処理を行った事例は本件以外に見受けられなかった。〉――

 特例中の特例であったということは上記籠池証言を「本人が言っていること」と切り捨てることはできない有力な証拠となる。2014年4月25日に安倍昭恵は森友学園塚本幼稚園で講演、小学校建設予定地で記念写真撮影、直後の近畿財務局との土地取引の交渉で写真を見せる。

 この写真が示す安倍昭恵と安倍晋三の存在が効いた「売払い前提」という特例中の特例の有償貸付契約と見ないと、〈売払い前提の定期借地とする特例処理を行った事例は本件以外に見受けられなかった。〉という特例は説明しきれない。

 籠池泰典は貸付期間10年間をより長い期間とすべく安倍昭恵側に画策した。

 2017年3月23日の参院予算委員会籠池国会証人喚問。

 籠池泰典「その土地の買上げの条件として10年だったものをもっと長い時間へ、期間へ変更できないかとの思いから、私たちの教育理念に賛同している昭恵夫人に助けをいただこうと考えまして、昭恵夫人の携帯に電話をいたしました。

 平成27年の10月のことです。留守電でしたので、メッセージを残しました。すると、後日、内閣総理大臣夫人付きの谷査恵子さんという方から御連絡をいただき、なかなか難しいとのお返事をいただきました。

 平成27年11月17日に総理大臣夫人付きの谷査恵子さんからいただいたファクスでは、大変恐縮ながら現状では希望に沿うことはできない、なお、本件は昭恵夫人にも既に報告させていただいておりますというお言葉をいただきましたが、お骨折りに感謝しておったところでございます。

 しかしながら、私は財務省の中でこの間どのようなことが起きていたのか詳しく存じ上げません。昭恵夫人、谷さん、財務省の関係者に詳しくその経緯を聞いていただきたいと思います」

 平成27年11月17日に昭恵付きの谷査恵子からファクスで10年期限の変更は難しいという返事が来て、籠池泰典の期待を裏切った。

 「10年だったものをもっと長い時間へ、期間へ変更」と言っている期間についてはこの予算委員会の別のところで民進党の福山哲郎の質問に対して次のように答弁している

 籠池泰典「内容にいたしましてはですね、ちょうど定期借地が終わりました、契約しました頃でありますので、買受け特約10年が付いておりました。で、10年よりも、ちょうどその時期に、介護施設については50年の特約が付くというふうなことが言われておりましたので、そのことを、介護施設ではあるんだけど学校法人ではどうなんでしょうかというふうなことをお聞き、お願いしたということであります。で、その結果、それは今のところ学校法人は無理だということであったというふうなことであります」

 介護施設同様、50年期限を狙っていたと思われる。

 一旦は籠池泰典の期待を裏切ったものの、同じ参院国会証人喚問で次のような遣り取りがある。
 
 山本太郎委員長「安倍昭恵夫人が学校設立を応援してくださって、さらに名誉校長にもなってくださったと。これ、本当に学園のスタッフの中でも士気が高まったと思うんですね。

 このことは、入学を検討する保護者の皆さんも含めて、社会的にもといいますか、いろいろな部分で世間的にも信用につながったとお思いになられますか」

 籠池泰典「確かにその部分は大きかったと思います」

 山本太郎委員長「理事長の以前のお言葉で、急に神風が吹いて国有地が手に入ったという趣旨の御発言があったと思うんですね。

 で、どんな神風だったということなんですかね」

 籠池泰典「遅々として進まなかった、定期借地権のときまでは進まなかったんですが、それ以降は非常にスピード感を持って物事が動いていったというふうなことをもって、神風が吹いたというふうな表現をさせてもらったということです。

 山本太郎委員長「その神風が吹いたきっかけ、何だと思われますか」

 籠池泰典「その時、場所、タイミングというものが天からの配剤として落ってきたんでしょうね。そういうことやと思います」

 「神風が吹いたきっかけ」は具体的には説明していないが、定期借地権締結「以降は非常にスピード感を持って物事が動いていったというふうなことをもって、神風が吹いたというふうな表現をさせてもらった」と説明している。

 この「神風」は定期借地権締結で、〈売払い前提の定期借地とする特例処理を行った事例は本件以外に見受けられなかった。〉との会計検査院の報告要旨にある特例措置も含まれているはずで、そういった特別扱い以降、物事が急激に進捗していった状況を「神風が吹いた」と表現しているはずだ。

 そして「神風」を吹かせた救いの神は安倍昭恵であり、その背後にいる安倍晋三ということでなければ、会計検査院報告書との整合性が取れないことになる。

 「神風が吹いた」と表現できる一つが会計検査院の報告要旨にある次の一文であろう。

 〈21年度の地下構造物調査時の試掘箇所における掘削土量に占める廃棄物混合土の割合(以下「混入率」という。)の47.1%は、地下構造物調査において北側区画内で試掘した42か所のうち廃棄物混合土の層が存在すると判断された28か所の混入率を平均して算定されているが、28か所以外の14か所についても北側区画での試掘であり、うち13か所では廃棄物混合土が確認されていない。

 14か所を混入率の平均の算定から除外していることに合理性はなく、混入率の平均値が試掘した42か所の平均より高めに算定されていることも考えられる。

 このように、対象面積全体に乗じる平均混入率として、廃棄物混合土が確認された箇所に限定した混入率の平均値を用いていることについては、十分な根拠が確認できないものとなっている。〉

 大阪航空局が見積もり、近畿財務局に提出した廃棄物混入率47.1%は試掘した42か所のうち廃棄物混合土が確認されていない13か所と他1か所を除外した28か所の混入率の平均値であって、高めに算定した数値だとしている。

 こういった不合理な計算は「神風」が吹かなければできない芸当であろう。廃棄物が存在する場所を選んで計算した正確な平均値とは決して言えない廃棄物混入率47.1%の数字から廃棄物量1万9500トン、ダンプカー4000台分と計算、その撤去・処理費用を8億1900万円と見積もることとなり、この金額を不動産鑑定評価額9億3200万円から差し引いて約1億3400万で森友学園に売却されることになった。

 計算を操作して廃棄物量を多めに設定することで、その撤去・処理費用を高めになるように設定、値引率87.9%、8億1900万円もの値引きへと持っていった。

 そしてこの値引率・値引き額が籠池泰典をして「神風が吹いた」と最終確認させた。

 森友学園の背後に控えた安倍昭恵と安倍晋三の存在が役所をして森友学園に対して「神風」を吹かせるに至った。役所に対して安倍昭恵と安倍晋三が直接的に働きかけた「神風」なのか、あるいは安倍晋三が安倍昭恵を通して役所に働きかけた「神風」なのか、あるいは役所側が森友学園の背後に安倍昭恵と安倍晋三の存在を察知して、その意向を役所側が忖度した「神風」のいずれかであろう。

 いずれの「神風」であったとしても、森友学園と関係した安倍昭恵の動きが首相夫人ということで役所に対して仕向けることになった物事の急展開の進捗ということでなければ、廃棄物混入率47.1%という数字の操作や値引率87.9%、8億1900万円もの値引き額の根拠を見い出すことはできない。
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山本幸三の「何であんな黒いのが好きなのか」はどう弁解しようと、アフリカとアフリカ人に対する明快な差別

2017-11-26 10:45:02 | Weblog
 
 2017年11月25日付「The Huffington Post」記事が同日付「朝日新聞デジタル」記事をネタ元に前地方創生相、自民党衆院議員(福岡10区)の山本幸三のアフリカに関する問題発言を伝えていた。山本幸三は周知のように安倍晋三の加計学園獣医学部新設認可への政治関与に一枚噛んでいると疑われていて、疑惑隠蔽側の主要人物の一人として大活躍した人物。   

 11月23日に北九州市で開催の福岡9区自民衆院議員三原朝彦の「政経セミナー」での挨拶。三原朝彦の国内視察に同行したことを話した後で次のように発言したという。

 山本幸三「三原氏はアフリカが好きで、何であんな黒いのが好きなのか、と思っていた」

 山本幸三の同じ発言を伝えている他の記事によると、三原朝彦はアフリカ各国との交流や支援活動を行っていると触れているから、このことに関係した発言ということになる。

 取材に対して。
 
 山本幸三「『黒いところのとこ(場所)が好きなのか』と。三原氏とは、ほかの色々なところに一緒に行ったが、アフリカ大陸だけはついていけない。遠いところだし」

 11月25日に福岡市での自民党福岡県連のセミナーに出席した際、取材に対して釈明。

 山本幸三「アフリカ大陸のことを表現した。差別的なことを意図しているわけではない。表現が誤解を招くということであれば撤回する」 

 山本幸三の事務所「アフリカが『黒い大陸』『暗黒大陸』と表現されたことが念頭にあっての発言で、黒人を指して言ったわけではない」

 要するに山本幸三の頭にあった「何であんな黒いのが」と言っている認識対象は「黒い大陸」、あるいは「暗黒大陸」のことであって、「黒人を指して言ったわけではない」ということになる。

