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ロシア、「プーチン独裁」の様相 Doubt on the rule of law in Russia

2010-12-28 | 世界から見た日本
2010年12月28日(火)

ロシアの石油王と言われ一時はその権勢に並ぶものがいなかったホドルコフスキー氏に対し、ロシアの法廷は、「政敵」プーチン首相が直前のテレビインタビューで宣言した通り、「同氏が経営していた石油会社Yukos所有の原油270億ドル相当を横領した」として有罪判決を言い渡した。

Financial Timesが大きく報じているこの判決は、2003年から7年の刑に服している同氏をさらに新たな罪で服役させて、2012年の大統領選に出馬させないようにするためのプーチンの陰謀であると断じ、ロシアの「法治」に重大な疑問を投げかけるものだと論評している(casting doubt on the rule of law in Russia)。

米国のクリントン国務長官は、「恣意的な訴追が横行し、法治主義は政治判断で歪められている」(the verdict “raises serious questions about selective prosecution – and about the rule of law being overshadowed by political considerations.)との声明をだして、ロシアで法治主義がいまだに確立していないのは、人権擁護や投資環境の改善を望む国際世論に逆行するものであると非難した。

また、ドイツのGuido Westerwelle外務大臣は、「審理過程は極めて憂慮に堪えないものである」との声明を出して欧州からの批判を明らかにした。

Financial Timesは判決の模様を次のように伝えている。「判事は、目を書類に落としたままそそくさと単調な早口で判決を読み上げたが、それはつぶやきとしか言いようがないものであった(barely above a mutter)。

法廷の外ではプーチンへの抗議集会が行われ、『自由を』とか、『プーチン無きロシアを』という叫び声が、判事の「つぶやき」 重なったが、ほどなく集会は警官によって粉砕された」

この異様な判決と恣意的な法廷の「利用」は、ロシアがプーチン首相による独裁国家の様相を呈していることを改めて世界に示すこととなった。

ロシアの法治国家への道は遠い。


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