診療所だより

開業医gobokuの日記

こんなこと考えながら、
こんな生活しています。

三文芝居

2013年05月11日 | 診療
最近、診察中でも、それ以外でも、
特に強く感じることがあります。

それは、
世の中、本当に様々な人がいるんだなと言うことです。
いろいろな考え方があって、
一人一人、別々に行動しています。

別のいい方をすれば、
世の中何でもありで、なんでもOKなんだ。です。

その人にとって、いいと思ったことは、
そのひとには、正しいことなんです。

多くの人が変だと思っても、
本人がいいと思えば、それでOK.

他人がなんて云ってこようとも、
自分が正しいと思えば、
考えを変える必要なんかないんです。


実は、
開業して真っ先に感じたことがこれでした。

太った糖尿病の患者さんに「体重を落としましょうね。」
と何回指導しても、
減るどころか、逆に徐々に増えてきたりしたとき。

肺気腫で、咳がゴホゴホ出ている患者さんに、
「タバコはよくないですよ。」と何回いっても、
毎回「俺ぁ、これがないとダメなんだ。」と返された時。

そんなときに、この「何でもありか」が
ボアンと頭の中に浮かんできます。

開業して、18年。
頭の中は、
このボアンが浮かんでは消え、浮かんでは消えして、
だいぶ前から、
ボアンが、消える暇がなくなり、
常にいるようになりました。

そうすると、言葉がとても軽くなってしまい、
薄っぺらい言葉だけが、
僕と患者さんとの間を行ったり来たりするようになります。

そんなときふと、僕は役者で、
今、医者の三文芝居をしているのではないかという錯覚に、
囚われてしまい、
あわてて首を左右に振ります。