 では、釈明時の認識対象を用いて山本幸三の発言を翻訳してみる。

 山本幸三「三原氏はアフリカが好きで、何であんな黒い大陸(あるいは暗黒大陸)が好きなのか、と思っていた」

 事実その通りとしよう。

 ネットで「暗黒大陸」の言葉の意味を一応確認してみた。

 【ピクシブ百科事典】

 1.アフリカ大陸の俗称。内陸の地理が不明だった事に起因する。

 「goo辞書」

 《文明から取り残され、世界に知られていなかったところから》かつてのアフリカ大陸のこと。

 「Weblio辞書」

 かつてのアフリカ大陸の俗称。内陸の地理が不明だったことによる。

 「コトバンク」

 《文明から取り残され、世界に知られていなかったところから》かつてのアフリカ大陸のこと。

 「地理不明」という意味と、「未開」という二つの意味を併せ持った言葉となっている。但し「未開」とは欧米と比較した文化・文明の初期的な段階にあった状態――“未だ開かれていない状態”のことであって、知能の優劣を指す言葉ではない。

 このことは、全てのアフリカ諸国がそうなっているわけではないが、多くの国での発展著しい現状が証明している。

 と言うことは、山本幸三は「黒い大陸」、あるいは「暗黒大陸」と呼称されていた頃のかつてのアフリカ、“未だ開かれていない状態”のアフリカを持ち出して、交流や支援活動に取り組む対象に値しないと三原朝彦に疑問を投げかけたことになる。

 この思考様式にアフリカに対する差別意識の存在を否定することはできない。かつてのアフリカを現在の評価とすること自体が“未だ開かれていない状態”に置いたままの思考停止ということになって、そのこと自体が自ずと差別意識を介在させていることになり、単なる認識不足で済ますことはできない。

 そしてアフリカに対する差別意識はアフリカ人に対する差別意識を対応させる。

 要するに「何であんな黒いのが」の「黒いの」が「黒い大陸」、あるいは「暗黒大陸」を認識対象としていたのだとどう釈明しようが、アフリカやアフリカ人に対する差別意識が言わせた言葉であることに変わりはない。

 山本幸三はアフリカを差別的に見ることによって、そのようなアフリカに対して交流や支援活動に取り組んでいる三原朝彦を侮ったのである。

 アフリカに対する差別意識がなく、それぞれが国の発展に務めている姿に対してそれ相応の敬意を払っていたなら、三原朝彦の努力をも敬意を払ったはずで、「好きなのか」といった言葉は出てこない。

 山本幸三は自身が言ったとおりに「黒いのが」は「アフリカ大陸のことを表現した」言葉であって、事務所が説明した「黒い大陸」、あるいは「暗黒大陸」を意味させた言葉ではないと言い繕うかもしれないが、東京大学理科一類から経済学部を経て卒業した教養があって然るべき69歳にもなる大の大人がアフリカ大陸を「黒いのが」と表現すること自体、差別用語に当たり、差別用語であることは「黒い」と表現したアフリカを「何であんな」と侮蔑的な否定語で強調していることが補強することになる。

 山本幸三はアフリカを差別した自身の問題発言を巧妙に言い逃れたと思っているだろうが、この言い逃れの巧妙さは安倍晋三の政治関与が限りなくクロに近い状態で疑われている加計学園獣医学部新設認可での安倍晋三擁護発言、あるいは行政を歪めていないとしている発言にも利用されている可能性を推量させることになる。

 簡単に言うと、山本幸三の発言は信用できないということである。

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会計検査院報告から見て、佐川宣寿国税庁長官栄転は安倍晋三による森友疑惑隠し論功行賞と口止め料か

2017-11-25 12:18:07 | 政治

 不動産鑑定評価額9億3200万円の国有地を地下埋設物の撤去・処理費用を8億1900万円と見積もって、差引き約1億3400万で森友学園に売却していた価格設定の妥当性を検査していた会計検査院が値引きは根拠不十分とする報告書を2017日11月22日に国会に報告し、その後公表した。

 内容を「学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果についての報告書(要旨)」会計検査院/2017年11月)から有益費の算定と地下埋設物撤去・処分費用の算定のみ見てみる。       

 最初に有益費の算定までの経緯を見てみる。 

 森友学園は2016年6月20日に財務省近畿財務局と売買契約を結んだ国有地を2013年8月に売却前提特約付き10年間定期借地契約を当初結んだ。2016年3月11日に森友学園から近畿財務局に対して杭打ち工事を行う過程で新たな地下埋設物が発見されたとの連絡が入り、近畿財務局、大阪航空局及び現地関係者と現地確認を実施し、確認の上、地下埋設物撤去工事は森友学園側が行い、撤去によって生じる有益費(地下埋設物撤去によって土地の価値が上がる分の価格)を大阪航空局が支払うとし、2015年6月から12月までの工事終了後の2016年4月に有益費として空港整備勘定から1億3176万円を森友学園へ支払っている。

 有益費算定に関わる会計検査院の報告を見てみる。文飾は当方。長文は読みやすいように適宜段落を付けた。

 〈(イ)有益費

27年5月29日に本件土地の貸付けを受けた森友学園は、(仮称)森友学園小学校新築工事に伴う土壌改良他工事及び(仮称)森友学園小学校新築工事に伴う敷地南側地中埋設物撤去工事(以下、これらを合わせて「対策工事」という。)を同年6月30日から12月15日までの間に実施していた。対策工事の報告書によれば、対策工事では、汚染された土壌及び地下構造物等を撤去したとしている。

しかし、同報告書によると廃棄物混合土の処分量(以下「処分量」という。)は9.29tにとどまっており、廃棄物混合土はほとんど撤去していなかったと思料される。

そして、対策工事が終了した後の28年2月18日に森友学園は、近畿財務局及び大阪航空局へ貸付合意書第6条第6項に基づく有益費に関する領収書等の資料を提出していた。また、森友学園は、対策工事で支出したとする費用計131,760,000円について、同条第2項に基づき国が返還する有益費の金額の検討を願い出ていた。

そして、近畿財務局は、同月25日に森友学園へ返還する有益費に関して大阪航空局へ意見照会を行っていた。

これを受けて大阪航空局は、国が森友学園に返還する有益費について検証を行い、

①対策工事が本件土地の価値を向上させる内容であるため、国において適正と認められた金額については、森友学園へ償還する義務が生ずる、②対策工事に要した費用(以下「対策費用」という。)は妥当であるとし、対策費用と本件土地の価値の増加額を比較した結果、対策費用の方が安価であるためこれを有益費とする、としていた。

そして、大阪航空局は、これらの意見を同年3月8日に近畿財務局へ回答していた。

近畿財務局は、大阪航空局から上記の回答を得て、同月30日に近畿財務局と森友学園において有益費として合意した額を131,760,000円と定めること、合意した金額を大阪航空局が自らの予算において森友学園へ支払うことなどについて、近畿財務局、森友学園及び大阪航空局の3者において合意し、合意書を締結し、この合意書等に基づき、大阪航空局は、同年4月6日に同額を森友学園へ支払っていた。

なお、近畿財務局は、当該回答の内容については、計数の確認等を行ったにとどまり、本件土地の価値の増加額の算定根拠等の詳細な確認等までは行わなかったとしている。

また、有益費の確認及び支払に当たり、合意書において森友学園と有益費を131,760,000円と定めることに合意した近畿財務局と、有益費の支払のため支出負担行為決議及び支出決定決議を行った大阪航空局の間において、有益費の確認、支払等に関する責任の所在等をどのように取り決めていたのか、保存されている行政文書では確認することができなかった。〉――

 〈近畿財務局は、当該回答の内容については、計数の確認等を行ったにとどまり、本件土地の価値の増加額の算定根拠等の詳細な確認等までは行わなかったとしている。〉、いわば計算数値を確認しただけで、〈本件土地の価値の増加額の算定根拠等の詳細な確認等までは行わなかった〉にも関わらず、森友学園側が行った地下埋設物撤去工事の〈対策費用と本件土地の価値の増加額を比較した結果、対策費用の方が安価であるためこれを有益費〉とすることができる考えられる唯一の答は森友学園から提出を受けた対策費用に対して土地価値の増加額の算定額を形式的に高めにつけて、低い金額の対策費用を有益費とすることに妥当性を置いたということであろう。

 もし大阪航空局が土地価値の増加額の算定根拠を詳細に記した上でその金額を弾き出していたなら、近畿財務局はその金額算定の根拠を簡単に確認できたはずだ。

 確認を行わなかったのは算定根拠が示されていなかったからだろう。森友側の対策費用に対して高めに数字を付けた増加額に過ぎなかった。本来なら地下埋設物撤去によって土地価格にプラス・アルファの付加価値がつくもので、有益費は地下埋設物撤去工事費用よりも上回るものだが、国側が森友学園側も対策費用が有益費として返還されることを計算して工事費を高めの請求にしていることを承知していて、あるいは国側がそうするように指導することもあり得るが、他に対して納得させる方便として対策費用を有益費として落ち着かせたということなのだろう。

