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安倍氏、日銀に「最後通牒」 Japan’s Abe issues ultimatum to BoJ

2012-12-24 | 世界から見た日本

「間もなく6年間で7人目の首相に就任する安倍氏は、日曜朝のフジTVに出演し、長く続くデフレ脱却のために日銀に、これまでにはない積極的な金融政策を取らせる」との決意を公にした、とFinancial Timesが、週末の電子版で伝えている。

曰く、『もし日銀が1月の政策会議でインフレ目標を現在の1%から2%に政策変更することを決議しなければ、日銀法を変えて日銀の在り方を変更する』と。白川日銀総裁は、「国債の日銀買い取りによって財政規律に対する信頼が揺らぎ、国債利回りが上昇し、ますますその償還が困難となる」ことを警告したが、安倍氏は、『同総裁の4月の任期切れで更迭し、政府の意のままに、金融緩和を積極的にすすめる人物を選ぶ』と強い決意で応じたのである。


1998年に施行された日銀法では、日銀は物価安定のための金融政策を政府と緊密に連携して取ることとしているが、その方法・時期は、日銀の専管事項であるとその独立性を担保してきた。ここにきて、『失われた20年』からの脱却を目指す安倍政権は、日銀の金融政策、通貨政策の自由度を奪うことを宣言したものといえる。


「アベノミクス」反対派は、労働人口の減少と、経済活動に関する過剰な規制がデフレと低成長率の原因であって、日銀に通貨膨張策を取らせて、公共工事投資に資金供給しても成長を回復させることはできない、すでに国民総生産の2倍の負債を抱える日本政府の信用を毀損させることにしかならない、と強い懸念を示している。この懸念を具体的に言えば、ハイパーインフレと、国債の大暴落である。



アベノミクスの前提には、民間銀行が無限に国債を買い続けてくれることが前提になっている。BIS規制でがんじがらめに手足を縛られていることを理由に、国内産業活性化、ベンチャー育成のための金融に工夫も意欲も失った日本のバンカーは、国債を買って収益を上げることに専心してきた。白川総裁は、有効な通貨・金融政策を打ち出せないまま、政府に屈服した中央銀行のバンカーとして歴史に名を残すことになる。

ところで、FTが使ったUltimatumという言葉は、『最後通牒』ということである。外交・軍事用語として、『いうことを聞かねば攻撃する』とのいわば宣戦布告と等価の強いものである。政府と中央銀行の関係は一夜にして変わった。


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