診療所だより

開業医gobokuの日記

こんなこと考えながら、
こんな生活しています。

胸痛

2012年10月10日 | 日常
土曜日、
三連休の初日なので、皆さん行楽へ出かけたのでしょうか、
外来は暇です。

のんびりとした時間が流れている待合室に、
突然、奥さんに抱えられて苦しそうに入ってきた人がいます。
診察室で別の患者さんを診察中の僕の耳に、

「堀田さん、こっちに入って休んでて。」と言う看護婦さんの声が聞こえます。

程なく、
「センセ、堀田さん、苦しそうだから先に診てください。」
と言う看護婦さんの声、

堀田さんは、70代の男性で、体格がいい方です。
特別の持病はなく、よくゴルフをやったりしていてお元気な方です。
その方が、顔面蒼白、大汗をかいて、みぞおちが苦しいと言って、横になっています。

奥さんは、「熱中症ですよ、水も取らないで動いていたから。」と
クールな対応。

血圧正常、脈拍も乱れなし、酸素分圧96パーセント。

とにかく、最悪のことを考えて、心電図をとると、
ちょっと異常が。

判断に苦しむところなのですが、
安静にして静かにしていると、本人は落ち着いてきたと言ってます。

点滴をして、もうちょっと様子を見ることにしましたが、
土曜日なので、何かあったら引き受けてくれる病院があるか心配です。

堀田さんの話では、
朝、ゴルフの練習をみっちりやって、家に帰ってから、
チェーンソーで、じゃまになっていた木を夢中で切っていたら、
眩暈がして、苦しくなって動けなくなっちゃったとのこと。

そこで、以前とった心電図はないか、あったら比べてみようと探してみたのですが、
今までは、風邪や筋肉痛ぐらいでしかかかってないので、
心電図がありません。
心電図の変化をみるために、何回か心電図をとることにして、
堀田さんに心電図に電極をつけたまま寝ていてもらうことにしました。

一時間後、二時間後、心電図に変化はありません。
状態を聞くと、
「もうだいじょうぶだ、センセ。もういかんべよ。」と
顔色も良くなってきたようです。
そこで、堀田さんに、
じつは、ちょっと心電図が気になってて、
心筋梗塞の疑いもあるんですよというと、
「心電図?はー、前に心電図おかしいっていわれてよ、
大学病院で色々検査やったんだけんど、
結局異常なしって言われたことあったんだよ。」

そうか、前から心電図おかしかったんだ。
じゃ、これは前からのものかと少し安心して、
今日は帰ってもらうことにしました。
やっぱり、奥さんの言うとおり、熱中症だったのでしょうか。

それでも、奥さんに、
「今度胸苦しいと言ったら、救急車呼ぶように」と
念を押しておきましたが。



連休明けに約束通り、堀田さんはやってきました。
元気そうです。
「だいじょうぶだった?胸痛くなかった?」と聞くと、
「センセ、胸痛くてダメだ、しみるしみる。」

エッと思って、シャツをまくってもらうと、

この前つけっぱなしにしていた、心電図の電極のあとが、
6ッコ、はっきりと皮が剥けて残っていました。
こりゃいたいわ。