診療所だより

開業医gobokuの日記

こんなこと考えながら、
こんな生活しています。

恐いもの

2012年09月11日 | 日常
久しぶりに顔をのぞかせてくれた宇梶さん。
近所の農家のおばあちゃんです。
あまり診療所にみえないのは、
身体に自信があるのか、医者嫌いなのかはわかりません。
今までは、腰が痛い、膝が痛いで、ときどきやってこられました。

今日は、いつもと様子が違うようです。
診察室に入ってきた宇梶さん、
顔色が真っ青です。
聞くと、身体がだるいと言ってます。
あまり食べられないとも言ってます。
体重も以前に比べるとかなり減ったようです。

なにはともあれ、採血して貧血を調べました。

結果はかなり酷い数値、
ヘモグロビンが、5g台です。

この時点で、頭の中をガンという文字が駆けめぐります。

二日後に胃カメラやりましょうねというと、

飲んだことないから、怖い。飲みたくないよ、先生。
飲めるかね。心配だ。
と、結構引いている様子。

果たして、二日後には、お見えになりませんでした。

次にお見えになったとき、
どうしてこなかったんですかなどとは言いません。
言わずに、次の予定を決めました。

それが昨日。

今度は、来ていただけました。
宇梶さん、検査が始まるまで、不安をしゃべりっぱなしでした。
そして検査。
その結果、
大きな胃潰瘍が見つかりました。

こちらはガンでなくて、一安心。ホッとしました。

宇梶さんは、
つらかった、つらかったと、検査の感想をしゃべってます。

そんな宇梶さんに、
実はガンかもしれないと、心配してたんだよ、胃潰瘍で良かったですね。
と声をかけると、

ガンもなんも心配じゃないよ、
あたしゃ、胃カメラが心配だったんだよ。

宇梶さんにとっては、ガンよりも胃カメラの方が怖かったようです。