 いずれにしても近畿財務局は書類上のだろう、確認だけで、〈土地の価値の増加額の算定根拠等の詳細な確認等までは行わな〉い杜撰な方法で有益費が決められた。

 このような杜撰な方法は森友側の地下埋設物撤去対策工事の〈報告書によると廃棄物混合土の処分量(以下「処分量」という。)は9.29tにとどまっており、廃棄物混合土はほとんど撤去していなかったと思料される。〉と会計検査院の報告書にあることが背景にあるはずである。

 9.29tとは10トンダンプ1台分であって、それだけの廃棄物混合土の撤去に対して、例え重機何台かで全面的に掘り起こしたとしても、あるいは2015年6月30日から12月15日までの約5カ月半の工事期間がかかったとしても、有益費を1億31,76万円も支払った。

 1日の工事単価は約80万円。0.7重機1台分のレンタル料相場が6千円か7千円。2日目から500円程度安くなるが。それは無視して5台としても最大で4万円。作業員平均1万5千円として(重機オペレーターは賃金が高いが、一般作業員はそれほど高くない)、重機台数の倍の10人としても、合計15万円で、10トンダンプが月40万円前後で1日1万5千円として、全合計で1日21万円そこそこ。

 これを1日30万円としても、1日の工事単価は約80万円は経費の倍の利益を上げていることになる。

 国側は杜撰な方法を罷り通らせていた。

 次に地下埋設物撤去・処分費用の算定を見てみるが、「確認できない」という言葉が列挙されているが、その部分の箇条書きの体裁で一つ人と取り出してみる

 ①〈杭工事においていずれの杭から廃棄物混合土が確認されたかを特定することができない。〉

 ②〈杭部分を除く部分に設定された深度3.8mについてみると、大阪航空局が確認したとしている工事写真には3.8mを正確に指し示していることを確認することができる状況は写っていない。〉

 ③〈廃棄物混合土を3.8mの深度において確認したとしていることの裏付けは確認することができなかった。〉

 ④〈ボーリング調査等を実施した箇所付近において、深度3.8mに廃棄物混合土が確認されていないのに、大阪航空局が森友学園小学校新築工事において工事関係者が北側区画で試掘した5か所のうち1か所の試掘において深度3.8mに廃棄物混合土が確認された結果をもって敷地面積4,887㎡に対して深度3.8mを一律に適用して処分量を算定しているのは、過去の調査等において廃棄物混合土が確認されていなかったとの調査結果と整合しておらず、この算定方法は十分な根拠が確認できないものとなっている。

 ⑤〈杭部分に関し、深度9.9mまで廃棄物混合土の存在を見込んでいることについては、森友学園が行った対策工事において廃棄物混合土は撤去されていないため、近畿財務局及び大阪航空局が現地や施工写真等で確認したとしている廃棄物混合土が既知の地下3m程度までの深度のものなのか、杭先端部の地下9.9mの深度のものなのかなどについては確認することができなかった。〉

 ⑥以上のように、深度3.8mについて、廃棄物混合土を確認していることの妥当性を確認することができず、敷地面積4,887㎡に対して一律の深度として用いたことについて十分な根拠が確認できないこと及び深度9.9mを用いる根拠について確認することができないこと、また、大阪航空局は、廃棄物混合土が確認されていない箇所についても地下埋設物が存在すると見込んでいることとなることなどから、地下埋設物撤去・処分概算額の算定に用いた廃棄物混合土の深度については、十分な根拠が確認できないものとなっている。

 ⑦〈21年度の地下構造物調査時の試掘箇所における掘削土量に占める廃棄物混合土の割合(以下「混入率」という。)の47.1%は、地下構造物調査において北側区画内で試掘した42か所のうち廃棄物混合土の層が存在すると判断された28か所の混入率を平均して算定されているが、28か所以外の14か所についても北側区画での試掘であり、うち13か所では廃棄物混合土が確認されていない。

 14か所を混入率の平均の算定から除外していることに合理性はなく、混入率の平均値が試掘した42か所の平均より高めに算定されていることも考えられる。

 このように、対象面積全体に乗じる平均混入率として、廃棄物混合土が確認された箇所に限定した混入率の平均値を用いていることについては、十分な根拠が確認できないものとなっている。


 ⑧本件土地の地下埋設物撤去・処分費用の算定における処分費(以下「本件処分費」という。)の単価22,500円/tがどのような条件下で提示された単価であるのかなどを示す資料はなく、単価がどのような項目から構成されているかなど、単価の詳細な内容について確認することができなかった。〉――

 以下延々と続くが、これくらいで十分である。特に掘削土量に占める廃棄物混合土の割合の47.1%という数字は試掘した42か所のうち廃棄物混合土の層が存在すると判断された28か所の混入率を平均して算定したもので、残り14か所のうち廃棄物混合土が確認されていない13か所を除いた計算となっていることは杜撰というよりも、国有地を森友学園側に格安で譲り渡すための混入率の意図的な高い数字設定以外に根拠を見い出すことはできない。

 だが、国会答弁に立った国側は、特に野党追及の矢面に立った財務省理財局長の佐川宣寿は「地下埋設物撤去・処分費用の算定は適切に行なった」、「適切な時価で売却した」の一点張りで野党の追及を巧みにかわした。

 そして2017年7月5日に栄転という形で国税庁長官に就任した。安倍晋三に対する森友学園疑惑・加計学園疑惑の追及が一段落した通常国会終了の2017年6月18日から17日後である。

 国側が主張している森友学園への国有地格安売却の正当根拠に対してほぼ全面的に疑問を投げかけている会計検査院報告書の根拠不十分説から見ると、理財局長だった佐川宣寿の通常国会終了後の国税庁長官栄転は安倍晋三の意を受けた森友疑惑隠しに功があった論功行賞と口止め料の意味を込めた異動ということでなければ、会計検査院報告書と整合性を取ることができなくなる。
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竹下亘の国賓同性パートナーの宮中晩餐会出席「日本国の伝統には合わない」 安倍晋三も同感か聞くべし

2017-11-24 11:50:03 | 政治

 自民党総務会長で人格者の竹下亘が11月23日(2017年)、岐阜市で開催の自民党会合で国賓同性パートナーの宮中晩餐出席には「日本国の伝統には合わない」から反対だと述べたと11月23日付マスコミが伝えていた。

 「発言要旨」産経ニュース/2017.11.23 22:00)
   
 竹下亘「フランスにオランドさんという大統領がいて、日本に来て宮中晩餐(ばんさん)会があった。オランドさんが連れてきたのはパートナー。女性は奥さまではない。天皇、皇后両陛下と並んで座るのでどう対応しようかと、宮内庁は悩んだ。その時はパートナーとして宮中晩さん会にお入りになった。

 問題はここからだ。もし(国賓の)パートナーが同性だった場合、どう対応するのか。日本国として近い将来、必ず突き付けられる課題になるのではないか。

 私は(出席に)反対だ。日本国の伝統には合わないと思う。それぞれ皆さんの人生観の中でご判断いただければ、このように考えるわけだ。

 竹下亘は同性パートーナーの国賓が宮中晩餐に出席するのは「日本国の伝統には合わない」という理由のみで反対だと、そのことだけを言っているわけではない。

 「天皇、皇后両陛下と並んで座るのでどう対応しようかと、宮内庁は悩んだ」、「もし(国賓の)パートナーが同性だった場合、どう対応するのか」との表現で同性パートーナーが天皇・皇后と同席することに反対の意思表明を示している。

 日本の伝統の問題は後に回すことにして、同性パートーナーを天皇・皇后と同席させる訳にはいかないということは“人間としての存在そのものの価値”を同性愛者よりも天皇・皇后を遥か上に置いていることになる。

 つまり人格者竹下亘は同性愛者を性的指向が一般とは異なるという理由で不健康・不健全、あるいは異常者と見ているのだろう、そのように差別していることになる。

 人間をそれぞれの心がけの良し悪しで価値づけるならまだしも、断っておくが、心がけの良し悪しの判断も絶対とは言えないが、果たして“人間としての存在そのものの価値”は同性愛者よりも天皇・皇后の方が遥か上なのだろうか。

 「日本国憲法第1章天皇 第1条」は「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」と規定している。主権は日本国民にあり、その日本国民の総意によって天皇は日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴としての地位が決定づけられる。

 いわば国民との間に於いてもお互いの存在を上下に計ることはできない。

 天皇・皇后に尊敬の念を持ったとしても、同性愛者であろうと異性愛者であろうと、“人間としての存在そのものの価値”は天皇・皇后との比較に於いて何ら変わらないはずだ。

 “人間としての存在そのものの価値”とは、それぞれが人間としてそれぞれの喜怒哀楽の感情を持って生き、存在していることの価値を言う。年齢も関係ない、職業も関係ない、性別も関係ない、学歴も関係ない。地位も関係ない。同性愛者を含めた一般国民と天皇・皇后とどこに違いがあるだろうか。

