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中国、インフレ深刻化に真剣姿勢 Rates Hikes Amid Inflation Fight

2010-12-26 | 中国・ロシア・インド・ブラジル動向
2010年12月26日(日)

クリスマス休暇で経済ニュースに乏しい各紙のトップを飾ったのは、『中国、インフレ対策のさなか利上げに踏み切る』(The Wall Street Journal)、『中国利上げ』(Financial Times)である。論評も「年内利上げは織り込んでいたが、クリスマスプレゼントにするとは」と、無宗教の中国共産党にしては欧米の市場が休業中を狙ったことを半ばからかうものとなっている。

中国は、11月の総合物価統計が前年比で5.1%、食料品など基礎物価が11%以上の上昇となったことを受けて、景気過熱への懸念から金融政策を「中庸を得た緩和」(“moderately loose”)から「警戒的 」(“prudent”)に転換していたが、いよいよ本格的な引き締め政策を具体化し始めた。

今回の利上げは、一年物の貸出金利を5.56%から5.81%に引き上げ、預金金利を2.50%から2.75%に引き上げるもので、3年ぶりに引き上げに転じた10月の引き上げから間を置かない矢継ぎ早の金融引き締めであり、インフレ対策への断固たる決意表明と受け止められている。さらに今後も「2011年中には、さらに0.75%の引き上げが行われるだろう」との専門家の意見を両紙とも伝えている。

また、各銀行が中央銀行に積み立てておかなければならない預金準備率を、市場の余剰資金吸収のために0.5%引き揚げたが、これは今年に入って6度目である。貿易収支の黒字に加えて、欧米や日本はデフレ脱却と景気浮揚のためにゼロ金利策を取っているためだぶついた資金は高利回りを求めて中国市場に怒涛のごとく流入している。今回の利上げはさらにこの動きを強めてしまう危険を孕んでいる。人民元の対ドルレートへの押し上げ圧力は、今後さらに高まっていくことは市場原理からすれば当然である。

来年は、中国共産党にとって『人民元を低く抑えて輸出促進し、外貨準備を増加させて対外影響力を強化し、GDP成長を高くして国威を増進し、物価は低くして庶民の怒りを鎮め、不動産バブルをはじけさせないようにすることをひたすらの目標とする「資本主義的計画経済」の実験』の年となる。


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