診療所だより

開業医gobokuの日記

こんなこと考えながら、
こんな生活しています。

世間話から

2013年08月30日 | 診療
先日のお話。

足の指の瘭疽でやってきた小学生。
お母さんも一緒に、処置室に入ってきました。

親指の爪が食い込んでいるので、
爪を切りながら、世間話。

「急に身長、伸びたんじゃない?」
「そうですね、そうかも。」

「背が伸びると、足も大きくなるから、
今までの靴だと小さくなって、
親指とか圧迫されて、爪が食い込んじゃうことがあるんだよ。
それが原因かも。
サイズに合った靴買ってあげてね。」
「あ、はい。
ところで、センセ?
たんこぶってどのくらいで消えるんですか?」
「ん?」

そこから、お盆に実家に帰っていた時、
転んで、コンクリートに頭をぶつけたこと。
そのときできたたんこぶが今も消えないこと。
本人は痛くもなく、けろっとしていること。
そんなことが判ってきて、
指が終わったあと、ちょっと触って見ることにしました。

「どれ見せてごらん、どこ?」

触ってみると、プニュプニュしています。
「これたんこぶじゃないよ、血がたまってるんだよ」
それから、よく触ってみると、
骨がへこんでいるところがありました。
「なんじゃぁ、これは!!」という心の声。

「お母さん、ここ触ってみて、へこんでるでしょ。」
「ああ、ホントだ、初めて触りました。」

「普通へこんでいないところだから、よく見てもらったほうがいいでしょう。
明日脳外行ってみてくれませんか。
紹介状、書くから。」
といって、紹介状をお渡ししました。

お母さんは、えっこれくらいで病院行くのと怪訝顔。

翌日の午後、

お母さんがやってきて、
「陥没骨折と、硬膜外血腫で手術することになりました。」って。

ヤレヤレ、大事に至らずなによりです。

これも、お母さんが、たんこぶの話をしてくれたからです。
世間話も、役に立つことがあるもんです。