 これらそれぞれの“存在そのものの価値”に違いがあるとしたら、大人の価値と子どもの価値に上下をつけることになる。子どもよりも天皇・皇后の価値を上とすることができるだろうか。同性愛者にしても同じである。この世に一個の人間として生き、存在している。男性でありながら、性自認を女性に置く、あるいは逆に女性でありながら、性自認を男性に置く。だとしても、“存在そのものの価値”に違いがあるはずはない。

 当然、日本に国賓として招かれた外国の首脳、あるいは王族等が同性パートナーを伴い、宮中晩餐会に列席したとしても、天皇・皇后と同席することにどこに不都合があるだろうか。

 もし不都合があるとしたら、天皇・皇后主催の春と秋の園遊会も、同性愛者、あるいは性同一障害者を人間としての価値を認めることができないからと天皇・皇后と同席することが許されないことになる。

 きっと表に出ない形で密かに選別することになるだろう。

 竹下亘の国賓の同性パートナーを“人間としての存在そのものの価値”の同等性を認めずに天皇・皇后を遥か上の価値に置くことは大日本帝国憲法で「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」と絶対的存在とした戦前の価値を今以って天皇・皇后に纏わせていることを意味する。

 竹下亘が国賓の同性パートナーの宮中晩餐への出席反対の理由として挙げた「日本国の伝統には合わない」との主張の妥当性を見てみる。

 要するに天皇・皇后に関わる「日本国の伝統」は宮中晩餐会に国賓の同性パートナーを招待した例は一度もなかった。一度もなかったことに望ましさの根拠を置き、その望ましさを一つの当たり前とすることになって引き継いでいく。そしてこのことを以って「日本国の伝統」だと価値づける。

 伝統に重きを置く場合、当たり前を健全と考え、当たり前でないことを不健全と価値づける膠着した規範が横行することになる。

 こういった横行は現代に於ける人間の存在形式の多様性を伝統という形で望ましいとして引き継ぎ当たり前となった古くからある決まりきった存在形式で把握しようとするが、把握できるはずはなく、把握しきれないことによって世の中から排除する動きとなって現れる。

 これが性同一性障害者に対する差別であり、その他の差別ということになる。

 要するに人格者竹下亘は「日本国の伝統」を後生大事な価値観として崇め奉る余り、人間の存在形式の多様性を認めることができる程の度量ある寛大な心の持ち主とは正反対の人間差別主義者の仮面を被った人間性を自らの資質としていて、その人間差別主義者の顔が今回の発言で図らずも表に曝け出されることになったというわけなのだろう。

 伝統に拘って地位や権威で人間の価値を判断し、“人間としての存在そのものの価値”に違いがないことにまで考えが回らない、人間の存在形式の多様性を認めることができない、結果、差別主義を心に宿すことになっている。

 国賓となる可能性なきにしもあらずの同性パートナーが存在するか、ネットで調べてみた。2015年5月15日付の「ロイター」記事が、〈ルクセンブルクのベッテル首相(42)は、2010年から同性パートナーとして交際しているベルギー国籍の男性建築家ゴーティエ・デストネさんと(5月)15日に結婚する。〉と伝えている。

 2013年12月4日に首相に就任、現職である。

 人口60万人弱の国だが、多種多様な産業での経済活動が活発で、〈ヨーロッパにおける情報通信産業(放送メディア産業)の中核を担うことになった。〉と「Wikipedia」には紹介されている。

 2016年の日本の1 人当たりのGDP38,894.47USDに対してルクセンブルクの一人当たりのGDP102,831.32USD、日本の約2.7倍となっている。

 例え首相が同性愛者であろうと、様々な背景を抱えている。侮ってはいけない。

 上記「ロイター」記事は、〈2010年には、当時アイスランド(EU非加盟)首相だった女性のジグザルドッティル氏が現職首脳として世界で初めて同性婚をした。〉と、在任期間2009年2月1日から2013年5月23日までのアイスランド首相を同性婚の例として挙げている。

 自民党には戦前型の天皇主義を引き継いだ国家主義者が多く存在する。そのトップは安倍晋三であろう。天皇を戦前型同様に絶対的存在としていること自体、いわば絶対的存在として国民の上に置いていること自体が既に「日本国の伝統」に縛られて人間の存在形式の多様性を認めることができないばかりか、“人間としての存在そのものの価値”で人間を見ることができない人間差別主義者であることを示している。

 表向きは違うと答えるだろうが、安倍晋三も竹下亘と同じ考えなのか一応は聞いておべきだろう。

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安倍晋三の11/22日参院代表質問対敵基地攻撃能力答弁は「国民の命と平和な暮らしを守る」をウソにする

2017-11-23 10:49:25 | 政治

 2017年11月22日、参院本会議で11月17日の所信表明演説に対する各党代表質問が行われ、敵基地攻撃についての質問と答弁があった。

 勿論、敵基地攻撃対象国は北朝鮮。

 「自民党参院幹事長代行岡田直樹」自民党/平成29年11月22日)

 岡田直樹「北朝鮮は、国際社会を挙げての制止と非難にもかかわらず、去年から今年にかけて核実験を3回強行し、ミサイル発射は39回という暴挙を繰り返しております。北海道納沙布岬上空を飛び越えた長距離ミサイルはもとより、たびたび日本海に打ち込まれるものも深刻な脅威です。本年3月6日には『スカッドER』と推定される弾道ミサイル4発が同時発射され、そのうちの1発は日本海のわが国排他的経済水域の内側、石川県舳倉島の北わずか150キロの地点に落下しました。これは、わが国の領土に最も接近した事案の一つです。

 新たな脅威の段階に達した北朝鮮のミサイルに対して、国民の皆様の生命、安全を守り抜くには、わが国は従来とは異なるレベルでの迅速かつ有効な対処を講ずる必要があり、そのためには、あらゆる角度から検討し、議論しなければなりません。

 いわゆる敵基地反撃能力についても、わが党安全保障調査会の『弾道ミサイル防衛に関する検討チーム』で議論され、小野寺防衛大臣が当時の検討チーム座長として提言をまとめていますが、総理は8月6日、広島で、現時点において、敵基地反撃能力の保有に向けた具体的な検討を行う予定はないと発言されています。まずは、この方針に変わりはないか、この本会議場で総理に改めてお伺いします」

 以下答弁は「YouTub動画」から。 

 安倍晋三「いわゆる敵基地攻撃能力については日米の役割分担の中で米国に依存しており、今後共、日米共同の基本的な役割分担を変更することは考えておりません。

 その上で我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しくなる中、国民の命と平和な暮らしを守るため、何をなすべきか、我々には常に現実を踏まえて様々な検討を行っていく責任があると考えています。

 もとより、今後とも専守防衛の考え方には些かも変更はありません」
 

 岡田直樹が「小野寺防衛大臣が当時の検討チーム座長として提言をまとめていますが」と言っていることは小野寺五典が防衛相を離れている間の今年2017年3月に自民党検討チームの座長として敵のミサイル基地を叩く「敵基地攻撃能力」の保有検討を求める提言を政府に提出したことを指す。

 要するに自民党内の敵基地攻撃能力保有論に対して安倍晋三は敵基地攻撃能力は米国に依存していて、日米に於けるその依存の役割分担は今後共変更する考えはないと断っている。

 いわば役割分担維持の確約ということになる。その一方で「国民の命と平和な暮らしを守るため」には安全保障環境の変化に応じて「様々な検討を行っていく責任がある」と保有の余地を残している。

 保有しない確約の一方で保有の余地を残す。
  
 安倍晋三は2017年1月26日の衆議院予算委員会でも小野寺五典の質問に対して同じ趣旨のことを答弁してる。

 安倍晋三「先般、北朝鮮は一度に3発ミサイルを撃って、そして狙いどおりの場所に着水させたという事案もございました。

 このような脅威に対しては日米の共同対処によって我が国の防衛を図ることとしておりまして、その中でいわゆる敵基地攻撃能力、すなわち打撃力の使用を伴う作戦については、委員が御指摘になったように、米国に依存をしているのは事実であります。

 そのような中で、北朝鮮が、弾道ミサイルの長射程化や核兵器の小型化、弾頭化を行うことによって、米国に対する戦略的抑止力を確保したとの過信を持つ危険性があるのは事実であります。つまり、米国を射程に入れる核能力を持ったとなれば、米国は報復しない。いわばほかの国に対する攻撃に対して、その能力を持っている北朝鮮に対しては、みずからの国に撃ち込まれる危険性を冒してまで報復しない。つまり、それが抑止力になったと過信する、誤認する危険性というのがないわけではないだろう、このように思うわけであります。

 もしそうなれば、弾道ミサイルの発射を含む軍事的挑発行為のさらなる増加につながっていく可能性もあるわけでありまして、議員御指摘のように、我が国自身によるいわゆる敵基地攻撃については、政府として、従来から、法理上の問題として、他に手段がないと認められるものに限り、敵の誘導弾等の基地をたたくことも憲法が認める自衛の範囲に含まれ、可能であると考えているわけでございます。

 一方、現実の自衛隊の能力に関して言えば、これはもう防衛大臣を経験された委員はよく御承知のように現在、我が国は、敵基地攻撃を目的とした装備体系を保有しておらず、また保有する計画もないわけでございます。その上で、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しくなる中、日米間の適切な役割分担に基づき、日米同盟全体の抑止力を強化し、国民の生命と財産を守るためには我が国として何をすべきかという観点から、常に様々な検討は行っていくべきものと考えているわけであります」

 敵基地攻撃能力は米国に依存した役割分担となっているが、安全保障環境の変化に応じて保有を検討することも有り得ると保有の余地を残している点は代表質問答弁と同じ内容となっている。

 違う点は法理論上は他に手段がない場合という条件付きで敵基地攻撃も憲法が認める自衛の範囲に含まれ、可能であるとしていることである。

 安倍晋三にとっては敵基地攻撃能力保有はいつかは辿りつく道と言うことになる。

 同じことを述べているもう一つの例を挙げてみる。

 参院外交防衛委員会(2017年4月13日)

 安倍晋三「いわゆる敵基地攻撃能力については米国に依存しており、現在、自衛隊は敵基地攻撃を目的とした装備体系を保有しておらず、また保有する計画もないわけでありますが、その上で、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しくなる中、日米間の適切な役割分担に基づき日米同盟全体の抑止力を強化し、国民の生命と財産を守るためには我が国として何をなすべきかという観点から、常に様々な検討は行っていくべきものと考えているところであります」

 他の機会でも同じ趣旨の答弁を行っているはずだ。

 敵基地攻撃能力の保有に関してここまでで分かったことは敵基地攻撃能力を米国に依存していて、日米に於けるその依存の役割分担は今後共変更する考えはないとしているということ。そしてその一方で敵基地攻撃は法理論上は他に手段がない場合は憲法が認める自衛の範囲に含まれ、可能であるとの考えに立って「国民の命と平和な暮らしを守る」ための手段として敵基地攻撃能力保有の余地を残しているということとなる。

 安倍晋三は2017年11月6日のとランプとの日米首脳会談後の共同記者会見で次のように述べている。

 安倍晋三「日本は、全ての選択肢がテーブルの上にあるとのトランプ大統領の立場を一貫して支持しています」

 と言うことは、トランプが北朝鮮のミサイル基地を攻撃目標とした敵基地先制攻撃を決意した場合、前以って連絡があるだろうが、「全ての選択肢がテーブルの上にあるとのトランプ大統領の立場を一貫して支持」しているとした以上、応じなければならないことになる。

 例え米国の優れた敵基地先制攻撃によって北朝鮮の全てのミサイル基地に対して徹底的な破壊力で臨んだとしても、完璧に破壊するまでに通常兵器をも含めた全ての反撃を100%封じ込めることは不可能だから、米国の敵基地先制攻撃に日本の米軍基地が使用されたなら尚更、日本も反撃の対象となり得る。

 そして反撃に対する100%の防御も存在しない。何らかの被害や犠牲を覚悟しなければならない。

 安倍晋三は2017年9月25日の解散記者会見で次のように述べている。

 安倍晋三「圧力の強化は北朝鮮を暴発させる危険があり、方針転換して対話をすべきではないかという意見もあります。世界中の誰も紛争などを望んではいません。しかし、ただ対話のための対話には、意味はありません」

  トランプとの「日米共同記者会見」でも同趣旨の発言をしている。

 記者「北朝鮮との偶発的な軍事衝突を避けるためにどのような対応が必要と考えるか」

 安倍晋三「誰も紛争などを望んではいません。私もトランプ大統領もそうです。しかし、北朝鮮は国際秩序に挑戦し、挑発を繰り返している。この北朝鮮に対し、国際社会が連携しながら、その政策を変えさせるために圧力をかけていく。北朝鮮側から『政策を変えるから話し合いたい』という状況を作っていくことが極めて重要だと考えています。そうした考え方についてはトランプ大統領と完全に一致をしたところであり、多くの国々とも一致できているのではないかと思っています」

 例え敵基地攻撃は米国に依存していると役割分担を義務付けていたとしても、トランプが対北朝鮮敵基地先制攻撃を行って北朝鮮の何らかの反撃を受けた場合、その反撃に対して100%の防御が不可能である以上、「世界中の誰も紛争などを望んではいません」をウソにするばかりか、「国民の命と平和な暮らしを守る」を詐欺まがいにウソにすることになる。

 要するに安倍晋三は「全ての選択肢がテーブルの上にあるとのトランプ大統領の立場を一貫して支持」する姿勢を取っているなら、「敵基地攻撃能力については日米の役割分担の中で米国に依存している」とか、安全保障環境の変化に応じた将来的な保有の検討とかを言っている場合ではなく、アメリカの敵基地先制攻撃を現実的な選択肢の一つとした安全保障上の国家危機管理に立った発言をしていなければならなかった。

 そうしていれば、何もウソとはならない答弁を行うことができたはずだ。対北朝鮮圧力一辺倒政策を取り続ける以上、「世界中の誰も紛争などを望んで」いなくても、「紛争」の危険性は常に存在して、現実化しない保障はないし、現実化した場合、「国民の命と平和な暮らし」も部分的には保障できないことになる。

 不正直だから、安倍晋三は自分に都合のいいことしか発言せず、ウソとなる答弁を繰返すことになるのだろう。
 

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安倍自民要求の与野党質問時間議員数割に賛成:ムダな贅肉を削ぎ落とした非生産的・不毛な質疑に終止符を

2017-11-21 12:02:18 | 政治

 29年11月17日の安倍晋三の所信表明演説に対する衆議院各党代表質問が2017年11月20日に行われた。この中で立憲民主党代表の枝野幸男と希望の党の玉木雄一郎が与野党議員の国会質問の配分時間について取り上げた。

 従来は「与党2・野党8」が慣例となっていた質問時間を11月1日の特別国会を前にして自民党が国民の負託を得て当選した、いわば負託の平等の原則を持ち出して議席数に応じた時間配分を求め出した。

 対して野党は国会に於ける権力監視の役目を持ち出して従来どおりの質問時間を要求、与野党の国会対策委員が折衝を行い、文科省大学設置審議会の加計学園獣医学部4月開学の答申を受けて文科相の林芳正が開学を認可したことを受けて開催されることになった2017年11月15日の衆議院文部科学委員会では「与党1・野党2」で折り合うことになったが、与野党とも反対論がくすぶっていることから、この時間割が先例となるかどうかは分からない。

 安倍晋三の11月17日の所信表明演説では質問時間に関しては何も取り上げていなかったが、枝野幸男と玉木雄一郎が取り上げたのは「与党1・野党2」に不満、「与党2・野党8」の従来の慣例への回帰を願っているからだろう。

 それぞれの質問時間に関わる追及と安倍晋三の答弁を取り上げてみる。答弁は「YouTub」動画から。

 「立憲民主党代表サイト」   

 枝野幸男「国会では、与野党での質問時間の配分について、自民党から、身勝手な主張がなされています。かつての野党時代の主張と、完全に矛盾する上に、議院内閣制と国会の役割についての、無理解に基づくとしか、思えないものです。
 与党の質問時間割合を拡大しようという提案は、政府与党一体の事前審査プロセスなどが、機能不全の状態にあるからだと、受け止めざるを得ません。今の自民党は、国会提出前の事前審査プロセスなどで、野党議員と同じ程度にしか関与できていない、影響力を行使できていない、ということなのでしょうか。

 政府側から見た総理の認識をお尋ねします」

 安倍晋三「国会に於ける質問時間のお尋ねについて質問がありました。与党に於いては政調各部会に於いて日々熱のこもった政策議論が活発に行われております。

 なお、野党初め(?)、野党各党の政調の活動状況については確認をして存じ上げませんが、各政調の調査チームが日々立ち上がり、各政調が全力で対応して頂けるものと承知をしております。

 一般論として、数万を超える有権者の皆さまから頂いて国会議員となった以上、与党・野党に関わらず、こうした国会議員としての責任を果たすべきであり、その上、有権者の負託に応えるべきであるとの指摘もあります。

 いずれにせよ、質問時間の配分自体についてはまさに国会で国会がお決めになることであり、内閣総理大臣の立場である私が答弁することは差し控えさせて頂きます」

 

 「希望の党サイト」   

 玉木雄一郎「(国会改革)最近話題となっている質疑時間の配分について質問します。与党の期数の少ない議員が中心に、審議時間が足りないので与党の質問時間を増やせと言っておられるようですが、例えば、政府与党は、内閣提出法案(閣法)が審議されているときは毎日でも委員会を開こうと言いますが、閣法が成立してしまうと、定例日さえ国会を開こうとしません。

 定例日には必ず委員会を開くなど、こうした運用にまずは改めるべきではないですか。また、野党からの修正協議には必ず応じるルールとするなど国会審議を活性化させる方策はいくらでもあります。『国会のことは国会でお決めいただきたい』などというお決まりの答弁ではなく、是非、私たちのこうした提案を検討するよう、与党に対して指示してください。

 総理の答弁を求めます」

 安倍晋三「国会改革についてのお尋ねがありました。国会の運営について各党・各会派でご議論頂き、国会に於いてお決め頂く者と考えております」

 安倍晋三は枝野幸男に対しては簡単な答弁となっているものの、簡単な中にも一応は丁寧に答えているが、玉木雄一郎に対しては端折った簡単な答弁のみで終わっているのは同じ内容の答弁の繰返しとなることを避ける意味からだろう。

 安倍晋三の言っている「政調各部会」とはご存知のように「自由民主党政務調査会」の各部会のことで、「自由民主党政務調査会」は「Wikipedia」に、〈自民党国会議員と総裁が委嘱した学識経験者をもって構成され、党の政策の調査研究と立案を担当し、審議決定をする。自由民主党が採用する政策、国会に提出する法案は、政務調査会の審査を経なければならない。政務調査会と部会は全会一致が原則である。

必要に応じて調査会、特別委員会等を設けることができる。

政務調査会の決定機関として、政調審議会が置かれる。政調審議会は政務調査会長と政務調査会副会長で構成され、政調審議会で決定された政策は速やかに総務会に報告し、決定される必要がある。総務会での決定を経ると、党議拘束がかかるとされる。〉と解説されていて、政務調査会の審査を経て内閣が国会に提出する法案は閣議決定前に自由民主党総務会で事前承認されることが原則となっている。

 ここに法案の「政府与党一体」と言う形が出てくる。一つの法案に対して内閣と共に自民党が十分に議論を尽くしている。法案の成り立ち・内容を熟知しているのだから、改めて質問する必要はないということで、野党はより多くの質問時間の配分が慣例となったということなのだろう。

 だが、枝野は「政府与党一体の事前審査プロセスなどが、機能不全の状態」、「国会提出前の事前審査プロセスなどで、野党議員と同じ程度にしか関与できていない」から、質問時間をより多く求めているのではないかと質した。

 安倍晋三が自民党の組織が機能していないという質問に「ハイ、そうです」と答えるわけはないし、機能していないとしても、自民党がより多くの質問時間を要求しているのは野党の質問時間を削ることにより多くの狙いがあるはずである。

 自民党の国会質問は大体が内閣の政策に対するヨイショが大部分で、この傾向は質問時間が多くなっても変わらないだろう。自民党政務調査会と自民党総務会が了承した政策を批判したら、内閣ばかりか、政務調査会と自民党総務会を敵に回すことになる。

 安倍晋三が森友忖度疑惑・加計政治関与疑惑の野党追及で内閣支持率を大きく下げたことに懲りた。野党の質問時間が減れば、比例して疑惑追及の質問時間も減る。

 懲りたが事実であったとしても、野党追求に対して記憶にない、記録は文書にして残していない、正式な会議に諮って決めたわけでもないといった答弁が多過ぎて、結果、決定プロセスが不明確となっているところに却って疑惑を膨らます要因となっているのだから、野党の時間を削ったからと言って、本質的な疑惑解決になるとは限らない。

 野党の疑惑追及の時間を減らすことは逆に森友・加計疑惑が事実であることを証明するのではないかとの内容の「ブログ」を2017年11月4日に載せて、 政権監視の役目は野党にあって与党にはないのだからと質問時間の変更に反対した。   

 だが、ここに至って自民党が主張している議員数割の質問時間にすべきだと思うようになった。理由は「与党2・野党8」と野党が与党の4倍も質問時間を与えられながら、森友・加計疑惑では質問に立った野党各議員は同じ内容の質問を繰返して安倍晋三、その他にその都度同じ内容の答弁で応じさせることになり、結局追及しきれずに幕切れになるといった非生産的・不毛な質疑応答が続いたからだ。

 このことは同じ党でありながら、ある議員が午前中に行ったと同じような質問を別の議員が行って、午前中と同じ答弁を引き出すだけで終わるといったこともあるし、ある野党の議員が前日に行ったのと同じような質問を別の野党の議員が行って似たような答弁で幕を下ろすといったこともある。

 一例を挙げると、2017年5月30日の参院法務委員会で当時は証人喚問ではなく、参考人招致を求めていたが、民進党の小川敏夫は安倍晋三から疑惑があると言うなら、「小川さんはそれを証明して頂きたい」と答弁された際、「総理は私の方で立証しろと仰っている。別にこれ、裁判の場ではありませんから、私が立証する責任はありません。政治はですね、政治を行う者が疑惑を招いたら、自らその疑惑を払拭するために説明するというのは政治家の責任ではないでしょうか」と効き目の全くないごまめの歯ぎしりにしかならない反論を試みたのみであった。

 なぜ、「じゃあ、証明しましょう。証明の重要な機会として参考人招致を認めて貰いたい。自民党総裁として、自民党に認めるよう指示してください」と切り返すことができなかったのだろうか。

 2017年6月5日の参院決算委員会で民進党の平山佐知子が加計学園問題の追及を行った。

 平山佐知子「これ、総理が関与していないのなら、しっかり立証する責任が総理にはあると思うんですが、それ如何でしょうか」

 安倍晋三「先程から申し上げておりますように、えー、これは私が関与したということであれば、関与した証拠を見せて頂きたい、こう思うわけでありまして、私が関与していない・・・、後ろからですね、あのみなさん、静かな雰囲気で、ヤジり倒すということはですね、えー、どういうことかと思うわけでありますが、宜しいでしょうか、皆さん落ち着きました?

 ハイ、これはですね、こういうことについてはですね、いわば立証責任はですね、それはそこに問題があるんだと言う方が立証するのは当然のことであろうと。そして証拠を以ってですね、これは示すことが当然のことであろうと、こう思う次第でございます」

 以前次のようなことをブログに書いた。

 〈殺人事件が起きた。警察はある人物を容疑者として特定した。その人物が殺人を犯したことを立証する責任は警察にあるのであって、その人物にはない。容疑者が自ら殺人事件を立証したとしたら、一遍の喜劇ができ上がる。

 勿論自白ということはあるが、自白はあくまでも警察の取調べという立証の過程で生じる一つの事態に過ぎない。〉

 犯罪容疑者はその多くが実際に罪を犯していたとしても、警察から証拠を出されたら、観念しなければならないが、証拠が出てこない間は自分は罪を犯していないと主張する。安倍晋三とて同じである。関与していないと主張するのは既定の方針と見なければならない。

 与党2の割合に対して野党は4倍の8の割合でかかって疑惑の状態を打ち破って、そこから疑惑の正体をつかみ出すことができなかった。例え野党の疑惑調査チームが全員で安倍晋三の答弁を精査して、矛盾点を見い出し、どう追及したら最も効果的かと戦略を立てて質問したとしても、似たような質問を繰返し、その都度、以前とほぼ同じ答弁を引き出すだけなら、安倍晋三の答弁の精査自体が満足にできていなかったか、満足にできていたとしても、矛盾点の見い出し方や追及の最も効果的な戦略の立て方が不足していることになる。

 こういった状況から脱却するためにも野党の質問時間が少なくなれば、否応もなしに各議員に質問内容を切磋琢磨させることになって、似たような追及を繰返すだけの質問のムダな贅肉を削ぎ落として非生産的・不毛な質疑応答に終止符を打つことが可能になる。

 例え与党のヨイショ質問が増えたとしても、何よりも重要なことは政権監視役の野党議員の質問の質であって、質の改善は野党側の質問時間配分の削減――議員数割の質問時間配分に期待する以外にないのではないのではないだろうか。
 
 議員数割の質問時間配分になったとしても、野党議員が今まで通りの似たような質問を繰返して似たような答弁を引き出すだけの質疑応答が続くようなら、どの議員も国民の負託を受ける資格はないことになるばかりか、負託を受ける資格のない議員が議員のバッジを付けて国会で質疑応答を行っているという喜劇が生じることになる。

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安倍晋三の選挙勝利と日米同盟緊密化と日本の軍備増強を目的に自身の言葉で膨らました“北朝鮮の脅威”

2017-11-20 11:06:56 | Weblog

 文飾は当方。

  「APEC首脳会議及びASEAN関連首脳会議出席等についての内外記者会見」首相官邸/平成29年11月14日)      

 安倍晋三「一連の会議を通じて、最大の懸案は北朝鮮の問題でした。東アジアサミットでは、各国のリーダーたちとこれまでにない危機感を共有しました。

 国際社会が一体となって国連安保理決議を完全に履行し、圧力を最大限まで高めていく。北朝鮮の側から、政策を変えるから対話してほしいと言って対話を求めてくる状況をつくらなければなりません。

 北朝鮮による核・ミサイルの問題、そして拉致問題を解決する。国際社会の連帯を更に強固なものとするために、我が国はこれからも全力を挙げてまいります」

 【質疑】

 松本時事通信記者「北朝鮮情勢について伺います。今回のベトナム、フィリピン訪問で、総理は各国との首脳会談やマルチの会合を通じて北朝鮮に対する圧力を最大限まで高めることを呼び掛けられました。

 国連安保理制裁決議の効果が出てくると見られる年末に向けて、北朝鮮情勢は緊迫するとの見方もあります。総理は、北朝鮮の今後の動向をどう分析なさっていますでしょうか。

 また、その分析を踏まえて、日本政府としてどう対処なさっていく方針なのか伺います」
 安倍晋三「9月15日以降、北朝鮮の挑発行動は行われておりませんが、言葉による挑発は続いています。過去20年間の核・ミサイル開発を踏まえると、北朝鮮は引き続き、一貫して核・ミサイル開発を継続していると考えています。

 私は、北朝鮮の核・ミサイル問題について、トランプ大統領訪日の成果も踏まえて、習近平主席、あるいはプーチン大統領とも率直な意見交換を行いました。これから厳しい冬を迎える中、北朝鮮における制裁の効果を注意深く見極めていくことで一致しました。

 北朝鮮とは対話のための対話では意味がありません。北朝鮮に全ての核・弾道ミサイル計画を完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法で放棄させることにコミットさせなければなりません。

 東アジアサミットや各国首脳との会談において、北朝鮮に対する圧力を最大限にして、北朝鮮の側から対話を求めてくる状況をつくらなければならないと強く訴えました。北朝鮮に対する圧力の必要性や拉致問題の解決について、多くの首脳から支持を得ることができたことは成果だったのではないかと思います。

 我が国としては引き続き、日米、日米韓で協力して、中国、ロシアを含む関係国とも緊密に連携しながら、国際社会全体で結束して、北朝鮮の核・ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題の解決に向けて取り組んでいく考えであります。

 「北朝鮮の側から対話を求めてくる状況をつくらなければならない」と二度発言している。

 そのような「状況」「圧力を最大限まで高めていく」ことによって可能となるとしている。

 このことは「北朝鮮とは対話のための対話では意味がありません」と言っている対話排除と対応している。

 「第195回国会における安倍内閣総理大臣所信表明演説」首相官邸/平成29年11月17日)  

 二 北朝鮮問題への対応

 安倍晋三「「今、我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後、最も厳しいと言っても過言ではありません。国民の信任を背景に、積極的な外交政策を展開してまいります。

 北朝鮮による我が国を飛び越える相次ぐミサイルの発射、核実験の強行は、断じて容認できません。

 先般、トランプ大統領が来日し、日米同盟の揺るぎない絆(きずな)を、世界に示しました。

 トランプ大統領は、拉致被害者の一人ひとりの写真を、真剣なまなざしで見つめながら、御家族の思いのこもった訴えに熱心に耳を傾けてくれました。御家族も御高齢となる中で、拉致被害者の方が再び故郷(ふるさと)の土を踏み、御家族と抱き合うその日まで、私の使命は終わりません。

 北朝鮮の核、ミサイルの問題、そして拉致問題を解決する。北朝鮮にその政策を変更させなければならない。そのために、国際社会と共に、北朝鮮への圧力を一層強化してまいります。

 先日のAPEC、東アジアサミットにおいても、ロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席をはじめ、各国首脳と、北朝鮮問題に対する緊密な協力を確認いたしました。

 日中韓サミットを早期に開催し、三か国の連携を更に深めてまいります。

 北朝鮮による挑発がエスカレートする中にあって、あらゆる事態に備え、強固な日米同盟の下、具体的行動を取っていく。ミサイル防衛体制をはじめとする我が国防衛力を強化し、国民の命と平和な暮らしを守るため、最善を尽くしてまいります」

 ここでも、「北朝鮮にその政策を変更させなければならない」と同じことを主張し、「そのために、国際社会と共に、北朝鮮への圧力を一層強化してまいります」と、北朝鮮をして政策変更させる唯一の方法論として圧力強化を挙げている。

 言ってみれば、圧力最大化が北朝鮮ミサイル開発・核開発阻止の唯一の解決策と見做す“圧力性善説”となっている。この考えには圧力が時と場合に応じて北朝鮮の暴発を招く危険性を想定に含めていない。

 このような危険性の指摘に関しては、「圧力の強化は北朝鮮を暴発させる危険があり、方針転換して対話をすべきではないかという意見もあります。世界中の誰も紛争などを望んではいません。しかし、ただ対話のための対話には、意味はありません」で片付けている。

 いわば「世界中の誰も紛争などを望んでいない」ことを唯一の保証としている「暴発」と言うことになる。「世界中の誰も紛争などを望んでいない」にも関わらず、世界中いたるところで戦争・紛争・暴発・テロが起きているにも関わらずである。

 北朝鮮がミサイル開発・核開発を行っているのは自国安全保障上の観点からアメリカに対して核保有国であることを認めさせるデモンストレーションに意味を置いているはずである。アメリカをミサイル攻撃しようとか核攻撃しようとかの意図はない。

 もし意図があってミサイル攻撃なり核攻撃を実行したら、アメリカの何十倍もの反撃を受けて、北朝鮮国土の壊滅的な破壊ばかりか、金正恩独裁体制は維持不能に陥ることになって、元も子も失くすことになるだろう。

 但し経済・金融その他の制裁――“圧力最大化”を受けて北朝鮮の国家体制が維持不能の状態に追い込まれた場合に限り、暴発の危険性は保証の限りではなくなる。

 要するに安倍晋三が言っている“対北朝鮮圧力最大化”こそが、暴発の誘発要因となり得る。にも関わらず、「世界中の誰も紛争などを望んでいない」との願望を唯一の根拠に暴発の危険性を眼中に入れずに「圧力の最大化」、「圧力の最大化」と騒いでいる。

 安倍晋三と違って自民党幹事長の二階俊博が11月19日のラジオ日本の番組で暴発の危険性に触れていることを「NHK NEWS WEB」(2017年 12時40分)が伝えている。     

 二階俊博「日米関係など、こちらが調子がいい時だけに、相手(=北朝鮮)をこれ以上追い込んではダメだ。圧力をかけて、ずっと追い込み、爆発するのは決まっている。安倍総理大臣も慎重にやるだろうが、ぜひ注意してやってもらいたい」

 記事の解説を待つまでもなく、過度の圧力が暴発を誘発しかねない危険性に言及している。これが常識的、一般的な国家安全保障上の危機管理であるはずだ。

 だが、安倍晋三は常識的、一般的な国家安全保障上の危機管理を自らの認識とすることができずに“対北朝鮮圧力最大化”のみを言い立てている。

 一方で安倍晋三が「国難」に位置づけた“北朝鮮の脅威”を言い立てることで成功したことは10月総選挙の勝利とトランプと意見を一致させたなお一層の日米同盟緊密化、同じくトランプと意思を疎通させることができた、言ってみればアメリカのお墨付きを得た日本の軍備増強である。

 北朝鮮のミサイル開発・核開発が米国に核保有国であることを認めさせるデモンストレーションに過ぎないことに反して“北朝鮮の脅威”を言い立てているということは自身の言葉で膨らました演出に過ぎないという証明を導き出す以外に答を見い出すことはできないが、同じことの言い立てが選挙の勝利と日米同盟緊密化と日本の軍備増強を成功させていることも、成功のために自身の言葉で膨らました“北朝鮮の脅威”であることを証明する。

 これらの成功を導き出すための“北朝鮮の脅威”であり、“対北朝鮮圧力最大化”と言うことなら、その陰に潜むことになる暴発の危険性を眼中に入れいていない国家危機管理であることも頷くことができる。

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安倍晋三の教育無償化は経済的余裕を与えても、「人づくり革命」と「生産性革命」を必ずしも約束しない

2017-11-18 12:04:37 | 政治

 11月3日(2017年)の当ブログ《安倍晋三が「規範意識」重視である以上、人づくり革命と生産性革命が少子高齢化打破の車の両輪とはならない - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》で書いたこととかなり重なるが、少々異なる把え方で扱ってみたいと思う。  

 安倍晋三が昨日2017年11月17日、衆参本会議それぞれで「第195回国会所信表明演説」を行った。    

 最初に北朝鮮問題を、次に少子高齢化を取り上げた。兎に角北朝鮮の脅威を「国難」と位置づけて10月の総選挙の最大の争点とし、圧勝した手前、北朝鮮問題を最初に持てこざるを得なかったのだろうか。

 次いで取り上げた少子高齢化の関する発言を見てみる。

 三 少子高齢化を克服する
 (生産性革命)

 この5年間、アベノミクス「改革の矢」を放ち続け、雇用は185万人増加しました。この春、大学を卒業した皆さんの就職率は過去最高です。この2年間で正規雇用は79万人増え、正社員の有効求人倍率は、調査開始以来、初めて、一倍を超えました。

 この経済の成長軌道を確かなものとするために、今こそ、最大の課題である少子高齢化の克服に向けて、力強く、踏み出す時であります。

 「生産性革命」、「人づくり革命」を断行いたします。来月、新しい経済政策パッケージを策定し、速やかに実行に移します。

 人工知能、ロボット、IoT。生産性を劇的に押し上げるイノベーションを実現し、世界に胎動する「生産性革命」を牽(けん)引していく。2020年度までの3年間を「生産性革命・集中投資期間」と位置付け、人手不足に悩む中小・小規模事業者も含め、企業による設備や人材への投資を力強く促します。

 大胆な税制、予算、規制改革。あらゆる施策を総動員することで、4年連続の賃金アップの勢いを更に力強いものとし、デフレからの脱却を確実なものとしてまいります。

 (人づくり革命)

 「人生百年時代」を見据えた経済社会の在り方を大胆に構想し、我が国の経済社会システムの大改革に挑戦します。

 幼児教育の無償化を一気に進めます。2020年度までに、3歳から5歳まで、全ての子どもたちの幼稚園や保育園の費用を無償化します。0歳から2歳児も、所得の低い世帯では無償化します。

 待機児童解消を目指す安倍内閣の決意は揺るぎません。本年6月に策定した「子育て安心プラン」を前倒しし、2020年度までに32万人分の受け皿整備を進めます。

 どんなに貧しい家庭に育っても、意欲さえあれば、高校、高専にも、専修学校、大学にも行くことができる。そういう日本に、皆さん、していこうではありませんか。真に必要な子どもたちには、高等教育を無償化します。

 いくつになっても、誰にでも、学び直しと新しいチャレンジの機会を確保する。そのためのリカレント教育を抜本的に拡充します。

 こうしたニーズに応え、「人づくり革命」を牽引する拠点として、大学改革を進めてまいります。

 相変わらず都合のいい景気指標しか口にしない。「4年連続の賃金アップの勢いを更に力強いものとし、デフレからの脱却を確実なものとしてまいります」と力強く宣言しているが、毎年毎年企業の尻を突ついて賃上げを要請したとしても、それが僅かばかりの上乗せに過ぎないのだが、満足に賃金が上がらない状況、結果的に個人消費が振るわない状況については決して口にすることはない。

 上に厚く、下に薄いアベノミクス景気がその正体であることは隠し通す。

 「人工知能、ロボット、IoT。生産性を劇的に押し上げるイノベーションを実現し、世界に胎動する『生産性革命』を牽(けん)引していく」はまさに大風呂敷中の大風呂敷になっている。

 「労働生産性の国際比較 2016年版」(日本生産性本部/2016 年12月19日)には、〈OECD データに基づく2015 年の日本の時間当たり労働生産性は、42.1 ドル(4,439 円)。米国の6割強の水準で、順位はOECD加盟35カ国中20位。1人当たり労働生産性は、74,315ドル(783万円)、OECD加盟35カ国中22位となっている。〉との記述がある。   

 主として研究開発費を「投資」項目に組み入れて新たに算入することにしたGDP新基準に基づく労働生産性の国際比較では、〈2015 年の時間当たり労働生産性(就業1時間当たり名目付加価値)は44.8ドル(4,718円/購買力平価(PPP)換算)。従来基準から6.3%上昇し、順位もOECD加盟35カ国中19位と従来基準による順位から1つ上昇している。

 1人当たり労働生産性(就業者1人当たり名目付加価値)は78,997 ドル(832万円)。順位はOECD加盟35カ国中22位となっている。〉

 新基準で計算しても、時間当たり労働生産性は、〈OECD加盟35カ国中20位〉から〈OECD加盟35カ国中19位〉へと1つ上がっただけで、1人当たり労働生産性は〈OECD 加盟35カ国中22位〉で変わりはない。

 OECD加盟35 カ国の中で下から13位や15位に付けていて、「世界に胎動する『生産性革命』を牽引していく」と宣言できる。大風呂敷でなくて何であろう。

 その手段たるや「人工知能、ロボット、IoT」に置いているのだろうが、これらが実際に「生産性を劇的に押し上げるイノベーション」であったとしても、このような技術、あるいは技術革新はカネを使い(優秀な才能への投資)、優れた研究環境を与えることができさえすれば、どの国も入手可能であって、あるいは優れた研究環境を提供できなくても、カネさえ使えば、それが国際特許を取った技術であったとしても、買うことで入手可能となり、いわば同じような技術を使うことになって、生産性という点ではほぼ同じ土俵に立つことになり、差は大して出てこないことになる。

 如何に技術革新を経た技術であっても、技術そのものにしても、その技術を組み込んだ何らかの製品であったとしても、カネで売り買いされて、すぐに真似されるてしまう。日本のかつての専売特許のように。

 当然、「人工知能、ロボット、IoT」を生産性を押し上げる手段に置くこと自体が考えが浅いことになる。

 優れた研究環境とはカネをかけた優れた設備が整った研究空間のみを言うわけではない。日本人は権威主義を行動様式・思考様式としていて上下関係で人間を律する傾向があるために、この上下関係が下の才能を時として抑えつける役目を果たす。

 日本の大学で徒弟制度と言われている権威主義から来ている上下関係を嫌って、上下の隔てのない自由な人間関係で研究できる環境を求めてアメリカに研究の場を移す教授や助手といった研究者が多く存在するのを聞く。

 アメリカの映画でよく見かけるが、雇い主の会社経営者とかの方から新しく雇った使用人であるお抱え運転手に対して初対面でファーストネームで呼ぶことを許し、お互いがファーストネームで呼び合いつつお互いの職業に敬意を払って信頼関係を築いていくといった日本では考えられないシーンをよく見かける。

 優れた技術革新を望むなら、伸び伸びと才能を伸ばすことができる上下関係を取り払った自由な人間関係とそのような人間関係を許容できる研究環境を提供する以外にない。

 安倍晋三は「幼児教育の無償化」と「高等教育の無償化」を「人づくり革命」の礎とする腹づもりでいるが、教育の無償化は無償化を受ける家庭に対して経済的余裕を与えると同時に無償化を受ける者をして学びの機会の幅を広げる効果的な要素となるのは確かだが、生産性の決め手は“考える力”であって、大学進学率と言ったことではない。

 例えば、「大学進学率の国際比較(2010年)」(文科省)によると、大学進学率をアメリカ73%に対して日本は51%。但し〈アメリカのみ、2年制の機関が含まれた値〉と表記されていることから、2016年5月1日現在の日本の短大進学率を、「平成28年度学校基本調査」(文科省)で調べてみると、「大学・短大進学率(現役)は54.8%」から「大学(学部)進学率(現役)は49.3%」を引くと、短大卒は5.5%、これに6年の差はあるが、プラスすると56.6%。アメリカとの差は16.3%もあるが、大学進学率だけで生産性を計算することになるが、日本の進学率がアメリカの77%、いわばアメリカの進学率の8割近くであるのに対して日本の生産性がアメリカの6割強の水準と言うのは必ずしも教育機会に結びつかない証拠となるはずである。  

 この計算があながち間違っていないのは韓国の進学率はアメリカについで71%だが、1人当たり労働生産性は日本の22位よりも低く、26位となっていることを根拠として挙げることができる。

 進学率、いわば教育機会の多寡に労働生産性が連動するなら、進学率の高い韓国は技術力は高いのだから、アメリカと同等の生産性を誇らなけばならない。だが、現実は違っている。

 なぜ“考える力”が生産性の決め手なのかは指示されたことを指示されたとおりに指示されたことだけをするのでは、いくら大学教育を受けても生産性は上がるはずはない。指示されたことを自分で考えて行動することでプラスアルファの付加価値を付けることができ、この付加価値によって生産性は上がる。

 かつて日本人はマニュアル人間が多いとされたが、上が下を従え、下が上に従う権威主義の行動様式が自ずとつくり出したマニュアル人間であって、現在も潜在した状態で数多く存在する。

 そして日本人の考える力の不足は長いこと言われていた。学校教育自体が権威主義の様式を受けて教師が教えることを児童・生徒が暗記する機械的従属を基本構造とする教育が今以って主流となっていて、そこに考える思考回路を置いていないことが結果として“考える力”が身につかない要因となっている。

 リカレント教育で何であろうと、学びの場の提供が「人づくり革命」に発展するわけでも、「生産性革命」を起こすわけでもない。他人と同じではない、自分独自の考えを生み出し、行動する“考える力”こそが原動力となるはずである。

 安倍晋三みたいに「人工知能、ロボット、IoT」といった技術に頼っていたのでは他の国と同じ条件を土俵とすることになって、生産性の国際比較でさして順位を変えることはできないだろう。

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